JCMって何ですか?そもそもの仕組みから教えてください

佐藤
編集長
室谷さん、今日は「JCMクレジット化支援調査事業」っていう、なんか難しそうな名前の制度を教えてほしいんですよね。正直、JCMって言葉自体がよくわからなくて。

室谷
代表取締役
あ、そうですよね! JCMっていうのは「ジョイント・クレジッティング・メカニズム」、日本語で「二国間クレジット制度」っていうんですけど、簡単に言うと日本企業が途上国に省エネや再エネの技術を持ち込んで、そこで減らしたCO2の量を日本の削減目標に算入できる仕組みなんですよ。

佐藤
編集長
えっ、途上国で減らしたCO2が日本の実績になるんですか?!

室谷
代表取締役
そうなんです! 日本とパートナー国が「この削減量を両国で分け合いましょう」って二国間で合意するのがポイントです。2013年にモンゴルと最初に締結して、2026年4月時点では32か国との間でJCMが構築され、290件以上のプロジェクトが動いています。

佐藤
編集長
32か国! けっこう広がってるんですね。

室谷
代表取締役
しかも日本政府は、2030年度までの累積で1億t-CO2、2040年度までに2億t-CO2の削減量確保を目標に掲げているんです。相当大きなスケールの政策なんですよ。

JCMプロジェクトサイクルの全体像

今回の公募「JCMクレジット化支援調査事業」とは何か

佐藤
編集長
で、今回のNEDOの公募はそのJCMに関係しているわけですよね?

室谷
代表取締役
そうです。NEDOが公募している「JCMクレジット化支援調査事業」は、JCMのプロジェクトサイクルの中でも「調査・準備フェーズ」を支援するための委託事業なんです。簡単に言うと、「実際にクレジットを発行できるかを調べる」段階を委託費で支援するんですよ。

佐藤
編集長
なるほど! クレジット発行前の調査段階ってことですね。具体的には何をするんですか?

室谷
代表取締役
主にやることは4つで、まずJCMパートナー国において日本企業等が取り組む温室効果ガス削減事業の方法論を開発・適用すること。次に削減量の計測・検証をして、JCMのプロジェクトサイクルに沿った手続きを全部やっていくことです。

佐藤
編集長
方法論って何ですか?

室谷
代表取締役
JCMでクレジットを発行するには、「このプロジェクトでどれだけCO2が減るか」を計算するための手順書みたいなものが必要なんです。それが方法論です。すでに登録された方法論があればそれを使い、なければ新しく作って登録するプロセスも含むんですよ。
JCMクレジット化支援調査事業の主な実施内容
- JCM方法論の開発・適用: 温室効果ガス削減量の計算ルールを策定・登録
- 削減量の計測・報告・検証(MRV): どれだけ減ったか客観的に検証
- JCMプロジェクトサイクルの手続き実施: 合同委員会への登録申請・承認取得
- クレジット発行手続き: JCMクレジットとして正式に登録・発行
補助金ではなく「委託事業」!違いが重要です

佐藤
編集長
あれ、これって補助金じゃないんですか?

室谷
代表取締役
そこ、超重要なポイントなんですよ! これは「NEDO委託事業」で、一般的な補助金とは仕組みが全然違います。

NEDO委託事業と一般補助金の違い比較表


佐藤
編集長
どう違うんですか?

室谷
代表取締役
補助金は「事業費の一部を国が補助する」もので、残りは自社負担ですよね。でも委託事業はNEDOが「この調査をやってほしい」という目的のもとで、事業実施費用の大部分をNEDOが委託費として支払う仕組みなんです。

佐藤
編集長
えっ、それって事業費ほぼ全額出るってこと?!

