「EMPの普及促進に係る補助金」って聞いて、EMPって何だろう、って最初思いませんでした?
思いますよね(笑)!EMPはEmerging Managers Programの略で、日本語に訳すと「新興資産運用者シード拠出プログラム」なんです。
簡単に言うと、「まだ小さいけど実力のある新興の資産運用会社」に、機関投資家がお金を預けて育てる仕組みです。シンガポール、フランス、カナダなどでは当たり前に行われている制度なんですが、日本にはほとんど根付いていない。
ほんとに?日本の金融業って規模大きいのに、そんなことがあるんですか?
東京都が2017年に「国際金融都市・東京」構想を発表した際、まさにこの「EMPが存在しない」ことを課題として挙げているんです。日本には欧米やシンガポールのように新興資産運用業者が育つ環境が整っていないと。
なるほど!だからEMPを「普及促進」しようとしている。
そうです!東京都は2018年4月から「東京版EMPファンド」を導入して、国内機関投資家とゲートキーパーが共同で新興資産運用業者を育てる仕組みを作ってきました。この補助金は、そのEMPを東京の金融業・保険業に根付かせるための費用を支援するものです。
東京が「アジアのロンドン・ニューヨーク」になろうとしているわけですね!
まさにそれです!令和7年度版(R7)では補助上限額が前年度の4,500万円から4,900万円に増額されています。東京都の本気度がうかがえます。
EMPの普及促進補助金 仕組みフロー図
令和7年度(R7)の基本スペックをまとめるとこうなります。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助上限額 | 4,900万円 |
| 前年度比較 | R6: 4,500万円 → R7: 4,900万円(400万円増額) |
| 対象業種 | 金融業・保険業 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 受付期間 | 2025年3月31日〜2026年5月30日 |
| 実施機関 | 東京都(産業労働局 または スタートアップ・国際金融都市戦略室) |
| 公式情報 | Jグランツ |
そうなんです!2025年3月31日から2026年5月30日まで、約14ヵ月という長期公募なんですよ。他の補助金が1〜2ヵ月単位の締切であることを考えると、かなり余裕を持って申請できます。
ただ、余裕があるからって後回しにしてもいいわけじゃないですよね?
要注意です!長期公募でも予算枠が埋まったら受付終了になる可能性があります。公募要領で確認して、準備が整ったら早めに申請することをお勧めします。
| 対象業種 | 具体的な業態例 |
|---|
| 金融業 | 銀行、証券会社、信用金庫、資産運用会社、ヘッジファンド等 |
| 保険業 | 生命保険会社、損害保険会社、保険代理店等 |
東京都内で事業を実施することが条件です。都外に本社があっても、東京都内に拠点があってEMP関連の事業を東京都内で実施するなら申請できる可能性があります。ただし詳細な要件は公募要領で必ず確認してください。
EMPに関連する事業をやっているって、どんな会社が当てはまるんですか?
FinCity.Tokyo(東京国際金融機構)が推進しているEMPに関わる事業者、つまりEMPの運営事業者として認定された会社、新興資産運用業者として参加している会社、あるいはゲートキーパーとしてEMの発掘・育成に携わる会社などが主な対象と考えられます。自社がEMPの普及促進にどう貢献するかを明確にすることが申請の第一歩です。
- 東京都内に事業所があるか (必須)
- 金融業または保険業に該当するか (必須)
- EMPの普及促進に係る具体的な事業計画があるか (必須)
- 補助対象経費の見積書を準備できるか (必須)
- 交付決定後に事業を開始できる体制か (必須)
- 補助事業の実施期間内に完了できるか (必須)
こうして見ると、「EMP普及促進という目的に合った事業計画があるかどうか」がキモですね。
まさにそうです。次に、どんな経費が対象になるか見てみましょう。
EMPの普及促進補助金 補助額比較と対象経費チェック
4,900万円って大きいですね!何に使えるんですか?
| 経費カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|
| システム開発・導入費用 | EMPに関するシステム開発費、ソフトウェア導入費、ハードウェア調達費 |
| 普及促進活動費用 | セミナー・説明会の開催費用、広報・マーケティング費用、資料・教材の制作費用 |
| 人件費 | 事業に直接従事する職員の人件費 |
| 委託費 | 専門家・コンサルタントへの委託費、調査研究委託費 |
| 設備費 | 事業実施に必要な設備購入費 |
へえ、システム開発から広報費まで多彩に使えるんですね!
