室谷さん、今日は「女性活躍情報公開促進奨励金」って制度について教えてください。名前が長くてちょっと覚えにくいんですけど(笑)。
確かに長いですよね(笑)。正式名称は「令和8年度 女性活躍情報公開促進奨励金」です。東京都内の中小企業が、女性の活躍推進に向けて行動計画を策定したり、男女間の賃金差異を情報公開したりする取り組みを支援するための補助金です。
なるほど!つまり、女性が働きやすい職場づくりに取り組む企業にお金が出るってことですね。でも、これって法律で決められたことに対応するためってイメージですか?
そのとおり。背景には女性活躍推進法という法律があります。常時雇用する労働者が101人以上の事業主には、一般事業主行動計画の策定・届出や男女間賃金差異の情報公開が義務づけられています。でも、100人以下の中小企業にとっては努力義務。そこで東京都が、中小企業が自主的に取り組むのを後押しするためにこの奨励金を用意したんです。
ああ、なるほど。義務じゃないけどやるならお金を支援しますよ、と。対象は東京都だけなんですね。
そう。実施主体は公益財団法人 東京しごと財団。東京都内で事業を営む中小企業や個人事業主が対象です。
「情報公開」って言うけど、具体的に何を公開するんですか?
主に「男女間賃金差異」の公表です。最近、上場企業だけでなく中小企業でも、女性管理職比率や賃金格差を開示する流れが強まっていますよね。この奨励金では、そうした情報を自社のホームページや「女性の活躍推進企業データベース」などで公開する取り組みを支援します。
えっ、賃金の差を公表するって勇気いりますね。でも、それが逆に優秀な女性人材の確保につながるっていうメリットもあるんでしょうね。
まさにそのとおりです。「女性が活躍できる職場づくりを全力でサポート」というキャッチコピーの通り、従業員の処遇や賃金の引き上げを後押しするのが目的。補助金をもらって終わりではなく、その先の企業価値向上を狙っているんですね。
制度の3つの柱行動計画の策定支援
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を作成・公表する取り組みを支援
男女間賃金差異の情報公開
男女の賃金格差を数値で公表。令和8年4月からは101~300人の事業主も義務化対象に
職場環境改善プロジェクト
女性従業員の処遇改善や賃上げにつなげるためのプロジェクト全体を支援
上限は 20万円 です。補助率の記載は公募要領でも特に明記されていません。おそらく定額の奨励金という形で、実際にかかった費用にかかわらず上限額が決まっているタイプでしょう。
20万円…正直、大きいとは言えないかもしれませんね。でも、行動計画を策定して公表するだけなら、そんなにコストはかからない気もします。
そうなんです。この制度のミソは「少額でも気軽に申請できる」こと。書類作成や社内調整にかかる手間を考えれば、20万円の奨励金は十分にインセンティブになります。しかも 返済不要。税金で賄われるので、純粋に企業の取り組みを後押しするお金です。
補助率がないってことは、もらった20万円をどう使っても自由なんですか?
そこは注意が必要です。使途はあくまで「新たな事業を行いたい」「人材育成を行いたい」「雇用・職場環境を改善したい」という目的に沿ったもの。具体的な対象経費は、この後のセクションで詳しく説明しますね。
上限20万円って、全員がもらえるわけじゃないですよね?
はい、月ごとに 100事業者 という定員があります。令和8年6月から令和9年3月まで、毎月1日から月末までが申請期間。つまり総枠は最大 1,000事業者 分です。先着順か抽選かは公募要領で確認してください。
競争率が高そうですね。早めに申請しないと埋まりそう。
支給条件のポイント- 東京都内の中小企業
- 個人事業主も対象
- 従業員100名以下
- 行動計画を策定・公表
- 男女間賃金差異を公開
- 情報公表を実際に行う
- 月100事業者枠
- 令和8年6月~令和9年3月
- 各月1日~末日受付
はい、対象です。対象業種を見ると、農業、林業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、金融・保険業、不動産業、宿泊業、飲食サービス業、教育、医療、福祉など、実に 20の業種 が列挙されています。ほとんどの業種がカバーされていると言っていいでしょう。
すごい!飲食店を営む個人事業主も対象ってことですね。具体的にどんな条件が必要ですか?