室谷
代表取締役
そうなんです! 1件あたり最大1億円以内(税込)の委託費が支払われる可能性があります。ただし、その代わりに調査成果(報告書やデータ)はNEDOに帰属する場合があって、事業の方向性もNEDOの指示に沿う必要があります。
| 比較項目 | NEDO委託事業(本制度) | 一般的な補助金 |
|---|---|---|
| 資金の性格 | 委託費(事業費の大部分) | 補助金(費用の一部) |
| 金額規模 | 1件最大1億円以内(税込) | 案件による |
| 成果の帰属 | NEDOに帰属する場合あり | 申請者に帰属 |
| 事業の裁量 | NEDOの指示に沿って実施 | 自由度が高め |
| 公募の厳しさ | 技術提案書の質が最重要 | 書類審査が中心 |

佐藤
編集長
なるほど、お金は大きいけど制約もあるわけですね。

室谷
代表取締役
まさにそのとおりで! 補助金より資金調達としては有利ですが、成果物の知的財産権や事業裁量の制約がある点は最初に理解しておく必要があります。
対象者・申請資格を確認しよう

佐藤
編集長
誰でも応募できるんですか?

室谷
代表取締役
対象者について確認していきましょう! Jグランツの公募情報だと「企業(団体等を含む)」となっていますが、業種的には学術研究機関および専門・技術サービス業が中心です。具体的には大学・研究機関、環境コンサルティング会社、エンジニアリング会社、シンクタンクなどですね。

佐藤
編集長
製造業の会社は申請できないんですか?

室谷
代表取締役
製造業が単独で申請できるかは公募要領での確認が必要です。ただし、コンソーシアム(複数機関の連携体)での申請が認められているので、製造業や商社もコンソーシアムに参加する形であれば関われます。
申請できる主な事業者・機関
- 大学・国立研究開発法人・民間研究所(学術研究機関)
- 環境コンサルティング会社・エンジニアリング会社
- 気候変動・脱炭素に特化したシンクタンク
- JCM対象国でのネットワークを持つコンサルタント会社
- 上記機関を含むコンソーシアム(代表機関が要件を満たすこと)

佐藤
編集長
コンソーシアムで申請する場合は何か注意点ありますか?

室谷
代表取締役
代表機関(幹事機関)が業種要件を満たすこと、各参加機関の役割・経費分担を明確にした組織体制書が必要になります。JCMの経験がない事業者は既存のJCM実施経験者とコンソーシアムを組むのが採択率を上げる有効な手段ですよ。
対象案件の要件を理解する

佐藤
編集長
どんなプロジェクトを調査すれば対象になるんですか?

室谷
代表取締役
公募要領で具体的な要件が定められているんですが、大きくは5点あります。

佐藤
編集長
えっ、応募する前にもう相手国と合意が必要なんですか! ハードル高くないですか?

室谷
代表取締役
そうなんですよ! これが本事業のユニークなところで、完全にゼロから始める調査ではなく、ある程度現地パートナーと話が進んでいる案件が対象なんです。なので、すでに途上国でのビジネス展開を進めている企業や、JCMの経験がある事業者が主な応募者になります。
重要な事前条件(応募前に確認必須)
- PINの提出済み: 日本のJCM事務局(環境省)にProject Idea Note(プロジェクト概要書)を提出していること
- 相手国との書面合意: JCMプロジェクト化についての書面合意が必要
- エネルギー起源CO2のみ: 森林・農業等の吸収源のみのプロジェクトは対象外
事業規模・委託費の詳細

佐藤
編集長
改めて確認ですが、いくら委託費をもらえるんですか?

室谷
代表取締役
1件あたり1億円以内(税込)が委託費の上限です。NEDO公式の公募ページに明確に記載されています。

佐藤
編集長
1億円! かなり大きい規模ですね。

室谷
代表取締役
そうなんです! しかも実施期間はNEDOが指定する日から原則4年以内なので、最大4年間にわたって調査活動を進められます。複数年にわたる本格的な国際調査ができる規模の委託費なんですよ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 委託費上限 | 1件あたり1億円以内(税込) |
| 実施期間 | NEDOが指定する日から原則4年以内 |
| 公募開始 | 2026年4月8日(水) |
| 公募締切 | 2026年5月18日(月)正午 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請) |
| 実施機関 | NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) |
| 問い合わせ | askjcm@ml.nedo.go.jp(事業統括部 国際3課) |
対象経費と対象外経費

佐藤
編集長
委託費でどんな経費が使えるんですか?

