室谷さん、農林水産省の「中山間地域所得確保推進事業」というのを知ってますか?なんか名前が難しくて…。
知ってます知ってます!ひと言で言うと、中山間地域の農業者が「売れる農業」に転換するための調査・計画策定を国が丸ごと支援してくれる制度ですよ。最大500万円の定額助成なので、採択されたら確実にその金額が入ってくる。
そうなんです。「補助率2/3」みたいな仕組みじゃなくて、定額で最大500万円。事業費の積み上げで金額が決まるから、資金計画が立てやすいのが大きな特徴ですね。令和7年度補正予算で実施する事業で、予算総額は5,000万円(50百万円)です。
5,000万円の予算で最大500万円/地区ということは、採択は最大10地区くらい?
おおむねそういう計算になりますね。倍率は高いですが、中山間地域で本気で農業経営を立て直そうとしているグループにとっては、ものすごく価値ある支援です。
中山間地域所得確保推進事業 申請フロー図
農林統計上の「中間農業地域」と「山間農業地域」を合わせた地域のことです。具体的には過疎地域、特定農山村、振興山村、離島、半島、沖縄、奄美、小笠原、特別豪雪地帯、指定棚田地域なども含まれます。要は、平地に比べて農業条件が厳しい山間部や遠隔地ですね。
ほんとに大変で。高齢化と人口減少が平地より速く進んでいる一方で、冷涼な気候や豊かな水・風土を活かした高品質農産物の生産ができるポテンシャルもある。「全国的なブランド化ができる」って農水省も評価しているくらいです。
そうなんです。ブランド化できるのに、どこに売ればいいかわからない、どう価格をつければいいかわからない。そのマーケティングの部分を支援するのがこの事業の核心です。TPP等の通商政策大綱と、国民の命と暮らしを守る総合経済対策に基づいて作られた制度なんですよ。
- TPP・日EU-EPA対応: 国際競争が激化する中で、中山間地域農業の競争力強化が急務
- 高齢化・人口減少: 平地より深刻な担い手不足に歯止めをかけるため
- ブランド化への期待: 豊かな風土を活かした高収益農業への転換支援
なるほど、背景がよくわかりました。じゃあ具体的にどんなことを支援してくれるんですか?
対象経費と対象外経費の比較図
大きく分けると「ソフト事業」に特化しているのが特徴です。農業機械を買う・ハウスを建てるといった設備投資(ハード整備)は対象外で、マーケティング調査・分析・計画策定といった知的作業を支援してくれる制度です。
事業内容は①〜⑥のステップで構成されていて、①〜④が選択項目、⑤⑥が必須です。
⑤⑥が必須で、①〜④は選べるんですね。じゃあ①〜④は何もしなくてもいい?
現実には①〜④をしっかりやらないと説得力のある所得確保計画が書けないので、採択されにくくなりますよ(笑)。特にマーケット調査と消費動向調査は審査官がよく見る部分です。
なるほど。で、実際に補助してもらえる経費って何ですか?
| 経費カテゴリ | 主な内容 |
|---|
| 調査・分析費 | マーケット調査費、消費動向調査費、生産・加工・流通・販売の現状分析費 |
| 戦略策定費 | 高収益作物導入の戦略検討費、販売戦略策定費、ブランディング検討費 |
| 計画策定費 | 所得確保計画の策定費、計画見直し費 |
| 実践費 | 所得確保計画の実践費(初年度・見直し年度)、試験栽培費 |
| 専門家謝金 | コンサルタント謝金、アドバイザー旅費、研修講師謝金 |
以下の費用は補助対象外です。別事業の活用を検討してください。
- 農業機械・設備などのハード整備費(別途、産地生産基盤パワーアップ事業等で対応)
- 土地の取得費・賃借料
- 建物の新築・改修費
- 経常的な営農経費(通常の肥料・農薬購入費など)
- 消費税及び地方消費税
- 常勤職員の人件費
農業機械はNGなんですね。そこが分かりやすくなってよかったです。対象経費のことがわかったので、次は誰が申請できるのか教えてもらえますか?
