室谷さん、今日は「肝がん・重度肝硬変医療費助成制度」について聞かせてください。名前からして、かなり深刻な病気の方が対象になりますよね?
そうですね! B型・C型肝炎ウイルスが原因で肝がんや重度肝硬変になった方の医療費を助成する制度です。東京都が実施していて、月に数十万円にもなりがちな入院費・治療費を、最大で月1万円まで圧縮してくれるんですよ。
月1万円!?それはすごいですね! どんな仕組みなんですか?
高額療養費制度をご存じですか?健康保険には元々、医療費の上限を設ける仕組みがあります。でもこの制度は、さらにその上から東京都が助成することで、自己負担額を月1万円(住民税非課税世帯は0円)まで下げてくれるんです。入院治療2か月目以降が対象になります。
つまり、高額療養費を使ってもまだ払わなきゃいけない分を、さらに都が助けてくれるってことですね!
まさに! 肝がんや重度肝硬変の治療費って、長期化するほど家計に響きますよね。そこをカバーするのがこの制度です。
対象者判定フローチャート
5つの条件を全部満たす必要があります。ひとつずつ確認していきましょう。まず東京都内に住所があること。住民票が東京にある方が対象です。
そうです。次にB型またはC型肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変であること。アルコール性の肝硬変や、肝炎ウイルスと関係のない肝がんは対象外です。これは大事なポイントですよ!
あ、原因がB型またはC型肝炎ウイルスじゃないとダメなんですね。
そうなんです。3つ目が年収が概ね370万円未満であることです。健康保険の限度額適用認定証の区分で判定します。69歳以下なら「エ」か「オ」の区分の方、70歳以上なら現役並み所得でない方が対象です。ただし、生活保護受給者は基本的には対象外ですが、社会保険に加入している生活保護受給者の方は対象になります。
細かいですね! 所得の判定方法が区分で決まるんですか。
はい。4つ目が申請月の前23か月以内に、高額療養費算定基準額を超えた月が1か月以上あることです。ざっくり言うと、過去約2年間で医療費が高額療養費の上限を超えた月が1回でもあれば条件をクリアします。
2年間のうち1回以上高額療養費の上限を超えていれば申請できるんですね!
そうです。令和6年度(2024年度)から、この要件が緩和されて申請しやすくなりました。以前は過去12か月以内に4か月以上必要だったんです! 5つ目は肝がん・重度肝硬変の治療研究への協力に同意すること。臨床データを国の研究班に提供することが条件になっています。
研究への協力が条件なんですね。同意しないと助成を受けられないと。
そうなんです。同意を撤回すると助成も終了します。でも、研究データが新しい治療法の開発につながりますから、社会全体への貢献でもあります。では申請できるかどうかを確認してみましょう!
- 住所: 東京都内に住民票がある
- 病名: B型またはC型肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変と診断されている
- 所得: 年収が概ね370万円未満(限度額適用認定証の区分「エ」または「オ」等)
- 実績: 申請月の前23か月以内に高額療養費算定基準額超えの月が1か月以上ある
- 同意: 肝がん・重度肝硬変の治療研究への協力に同意している
全部当てはまった方は申請できるということですね。外来治療の方はどうなりますか?
外来は肝がんの方のみが対象で、治療法が限定されています。「分子標的薬を用いた化学療法」「肝動注化学療法」「粒子線治療」の3つだけです。重度肝硬変の外来治療は残念ながら対象外なんです。
覚えておかないといけないですね。外来の場合の助成のされ方は入院と違うんですか?
違います! 外来の場合は、窓口でいったん自己負担額を全額支払ってから、後で東京都に「償還払い」という形で請求して差額を取り戻す仕組みです。入院の場合は医療券を窓口に提示するだけで1万円(または0円)になります。
助成前後の自己負担額比較
実際に月いくら助成されるのか、表で見せてもらえますか?
| 世帯の状況 | 助成後の自己負担額 |
|---|
| 住民税課税世帯 | 月1万円 |
| 住民税非課税世帯 | 0円(無料) |
ちなみに、助成が始まるのは「2か月目以降」です。1か月目は通常の高額療養費制度が適用された金額を支払います。2か月目から月1万円または0円になる、という仕組みです。
1か月目はいつも通りの高額療養費制度が適用されるんですね。
そうです。助成の対象になるのは過去24か月以内に高額療養費の基準を超えた月が2か月以上あって、2か月目以降の入院または外来が指定医療機関でのものである場合です。指定医療機関というのは、都道府県が指定した病院のことです。
指定医療機関じゃないと助成を受けられないんですか?
1か月目のカウントは指定外でもOKですが、2か月目(助成を受ける月)は指定医療機関での治療であることが必要です。担当の先生に指定医療機関かどうか確認してみてください。
なるほど! 気になる金額のところがわかりました。では申請の方法を教えてください。
指定医療機関を受診し、制度の説明を受けて「医療記録票」を受け取る
指定医療機関の医師に「臨床調査個人票および同意書」を作成してもらう(診断書に相当)
住民票の写し(申請日前3か月以内)、保険資格確認書類などを準備する
お住まいの区市町村の担当窓口に申請書類一式を提出する
審査後(約3か月)、東京都から「マル都医療券」が交付される
医療機関の窓口でマル都医療券を提示して助成を受ける
そうなんです、審査に時間がかかります。でも安心してください。医療券が届くまでに支払った医療費は、後から東京都に「償還払い請求」することで払い戻してもらえます。申請書類は「医療費支給申請書兼口座振替依頼書」を、東京都 福祉局 生活福祉部 医療助成課 医療給付担当(〒163-8001 新宿区西新宿二丁目8番1号)に郵送します。電話での問い合わせは 03-5320-4454 です。
そうです。なので、申請は迷わず早めにしたほうがいいです。必要書類の一覧も確認しましょう。
- 全員必要なもの: 医療券交付申請書(区市町村窓口またはダウンロード)
- 全員必要なもの: 臨床調査個人票および同意書(指定医療機関の医師が作成)
- 全員必要なもの: 医療記録票の写し
- 全員必要なもの: 保険資格が確認できる書類・限度額適用認定証の写し等
- 条件により必要: 住民票の写し(マイナンバー連携で省略可能)
- 条件により必要: 区市町村民税課税(非課税)証明書(非課税世帯の場合)
- 条件により必要: 肝炎治療自己負担限度額管理票の写し(B型肝炎の核酸アナログ製剤治療の医療券を持っている場合)
マイナンバーカードがあれば住民票が省略できるんですね! 申請先はどこですか?