室谷
代表取締役
主な対象経費はこんな感じです。人件費(調査担当者・技術者の人件費)、旅費・交通費(現地調査の渡航費や宿泊費)、外注費(現地パートナーへの委託費、専門家への外注)、機材費(現地計測機器等)、その他調査経費(報告書作成費、データ購入費など)が含まれます。

佐藤
編集長
逆に使えない経費ってありますか?

室谷
代表取締役
いくつかあります。まず設備・機器の取得費(耐用年数按分外の部分)は対象外です。これは調査事業なので設備投資には使えません。あとは国内の通常業務費用、課税事業者の消費税、コンソーシアム構成員間の利益移転に該当する取引も対象外です。
委託費の使い方に注意!
- 設備導入・機器購入は基本的に対象外(あくまで「調査」経費)
- 国内の通常業務に係る経費は按分して計上
- NEDOの委託費算定基準に沿った積算が必須
- 他の補助事業と経費が重複する場合は費目を明確に区分
申請の流れ(ステップ別に解説)

佐藤
編集長
実際にどうやって申請するんですか?

室谷
代表取締役
手順を整理しましょう!

佐藤
編集長
Jグランツって何ですか?

室谷
代表取締役
Jグランツは補助金・委託事業の電子申請システムです。GビズIDというアカウントが必要になるので、Jグランツへのアカウント登録は早めに済ませておくのが重要です! 締切直前にアカウント手続きをしようとして間に合わなかった、という失敗談をよく聞きます。
審査のポイントと採択を勝ち取るコツ

佐藤
編集長
どうすれば採択されやすいんですか?

室谷
代表取締役
NEDO委託事業の審査は補助金よりかなり厳格なんですよね。一番重要なのは技術提案書の質です。「なぜこの技術でJCMクレジット化できるのか」という技術的根拠と、「実際にクレジット発行まで到達できる実施体制か」という実現可能性が審査の焦点になります。

佐藤
編集長
具体的にはどんな点を押さえればいいんでしょう?

室谷
代表取締役
主要なポイントは4つです。まず対象国・技術の選定を戦略的に行うこと。JCMで32か国が対象になっていますが、自社技術が現地のエネルギー構成に適合し削減効果が大きい国を選ぶことが重要です。

佐藤
編集長
対象国が32か国もあるんじゃ、どう選べばいいんでしょうか。

室谷
代表取締役
自社に現地パートナーや過去の実績がある国を優先するのが基本ですね。さらにJCM合同委員会が積極的に推進している技術分野・国を選定することで採択可能性が上がります。あとはNEDOへの事前相談! 公募中に担当部署(国際3課)への事前相談が受け付けられることが多いので、提案内容が趣旨に合致しているかを確認するといいですよ。
採択確率を上げる4つの戦略
- 既存方法論の活用: JCMに登録済みの方法論を自社技術に適用できれば審査で有利
- 実績あるコンソーシアム形成: JCM経験者との連携で評価が上がる
- PINの早期提出: 応募前に環境省JCM事務局にPINを提出済みであることが必須
- NEDO事前相談の活用: 公募中に担当部署に相談して提案を磨く
他のJCM関連事業との組み合わせ・連携

佐藤
編集長
他にもJCM関連の補助金や委託事業があるんですか?

