室谷さん、今日は「令和8年度フィンテック企業に対する海外進出支援事業補助金」について教えてください! 名前からしてすごく専門的で、ちょっと身構えちゃうんですけど(笑)
ああ、安心してください(笑)確かに名前は長いんですが、中身はシンプルですよ。一言で言うと、東京都がフィンテック企業の海外進出を資金面で後押しする補助金です。使えるのは令和8年度、つまり2026年度分ですね。
なるほど! どこが窓口なんですか? 国じゃなくて都なんですね。
はい。実施機関は東京都産業労働局。正式名称は「フィンテック企業に対する海外進出支援事業」の中の補助金です。jGrantsというポータルから電子申請できます。
海外進出って言っても、具体的にどんなことを支援してくれるんですか?
実は2つのメニューがあってね。1つは「フィジビリティ調査」、つまり海外進出の実現可能性を調べるための調査費。もう1つが「海外展示会出展」です。自社ブースを出して商談するあれですね。
おお、調査段階から支援してくれるんですね! じゃあ、もう展示会は決まってるって企業も、まだ手探りの企業も使えるってこと?
その通り! フェーズに合わせて選べるのが嬉しいポイントです。
この補助金の特徴フィジビリティ調査と展示会出展の2類型
海外進出の「事前調査」と「プロモーション」の両方をカバー。
東京都内に拠点があればOK
本店または支店が都内にあれば、業種はフィンテック関連なら幅広く対象。
補助率2分の1、上限300万円
調査は上限300万円、展示会出展は上限200万円。どちらも補助率1/2。
他自治体等との重複は不可
同一年度内に国や他自治体の助成を受けていると対象外になるので注意。
気になるお金の話です! 上限300万円って書いてありましたけど、それって2つのメニュー共通なんですか?
ここがちょっとややこしいんだけど、フィジビリティ調査は上限300万円、海外展示会出展は上限200万円なんです。jGrantsの基本情報には「上限300万円」とありますが、正確には類型で変わるので気をつけてください。
えっ、そうなんですか! じゃあ展示会出展だけだと200万円までしか出ないんですね。補助率はどちらも2分の1で同じ?
そうです。つまり、かかった費用の半分が補助されます。例えばフィジビリティ調査で600万円かかれば、上限いっぱいの300万円。展示会で400万円かかれば200万円ですね。
なるほど。じゃあ調査の方が上限が高いから、よっぽど本格的にやるなら調査から入るのがいいのかな?
そういう考え方もアリです。ただし、調査と展示会は併用可能かどうか、あとで詳しく説明しますね。
| 項目 | フィジビリティ調査 | 海外展示会出展 |
|---|
| 補助上限 | 300万円 | 200万円 |
| 補助率 | 2分の1 | 2分の1 |
| 対象経費 | 調査委託経費 | 出展料、ブース設営費、通訳費、広告宣伝費 |
| 補助対象事業者 | 海外進出を志向するフィンテック企業等 | 同左 |
すごくスッキリしました! この表を見れば一目瞭然ですね。でも、両方とも「フィンテック企業等」ってなってますけど、そもそもフィンテック企業ってどんな会社が該当するんですか?
東京都内に登記簿上の本店または支店があること。これが大前提です。実質的に東京で事業をやっていることが必要ですね。
うちはフィンテックって言っても、決済系のスタートアップで金融ライセンスは持ってないんですけど大丈夫ですか?
実はQ&Aで明確に書いてあるんですが、金融事業者が提供するサービスの高度化を実現する技術やビジネスモデルを提供していれば、非金融のスタートアップでもOKなんです。
マジですか! じゃあ例えば、銀行向けにAI分析ツールを提供してる会社とかも対象になるってこと?
はい、その理解で大丈夫です。ただし「海外進出を通じて事業の拡大を志向する」という目的が必要です。単に海外展示会に出たいだけじゃダメで、具体的なビジネス拡大の計画が求められます。
補助金の対象業種は「分類不能の産業」と「金融業、保険業」となっています。これはあくまで日本標準産業分類上の区分で、フィンテック関連の技術・サービスを提供する企業は幅広く該当します。
なるほど。従業員数の制限はあるんですか? よくある中小企業限定とか。
いいえ、従業員数の制約はありません。大企業でもベンチャーでも、要件を満たせば応募できます。ただし、同一年度内に国や他自治体(東京都の他部署を含む)から同じ事業に対して委託や助成を受けていると対象外になります。
あ、それは重要ですね。ダブルで補助金をもらうのはダメと。
そう。ただし後述しますが、同じ東京都の「海外展示会共同出展」という事業とフィジビリティ調査の併用は可能です。そこはルールが複雑なので注意して。
具体的にどんなお金が対象になるか、細かく知りたいです!
フィジビリティ調査の場合は、調査に係る委託経費だけです。海外の市場調査会社に調査を委託したり、現地の専門家にレポートを依頼したり、そういった外注費ですね。
残念ながらそれは対象外です。あくまで調査そのものに要する委託費に限定されています。
こちらは4つの費目が対象です。まず出展料、これは展示会主催者に払うブース代。次にブース設営費用。そして通訳手配費用。最後に広告宣伝費。
広告宣伝費って、例えば展示会で配るパンフレットの印刷代とかも入るんですか?
