室谷さん、飲食店を経営している知り合いがいるんですけど、「喫煙室を作りたいけどお金がかかる」って悩んでいるんですよ。何か使える制度ってあるんですか?
ありますよ!しかも東京都の制度で、最大400万円まで助成してもらえるものがあります。「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(飲食事業者向け経営基盤強化支援・受動喫煙防止対策支援コース)」です。
ちょっと待って、名前が長すぎて頭に入ってこないんですけど(笑)
確かに(笑)。簡単にいうと「東京都の飲食店や宿泊施設が喫煙室を作る費用を助成しますよ」という制度です。東京都中小企業振興公社が運営していて、令和8年度(2026年度)版が2026年4月13日から受付スタートしています。
ほんとに?それ、知り合いに教えてあげたいです。どんな事業者が使えるんですか?
大きく2タイプあって、ひとつは「東京都内で宿泊施設を営む者」、もうひとつは「東京都内で飲食施設を営む中小企業者」です。中小企業基本法に規定する中小企業者に該当して、かつ大企業が実質的に経営に参加していないことが条件ですね。
えっ、飲食店だけじゃなくてホテルや旅館も使えるんですか!
そうなんです。インバウンド需要が回復している今、外国人旅行者向けに分煙環境を整備したいホテルにも活用できる制度なんですよ。
助成率比較インフォグラフィック
ここが重要で、店舗の規模によって助成率が変わります。対象事業は3種類あって、それぞれ条件が違うんですよ。
| 対象事業 | 対象条件 | 助成率 | 助成上限額 |
|---|
| 喫煙専用室の設置 | 客席面積100㎡以下の中小飲食店 | 9/10以内 | 400万円 |
| 喫煙専用室の設置 | 上記以外(飲食店・宿泊施設) | 2/3以内 | 400万円 |
| 指定たばこ専用喫煙室の設置 | 中小飲食店で客席100㎡以下 | 9/10以内 | 400万円 |
| 指定たばこ専用喫煙室の設置 | 上記以外 | 2/3以内 | 400万円 |
| 分煙設備の撤去 | 過去の都補助で設置した設備 | 2/3以内 | 150万円 |
9/10って、ほとんど全額じゃないですか!マジですか?
マジです(笑)。客席面積が100㎡以下の中小飲食店は、自己負担がわずか1割で喫煙室を作れるんです。例えば300万円の工事なら、自己負担は30万円だけ。
300万円の工事が30万円って、すごい差ですね。なぜ小さいお店のほうが有利なんですか?
体力の小さな中小飲食店ほど、受動喫煙対策のコストが経営に響きやすいですよね。だから東京都が意図的に小規模店舗に有利な設計にしているんです。これは政策的な配慮ですね。
なるほど。で、「指定たばこ専用喫煙室」って、普通の喫煙室と何が違うんですか?
「喫煙専用室」はたばこを吸うだけの部屋で飲食はできません。一方「指定たばこ専用喫煙室」は加熱式たばこ専用で、しかも飲食もできる部屋です。アイコスやグローを吸いながらお酒も飲める、というイメージですね。どちらかを選んで申請できます。
そもそも受動喫煙対策って、法律で決まってることなんですか?
そうなんです。2020年4月に改正健康増進法が全面施行されて、東京都内では原則として飲食店内での喫煙が禁止になりました。ただし、既存の小規模な飲食店(経過措置あり)や、喫煙専用室・指定たばこ専用喫煙室を設置した場合は喫煙が認められています。
あー、なんか「喫煙可」の紙が貼ってあるお店とないお店がありますよね。
まさに。この法律への対応で「喫煙客も来てほしい、でも非喫煙者も大切にしたい」というジレンマを抱えている飲食店がたくさんあるんです。特に居酒屋やバーは喫煙客の比率が高い業態なので、全面禁煙にすると売上に直撃する怖さがある。
そのジレンマを解決するのが喫煙室設置ってことですね。
そうです。しかも喫煙専用室を設置することで、喫煙客も来られて、非喫煙者も受動喫煙の害を受けずに食事できる。経営上も法令上もベターな選択肢なんです。問題はコストですが、そこに最大9割の助成が出るのが今回の制度です。
法改正対応と経営改善を同時にできる、ということですね!