お住まいの区市町村の担当窓口です。区部と多摩・島しょ地区で窓口が異なります。東京都保健医療局のウェブサイトに窓口一覧が掲載されているので、確認してから行ってください。電話相談は東京都保健政策部 疾病対策課(03-5320-4476)が担当しています。
- 制度全般の問い合わせ: 東京都保健医療局 保健政策部 疾病対策課 疾病対策推進担当 電話 03-5320-4476
- 償還払い(払い戻し)の問い合わせ: 東京都 福祉局 生活福祉部 医療助成課 医療給付担当 電話 03-5320-4454
- 申請窓口: お住まいの区市町村の担当窓口
いいえ、有効期間は原則1年間です。期間満了後も引き続き制度を利用したい場合は、区市町村窓口で更新手続きが必要です。更新を忘れると助成が途切れてしまうので注意してください!
毎年更新が必要なんですね。忘れないようにしないと。
そうです。また、研究事業協力への同意を撤回したい場合も、区市町村窓口で手続きします。ただし同意を撤回すると、医療費助成も受けられなくなりますので慎重に考えてください。
さっき「要件が緩和された」とおっしゃっていましたが、具体的にどう変わったんですか?
令和6年(2024年)7月31日の改正で、申請要件が大幅に緩和されました。
| 変更項目 | 改正前 | 改正後(令和6年度〜) |
|---|
| 高額療養費基準超えの月数要件 | 過去12か月以内に4か月以上 | 過去23か月以内に1か月以上 |
| 指定医療機関以外のカウント | 指定医療機関のみ | 指定外も一部カウント可 |
| 申請書類 | 従来書類 | 様式更新(令和8年3月改訂版) |
すごい変化ですね! 4か月が1か月になったんですか!
そうなんですよ! 以前は12か月で4か月以上という条件が厳しかったので、申請できなかった方でも、今は対象になる可能性がぐっと広がりました。この改正で申請を諦めていた方が改めて確認してみる価値があります!
それはぜひ確認してほしいですね。制度の概要をまとめてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 肝がん・重度肝硬変医療費助成制度(肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業) |
| 対象者 | 東京都在住、B型C型肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変、年収370万円未満の方 |
| 助成額 | 月1万円(住民税非課税世帯は0円)まで自己負担額を軽減 |
| 対象医療 | 入院全般、外来は分子標的薬化学療法・肝動注化学療法・粒子線治療のみ |
| 申請期間 | 随時受付 |
| 申請先 | お住まいの区市町村の担当窓口 |
| 有効期間 | 原則1年間(更新制) |
| 問い合わせ | 東京都保健政策部 疾病対策課 03-5320-4476 |
| 公式サイト | 東京都保健医療局 公式ページ |
- 都や区市町村が電話でATM操作を求めることは絶対にありません
- 申請の際に手数料や保証金を求められることは一切ありません
- 知らない番号からの「給付金が受け取れる」という電話は詐欺の可能性があります
- 不審な連絡があった場合は、すぐに警察(110番)または消費者ホットライン(188)に相談してください
最後に、よくある疑問についても聞かせてください。自己負担額の計算がよくわからないという方も多そうで。
そうですね。「高額療養費算定基準額を超えた月」というのが難しいポイントです。ひと月(月の初日から月末)に窓口で支払った医療費が、高額療養費制度の自己負担限度額(年齢や所得で異なる)を超えた月のことです。69歳以下で適用区分「エ」の場合は月5万7,600円が限度額になります。この金額を超えた月が過去23か月以内に1か月以上あれば条件クリアです!
制度上の扱いはほぼ同じです。ただし、B型ウイルス肝炎の核酸アナログ製剤治療の医療券をすでに持っている方は、申請時に「肝炎治療自己負担限度額管理票の写し」が追加で必要になります。こちらもお忘れなく。
転居したらどうなりますか?東京都外に引っ越した場合は?
東京都外に転出すると、東京都の制度は使えなくなります。転居先の都道府県に同様の制度がある場合は、新たに申請し直すことになります。逆に東京都外から東京に転入した場合は、新たに申請が必要です。「転入」の申請書もありますので、区市町村窓口に相談してください。
なるほど! 仕事の都合で転居が多い方は注意が必要ですね。
複数の制度を使い分けることもできるんですね! まずは自分がどの制度に当てはまるか確認するところから始めるのが大事ですね。
そうです! B型C型肝炎が原因の肝がん・重度肝硬変の方は、ぜひこの肝がん・重度肝硬変医療費助成制度を活用してください。申請は随時受け付けていますし、医療費の負担がぐっと軽くなります。まずは指定医療機関の担当者か、お住まいの区市町村窓口に相談するところから始めてみてください!
ありがとうございました! 高額な医療費で悩んでいる方にぜひ知ってほしい制度ですね。東京都内の方で、B型C型肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変の治療中の方は、すぐに区市町村窓口に相談してみてください。