佐賀県の海外展開補助金比較
室谷さん、最近「佐賀県の中小企業が海外に出たい」っていう相談って増えてますか?
増えてますね!特に有田焼・伊万里焼の窯元さんや、佐賀牛・七山ハーブ鶏を扱う食品系、あとIT系のスタートアップも増えてます。佐賀って九州の中でも独特の強みがあるんですよ。
焼き物は当然として、海苔の生産量が全国トップクラスだし、日本酒も獺祭はよく知られてますが佐賀には鍋島・天山・東一とか実力蔵がそろってるんです。あと半導体関連の企業も地味に集積してて。そういう産業が海外展開の補助金を活用するケースがすごく増えてます。
補助金って、国のものと県独自のものと両方あるんですよね?
そうそう。ざっくり言うと3つに分けて考えると整理しやすいですよ。国の補助金、九州経済産業局など広域支援、佐賀県・市区町村独自の制度。この3層構造を理解した上で申請するのがポイントです。
- 国の制度: INPIT外国出願補助金、ものづくり補助金、酒類業振興支援補助金など
- 九州ブロック: 九州経済産業局の中小企業知財支援事業、九州貿易振興協議会
- 佐賀県独自: 佐賀県産業振興機構の海外出願支援事業、佐賀酒国際コンペティション出品支援
その3層をうまく組み合わせるのが大事なんですね。まず、一番使いやすい制度から教えてもらえますか?
海外展開の入り口として一番使われてるのは外国への知財出願を支援する補助金ですね。製品を海外で売る前に、まず特許・商標を現地で押さえないといけない。その費用が意外と高くて、弁理士費用と翻訳費で1件100万〜200万円くらいかかるんです。
だから最初にここで躊躇する企業がすごく多い。でも補助金使えば実質半額になるんで、そこが最初のハードルを越えるきっかけになってます。
佐賀県で一番代表的なのは「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」ですね。公益財団法人佐賀県産業振興機構が窓口になってます。令和7年度は1次・2次と2回公募があって、毎年かなり安定して実施されてます。
佐賀県内に本社がある中小企業が、海外で特許・実用新案・意匠・商標を出願するときの費用の半額を出してくれます。1社あたり上限300万円、特許1案件あたり150万円まで。意匠・商標は各60万円、冒認対策商標は30万円という設定です。
佐賀県の海外出願支援補助金の詳細はこちらで確認できます。
これ、知らない人が多いんですが重要ポイントで!中国をはじめ一部の国では、他社のブランド名をその企業より先に商標登録してしまう「冒認出願」が問題になってるんです。「先に登録した者勝ち」の国では、あなたのブランド名が他の企業に乗っ取られてしまうことがある。
怖いですよね(笑)。だからアジア進出を考えてる企業は絶対に先に商標登録しとかないとダメで、その費用を補助してくれるのが冒認対策商標の枠です。上限30万円ですけど、とりあえずやっとく価値は絶対ある。
で、この佐賀県の制度を使うには何が必要なんですか?
条件は3つ。まず佐賀県内に本社があること、中小企業であること(みなし大企業はダメ)、そして日本国内でもう出願済みの知財があること。「日本でまず出願して、それから海外へ」という順番が必要なんですよ。
令和7年度の1次は2025年5月7日〜6月13日、2次は2025年7月22日〜8月27日でした。令和8年度も同じようなスケジュールで公募があるはずなので、2026年4〜5月ごろに佐賀県産業振興機構のサイトをチェックしておくのが吉ですね。
面白いのが「佐賀酒国際コンペティション出品支援事業費補助金」ですね。佐賀県が独自に実施している制度で、日本酒の国際コンペに出品する佐賀県内の酒蔵を応援する補助金です。
そうなんです。佐賀は日本酒の銘産地で、鍋島なんかはアジア圏でかなり人気が出てる。コンペに出品することでブランド価値が上がって輸出につながるというわけです。2025年12月に令和7年度分の募集がありました。
他に九州ブロック全体を対象とした「九州貿易振興協議会」の事業もあって、佐賀県は毎年参加者を募集してます。これは展示会出展や海外バイヤーとのマッチングなど、実際に商談につながる支援ですね。2025年6月に令和7年度の参加者募集がありました。
| 制度名 | 主体 | 対象 | 上限 | 補助率 |
|---|
| 海外展開支援事業費補助金(海外出願支援) | 佐賀県産業振興機構 | 佐賀県内中小企業 | 300万円 | 1/2 |
| 佐賀酒国際コンペティション出品支援 | 佐賀県 | 佐賀県内酒造業者 | 要問合せ | - |
| 九州貿易振興協議会事業 | 九州経済産業局 | 九州内中小企業 | 補助なし(参加費) | - |
| 中小企業知財支援地域連携促進事業 | 九州経済産業局 | 産業支援機関 | 1,000万円 | 1/2〜定額 |
海外展開補助金 申請の流れ
国の補助金、種類が多くて正直どれを使えばいいか分からないんですが…
分かります(笑)。目的別に5つに分かれてると思って下さい。知財取得、輸出促進、インフラ・大型海外展開、設備投資の海外展開対応、そして貿易デジタル化。佐賀の中小企業で一番使いやすいのは知財取得と輸出促進の2分野ですね。
INPIT外国出願補助金が最も汎用性が高いです。独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が実施していて、中小企業が外国で特許・実用新案・意匠・商標を出願・権利化する費用の半額(上限300万円)を補助します。令和8年度は第1回(2025年12月公募)と第2回(2026年3月公募)がありました。
INPIT外国出願補助金の詳細はこちら。
佐賀県の制度とINPITのは両方申請できるんですか?