室谷
代表取締役
はい! JCMを活用した支援事業は複数の省庁・機関が行っているんですよ。
| 事業名 | 実施機関 | 概要 | フェーズ |
|---|---|---|---|
| JCMクレジット化支援調査事業(本制度) | NEDO | 方法論開発・削減量検証の委託 | 調査フェーズ |
| JCM設備補助事業 | 環境省・GEC | 脱炭素設備の初期投資補助 | 設備導入フェーズ |
| 低炭素技術による市場創出促進事業 | NEDO | 実証設計・実証事業の委託(最大10億円) | 実証フェーズ |
| JCM促進事業(シナジー型) | 環境省 | 実現可能性調査含む複合支援 | FS・実証フェーズ |

佐藤
編集長
それって全部組み合わせて使えるんですか?

室谷
代表取締役
フェーズが違えば組み合わせ可能なんです! 本事業(NEDO委託・調査フェーズ)と環境省のJCM設備補助(実施フェーズ)は段階が異なるので、一般的には組み合わせが可能です。まずNEDO委託で調査して、クレジット化の道筋が見えたら環境省補助で設備導入、というパターンが典型的な活用ルートですよ。

佐藤
編集長
二重受給にはならないんですね。

室谷
代表取締役
同一の調査活動・経費への重複支給は禁止ですが、異なるフェーズ・異なる経費への適用なら問題ありません。費目を明確に区分して管理することが重要です。NEDOとDBに登録されている関連するJCM関連事業も参考にしてみてください!
よくある質問

佐藤
編集長
最後に、よくある疑問をまとめてもらえますか?

室谷
代表取締役
まずよく聞かれるのが「JCMの経験がない企業でも申請できますか?」という質問ですね。申請自体は可能ですが、既存のJCM実施者とコンソーシアムを組むことで採択可能性が大きく上がります。

佐藤
編集長
JCMって森林のCO2吸収とかも対象になりますか?

室谷
代表取締役
実は今回の公募はエネルギー起源CO2の排出抑制に限定されているので、森林由来のCO2吸収のみに関する事業は対象外なんです。この点は誤解が多いので要注意!

佐藤
編集長
採択されたあと、成果物(報告書等)は自社で使えるんですか?

室谷
代表取締役
委託事業なので調査成果はNEDOに帰属する場合があります。詳細は公募要領・委託契約書で確認が必要ですが、調査で得た知見・ノウハウを自社の次フェーズ(実証・設備導入)に活かすことは通常認められていますよ。
申請検討前の3つの確認事項
- PINの提出状況: 日本のJCM事務局に提出済みか(必須条件)
- 相手国との合意書: 書面による合意が形成されているか(必須条件)
- Jグランツアカウント: GビズIDとJグランツのアカウント準備ができているか
基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 2026年度 JCMクレジット化支援調査事業 |
| 実施機関 | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) |
| 委託費上限 | 1件あたり1億円以内(税込) |
| 実施期間 | 原則4年以内 |
| 公募期間 | 2026年4月8日〜2026年5月18日(月)正午 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請のみ) |
| 対象者 | 企業・団体等(学術研究・専門技術サービス業中心) |
| 技術分野 | 温暖化対策(エネルギー起源CO2削減) |
| プロジェクトコード | P11013 |
| 公式ページ | NEDO公募ページ |
| 問い合わせ先 | NEDO 事業統括部 国際3課(askjcm@ml.nedo.go.jp) |

佐藤
編集長
室谷さん、ありがとうございます! JCMって最初は全然わからなかったんですけど、日本の気候変動政策の中核にある仕組みで、しかも最大1億円の委託費がもらえる本格的な国際調査事業なんですね。

室谷
代表取締役
そうなんです! 途上国への低炭素技術展開を検討している企業・研究機関にとっては、リスクを大きく抑えながら海外展開の足がかりを作れる非常に貴重な機会です。公募締切の2026年5月18日正午まで時間がないので、まずはJグランツのアカウント確認と公募要領の入手から始めてください!

佐藤
編集長
関連する補助金も探してみると良さそうですよね。東京都内なら東京都の補助金一覧も参考にしてみてください!