埼玉県 海外展開補助金 選び方フロー
埼玉の会社が海外に販路を広げようとしたとき、正直どこから手をつけたらいいか全然わからないんですよ。補助金とか助成金ってたくさんありすぎて。
わかります(笑)。実は埼玉県は中小製造業の集積地として全国でも有数なので、海外展開を支援する制度が国・県・支援機関の三層で重なってるんですよ。整理して使えば、かなりの費用を圧縮できます。
まず国の制度として、全国どこからでも申請できる「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「INPIT外国出願補助金」がある。次に埼玉県独自の制度として、県産業振興公社が運営する補助金が2本ある。そしてJETRO埼玉のような支援機関が相談サポートや市場調査を無料で提供してくれる。この三層を組み合わせるのが定石ですね。
ありますよ!実は意外と知られていないんですが、埼玉県産業振興公社が「海外向け商品改良支援補助金」と「海外展示会出展支援補助金」の2本を毎年出しています。どちらも補助率1/2・上限100万円で、埼玉の中小企業が海外マーケティング推進コンソーシアムに入っていれば使えます。
入会自体は埼玉県産業振興公社のウェブサイトから申込みできます。食品・工芸品等の輸出を目指す県内事業者が集まる組織で、海外ビジネスの情報交換の場にもなってます。補助金を使う前にコンソーシアム会員になっておくのが条件なので、まずそこから動くのが正解ですね。
なるほど、先に入会しておけばいいんですね。次のステップに行く前に、そもそも補助金の選び方のポイントを教えてもらえますか?
選び方は「投資規模」と「何に使うか」で決まります。設備投資を伴って輸出体制を整えるならものづくり補助金(上限4,000万円)。事業全体を海外向けに転換するなら事業再構築補助金(上限1億5,000万円)。知財を海外で守りたいならINPIT外国出願補助金(上限300万円)。小規模に展示会への出展から試したいなら産業振興公社の展示会補助金(上限100万円)。予算と目的で絞り込んでいく感じです。
まずはその全体像から深掘りしてほしいんですが、国の制度から教えてもらえますか?
埼玉県 海外展開補助金 比較表
海外展開絡みで一番使われているのはやっぱりものづくり補助金ですね。設備投資が必要な輸出向け製品の製造ラインとか、海外規格対応の試作品開発とか、どちらにも使えます。上限は21次締切で4,000万円、補助率1/2か2/3です。
でかいですよ(笑)。埼玉の金属加工業とか食品加工業さんが輸出対応の設備を入れるときに使うケースが多いです。申請には認定支援機関(税理士・中小企業診断士など)のサポートが必要なので、早めに相談してGビズIDを取っておくことが大事です。GビズIDって取得に2〜3週間かかるので。詳しい要件は
ものづくり補助金の詳細ページで確認できます。
あーGビズID、忘れてた!って人多そうですよね(笑)。
めちゃくちゃ多いです。採択されても交付申請で躓くパターンの大半がGビズID未取得か、銀行口座の確認書類不足ですよ。
次に、事業再構築補助金についても聞かせてください。海外進出で使える?
使えます。「新市場進出」の枠があって、これまで国内だけだった事業を海外市場に展開するのが典型的な使い方です。GX進出類型だと上限1億5,000万円。採択されてから事業完了まで1〜2年かかるので、進行中の採択者は期限を確認しておいてください。
そうなんです。今から新規に申請するなら次回の公募スケジュールを中小企業庁のサイトでチェックしてください。
事業再構築補助金の詳細もご参照ください。
では海外の特許や商標を守りたい場合は何がありますか?
それならINPIT外国出願補助金ですね。独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営していて、外国での特許・実用新案・意匠・商標の出願費用の1/2を補助します。令和8年度は上限300万円。特許なら1件あたり上限150万円、商標・意匠は1件60万円が目安です。
埼玉の会社が海外で「この技術、うちのものだ」って守れるわけですね。
そういうことです。特に川口の金属加工とか越谷の精密機械メーカーさんは、アジア展開を考えたら早めに海外出願しておかないと、現地業者にパクられるリスクがあるんですよ。補助金で費用の半分が出るなら、動かない手はないですよね。
ちなみに埼玉県独自の外国出願支援もあると聞きましたが。
ありますよ。埼玉県産業振興公社が実施する「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」です。令和8年度は
令和8年5月11日から6月19日17時まで公募受付中。上限300万円・補助率1/2。特許1件150万円・実用新案60万円・意匠60万円・商標60万円が目安です。詳細は
埼玉県外国出願支援補助金ページで確認してください。
えっ、今ちょうど受付中なんですか!それは急いで調べなきゃ。ただINPITとの違いって何ですか?