これ重要なポイントで、原則として同一案件で両方は使えないんです。ただし別案件なら両方申請可能。例えば、A製品の特許はINPITで、B製品の商標は佐賀県で、という使い分けができます。どちらが有利かは窓口に相談するのがベスト。
食品・酒類を扱う企業なら「
酒類業振興支援事業費補助金」は外せないですね。国税庁が実施していて、日本酒・焼酎・ビール・ワインなど日本産酒類の輸出拡大を支援します。海外展開支援枠は最大1,000万円(グループ申請で1,500万円)、補助率1/2。佐賀の酒蔵さんには特にオススメです。
酒類業振興支援補助金の詳細はこちら。
農林水産省の「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業」があります。認定品目団体などを通じた輸出力強化を支援する大型事業ですね。予算規模が大きい分、申請ハードルも高いですが、海苔や野菜・果物を輸出したい方には重要な制度です。
製造業・サービス業なら「
ものづくり補助金」の海外展開系の枠が使えます。正式名は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。海外市場を見据えた革新的な設備投資や試作品開発に最大4,000万円(補助率1/2〜2/3)が出ます。21次締切まで継続実施中です。
ものづくり補助金の詳細はこちら。
ものづくり補助金ってよく聞きますが、海外展開にも使えるんですね!
そうなんです。「海外展開のための製造ライン整備」「輸出向け製品の試作開発」みたいな事業計画で申請すると通りやすいですよ。佐賀の窯業・食品・機械メーカーで実際に使ってる会社さんが結構あります。
貿易の手続きをデジタル化したい企業向けはありますか?
ありますよ!「
貿易プラットフォーム活用による貿易手続デジタル化推進事業費補助金」ですね。貿易手続のシステムを整備・連携する費用を支援してくれます。中小企業なら補助率2/3、上限2,000万円です。
貿易デジタル化補助金の詳細はこちら。
輸出量が増えてきた会社が書類仕事を効率化したいときに使えそうですね。
まさしく。通関書類とかインボイスの作成を自動化したいとか、海外取引先とのシステム連携をしたいときに使う制度です。
| 補助金名 | 主体 | 上限 | 補助率 | 主な対象 |
|---|
| INPIT外国出願補助金 | INPIT | 300万円 | 1/2 | 全中小企業 |
| 酒類業振興支援事業費補助金(海外展開枠) | 国税庁 | 1,500万円 | 1/2 | 酒類製造・卸売・小売 |
| 農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業 | 農林水産省 | 大型 | 要確認 | 農林水産事業者 |
| ものづくり補助金 | 経済産業省 | 4,000万円 | 1/2〜2/3 | 製造業・サービス業全般 |
| 貿易デジタル化推進事業費補助金 | 経済産業省 | 2,000万円 | 2/3 | 輸出入企業 |
| インド太平洋サプライチェーン参画支援 | 経済産業省 | 1億円 | 1/2 | 製造業・物流系 |
こんなにたくさんあるとどれを使えばいいか迷いますよね。実際の選び方を教えてもらえますか?