まず、東京都内に事業所があること。そして 常時雇用する従業員が100名以下 であること。女性活躍推進法で言う「中小企業等」に該当する事業主です。
従業員数は100名以下。結構小さな会社まで対象になるんですね。
もう一つ大事なのは、この奨励金は「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」の策定や「男女間賃金差异の情報公開」に取り組むことが前提。つまり、行動計画をまだ策定していない企業や、情報公開をこれから始めようとしている企業が主な対象になります。
公募要領の詳細を確認する必要がありますが、一般的には「これから取り組む」企業を支援する制度です。すでに公開している企業がさらに改善する場合も対象になる可能性はありますが、まずは公募要領をしっかり読んでください。
対象者判定フローチャート東京都内に事業所があり、従業員100名以下?
はい女性活躍推進法に基づく行動計画をまだ策定していない?
または男女間賃金差異の情報公開をまだ行っていない?
→ 申請可能!
使途の目的は3つ。「新たな事業を行いたい」「人材育成を行いたい」「雇用・職場環境を改善したい」。具体的には、例えばこんな経費が考えられます。
え、ちょっと待ってください。補助金の使途って具体的にリストアップされてないんです?「新たな事業」ってあいまいですよね。
その通り。公募要領のPDFをダウンロードして、対象経費の詳細を確認する必要があります。ただ、一般的な補助金のパターンで言えば、外部コンサルタントへの委託費、研修参加費、システム導入費、広報費などが対象になることが多いです。ただし、ここで大事なのは「実際に情報公開や行動計画の策定・公表に直接必要な経費」であること。
じゃあ、例えばホームページをリニューアルして賃金差異を掲載するための費用とか、社内説明会の開催費用とかも対象になる可能性がある?
はい、可能性はあります。ただし、あくまで「女性活躍情報公開促進」という目的に沿ったものでなければならないので、単なるサイトリニューアル全体ではなく、その部分だけを切り出した経費かどうかが問われます。領収書や作業報告書などで明確に区別できるようにしておく必要があります。
逆に、対象外になる経費も多いので注意が必要です。例えば、人件費(自社従業員の給与)、飲食費、交通費、備品購入費、建物の改修費などは、一般的に補助金の対象外になることが多いです。
自社の社員が行動計画を作る時間給は対象にならないんですね。でも、外注すれば対象になるかもしれない。
そのとおり。外注費は認められるケースが多いですが、必ず公募要領で確認してください。また、この制度は 後払い(精算払い) です。まず自分で費用を立て替えて、後で申請して払い戻しを受ける形。資金繰りに余裕があるかどうかも確認しておきましょう。
対象経費と対象外経費のイメージ- 外部コンサルタントへの委託費
- 研修・セミナー参加費(女性活躍関連)
- 情報公開用のシステム導入費
- 広告・周知費用(情報公開目的)
- 資料作成や翻訳などの外注費
×デメリット
- 自社従業員の人件費
- 飲食費・交際費
- 建物改修・設備購入費
- 日常的な運営経費
- 他の補助金と重複する経費
実は、この制度は 電子申請のみ で、専用のポータル「jGrants(ジェイグランツ)」を使います。代理申請は不可なので、必ず事業者自身がログインして申請してください。
jGrantsって聞いたことあるけど、アカウントが必要なんですよね?
そのとおり。まず GビズID(ジービズアイディー) を取得する必要があります。これは国の電子申請システムを使うための共通ID。すでにお持ちならそのまま使えますが、初めてなら事前に登録しておきましょう。審査に数日かかることがあるので、余裕を持って準備してください。
GビズIDの取得って難しくないですか?個人事業主でもできるんでしょうか。
できます。基本的には法人でも個人事業主でも、マイナンバーカードや印鑑登録証などがあればオンラインで申請できます。手順は jGrants のサイトでも案内されていますが、不安な方はお近くの商工会議所やIT支援に相談するといいでしょう。
: じゃあ、具体的な流れを教えてください!