申請できるのは都道府県・市町村・地域協議会・農業者団体・農業者2者以上のグループです。個人農家1人ではダメで、必ず複数者での申請が必要です。
そうなんです。計画区域内の受益者数が農業者2者以上であることが条件です。ただし、近隣の農業者と組めば参加できます。農業者団体・協議会を通じて申請するのが現実的なルートです。
認定農業者でなくてもOKですが、「可能な限り計画区域内の認定農業者を含めること」という努力義務があります。認定農業者が参加していると審査での評価が高くなりますよ。
| 実施要件 | 内容 |
|---|
| 対象地域 | 中山間地域(農林統計上の中間農業地域・山間農業地域等) |
| 実施主体 | 都道府県、市町村、地域協議会、農業者団体、農業者2者以上 |
| 受益者数 | 計画区域内の農業者2者以上(認定農業者を含む努力義務あり) |
| 実施内容 | ⑤所得確保計画策定と⑥実践が必須。①〜④から選択して実施 |
| 計画目標 | 販売額10%以上増加 または 流通・加工コスト10%以上削減 |
農業者2者以上のグループでも申請できるとなると、小規模な取組でも使えそうですね。次は申請の具体的な流れを教えてください!
申請ってどこにすればいいんですか?jGrantsで申請できるんですか?
これが注意点で、jGrantsでの申請受付は行っていません!本事業は農林水産省農村振興局地域振興課中山間対策班に直接問い合わせて手続きを確認する必要があります。
そうなんです。農水省の中山間対策班(ダイヤルイン: 03-3501-8359)に電話して、まず申請方法と最新スケジュールを確認してください。実施要綱・実施要領が令和7年12月16日に改正されているので、最新版を必ずチェックです。
今回のDB情報では2025年12月16日から2026年12月1日が受付期間として記録されています。ただし実際の申請スケジュールは農林水産省に直接確認してください。事業の流れとして、事業評価ページも農水省の公式サイトに公開されています。
農林水産省 農村振興局 地域振興課 中山間対策班
代表: 03-3502-8111(内線5638)
ダイヤルイン: 03-3501-8359
所在地: 〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1
公式ページ: 農林水産省 中山間地域所得確保対策
ダイヤルインの番号があるのはありがたいですね。次は審査で採択されるコツを教えてください。
審査で最も重視されるのは「マーケットインの視点」ですね。「うちの地区はこの作物を作っている」という生産者目線ではなく、「消費者がどんな商品を求めているか」から逆算した事業計画を書けるかどうかです。
難しく考えすぎなくていいんですが、たとえば熊本県の野尻地区(高森町)の事例が参考になります。規格外の生花をドライフラワーに加工して販売したら、取組前の販売額17千円(約1.7万円)から270万円増の約272万円(2,717千円)になった。これはまず消費者調査をして「ドライフラワーの志向(色味や購入希望額)」を把握してから商品開発したんです。
マーケット調査をしてから商品開発するという順序が大事なんですね!
そうです。農水省の公式概要資料にも「ランチェスター戦略」という概念が出てきます。大企業には広域戦では勝てないから、地域限定やニッチ市場での局地戦に持ち込むべき、という考え方ですね。
- 地域の強みを客観的に分析する: 冷涼な気候・豊かな水・特産品など「この地域ならでは」を定量データで裏付ける
- 消費者ニーズから逆算した計画: 生産できる農産物の特性を消費者ニーズと掛け合わせ、STP分析・4P分析でターゲットを明確化
- 認定農業者を中核に据える: 計画区域内の認定農業者をリーダーとして位置づけると審査評価が上がる
- 関連事業との連携を明記: 水田汎用化・畜産クラスター・産地パワーアップ事業等との組み合わせを示すとソフトとハードの一体性が評価される
関連事業との連携という話が出ましたが、もう少し詳しく教えてもらえますか?
この事業、単体で使うものなんですか?それとも他の補助金と組み合わせて使えるの?
本事業はソフト面(調査・計画策定)の支援なので、ハード面(設備・施設)の支援を行う関連事業と一体的に活用することを農水省自体が想定しています。ざっくり言うと「本事業で戦略を立てて、別の補助金で設備を導入する」という流れですね。
なるほど!具体的にどの補助金と組み合わせるんですか?
農水省の中山間地域支援策を中心に、こんな組み合わせが有力です。
| 組み合わせ事業 | 役割 |
|---|
| 産地生産基盤パワーアップ事業 | ハード整備(農業機械・施設等) |
| 畜産クラスター事業 | 畜産分野のハード整備 |
| 水田の汎用化・畑地化事業 | 水田から高収益作物への転換支援 |
| 鳥獣被害防止総合対策 | 野生動物被害防止施設整備 |
| 多面的機能支払交付金 | 農業・農村の多面的機能維持のための交付金 |
本事業の所得確保計画の内容が上記の関連事業の申請書と整合していると、両方採択されやすくなります。「ソフトとハードを合わせた総合的な地域振興計画」として提示するのがコツです。
国土交通省の地方創生関連事業や、総務省の過疎対策交付金との組み合わせも価値があります。中山間地域は過疎地域指定されているケースが多いので、総務省ルートの支援も並行して確認するといいですよ。
このサイトに掲載されている農業・食品関連の補助金と比べてみると、どんな位置づけになりますか?
