あはは(笑)、佐藤さんがそんなに興奮するってことは、よほどの案件ですね。
だって、東京都がフィンテック企業のために海外展示会の出展費用をまるっと負担してくれるって聞いて。しかも共同出展で、ピッチの機会まで用意してくれるとか。
そうなんですよ。正式名称は「令和8年度フィンテック企業に対する海外進出支援事業 海外展示会共同出展」。東京都産業労働局が実施する事業で、海外展開を狙う都内フィンテック企業をがっつり後押ししてくれるんです。
でも、単にブース代を出してくれるだけじゃないんですよね?
もちろん!大きく3つの柱があります。①出展に必要な経費の負担、②現地の政府機関や企業との面談機会の提供、③現地でのピッチ機会の提供。もう、パッケージで海外進出をサポートしてくれる感じですね。
うわ、面談までセットなんだ。自分でアポイント取るのってめちゃくちゃ大変ですからね。これはありがたい。
でしょ。しかも経費負担の内訳も結構豪華で、小間料や出展者証はもちろん、ブースの基本装飾費、商談通訳の手配費、プロモーションツールの作成費、さらに渡航費として1者1名分の航空券まで負担してくれるんです。
ピッチ機会っていうのは、いわゆるプレゼンの場ですか?
そうです。現地の投資家やパートナー企業の前で自社のサービスをアピールできる場を都が用意してくれるんです。実施方法は参加企業のニーズも踏まえて都が決めるそうなので、柔軟に対応してくれそうですね。
すごい…。これって補助金じゃなくて、都が直接お金を出してくれる事業なんですよね?
その通り。補助金とは仕組みが違って、都が費用を負担する形。だから「補助率」という概念がなくて、対象経費は原則全額都持ちと考えていいんですよ。ただし、全ての経費が対象になるわけではないので、そこは注意が必要です。
さっそく「うちも応募したい!」って思い始めたんですが、まずは対象になるかどうかですよね。
そうですね。基本の条件は「東京都内に登記簿上の本店または支店があり、応募時点で設立10年未満のフィンテック企業等」であること。これに加えて、展示会の趣旨に沿った事業を行っていることと、海外展開を通じて事業拡大を志向していることが必要です。
ここで一番気になるのが、個人事業主の扱いです。フリーランスのフィンテックエンジニアとかも対象になりますか?
応募資格には「フィンテック企業等」と書いてあるんですが、「個人事業主」という明記はありません。公募要領で確認が必要です。断言はできませんが、法人でないと難しい可能性もあるので、必ず募集要領をご確認ください。
なるほど確かに。じゃあ法人格を持っていることが前提と考えるのが無難そうですね。
そうですね。あと、同じ展示会に対して、同一年度内に国や他自治体(東京都の他部署を含む)からの委託や助成を受けていないことも条件です。重複して支援を受けることはできないので注意。
従業員数とか資本金の条件も気になります。スタートアップだとまだ少人数だったりするんですが。
そこの心配は無用です。jGrantsの基本情報を見ると「従業員数の制約なし」と明記されています。つまり人数に関係なく応募できる。資本金の条件も特に記載はありませんね。
それは助かる。うちのクライアントにも3人だけど海外展開に興味があるって企業がいるんですよ。
むしろそういう少人数の企業こそ、この事業を活用する価値が大きいと思います。単独で海外展示会に出ようとすると、ブース代だけで何十万、百万単位。通訳やプロモーションツールまで含めると結構な出費ですからね。
「応募時点で設立10年未満」という条件、これ結構シビアですよね。創業◯年目まではセーフとかあるんですか?
シンプルに「設立から10年未満」です。具体的な計算方法は公募要領に書かれているはずですが、要するに登記簿上の設立日から応募時点で10年を過ぎていないこと。例えば令和8年6月に応募するなら、平成28年6月以降に設立された企業が対象になる、というイメージですね。
あ、結構最近の企業じゃないとダメなんですね。ベンチャーキャピタルの支援を受けて何年も経った会社は対象外になる可能性が。
そうですね。でも、フィンテック業界って急成長している分野ですから、設立10年以内でも十分海外展開できるフェーズの企業は多いはずです。
ちょっと細かいんですけど、合併でできた会社とか、事業承継で新しく法人を立てた場合ってどうなるんですか?
そこも公募要領で確認する必要がありますね。一般的には、新たに設立された法人として設立日が基準になることが多いですが、連続性が認められる場合は別の扱いになるかもしれません。応募前に問い合わせ先に確認するのが確実です。
東京都産業労働局 総務部 国際金融都市推進課 国際金融都市推進担当。電話番号は03-5320-6274です。募集期間の間に質問できる期間が設けられているので、疑問点は早めにクリアにしておきましょう。
ここが一番気になるところです。補助額の上限はいくらですか?
