埼玉県の災害・感染症対策 補助金4カテゴリー比較
室谷さん、最近の気候変動とか地震のニュースを見てると、うちの会社の防災対策ってちゃんとできてるのかなって不安になってくるんですよ。埼玉って都心に近い分、大規模災害のリスクもありますよね?
ありますよ!埼玉は荒川や利根川が流れてるから水害リスクが高いし、首都直下地震の影響範囲にも入ってます。で、実は「災害・感染症対策」って名前がついた補助金、埼玉で使えるものだけで80件近くあるんです。
国の制度と県・市町村の制度が混在してるから多く見えるんですよ。大きく分けると「BCP(事業継続計画)の強化」「施設・設備の耐災害化」「被災後の復旧支援」「感染症対策」の4つのカテゴリーに整理できます。
なるほど、自分が今どのフェーズにいるかで選ぶ補助金が変わってくる感じですか?
まさにそうですね。まだ何も対策してない会社なら「BCP策定→事業継続力強化計画の認定→補助金加点」という順番が一番スムーズです。すでに対策中なら設備導入補助を狙う、被災してしまったなら復旧支援を使う、という感じで。
「事業継続力強化計画」ってよく聞くんですけど、これって何ですか?
中小企業庁の認定制度で、いわゆる「簡易版BCP」なんです。本格的なBCPより作りやすくて、経産大臣の認定を受けると税制優遇や各種補助金の加点が受けられるようになります。しかも策定支援は無料で受けられるんですよ。
BCP強化から補助金申請まで 6ステップ
まず事業者向けの補助金を教えてください。BCP関係から知りたいんですが。
じゃあ全体の流れから。埼玉県は県産業振興公社がBCP導入支援をやってます。無料の「事業継続力強化計画策定支援」から、有料の「BCP導入支援」「BCPフォローアップ支援」まで段階的なメニューがあります。
そうです。公益財団法人埼玉県産業振興公社です。BCP策定が全くの初めてなら、ここの無料相談窓口に行くのが最初のステップですね。認定を受けると補助金申請時に「加点」がもらえるので、採択率が上がります。
代表的なものをいくつか紹介しましょうか。まず
小規模事業者持続化補助金の「災害支援枠」があります。令和6年能登半島地震等で被災した事業者向けで、上限200万円・補助率2/3です。
詳しくはこちらのページで確認できます。
そうです。被災した設備の復旧や販路再建に使えます。商工会・商工会議所経由での申請になるので、まず地元の商工会に連絡するといいですよ。商工会地区の方向けは
こちらです。
埼玉県内の中小企業が使える防災設備の補助金はありますか?被災する前の予防対策的なやつ。
あります!環境省の「
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」という長い名前の補助金があって(笑)、太陽光発電や蓄電池を避難拠点に導入する場合に使えます。
令和8年度版はこちらです。
「自立・分散型エネルギー設備」って、停電時にも電力を確保できる設備ですよね?
そうです。太陽光+蓄電池の組み合わせが典型例で、災害時に系統電力が止まっても施設が機能し続けられるようになります。補助対象は地方公共団体が主体ですが、活用できる事業者もいます。
ありますよ。「ストレージパリティ補助金」と呼ばれる
再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業が代表格です。企業の脱炭素化と災害時のエネルギー確保を同時に実現できます。上限3,000万円で、オンサイトPPAでの導入も対象です。
へえ!太陽光+蓄電池導入で補助金もらえるんですね。採択率ってどうなんですか?
毎年枠がそれなりにあるので、申請書の精度を上げれば採択は狙えます。GビズIDの取得が申請の前提になるので、まず先に取っておいてください。取得に1〜2週間かかるので、公募が始まってから動くと間に合わないことがあります。
もし実際に災害に遭ってしまったら、どんな支援が使えますか?
被災後は3つのルートがあります。中小企業向けの「持続化補助金 災害支援枠」、社会福祉施設向けの「社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金」、そして融資系です。小規模事業者なら持続化補助金が最速でお金になります。
そうです。暴風・洪水・地震等で被災した社会福祉法人の施設が対象で、復旧工事費の一部を補助します。申請期限が被災日から20日以内なので、被災直後に写真を撮って埼玉県高齢者福祉課に連絡することが超重要です。
20日って短いですね!被災後にそんなすぐ動けるかな。
だからこそ、平時からの準備が大事なんです。被災したときに「どこに連絡するか」「必要書類は何か」をあらかじめ整理しておく。それがBCPの本質的な価値なんですよね。
なるほど。BCPを作ることで、いざというとき迷わない、と。
まさにそうです。で、埼玉県は「彩の国BCPサポーター」という制度もあって、中小企業向けにBCP策定を支援する専門家が登録されてます。これも無料で活用できます。
エネルギー系の補助金って複数あって、どれを使えばいいか迷いそうですよね。
そうですね。「都市ガス事業者向け」「石油関連施設向け」「一般企業・自治体向け」の3つに大別されます。
中小のガス導管事業者が災害時の迅速復旧のためにバルブ開閉器やガバナ遠隔監視システムを導入する補助金です。
令和7年度版では補助率2/3(バルブ)または1/2(ガバナ)で、上限1.3億円超という大型補助です。
一般企業が注目すべきは「自衛的燃料備蓄補助」です。
令和7年度版は防災拠点の施設向け自家用発電設備の導入を支援します。補助率は定額で上限175億円という超大型制度ですが、これは執行団体向けで、実際は自治体や間接補助方式で届く形です。
そうですね。ただ、その下位にあたる石油ガス地域防災対応体制整備事業(
石油ガス地域防災訓練事業)は上限300万円・補助率10/10という、全額補助の制度です。対象は石油ガス業界関係者ですが、地域の防災訓練経費が全額出るのはすごいです。
国の補助金はわかったんですけど、埼玉県独自の支援ってあるんですか?