INPIT外国出願補助金との二重受給は不可なので、どちらかを選ぶ必要があります。埼玉県版の方が、県内の経営革新計画承認を受けた企業は審査で有利になる傾向があります。「埼玉県の企業だからより通りやすい可能性がある」という意味でも、まず埼玉版を検討するのがいいと思いますよ。
2026年は海外展開支援の新しい補助金って他にもありますか?
ありますよ!令和8年度に新しく注目なのが「中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金」です。JETROが実施していて、上限2,000万円・補助率1/2。複数の民間輸出支援事業者がコンソーシアムを組んで、中堅・中小企業の輸出拡大を後押しする取組に対する補助です。
そうです。単独では申請できなくて、中小・中堅企業2者以上が連携体を組む必要があります。埼玉の中小企業同士で組んで、輸出支援サービスをビジネスとして提供する、みたいな使い方も想定されています。詳細は
輸出支援エコシステム補助金をご覧ください。
なるほど、それは新しい切り口ですね。他に海外展開に使える制度ってありますか?
医療・ヘルスケア分野の企業には「ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金(令和8年度)」もあります。経済産業省が実施していて、中小企業は補助率2/3。医療機器メーカーや介護サービス事業者が海外市場向けの実証調査をする費用を支援してくれます。埼玉にはヘルスケア系の製造業も多いので要チェックです。
国の制度だけで結構あるんですね。次は埼玉県独自の制度を深掘りしてほしいです!
埼玉産業振興公社の補助金って、具体的にどう使うんですか?
令和8年度の募集は5月中旬ご案内予定ですが、例年2本あります。一つ目は「海外展示会出展支援補助金」。海外の見本市やビジネスフェアに出展するための費用の半分を上限100万円まで補助してくれます。出展料・ブース装飾費・商品カタログ製作・出品物の輸送費・通訳費・航空券まで対象経費が広い。
でしょ。ただし条件があって、「埼玉県海外展開コンソーシアム」の会員であることが必須です。令和7年度は5月〜6月に募集で、13者程度を採択していました。倍率が高くなる年もあるので、早めに会員になっておくことが大事です。
こっちは「海外ニーズに基づいて商品を改良する」ための補助金です。試作品製作費・設計デザイン費・原材料費・外注費・マーケティング調査費なんかが対象経費に入ります。補助率1/2、上限100万円。令和7年度は4月〜6月に募集でした。
食品メーカーが多いですね。日本の味付けのまま輸出しようとすると現地では受けないことが多くて、塩分を調整したり、アレルギー対応の配合に変えたり、パッケージを現地語に対応させたり。そういう海外向け商品改良の費用を補助してもらえるわけです。工芸品とか日用品のメーカーさんも使っています。
なるほど、かなり実践的な補助金ですね。申請の難易度はどうですか?
ものづくり補助金より書類は少ないです。ただしコンソーシアム会員であること、海外市場調査の結果に基づいて改良計画を作ること、といった要件はあります。「一過性ではなく継続的な海外ビジネス展開につながる取組」というのが採択のポイントなので、将来の輸出計画を具体的に書くと通りやすいです。
- 海外展示会出展補助金:出展費用の1/2・上限100万円。航空券・通訳費・輸送費も対象
- 商品改良支援補助金:改良費用の1/2・上限100万円。試作・デザイン・マーケ調査が対象
- 共通条件:埼玉県海外展開コンソーシアム会員であること
- 年間採択:各約13者程度。早期のコンソーシアム入会が重要
- 令和8年度の募集開始:令和8年5月中旬予定(産振公社のウェブサイトで最新情報を確認)
- 問合せ先:公益財団法人 埼玉県産業振興公社(www.saitama-j.or.jp)
この国の制度と埼玉独自の制度を、まとめて比較できる表を作ってほしいです!
この比較表を見ると、重複して使える制度ってあるんですか?
あります!ものづくり補助金と埼玉産業振興公社の補助金は別事業なので、年度が違えば組み合わせは可能です。ただし同一年度・同一事業に複数の補助金を重複受給することはできないので、事業計画の「この費用はこっちで申請」と整理しておく必要があります。
絶対そうですね。複数補助金を組み合わせる場合は、認定支援機関の中小企業診断士や税理士に事前に相談しながら、年度計画を立てるのが鉄則です。では次は、実際に使えるサポート機関の話をしましょうか。
補助金以外の支援で、相談に行けるところって埼玉にありますか?