本事業は「中山間地域×ソフト支援」に特化した制度なので、他の農業・食品系補助金とは目的が異なります。以下の表で比較してみてください。
| 補助金名 | 主な対象 | 補助の性格 | リンク |
|---|
| 農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業 | 農産物・食品の海外輸出支援 | 輸出販路開拓・マーケティング | 詳細 |
| 食品産業プラスチック資源循環対策事業 | 食品加工・流通業者 | 環境対応・脱プラ設備導入 | 詳細 |
| 食品ロス削減等緊急対策事業 | 食品加工・流通・販売事業者 | フードロス削減の設備・仕組み構築 | 詳細 |
| 農業生産プラスチック代替資材実用化推進事業 | 農業資材の脱プラを目指す農業者 | 代替資材の試験・実用化 | 詳細 |
海外輸出を狙っている中山間地域の農業者であれば、本事業で市場調査・所得確保計画を策定しつつ、
農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業で輸出実務を支援してもらうという二段構えが特に効果的です。
すごく視野が広がりました!次によくある質問を聞かせてください。
「個人農家1人では申請できないんですか?」という疑問を持つ方が多そうですが。
よく聞かれますね。個人農家の単独申請はできません。農業者2者以上のグループが最小単位です。近隣の農業者と2者以上でグループを組むか、地域の農業者団体・協議会を通じて申請するルートを選んでください。
「中山間地域かどうかわからない」という方もいますよね?
自地域が対象かどうかは、農林水産省の地域区分や、市町村の農業振興地域整備計画を確認してください。一般的に「農林統計上の中間農業地域・山間農業地域」が対象で、傾斜地が多い・交通条件が不利といった特徴があります。分からなければ農水省の中山間対策班(03-3501-8359)に直接聞くのが一番確実です。
マーケット調査や現状分析の結果を踏まえて、高収益作物の導入計画・販路拡大戦略・6次産業化の検討等を盛り込みます。数値目標として「販売額10%以上増加」または「流通・加工コスト10%以上削減」のいずれかを設定することが必須です。計画の策定だけでなく、初年度の実践まで含めるのがポイントです。
はい!海外市場に関するマーケット調査も選択項目として対象になっています。中山間地域の農産物は品質の高さで海外でも評価されるケースがあり、輸出に向けた市場調査・戦略検討も支援の範囲に含まれます。
令和4年度〜6年度補正で策定した所得確保計画で「成果目標の達成が困難」と認められる場合に限り、計画の見直しと実践を令和7年度補正事業で支援できます。過去に計画を立てたが達成できていない地区は、この機会に見直し申請を検討してください。
最後に基本情報をまとめてもらえますか?申請の際に確認すべき事項を一覧で見たいです。
もちろんです!この制度の重要ポイントを表にまとめましたよ。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【農林水産省】中山間地域所得確保推進事業 |
| 実施機関 | 農林水産省 農村振興局 地域振興課 |
| 対象地域 | 全国の中山間地域(過疎、特定農山村、振興山村、離島、半島等) |
| 補助上限 | 500万円/地区(定額助成) |
| 補助率 | 定額(補助率方式ではない) |
| 令和7年度予算額 | 5,000万円(50百万円) |
| 受付期間 | 2025年12月16日〜2026年12月1日(要問い合わせ) |
| 申請方法 | jGrantsではなく農水省農村振興局に直接問い合わせ |
| 問い合わせ先 | 03-3501-8359(農林水産省 農村振興局 地域振興課 中山間対策班) |
| 公式URL | 農水省 中山間地域所得確保対策 |
| 関連通知 | 令和7年12月16日一部改正の実施要綱・実施要領が最新版 |
本事業はjGrantsでの申請受付を行っていません。農林水産省農村振興局地域振興課中山間対策班(03-3501-8359)に直接問い合わせ、最新の申請スケジュールと手続きを確認してください。実施要綱・実施要領は令和7年12月16日に一部改正されています。
まとめてみると、「マーケティング調査と計画策定を支援する農水省の500万円補助金」ということですね。農業機械は別の補助金で、この事業はソフト面の知恵を出す部分を支援してくれる。
完璧なまとめです!中山間地域の農業者にとって、「売れる農業」への転換を考えるきっかけとしてこの制度を使ってほしいですね。まずは農水省に電話して、自地域が対象になるか・今の公募状況はどうかを確認してみてください。
ありがとうございました!農業・林業分野で補助金を探している方は、地域の農業委員会や都道府県の農政部門に相談するのも早道ですね。
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長野県の補助金一覧など、地域別の補助金情報もチェックしてみてください。