実はこの事業、補助金ではなく「都が費用を負担する」形なので、jGrantsの基本情報を見ても「補助金額: 上限—」と「補助率の記載なし」になっています。
いえいえ、そうじゃなくて。補助金のような「上限○万円で、その範囲を補助率○%で支給」という仕組みではない、ということです。都が負担すると決めた経費については、実際にかかった額を都が直接負担してくれる。ただし、負担してくれる経費の範囲が決まっていて、それ以外は対象外です。
なるほど。じゃあ「いくらもらえるか」ではなく、「どんな費用を都が出してくれるか」を知ることが大事なんですね。
その通りです。具体的に都が負担してくれる費用を見ていきましょう。まず①小間料と出展者証。1者あたり2名程度の出展者証がもらえる想定ですが、主催者との調整で変わる可能性あり。②ブース設営費用は基本装飾に限る。③商談通訳の手配費用は共同出展ブース全体として複数の通訳を設置する形。④商談に必要なプロモーションツールの作成費用(来場者に配布するチラシなど)。⑤渡航費として1者あたり1名分の航空券(東京–開催地間の往復エコノミークラス)。
うわ、航空券まで!往路は展示会初日の前々日以降到着の便、帰路は終了後2日以内出発の便って条件がありますね。
よく見てますね。そう、その通り。例えばSingapore Fintech Festivalが11月◯日からなら、前々日以降の便で行って、終了後2日以内に帰ってこい、と。滞在費や現地交通費は対象外なので、そこは自腹になります。
ここは大事です。現地旅費(滞在費、交通費)、輸送費(各社が個別に設置する機材の輸送費)、基本装飾以外の特別な装飾・設営・撤去費、通関諸手続費や貨物損害保険料なども対象外です。
なるほど。ブースの中に自社のパネルを別途持っていきたいとか、大きなモニターを展示したい場合は、その輸送費は自分持ちになるんですね。
そうです。あと、航空券は1社1名分まで。もし代表者と営業担当の2人が行きたい場合は、1名分は自腹になりますから、その点も考慮しておきましょう。
もう少し細かく聞きたいんですけど、小間料ってどのくらいの規模感なんですか?
具体的な金額は公募要領や展示会の主催者サイトを確認してほしいんですが、Singapore Fintech Festivalのような大規模展示会だと、小間料だけで数十万円〜百万円を超えることもあります。それが都負担になるというのは非常に大きいですね。
航空券のルール、結構細かいですね。往路は前々日以降到着、帰路は終了後2日以内。これは経費節約のためですか?
おそらく、観光を兼ねた長期滞在を防ぐ意図もあるでしょうねあ。ビジネス目的に純化させたいという。あとは、複数展示会をはしごするようなケースも想定していないということかもしれません。どうしても日程を延ばしたい場合は自費で対応する必要があります。
プロモーションツールの作成費、例えば会社のロゴ入りタンブラーとかも対象になりますか?
「来場者に配布するチラシ」が具体的な例として挙がっています。基本は紙媒体、デジタルデータの作成など、展示会で使う営業資料やパンフレット類と考えるのが妥当でしょう。ノベルティグッズについては明記がないので、公募要領で確認してください。
わかりました。とにかく「対象経費かどうか迷ったら問い合わせる」が鉄則ですね。
ここで一番の落とし穴かもしれないのが募集期間ですよね。複数の展示会があるんでしたっけ?
そうなんです。対象となる海外展示会は3つ。①Singapore Fintech Festival 2026(シンガポール)、②Indonesia Fintech Summit (Mandiri BFN Fest) 2026(インドネシア・ジャカルタ)、③Money 20/20 Asia 2027(タイ・バンコク)。
その通り。①と②は同じスケジュールで、令和8年6月16日(火)から令和8年8月14日(金)まで。③だけは令和8年12月28日(金)までと、長めに設定されています。
①と②は8月14日まで。つまり、応募を考えているなら今すぐ動かないと時間がないですね。
ええ。さらに、主催者に確認したい事項がある場合の問い合わせ期限は令和8年7月24日(金)まで。応募書類を準備する前に、疑問点をクリアにしておきたいなら、7月24日までに電話かメールで問い合わせる必要があります。
結構早いですね。今からだとあと1ヶ月ちょっとしかない。
そうなんです。逆に、③のMoney 20/20 Asia 2027は募集期間が長く、12月28日まで。こちらは問い合わせ期限も12月4日(金)までで、比較的時間の余裕があります。
あ、じゃあ例えばSingaporeとIndonesiaの両方に出たい、って場合も併願できるんですか?