大きく2機関あります。JETRO埼玉と埼玉県産業振興公社です。
JETRO埼玉は「どの国に輸出するか決まっていない」段階から相談できて、海外市場調査・バイヤーとのマッチング・輸出規制・関税の確認など、実際に海外取引を始めるための実務支援が強みです。「まず海外に出たいが何からすべきか」という人向けですね。
埼玉県産業振興公社(SAITA-COO)は補助金情報の収集・申請支援が強みです。県独自の補助金の窓口も兼ねているので、「どの補助金を使うか」の整理から一緒にやってくれます。JETROと産振公社を使い分けると、「海外でどう売るか」はJETRO、「費用をどう補助金でカバーするか」は産振公社、というイメージです。
そうです。しかもどちらも最初の相談は無料なんですよ。補助金の採択率を上げるためにも、申請書作成の前に1回相談に行くことを強くお勧めします。
- 後払い精算型が多い:補助金は先出し・後払い。運転資金が厳しい時期に資金繰りが逼迫しやすい。事前に金融機関と「補助金待ちのつなぎ融資」を相談しておくこと
- GビズID取得に2〜3週間:公募開始から締切まで短い補助金では間に合わないケースあり。今すぐ取得しておくことを推奨
- 海外規制の確認が必須:食品は輸出先の食品安全基準・ハラール認証・アレルギー表示規制を、精密部品は輸出規制(キャッチオール規制・リスト規制)をJETROで事前確認
- 埼玉産業振興公社の補助金はコンソーシアム入会が先:会員でないと申請不可。年度初めに入会申請しておくこと
- INPIT外国出願と埼玉版外国出願は二重受給不可:どちらかを選ぶこと
大事なポイントがたくさんありましたね。次は実際の申請手順も聞いていいですか?
ものづくり補助金だと「賃金引上げ計画の策定・実施」「グリーン枠での申請」「デジタル技術の活用」などが加点になります。特に賃上げ計画は効果が大きい加点項目で、法定最低賃金から+30円以上の賃上げを計画・実施している会社は審査で有利になります。
そうなんですよ。実際、採択されている企業の多くが賃上げ計画を入れています。申請前に「うちは今年賃上げできるか」を確認しておくのが得策です。具体的な申請手順や採択事例は
埼玉県の補助金・助成金一覧でも参考になりますよ。
埼玉って製造業が多いイメージですが、どういった業種が海外展開に向いていますか?
川口市の金属加工・鋳物、熊谷や春日部の食品加工、越谷の精密機械、所沢の電子部品あたりが強い業種ですね。特に金属加工の中でも精密な切削加工・プレス加工は、ベトナム・タイ・インドネシアなどASEAN諸国のものづくり系企業からのニーズが高まっています。
そうですね。「インド太平洋・中南米地域サプライチェーン参画支援事業費補助金」という国の制度があって、ASEAN向けのビジネス実証・FS調査に支援が出ます。上限1億円・補助率1/2以下なので、埼玉の中堅製造業さんには検討の余地が十分あります。
食品は相性がいいんですが、現地の食品安全基準・成分表示規制の確認が絶対必要です。EUならEFSAの基準、アジアなら各国の食品安全機関の規制があります。JETROが輸出先ごとの規制情報を国・品目別に無料で提供しているので、まずそこを読むのが先決ですね。
そういった準備があった上で補助金を使うわけですね。
そうです。補助金ありきで動くと、規制でNGになった時に取り返しがつかない。まず市場・規制調査をして、「この国でこの商品が売れる根拠」を固めてから申請書を書く。その方が採択率も上がりますよ。
羽田まで約1時間、成田まで1時間半という立地で、航空輸出のコストは関東圏でかなり有利なんです。軽量・高付加価値の精密部品や食品加工品は特に。補助金制度と物流の利便性を組み合わせると、海外展開のコストは想像よりずっと抑えられます。
最後に、これから海外展開を検討している埼玉の事業者さんに一言お願いします!
補助金の採択率より、「誰に・何を・どの国で売るか」を先に固める方が100倍重要です。ビジネスの目的が明確な申請書は読んでいてわかりやすいし、採択されやすい。JETRO埼玉と産振公社への最初の相談は無料なので、まず動いてみることをお勧めします。補助金はあくまで背中を押してくれるツール、主役は御社の商品・技術ですよ。
- JETRO埼玉:海外市場調査・バイヤーマッチング・輸出規制相談(無料)、さいたま市大宮区
- 埼玉県産業振興公社(SAITA-COO):補助金申請支援・経営革新計画・海外展開補助の窓口、さいたま市中央区(TEL: 048-621-7050)
- 埼玉りそなビジネスサービス・彩の国ビジネスアリーナ:国内外バイヤーとのマッチング商談会(年1回)
埼玉って実は海外展開のインフラが整ってるんですね。首都圏なのに見落とされがちな印象があります。