はい、入ります。ただし注意点として、申請時点で外務省による渡航危険レベル1以下の国で開催される展示会である必要があります。交付決定後にレベル2以上になった場合は、その展示会の費用は対象外になります。
うわ、それは頭に入れておかないと。もし開催直前に情勢が悪化したら…。
そうですね。リスクヘッジとして複数の展示会を検討しておくのがいいかもしれません。
経費の対象/対象外チェック- フィジビリティ調査:調査委託費
- 海外展示会出展:出展料
- 海外展示会出展:ブース設営費用
- 海外展示会出展:通訳手配費用
- 海外展示会出展:広告宣伝費
×デメリット
- フィジビリティ調査の交通費・宿泊費
- 自社や関係者が主催する展示会の出展費用
- 渡航危険レベル2以上の国での展示会費用
- 同一事業に対する国や他自治体からの助成がある場合の経費
実際にどうやって申請するのか、手順を教えてください。まず何から始めればいいですか?
申請期間は 令和8年6月16日(火)から令和8年12月28日(金) まで。約半年間ありますが、予算に達し次第締め切られるので、なるべく早めに動くことをおすすめします。
そうです。補助金の採択は概ね1~2か月ごとに開かれる審査会で行われます。申請は随時受け付けていますが、審査会のタイミングに間に合うように提出する必要があります。
補助金申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請にはGビズID(法人向けの共通ID)が必要です。事前に取得しましょう。
- 2
公募要領を確認
東京都のページから『募集要領』『交付要綱』『提出様式』をダウンロード。
- 3
事業計画を作成
海外進出の目的、調査内容や出展計画を具体的にまとめます。
- 4
必要書類を準備
提出様式に記入し、登記簿謄本など添付書類をそろえます。
- 5
電子申請(jGrants)で提出
東京都のサイトからリンクされているjGrantsで申請。郵送も可。
- 6
審査・結果通知
審査会で採択されると交付決定。その後事業を実施し、実績報告を行います。
東京都の公式サイトに「提出様式.docx」が公開されています。募集要領と交付要綱も併せて確認してください。必須書類は申請様式のほか、登記簿謄本など。詳しくは公募要領で確認するのが確実です。
はい。電子申請はjGrants(ジェイグランツ)という国のポータルサイトを使います。郵送の場合は東京都庁の国際金融都市推進課宛て。ただし電子申請の方がスムーズだと思います。
大事なのは事業の実現可能性と海外進出を通じた事業拡大の具体性です。「なんとなく出展してみたい」ではなく、なぜその国なのか、どのような成果を見込むのかをしっかり説明できること。
あと、同一年度内の他補助金との重複に注意してください。もし国や他の自治体から同じ事業に対して助成を受けていると、この補助金は使えません。ただし、同じ東京都の「海外展示会共同出展」とフィジビリティ調査の併用は可能です。そこだけは例外。
令和8年度 フィンテック企業海外進出支援補助金タイムライン2026年6月16日
公募開始
申請受付スタート。同時に東京都のページで募集要領等が公開。
2026年6月〜12月
随時申請・審査
概ね1〜2か月ごとに審査会。予算に達し次第締切。
2026年12月28日
申請締切
この日までに申請書類を提出(必着)。
交付決定日〜令和9年3月31日
事業実施期間
交付決定後、事業を実施。完了後、実績報告書を提出。
半年間ありますが、予算が尽きたらそこで終了ってのが怖いですね。
そうなんです。だから「まだ6月だし大丈夫」と思わず、早めに計画を練って申請することが肝心です。特に海外展示会は開催時期に合わせて準備が必要なので、スケジュール管理をしっかりと。
最後に、申請を考えている人が気にしそうな質問をいくつかまとめてもらえますか?
もちろん。よくある質問をQ&A形式でお答えします。
はい、可能です。ただし「東京都内に登記簿上の本店または支店があること」が条件です。個人事業主の場合、事業所が都内にあれば該当します。
可能です。ただし、海外展示会出展の補助金と共同出展事業は重複利用できません。フィジビリティ調査と共同出展は併用できます。詳しい組み合わせはQ&A表を参照してください。
基本的には交付決定日以降に実施する事業が対象です。決定前に勝手に契約してしまうと補助対象外になる可能性があるので、必ず決定を待ってから動いてください。
東京都産業労働局 総務部 国際金融都市推進課 国際金融都市推進担当です。電話番号は 03-5320-6274。募集期間中は問い合わせが混み合うので、早めに連絡することをおすすめします。
残念ながら、提示されている事実には採択率の記載がありません。公募要領で要確認です。
室谷さん、今日は本当に詳しく教えていただきありがとうございました! これで読者の皆さんも安心して申請に臨めますね。
いえいえ。海外展開に挑戦するフィンテック企業の皆さんを、この補助金が少しでも後押しできれば嬉しいです。疑問があれば、遠慮なく東京都の窓口に問い合わせてみてくださいね!