まず、この制度は 月ごとに申請期間が決まっている のがポイント。令和8年6月15日から6月30日が第1回目、その後は毎月1日から末日までが受付期間です。10回に分かれていて、それぞれ 100事業者 の定員があります。
つまり、6月に申し込めなかったら7月に再チャレンジできるんですね。
① 事業所一覧(様式第1号別紙1)② 誓約書(様式第2号)③ 行動計画の写し④ 情報公開の実績がわかる資料(ホームページ画面コピーなど)⑤ その他、公募要領で指定される添付書類。これらをすべて jGrants 上でアップロードします。
jGrants の制度詳細ページからダウンロードできます。Excel や PDF で配布されています。記入例も用意されているので、それを見ながら作成すれば初めてでも大丈夫。
申請の流れ(全体像)- 1
1. GビズIDを取得
まだの場合は事前登録(数日かかる)
- 2
2. 公募要領を確認
事業専用サイトで令和8年度版をダウンロード
- 3
3. 必要書類を準備
様式第1号、様式第2号、行動計画、情報公開の証拠
- 4
4. 申請期間内に電子申請
各月1日~末日(初回のみ6月15日~)
- 5
5. 審査・支給決定
書類審査後、支給決定通知が届く
- 6
- 7
7. 実績報告・支給請求
経費の領収書などを添えて報告
- 8
8. 奨励金を受領
指定口座に振り込まれる。返済不要
撤回届を提出できます。ただし、支給決定の通知から14日以内 という期限があります。jGrants の専用フォームから提出してください。あまりないケースですが、覚えておいて損はありません。
14日以内か。短期間ですね。ちなみに、この制度は他の補助金と併用できるんですか?
併給については、公募要領で確認が必要です。一般的には、国や東京都の他の補助金と対象経費が重複しない限りは併用可能なケースが多いですが、明記されていないので必ず確認してください。
やっぱり審査は通らないと意味がないですよね。どんなところが見られるんですか?
審査のポイントは、大きく分けて3つ。①行動計画が具体的で実効性があるか。②情報公開の内容が適切か(女性活躍推進法の定める様式に沿っているか)。③経費の使途が制度の目的に合致しているか。
「女性管理職を増やします」だけじゃ不十分で、具体的な数値目標(例:管理職の女性比率を3年後までに20%にする)や、具体的な施策(例:女性向けキャリア研修を年2回実施)、実施スケジュールが必要です。また、男女間賃金差異の公表においては、正規・非正規の区分ごとに数値を算出し、その理由や改善策を説明できると好印象です。
なるほど。要は、本気で女性活躍に取り組む姿勢を見せろってことですね。
その通り。形式的に書類だけ作って公開しても、審査で「これは単なるコピペだ」と判断されれば不採択になる可能性があります。自社の課題を分析し、どう改善するかというストーリーが重要です。
最後に、絶対に押さえておくべきスケジュールを教えてください。
全体の募集期間は 令和8年6月15日から令和9年3月31日。ただし、月ごとに受付期間が分かれていて、各回 100事業者 の定員制。初回(1回目)は6月15日~6月30日、2回目以降は毎月1日~末日。つまり、最初の1週間だけがずれているので注意してください。
なるほど。やっぱり初回を狙うのがよさそうですね。早めに準備しないと。
そうですね。特に6月は改正女性活躍推進法が施行されて、101~300人規模の事業主にも賃金差異の公表が義務化されるタイミング。制度の認知度が上がって申請が集中するかもしれません。開幕ダッシュが肝心です。
わかりました!室谷さん、今日は本当にありがとうございました。最後に、問い合わせ先も教えてもらえますか?
めちゃくちゃ整理できました!早速、行動計画を考えてみようと思います。ありがとうございました。
こちらこそ。女性活躍推進は、企業の未来への投資です。ぜひこの制度をうまく活用して、素敵な職場づくりを進めてくださいね。