あります!まず「埼玉県建築物耐震改修等事業」があります。昭和56年以前に建てられた建物の耐震診断・改修が対象で、補助率は最大3分の2、上限は最大4,400万円です。
緊急輸送道路の沿道建築物や避難施設に指定された場合はその金額になります。一般の建物でも耐震診断補助(上限300万円)は使えます。申請先は埼玉県都市整備部建築安全課です。
住宅の耐震改修については市町村が対応するんですよね?
そうです。戸建住宅はほとんどの市町村が独自の補助制度を持ってます。県のページに市町村一覧があるので、まず自分の住む市町村に確認するのがよいですよ。
埼玉県の耐震改修補助ガイドページで一覧が見られます。
「家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」がありますよ。令和8年度版では太陽光発電に1kWあたり7万円(上限35万円)、蓄電池は1件あたり10万円の補助です。受付は令和8年5月18日から令和9年1月29日までで、先着順なのでお早めに。
そうです。既存の家に新たに設置する場合が対象です。ただし太陽光の補助を受けるには蓄電池を同時に設置することが条件なので注意が必要です。
はい。蓄電池があれば停電時も使えるから防災的にも理にかなってますね(笑)申請は認定特定非営利活動法人環境ネットワーク埼玉が窓口です。
| フェーズ | 補助金名 | 対象者 | 上限額 | 補助率 | 担当窓口 |
|---|
| BCP未策定 | 事業継続力強化計画策定支援 | 中小企業 | 無料 | — | 埼玉県産業振興公社 |
| 防災設備導入 | 地域レジリエンス・脱炭素化事業(R8) | 自治体等 | 別途 | — | 環境省 |
| 防災設備導入 | ストレージパリティ補助金 | 事業者 | 3,000万円 | 詳細は公募要領 | 環境省 |
| 被災後の復旧 | 持続化補助金 災害支援枠(商工会議所) | 小規模事業者 | 200万円 | 2/3 | 商工会議所 |
| 被災後の復旧 | 持続化補助金 災害支援枠(商工会) | 小規模事業者 | 200万円 | 2/3 | 商工会 |
| 施設耐震化 | 埼玉県建築物耐震改修等事業 | 建物所有者 | 4,400万円 | 1/2〜2/3 | 埼玉県建築安全課 |
| 防災設備導入 | 燃料備蓄推進事業費補助(R7) | 防災拠点施設 | 175億円 | 定額 | 資源エネルギー庁 |
| 感染症・防災 | 都市ガスレジリエンス強化補助(R7) | ガス導管事業者 | 1.3億円 | 2/3、1/2 | 経産省 |
| 家庭向け防災 | 省エネ・再エネ設備導入補助(R8) | 埼玉県民 | 35万円(太陽光) | 7万円/kW | 環境ネットワーク埼玉 |
- 公益財団法人 埼玉県産業振興公社 — BCP策定支援・中小企業支援の中核機関。無料相談あり。電話番号は公式サイトで確認を。
- 埼玉県都市整備部 建築安全課 — 建物耐震診断・耐震改修補助の申請窓口。問い合わせメールまで事前相談推奨。
- 認定特定非営利活動法人 環境ネットワーク埼玉 — 家庭向け太陽光・蓄電池補助金の窓口。電話 048-767-6151。
一番多いのが「GビズIDを持ってない」問題ですね。国の電子申請システム「jGrants」を使うほとんどの補助金でGビズIDが必須なのに、公募が始まってから初めて取得しようとして間に合わない(笑)
取得に1〜2週間かかるので、この記事を読んでる今すぐ申請しておくことをおすすめします。「GビズID プライム」という法人向けのものが必要です。
「採択決定前に着工すると補助対象外」というルールがほぼ全ての補助金で共通してます。「早く工事したい!」という気持ちはわかるんですが、必ず交付決定通知を受け取ってから発注・着工してください。
そうです、残念ながら(笑)あとは持続化補助金は「事業計画書」の完成度が採択率に直結します。「なぜこの取り組みが必要か」「どう売上につながるか」を丁寧に書いた事業者は採択されやすいです。
計画書の書き方は商工会・商工会議所でサポートしてもらえるんですよね?
はい、それが持続化補助金の強みです。商工会・商工会議所の担当者に相談すれば、計画書のチェックや修正アドバイスをもらえます。一人で悩まずに相談するのが採択への近道です。
- GビズID未取得 — jGrants申請システムに必要。取得に1〜2週間かかる。今すぐ申請を
- 採択前着工 — 交付決定通知前に工事・発注すると補助対象外。例外なし
- 公募期間の見落とし — 災害支援枠など一部補助金は被災地限定。自分が対象か事前確認を
- 市区町村補助との重複 — 埼玉県の太陽光補助は国庫支出金を財源とする市町村補助と重複不可
「事業継続力強化計画」を作成・提出(中小企業庁の様式)
認定後1年以内に設備投資→防災・減災投資促進税制を活用
ここまでのお話で、まず「BCP→認定→補助金」という順番が大事なんだなというのがよくわかりました。
そうですね。BCP認定があると補助金申請の際に加点されるので、採択率が上がります。しかも認定は無料で受けられる。最初の一歩のハードルが低いのが事業継続力強化計画のいいところです。
最後に、埼玉の中小企業経営者へのアドバイスをひと言もらえますか?
首都圏に近い埼玉は、取引先も多く、サプライチェーンの要になっている中小企業もたくさんあります。「うちが止まると取引先も困る」という視点でBCPを考えると、経営者として責任ある行動につながります。補助金を活用しながら、一歩ずつ備えを固めていきましょう。
補助金+BCP整備で、取引先への信頼度も上がりそうですね!今日もありがとうございました。