応募資格のところで「同一年度内に国や他自治体からの委託や助成を受けていないこと」という条件があり、さらに注釈で「令和8年度フィンテック企業に対する海外進出支援事業補助金の補助対象事業のうち、海外展示会出展との併用は不可」とあります。共同出展同士の併用については明記がありませんが、おそらく1企業が複数の展示会に共同出展することは想定されていない可能性が高いです。公募要領で確認しましょう。
なるほど。とりあえず目標の展示会を1つに絞って、全力で準備するのが良さそうですね。
申請の具体的なステップを教えてください。やっぱりJグランツを使うんですよね?
はい。申請方法はJグランツ(デジタル庁の補助金プラットフォーム)による電子申請、または郵送・持込も可能です。ただ、電子申請のほうがスムーズだと思います。
そうです。GビズID(電子申請用のアカウント)を取得していない場合は、まずそこから始めましょう。取得には数日かかることもあるので、余裕を持って。
まずはGビズIDの取得。これは法人でも個人事業主でも取得できます。申請時に必要なのは、法人番号や電子証明書など。まだお持ちでない方はすぐに手続きを。
そうです。jGrantsのページから「公募要領」と「提出様式」をダウンロードできます。公募要領には詳しい要件や注意事項が書いてあるので、必ず熟読してください。申請書類はWord形式の様式が用意されています。
具体的な記載項目は公募要領を見てほしいんですが、自社の事業内容、海外展開の計画、展示会で何をアピールするか、といったことをまとめる必要があります。特に「海外展開を通じて事業拡大を志向している」という点を具体的に示せる資料が求められるでしょう。
もちろん。③のMoney 20/20 Asiaは12月28日までですが、①と②は8月14日まで。郵送の場合は必着なので、余裕を持って送りましょう。
申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要。まだの場合は早めに取得。
- 2
公募要領をダウンロード
jGrantsのページからPDFとWord様式を取得。
- 3
書類を作成
自社の海外展開計画やアピールポイントを記載。
- 4
問い合わせ(任意)
疑問点は問い合わせ期限までに電話03-5320-6274へ。
- 5
提出
Jグランツ電子申請、または郵送・持込。締切厳守。
気になるのが審査です。どのような基準で選ばれるんですか?
公募要領には具体的な審査基準が明記されていない場合が多いんですが、この事業の目的から考えると、「海外展開を通じた事業拡大の実現可能性」や「展示会の趣旨との適合性」が重視されるでしょう。
つまり、ただ「海外に行きたいです」ではダメで、具体的なビジョンや戦略が必要だと。
その通り。例えば、どの国・地域で何を狙うのか、既にどの程度の準備ができているのか、展示会でどのようなアプローチをするのか。そういった具体性が求められます。
じゃあ、応募書類ではどんなところをアピールすればいいですか?
まず、自社のフィンテックサービスがなぜ現地市場で受け入れられるのか、競合との差別化ポイントを明確にすること。次に、展示会での具体的な商談ターゲットや、その後のフォローアップ計画まで示せるとグッドです。
なるほど。都が面談機会を提供してくれるわけですから、その面談をどう活用するかという計画も評価されそうですね。
まさに。面談先のニーズも踏まえて都が調整してくれるので、こちらから「こういう企業と話したい」という希望を具体的に出せるように準備しておくと、よりマッチした機会を得られるでしょう。
公募要領に明記がないので、日本語で大丈夫だと思われますが、展示会が現地企業との商談が前提なので、英語の資料を添付できると評価が高いかも。ただし、必須ではないでしょう。
同一事業年度内に同じ展示会への再応募は難しいかもしれませんが、別の展示会(例えば③)に応募することは可能な場合があります。公募要領で確認してください。
この事業では年間を通じて1回のみの共同出展が基本と考えたほうが無難です。ただし、③の展示会は募集期間が長いので、もし①や②に落ちた場合でも③に間に合う可能性があります。
①・②は7月24日(金)まで、③は12月4日(金)まで。疑問点がある場合は必ずこの期限までに連絡しましょう。
可能です。ただし、必着なので余裕を持って。電子申請のほうが確実ですが、システムトラブルも考慮して早めに行動してください。
繰り返しになりますが、公募要領で必ず確認してください。「フィンテック企業等」の「等」に個人事業主が含まれるかどうかは断言できません。電話で問い合わせるのがベストです。
室谷さん、今日は本当に詳しくありがとうございました!最後に、この制度のポイントを一言でまとめると?
「東京都がフィンテック企業の海外進出を全面的にバックアップする、超お得な共同出展事業」ですね。費用負担はもちろん、面談やピッチ機会までセット。対象となる展示会は3つで、それぞれ締切が違うので、焦らずにスケジュール管理を。
特に①と②は8月14日締切ですから、今すぐ動かないとですね!私もクライアントに伝えに行きます。
(笑)ぜひ。応募を検討される方は、まずは公募要領をダウンロードして、疑問点を問い合わせてから書類作成に取り掛かりましょう。