東京都としても、都内の飲食店が法令を守りながら安定して営業を続けてほしいという意図があるんだと思います。だから特に小規模飲食店に手厚い9/10助成という設計になっているんでしょうね。
喫煙室って、ただ仕切ればいいわけじゃないですよね?何か基準があるんですか?
はい、健康増進法に基づく技術基準があります。主に3つのポイントがあって、まず出入口での気流の基準です。室外から室内に向かう気流が0.2m/s以上あることが必要です。これは煙が外に漏れないようにするためですね。
手をかざすと少し風を感じるくらいです。気流計で測定して確認します。これが基準値を下回ると検査で不合格になります。2つ目は壁・天井での区画です。たばこの煙が室外に漏れないように、壁と天井で完全に区画されている必要があります。隙間があるとNGです。
屋外への排気です。喫煙室内の空気を屋外に排気する設備が必要で、屋内に排気するのは禁止です。これがダクト工事が必要になる理由ですね。3階以上のビルのテナントは屋上まで排気ダクトを引かなければならないケースもあって、その分工事費が上がることがあります。
なるほど、技術的に結構ちゃんとしていないといけないんですね。だから専門業者への依頼が必要と。
そうなんです。公社から現地調査が入って、技術基準を満たしているか測定・検査があります。この段階で基準を満たさないと助成金が確定しないので、設計段階から基準適合を意識して進めることが大事です。
じゃあ実際にどんな工事費が助成対象になるんですか?
大きく分けると5つのカテゴリーの経費が対象です。まず工事費関係として、喫煙室の設計費、間仕切り・壁・天井の施工費、入口ドアの設置費が入ります。
はい、換気・空調設備費も対象です。排気装置の設置費、空気清浄機の設置費、ダクト工事費が含まれます。電気設備費として照明設備やコンセント増設工事も対象ですね。それと分煙設備撤去の場合は既存設備の解体費と原状回復費も入ります。
以下の費用は助成対象外です。申請前に必ず確認を。
- 交付決定前に着手した工事の費用(最も重要!)
- 消費税および地方消費税
- 備品・消耗品の購入費(灰皿、清掃用具など)
- 喫煙室の維持管理・メンテナンス費用
- 店舗の一般的なリニューアル・改装費用
- 大企業が実質的に経営参加している事業者の経費
助成金の交付が決定する前に工事を始めてしまったら対象外になるということです。「早く工事したいから先に始めよう」とやってしまうと、全額自己負担になります。これは本当によくあるミスなので気をつけてください。
申請フロー図
実際の申請はどうやって進めるんですか?なんとなく複雑そうで…。
大きく8つのステップで進みます。ポイントを押さえれば、それほど難しくはないですよ。
対象要件の確認(自社が中小企業者に該当するか、大企業の経営参加がないか確認。客席面積100㎡以下かも測定)
設置計画の策定(喫煙専用室か指定たばこ専用喫煙室かを決め、設置場所・仕様を検討。建築基準法や消防法の基準も確認)
見積もりの取得(喫煙室の設計・施工、空調設備、排気設備などの見積もりを複数業者から取得。助成対象経費と対象外経費を明確に区分)
GビズIDの取得(jGrantsでの申請にはGビズIDプライムが必要。取得に時間がかかるため早めに準備)
申請書類の作成・提出(募集要項に基づき書類一式を準備し、jGrantsから電子申請。受理期限は2026年9月11日16時45分)
現地調査・審査(公社による現地確認と書類審査が実施される。申請から交付決定まで約5週間)
交付決定後に工事着工(必ず交付決定を受けてから契約・発注・施工を開始。この順番が絶対)
実績報告書の提出と助成金受領(工事完了後に実績報告書を提出。公社による測定・検査後、確定した助成金額が交付される)
国が提供する事業者向けのオンライン本人確認サービスです。jGrantsという電子申請システムを使うために必要で、取得に1〜2週間かかることがあるので早めに動いてください。手元に登記情報が必要なので、法人は登記簿謄本を用意しておくといいですよ。
喫煙室を設置する場合は提出書類が21種類もあります!でも難しくはなくて、公社が様式を用意してくれているものが多い。チェックリストが配布されているので、それに沿って一つ一つ準備すれば大丈夫です。
審査って難しいんですか?落とされることはあるんですか?