一番シンプルな判断基準は「まず何をするか」ですね。海外展開の最初のステップで必要な制度が違うんです。
例えば、製品開発や試作がまだな段階なら「ものづくり補助金」でまず製品を磨く。製品はあるけど海外で知財保護できてないなら「INPIT外国出願補助金」や「佐賀県の海外出願支援」で権利化する。権利化が終わって実際に輸出・販路開拓したいなら「酒類業振興」や農水省系の輸出支援を使う、というステージ別の使い方が有効です。
そうです。一番よくある失敗パターンが「まだ製品もないのに輸出支援の補助金に申請する」こと。採択担当者も事業計画の実現可能性を見てるので、現在のステージに合った制度を選ぶのが大事です。
- ステージ1(製品開発・改良): ものづくり補助金で製品を磨く
- ステージ2(知財保護): INPIT外国出願補助金・佐賀県海外出願支援で権利化
- ステージ3(輸出・販路開拓): 酒類業振興補助金・農水省輸出支援・JETRO活用
- ステージ4(オペレーション最適化): 貿易デジタル化推進補助金でシステム整備
補助金によって「他の補助金との重複禁止」のルールが違うので、個別に確認が必要です。ただ、対象が別の経費・別の事業であれば複数申請できるケースが多い。例えば、ものづくり補助金で設備費を補助してもらいながら、INPITで別製品の特許費用を補助してもらう、みたいな組み合わせは問題ない場合が多いですよ。
そうですね。公募期間は短いものだと3〜4週間しかないんです(笑)。だからGビズIDの取得だけは絶対に先にやっておいてほしい。申請時にGビズIDがないと電子申請できないんですが、取得に2〜3週間かかることがある。「補助金申請しよう!」と思ってから動いたら既に受付期間が終わってた、という最悪のパターンを防ぐには事前準備が命です。
- GビズID取得: 行政のオンライン申請に必要な事業者用ID
- 取得に2〜3週間かかることがある
- 補助金の公募期間が始まってから動いても間に合わないケースあり
- GビズID申請サイトで事前取得を強く推奨
一番大事なのは「加点項目を最大活用する」ことですね。ものづくり補助金を例にとると、賃上げ表明・デジタル化・グリーン化・共同申請といった加点要素があって、これを意識した事業計画を作るかどうかで採択率がかなり変わります。
ものづくり補助金だとざっくり40〜50%くらいで推移してます。INPIT外国出願補助金は申請数が少ないのでもう少し通りやすい印象ですね。佐賀県の海外出願支援は県内企業限定なので枠に余裕があることが多いです。
一番よくあるミスが「補助金でやりたいこと」を書いてしまうこと。正しくは「補助事業の目的・効果・佐賀県の産業への貢献」まで書かないと審査が通りにくい。「これをやることで売上が〇〇%増加し、佐賀県から〇〇万円の輸出増につながる」という具体的な数字と地域貢献の視点が重要です。
あと、後払いが基本というのも絶対に頭に入れておいてください。補助金は原則として「先に自分でお金を使って、後から精算で補助金がもらえる」仕組みです。だから申請時点で自己資金がないと、補助金が採択されても事業が実施できないんです。
初めての方が一番ビックリするポイントで。採択→交付決定→事業実施→実績報告→補助金入金、というフローで、入金まで早くて半年〜1年かかります。資金繰りの計画を立てておかないといけない。必要なら制度融資と組み合わせることも考えてください。
公募要領を隅々まで確認し、対象経費・採択基準を把握
事業計画書に「数値目標」と「地域への波及効果」を明記
加点項目(賃上げ・デジタル化・グリーン化等)を可能な限り盛り込む
佐賀県内なら「公益財団法人佐賀県産業振興機構」が一番の窓口ですね。海外展開の補助金・ビジネスマッチング・海外への貿易相談まで全方面でサポートしてもらえます。あとJETROも佐賀には窓口があって、海外展開の無料相談を受け付けてます。補助金の申請サポートも得意なので、使い倒してほしいですね。
- 佐賀県産業振興機構: 補助金・貿易・海外ビジネス全般(佐賀市)
- JETRO佐賀: 海外展開の無料相談・専門家派遣(佐賀市)
- 佐賀県庁 しごと・産業課: 県の施策・制度の情報提供
- 商工会・商工会議所: 小規模事業者向け伴走支援
今日はかなり詳しく教えてもらいましたが、最後に一番大事なことをひとつ言うとしたら?
「タイミングと準備」ですね。いい補助金はあっという間に公募が始まって締め切られます。GビズIDの取得と、自社の海外展開計画の骨格をざっくり作っておくだけで、申請できるチャンスが格段に広がります。佐賀県は海外展開支援に本気で取り組んでる県ですから、制度の恩恵を最大限使ってほしいですね!
ありがとうございました!佐賀県の企業が世界に出るのを全力で応援したいですね。
ほんとに(笑)。佐賀の焼き物・日本酒・食品、ポテンシャルが高いので、補助金をうまく使って世界へ!