そうです!EMPの「普及促進」という名前の通り、システム基盤の整備から、業界への周知活動まで多方面をカバーしています。4,900万円という上限をフルに活用するなら、複数の経費カテゴリにまたがった事業計画を立てるのが有効です。
- 交付決定前に発生した経費 → 最も多いミス。必ず交付決定後に事業を開始すること
- 土地・建物の取得費用 → 不動産投資は対象外
- 他の補助金と重複する経費 → 同一経費への重複申請は原則禁止
- 補助事業と関係のない一般管理費 → 直接関連のある経費のみ対象
- 交際費・接待費 → 補助金全般で対象外が基本
- 汎用性の高い備品・消耗品 → 事業専用の用途が必要
交付決定前の経費が対象外っていうのは、気をつけないと失敗しますね。
ほんとに!「採択されると思って先に発注してしまった」という失敗例はよく聞きます。必ず交付決定通知書を受け取ってから事業を開始してください。
大きく6つのステップに分かれます。各ポイントも踏まえて見ていきましょう。
1公募要領の入手・精読
担当窓口(スタートアップ・国際金融都市戦略室 戦略推進部 戦略事業推進課)または公式サイトから公募要領を入手します。EMPの定義・補助対象事業の範囲・補助率・対象経費の詳細を徹底的に読み込んでください。
2担当窓口への事前相談
応募書類を提出する前に、必ず担当窓口に事前相談することが求められています。東京都産業労働局またはスタートアップ・国際金融都市戦略室に連絡を取り、申請内容の方向性と自社の要件充足を確認しましょう。
3事業計画書・申請書類の作成
事業計画書、収支予算書、見積書など必要書類を公募要領の指示に従って準備します。EMPの普及促進にどう貢献するか、定量的な目標(EMへの資金拠出額、参加EM社数など)を盛り込むと審査で有利です。
4申請書の提出
受付期間(2025年3月31日〜2026年5月30日)内に申請書類を提出します。オンライン申請(Jグランツ経由)かどうかは公募要領で確認してください。
5審査・交付決定
書類審査を経て採択・交付決定が行われます。交付決定通知書が届くまで事業を開始しないでください。
6事業実施・実績報告・補助金受取
交付決定後に事業を実施し、実施期間内に完了させます。完了後は実績報告書を提出し、審査を経て補助金が交付されます。
事前相談が「必須」って書いてあるのが珍しいですね。
そうです!「応募書類提出前に事前相談してください」と明記されている補助金です。いきなり書類を出しても受理されない可能性があるので、必ず事前連絡を取りましょう。
本補助金は詳細情報が公募要領に委ねられている部分が大きいので、まず「EMP」の定義をしっかり把握することが最大の鍵です。それができたら、以下のポイントを意識してください。
- EMPの定義・対象範囲を公募要領で正確に把握する — EMPの普及促進に係る事業として認められるか、定義との一致が審査の出発点
- 普及促進効果を定量化する — EMへの資金拠出額の目標、参加EM社数、セミナー参加者数など数値で示す
- 4,900万円に見合う事業規模設計 — 上限額に見合った大規模で具体的な事業計画。小さすぎると「上限まで必要か?」と疑問視される
- 事業の継続性・持続性を示す — 補助期間終了後もEMPが東京で定着・発展する見通しを示す
たとえば「本補助金を活用してEMP運営インフラを整備し、2026年度中に5社の新興資産運用業者への資金拠出を実現する。総拠出額○億円を目指す」というように、数字で示せると説得力が全然違います。
「補助金をもらいながら何を達成するか」を最初から明確にしておくことが大事なんですね。
そのとおりです!そして審査では「この事業者がEMPの普及促進にどれだけ真剣に取り組もうとしているか」が見られます。公募要領の精読と事前相談が採択への最短経路です。
前年度(R6)の「EMPの普及促進に係る補助金」と比較してみましょう。
| 比較項目 | R6(前年度) | R7(令和7年度) |
|---|
| 補助上限額 | 4,500万円 | 4,900万円 (+400万円) |
| 受付期間 | 2024年3月31日〜2025年5月31日 | 2025年3月31日〜2026年5月30日 |
| 対象業種 | 金融業・保険業 | 金融業・保険業(変更なし) |
| 対象地域 | 東京都 | 東京都(変更なし) |
R6は4,500万円でしたからR7は400万円増えていますね。東京都がEMPの普及に向けた投資を年々拡大している表れです。2018年にEMPを始めてから6年以上が経ち、令和7年度は東京版EMP運営事業者として「fundnote株式会社」と「大和アセットマネジメント株式会社」が認定されています。
ああ、それが参考情報として公開されているんですね。
そうです。こういった公開情報を活用して、「EMPの実際の運用状況はどうなっているか」を研究することも、採択に向けた事業計画作りの参考になります。また前年度(R6)の補助金のページは
こちらから確認できます。
そもそも東京都って、なぜここまでEMPに力を入れているんですか?