実は予算に達し次第で終了するので、早めの申請が有利です。審査でよく引っかかるポイントをお伝えします。
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ポイント1:客席面積の正確な算定 9/10助成か2/3助成かを分ける100㎡ラインは超重要です。調理場・トイレ・通路を除いた客席部分の面積を正確に測定し、図面で明確に示しましょう。曖昧だと2/3に格下げされる可能性があります。
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ポイント2:法的基準を満たす喫煙室設計 健康増進法の技術基準として、出入口の気流0.2m/s以上、壁・天井での完全区画、屋外への排気が必要です。実績のある専門業者に依頼しましょう。
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ポイント3:排気設計計算書の丁寧な作成 申請書類の「喫煙専用室等の排気設計に係る計算書」は換気量の計算が必要です。ここが不備だと差し戻しになるため、専門業者に依頼して正確に作成してもらってください。
専門業者って、どんな業者さんに頼めばいいんですか?
内装工事業者で喫煙室設置の実績がある会社を選んでください。健康増進法の技術基準に詳しくて、計算書も作成してくれる業者が理想です。見積もりを取る際に「助成金申請のための書類も対応できますか?」と確認してみてください。
なるほど!それと、専門家派遣も使えるって書いてありましたけど?
そうなんです、これが地味にすごくて。公社が飲食店経営に精通した専門家を無料で派遣してくれるサービスも付いています。「全面禁煙にするか喫煙室を設置するか迷っている」みたいな経営判断の相談にも乗ってもらえます。助成金の審査には影響しないので、気軽に活用してみてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(飲食事業者向け経営基盤強化支援・受動喫煙防止対策支援コース) |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京都中小企業振興公社 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 受付開始日 | 2026年4月13日 |
| 申請受理期限 | 2026年9月11日(金)16時45分 |
| 助成上限額 | 最大400万円(事業1・2)/最大150万円(事業3) |
| 助成率 | 9/10以内(小規模飲食店)または2/3以内 |
| 申請方法 | jGrants(電子申請) |
| 問い合わせ先 | 東京都中小企業振興公社 企画管理部助成課 03-5244-4266(平日9時〜16時45分) |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社 公式ページ |
実際いくら自分で払うことになるのか、具体的に計算できますか?
はい、工事費別にシミュレーションしてみましょう。客席面積100㎡以下の中小飲食店が喫煙専用室を設置する場合(助成率9/10)です。
| 工事費総額 | 助成金額(9/10) | 自己負担額 |
|---|
| 100万円 | 90万円 | 10万円 |
| 200万円 | 180万円 | 20万円 |
| 300万円 | 270万円 | 30万円 |
| 400万円 | 360万円 | 40万円 |
| 500万円以上 | 400万円(上限) | 100万円以上 |
上限が400万円なんですね。500万円の工事だと自己負担100万円か…。
上限を超えた部分は全額自己負担です。ただ一般的な喫煙専用室の設置は100〜300万円台が多いので、多くのケースで自己負担10〜30万円に収まります。東京都内の小規模居酒屋さんにとって、これは現実的な金額ではないでしょうか。
100㎡超の飲食店や宿泊施設の場合は助成率2/3になります。300万円の工事なら助成金が200万円で、自己負担が100万円です。これでも一般的な補助金よりかなり手厚いですよ。
| 工事費総額 | 助成金額(2/3) | 自己負担額 |
|---|
| 150万円 | 100万円 | 50万円 |
| 300万円 | 200万円 | 100万円 |
| 450万円 | 300万円 | 150万円 |
| 600万円以上 | 400万円(上限) | 200万円以上 |
撤去は上限150万円・助成率2/3です。例えば撤去費用が90万円なら60万円助成されて自己負担30万円。全面禁煙への移行コストを大幅に下げられますね。
実際のところ、どんなお店がこの助成金を使うといいんですか?具体的なイメージが知りたいです。
3つのパターンで考えてみましょう。まず一番多いのが、都内の個人経営居酒屋(客席面積60㎡)です。喫煙客が多いけれど法改正対応が必要なケース。9/10の高助成率を活用して、例えば300万円の喫煙専用室設置工事なら自己負担30万円で対応できます。
次のパターンが、インバウンド対応を急いでいる都内のホテルです。外国人旅行者のロビー喫煙が問題になっている場合、2/3助成で指定たばこ専用喫煙室を設置できます。3つ目は、過去に都の分煙補助で設備を入れたお店が全面禁煙に切り替えるパターン。古い分煙設備の撤去費用を2/3助成で賄えます。
全面禁煙にしたいのに撤去費用がネックになっているお店には朗報ですね。
そうなんです。全面禁煙化したいけど古い設備の撤去コストで踏み出せないというお店は意外と多いので、ぜひ活用してほしいですね。
厚生労働省にも受動喫煙対策の助成金があるって聞いたことがあるんですが、そっちとの違いは?
