愛媛の中小企業が海外補助金を活用するステップ
室谷さん、うちの取材先で愛媛の製造業の社長から「海外に売り込みたいんだけど、使える補助金はあるの?」って聞かれたんですよ。何から始めたらいいですか?
あー、それ今めちゃくちゃいい質問です!愛媛は今治のタオルとか造船、みかんや水産物など海外に勝負できるものがたくさんあるのに、補助金の情報が届いていない会社がすごく多くて。もったいないんですよ(笑)。
ですよね!愛媛ってものが充実してるのに、海外展開の情報発信が少ない印象があります。
まず整理すると、海外展開・販路拡大の補助金って大きく3種類あるんです。「販路開拓・マーケティング系」「知的財産・外国出願系」「設備投資・事業再構築系」。愛媛の中小企業が使いやすいのは、この3つのカテゴリを組み合わせることです。
販路開拓系は、新しいターゲット国でテスト販売したい、展示会に出たい会社向けですね。知財系は、技術やブランドを海外で守りたい会社。設備投資系は、海外向けの新ライン導入とか業態転換に使えます。愛媛の場合、今治タオルや水産加工品なら知財系が特に重要で、造船・機械製造業なら設備投資系が刺さりやすい。
なるほど、業種や目的によって使う補助金が違うんですね。
愛媛の中小企業向け 主要な海外展開補助金 比較
まず一番メジャーなのがJAPANブランド育成支援等事業です。中小企業庁の制度で、海外展開やそれを見据えた国内展開のための新商品・サービスの開発、ブランディング、販路開拓を支援します。上限は2,000万円で補助率は3分の2。愛媛の今治タオルや愛媛みかんのブランドを海外に持ち出したい会社には直接使える制度ですよ。
上限2,000万円で3分の2補助ってかなり手厚いですね!どんな費用が対象になるんですか?
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は海外向けの設備投資にも使えます。上限は最大4,000万円で、補助率は原則2分の1、小規模事業者や賃上げ要件クリアで3分の2になります。愛媛の造船関連企業や製造業がデジタル化・自動化を進めながら海外展開するケースで活用されています。
ものづくり補助金って設備投資のイメージがあったけど、海外展開にも使えるんですね。
そうなんです!ものづくり補助金の場合、「海外市場向け新製品の開発や設備導入」を事業計画に明示すれば対象になります。
ものづくり補助金の詳細を見ると、対象経費の範囲がよく分かります。愛媛の場合、四国経済産業局の相談窓口でも詳しく教えてもらえますよ。
あと外せないのが事業再構築補助金です。補助上限が最大5億円というビッグな制度で、「新市場進出」の枠があって海外展開に取り組む事業者が使えます。補助率は中小企業で2分の1〜3分の2。新しいジャンルへの進出や業態転換が前提なので、「今まで国内販売だけだったが、海外向けに製品ラインナップを変える」という会社に向いています。
5億円!さすがに採択難しそうですが、使えたら大きいですね。
採択率はざっくり40〜50%くらいと言われていますが、事業計画の質が全てです。コンサルに依頼して費用が数十万かかることも多いんですが、それを超えるリターンが見込めるので検討する価値はあります。
事業再構築補助金の詳細で最新の公募情報を確認してください。
もう少し規模が小さい会社向けの制度ってありますか?
小規模事業者なら小規模事業者持続化補助金がおすすめですよ。上限50万円(一部要件で200万円)で補助率3分の2。チラシや展示会出展の費用に使えて、海外の商談会参加費などにも対応しています。申請もシンプルなので、海外展開の最初の一歩に使う会社が多いですね。
国の制度以外で、愛媛県ならではの補助金はあるんですか?
これが大事なんです!愛媛県には独自の海外展開支援制度があって、特に知的財産の外国出願に特化した補助金があります。愛媛県の中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)は、愛媛県内の中小企業が外国での特許・商標等を出願する費用の2分の1(1企業最大300万円)を補助します。
愛媛の地場産品のブランドを海外で守るための特許・商標出願に使える、ってことですよね。
そうです!今治タオルのロゴや、愛媛みかんの品種特許を海外でも守りたい場合にぴったりです。窓口は公益財団法人えひめ産業振興財団(サンサポえひめ)です。
愛媛県海外出願支援の詳細を確認してください。JETROの同様の制度(国の制度)と合わせて使えるケースもあるので、まず財団に相談するのがベストです。
えひめ産業振興財団か、覚えておかなきゃ(笑)。今治市にも独自の補助金があるって聞いたことがあるんですが。
ありますよ!今治市には今治市技術開発・販路開拓事業費補助金【イノベーション推進枠】があります。市内の企業がデジタル技術を活用した新サービスや新製品を開発して販路開拓する費用の2分の1(上限500万円)を補助します。今治はタオル製造業や造船業のデジタル化・海外展開が活発なので、この補助金を使って新事業を立ち上げて海外に打って出た会社もあります。
500万円で補助率2分の1か。地方自治体の補助金としてはかなり手厚いですね。
酒造業者には
酒類業振興支援事業費補助金が使えます。国税庁の制度で「海外展開支援枠」と「新市場開拓支援枠」の2つがあります。海外展開支援枠では上限1,500万円(グループ申請)で補助率は2分の1です。愛媛にはリキュールや酒蔵もあるので、海外のクラフト酒ブームを取り込みたい事業者に合う制度です。
酒類業振興支援補助金の詳細を確認してください。
いろいろ出てきましたね。どれを選べばいいか、整理できますか?