大きな絵を描くと、東京都は「2030年ごろにはアジアを代表する国際金融センターになる」という目標を持っています。その実現に向けた柱の一つが「資産運用業の活性化」なんです。
実は日本は欧米と比べて資産運用業者の数がかなり少ないんです。たとえばシンガポールはTemasek(政府系ファンド)が主導してEMPを運営し、新興の運用会社を積極的に育てています。フランスのEmergenceは2012年の設立から10年間で8億ユーロ(約960億円)以上の資金拠出を実現した。東京にはそういう「新興運用会社を育てるエコシステム」がまだ弱い。
なるほど、シンガポールやフランスに追いつけ追い越せということですね!
そうです。東京都はこのEMP補助金を通じて、東京版EMPの運営事業者や新興資産運用業者のミドル・バックオフィス体制整備、普及促進のためのセミナーや情報発信を後押ししています。この補助金は「東京を世界トップレベルの金融都市にする」という国家的な戦略の一部なんです。
重要: EMPとゲートキーパーの役割を理解せずに申請しない
本補助金を申請するには「EMP(Emerging Managers Program)の普及促進に係る事業」であることが必須です。EMPとは「新興資産運用業者(Emerging Manager)への資金拠出を促進するプログラム」であり、申請事業がこの目的に合致しているか、事前相談で必ず確認してください。EMPと関係のない金融事業への汎用的な補助金ではありません。
ここで読者から多そうな質問をいくつか聞いていいですか?
公募要領に記載がありますので、必ず公募要領で確認してください。補助上限額が4,900万円というのは確定情報ですが、補助率(例: 補助対象経費の2/3など)は公募要領で明示されています。事前相談時に確認するのがベストです。
4,900万円は上限額であって、実際の補助額は補助率×補助対象経費で算出されます。たとえば補助率が2/3の場合、7,350万円の補助対象経費があってはじめて4,900万円(上限)の補助を受けられます。実際の補助対象経費の額と補助率から計算してください。
同一経費への重複申請は原則禁止です。ただし異なる経費区分であれば複数の補助金を活用できる場合があります。詳細は公募要領と担当窓口に確認してください。東京都には「独立系資産運用業者の育成に係る補助金」「独立系資産運用業者の創業に係る補助金」などの関連支援もあるので、組み合わせ戦略を相談してみる価値があります。
なるほど。EMP関連で複数の補助金がある可能性があるんですね!
そうです!東京都産業労働局の「資産運用業者の育成」のページには、EMP関連の複数の支援制度が並んでいます。「EMPの普及促進補助金」はその中でも特に規模が大きいものの一つです。
最後に、申請を考えている方へのアドバイスをまとめてもらえますか?
申請を検討している方は、以下の流れで動いてください。
1公募要領を入手して精読する
東京都産業労働局またはJグランツから最新の公募要領を取得。EMPの定義・補助率・対象経費・申請スケジュールを確認。
2自社の適格性を確認する
金融業・保険業であることの証明書類を確認。東京都内で事業実施できる体制があるかを確認。
3担当窓口に事前相談する
スタートアップ・国際金融都市戦略室 戦略推進部 戦略事業推進課(東京都産業労働局)に相談予約。事業計画の方向性を早めにすり合わせる。
4事業計画書を作成する
EMP普及促進への貢献を数値目標で示した事業計画書を作成。見積書・収支予算書も合わせて準備。
5早めに申請する
2026年5月30日まで受付中だが、予算消化次第で早期終了の可能性あり。準備が整い次第速やかに申請。
「事前相談が必須」「交付決定前に事業を開始しない」この2点は絶対に覚えておいてほしいですね!
そのとおりです!4,900万円という高額補助だけに、手続きの瑕疵(かし)で採択を逃すのは非常にもったいない。公募要領の精読と事前相談を徹底して、ぜひ東京の金融産業を盛り上げていきましょう!
東京の金融業・保険業で、新興資産運用業者の育成に関わっている方はぜひ検討してみてください!