厚生労働省の「受動喫煙防止対策助成金」は中小企業の職場環境整備向けで、飲食店よりも一般的な事業者の喫煙室整備が主な対象です。東京都の本助成金との同一経費への二重補助は原則不可なので、両方申請する場合は経費を明確に切り分ける必要があります。申請前に必ず事務局に確認してください。
同一の工事に対して、国と都の両方から助成を受けることは原則として認められません。経費を明確に区分できる場合のみ、別の補助金との組み合わせが可能です。迷ったら必ず申請前に問い合わせを。
じゃあ、他に一緒に使えそうな補助金ってあるんですか?
東京都の補助金と組み合わせで考えるなら、飲食店の設備整備全般をカバーする
小規模事業者持続化補助金があります。こちらは販路開拓や設備投資全般に使えて、受動喫煙対策以外の経費に充てることができます。喫煙室整備は本助成金で、POSシステムやホームページ改善は持続化補助金で、というように組み合わせるのが賢いやり方です。
組み合わせる発想が大事なんですね。過去にはどんな年度でも同じような制度があったんですか?
実は
令和5年度版と
令和6年度版も同様の制度が実施されていて、今回は令和8年度版です。継続的な支援制度なので信頼性は高いと思います。
最後にQ&Aをいくつかまとめてもらえますか?申請前に確認したいことが多そうで。
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加熱式たばこ専用の喫煙室でも助成対象? はい、指定たばこ専用喫煙室(加熱式たばこのみ・飲食も可能)は対象です。喫煙専用室(紙たばこ含む・飲食不可)と異なり飲食も可能で、店舗の経営方針に合わせて選択できます。
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客席面積100㎡はどう計算する? 調理場・トイレ・レジカウンター・従業員専用スペース・通路を除いた客席部分の面積です。申請書に図面を添付する必要があります。
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フランチャイズ加盟店は対象になる? 中小企業者に該当し、かつ大企業が実質的に経営参加していない場合は対象です。本部の関与度次第で対象外になる可能性もあるため、迷ったら事前に問い合わせを。
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申請から交付決定までどのくらいかかる? 公社の公式スケジュールによると、申請受理から交付決定まで約5週間です。交付決定前の着工は絶対に避けてください。
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助成金受給後に喫煙室を撤去したらどうなる? 財産処分制限があり、一定期間内に撤去・目的外使用した場合は返還を求められる可能性があります。処分制限期間は募集要項で確認してください。
わかりやすくまとめてもらえました!最後に、「今すぐやることリスト」みたいなものを教えてもらえますか?
そうですね。まず客席面積を測って、100㎡以下かどうか確認する。次にGビズIDを持っていない場合はすぐ取得手続きを始める。それから喫煙室設置の実績がある内装業者を2〜3社ピックアップして見積もりを依頼する。公式ページで募集要項を読む。この4つを2026年8月末までに終わらせれば、9月11日の期限までに余裕を持って申請できますよ。
受動喫煙対策って「やらなきゃいけないもの」というイメージがあったんですけど、この助成金を使えば「経営強化のチャンス」になるんですね。
まさにそういうことです。特に小規模飲食店にとって9割助成というのは破格の条件なので、先延ばしにしてきたお店はこの機会をぜひ活かしてほしいですね。東京都の補助金情報は
東京都の補助金・助成金一覧からも検索できますよ。