はい、整理しましょう。目的別に見ると、こんな感じです。
| 目的 | おすすめ補助金 | 上限 | 補助率 |
|---|
| 海外向けブランディング・マーケティング | JAPANブランド育成支援 | 2,000万円 | 2/3 |
| 海外向け設備投資・製品開発 | ものづくり補助金 | 4,000万円 | 1/2〜2/3 |
| 大規模な事業転換・海外新市場進出 | 事業再構築補助金 | 5億円 | 1/2〜2/3 |
| 小規模な海外マーケティング | 小規模事業者持続化補助金 | 200万円 | 2/3 |
| 海外での特許・商標出願(愛媛限定) | 愛媛県外国出願支援 | 300万円 | 1/2 |
| 今治市内のDX×販路拡大 | 今治市イノベーション推進枠 | 500万円 | 1/2 |
| 酒類の海外展開 | 酒類業振興支援 | 1,500万円 | 1/2 |
分かりやすい!でも、複数を同時に使うことはできるんですか?
できる場合もあれば、できない場合もあります。一般的に同じ事業・費用に2つの補助金を使う「二重受給」はNGですが、目的や費用が明確に分かれていれば組み合わせ可能なケースもあります。たとえば「ものづくり補助金で海外向け設備を導入 → 別途JAPANブランドでブランディング費用を申請」は別事業として認められることがあります。ただし必ず事前に相談してください!
JETROの愛媛デスク(ジェトロ愛媛)やえひめ産業振興財団に相談するのがまず一番です。無料でアドバイスがもらえますし、どの補助金が自社の状況に合うかを絞り込んでもらえます。
知的財産関連でJETRO経由の補助金も教えてもらいましたが、他に外国出願支援はありますか?
JETROが実施する中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金は、外国での特許・意匠・商標の出願費用の2分の1(上限300万円)を補助します。愛媛の個別の企業向けには前述の県の制度と、このJETRO経由の国の制度の2本立てで活用できます。また、海外で知財が侵害された場合の対策費用(異議申立、無効審判など)を支援する「侵害対策支援」コースも別途あります(上限500万円・補助率3分の2)。
出願支援と侵害対策の両方があるのか。今治タオルのような地域ブランドって、海外で偽物が出回りやすいですよね。
まさに!今治タオルはすでに海外でも知名度があるので、偽物対策が重要です。JETROの海外ビジネス相談窓口でも知財保護の相談ができます。愛媛では松山にJETROの拠点があるので、ぜひ活用を。
JETRO外国出願支援の詳細も参考にしてください。
- GビズIDプライムアカウントの事前取得が多くの補助金で必須(取得に2〜4週間かかる)
- 「採択後に費用を支払う」後払いが原則(先払いした費用は対象外になることが多い)
- 事業計画書の品質が採択の鍵(申請書だけ充実させても、計画の論理性がないとNG)
- 補助金ごとに対象経費の解釈が異なる(不明点は必ず事前に問い合わせる)
経済産業省が提供する法人向けの認証サービスです。jGrantsという補助金申請システムにログインするのに使います。郵送での書類確認があって2〜4週間かかるので、海外展開を考え始めたらすぐに申請することをお勧めします!無料です。
あと、補助金は後払いが基本というのが超重要です。採択されても、まず自社の資金で事業を進めて、完了後に精算申請して補助金が振り込まれます。ざっくり6ヶ月〜1年後に入金されるイメージです。運転資金の余裕がないと手が出しにくいので、融資と組み合わせる会社も多いですよ。
「もらえる前提で動く」と資金繰りがきつくなることがあるんですね。
そうです。特に若い会社や資金が薄い会社はそこで失敗するケースがあります。日本政策金融公庫の「海外展開・事業再編資金(クロスボーダーローン)」のような融資と組み合わせることで、資金ショートを防ぎながら動けます。融資→補助金採択→事業実行→補助金入金、という順番で計画することが大切です。
えひめ産業振興財団またはJETRO愛媛に相談(無料、1〜2時間程度)
GビズIDプライムアカウントを申請(2〜4週間かかるので早めに)
融資の事前確認(日本政策金融公庫の窓口で相談可能)
採択後に事業を開始(採択前に動くと対象外になることがある)
- 今治タオルや今治造船のサプライヤー企業はものづくり補助金で設備投資と海外展開を同時に
- 愛媛みかんや水産物などの農林水産品は農林水産省の輸出支援事業も活用できる
- えひめ産業振興財団(サンサポえひめ)は外国出願支援の地域窓口として機能している
- 四国経済産業局主催の補助金説明会に参加すると、最新情報を一度に得られる
愛媛の中小企業が海外に出ようとしたとき、使える制度がこんなにたくさんあるとは知らなかったです!
そうなんですよ。国の制度だけで常時10〜20件は動いていて、愛媛県や今治市独自の制度もある。まず「自社がどの段階か」を整理して、ブランディングなのか設備投資なのか知財保護なのかで使う補助金を絞るのが最初の一歩です。
えひめ産業振興財団(サンサポえひめ)が補助金全般から知財まで総合的に対応しています。まずここに連絡してみてください。JETROも輸出・海外展開に特化した相談ができて、現地の市場情報も提供してくれます。どちらも無料なので、まずは動いてみることが大事ですよ!
ありがとうございました!愛媛の会社の海外展開、応援しています。
愛媛の補助金・助成金の最新情報は
愛媛県の販路拡大・海外展開ページでもまとめて確認できます。制度は毎年変わるので、申請前には最新の公募要領を必ず確認してください。