室谷さん、今回の「女性の活躍推進に向けた職場環境改善奨励金」、名前が長くてちょっと覚えにくいんですけど(笑)、どんな制度なんですか?
そうですね(笑)。東京都の公益財団法人「東京しごと財団」が実施する、中小企業が女性活躍を推進する取り組みを支援する奨励金です。令和8年度から始まる新規事業で、6月15日から募集が始まります。
へえ、東京都だけの制度なんですね。対象は都内中小企業ってことですか?
その通りです。常用雇用労働者300人以下の中小企業等が対象。個人事業主も含まれますよ。業種もかなり幅広くて、農業から建設、製造、情報通信、サービス業まで、ほぼ全業種カバーされてます。
それは広いですね!で、いくらもらえるんですか?気になるのはやっぱり金額ですよ。
上限は180万円です。でも一括で180万円もらえるわけじゃなくて、6つの取組を組み合わせて積み上げていく感じですね。詳しくは次のセクションでしっかり説明します。
なるほど。何かやることがありそうだ…。でも「女性活躍推進法」って法律に基づく行動計画の策定が必要って書いてありましたけど、それって難しいんじゃないですか?
確かに一般事業主行動計画を策定して都道府県労働局に届け出る必要がありますが、この奨励金はその計画を実際に実行するのを後押ししてくれるんです。専門家派遣が2回受けられるのも心強いポイントですね。
専門家が来てくれるんですか!それは助かりますね。じゃあまずはどんな取組があるのか、具体的に見ていきましょう!
さっき上限180万円って言いましたけど、どうやって計算するんですか?
基本は取組AからDの4つ。それぞれ30万円です。Aは「女性役員の増加」、Bは「女性管理職の増加」、Cは「女性係長職の増加」、Dは「非正規従業員でも登用可能な役職の新設」。この4つの中から、自社に合ったものを新たに1つ以上実施します。
つまり、4つ全部やれば30万×4=120万円ですね!でも上限180万円まであと60万円足りない…。
そこに加算の取組EとFが効いてきます。Eは「非正規従業員の退職金制度の導入」で10万円。Fは「B~Dの対象者向けの育成計画の策定・研修の実施」で、1人あたり10万円、最大5人まで。つまりFだけで最大50万円になります。
じゃあ例えば、A・B・C・Dの4つと、EとFをフルでやれば、120万+10万+50万=180万円!ぴったりですね。
そうです。ただし実施には6か月の期間が必要。しかも専門家派遣2回と社内研修の実施、さらに厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」での情報公表も必須条件です。
補助額の内訳| 取組 | 金額 |
|---|
| 取組A:女性役員の増加 | 30万円 |
| 取組B:女性管理職の増加 | 30万円 |
| 取組C:女性係長職の増加 | 30万円 |
| 取組D:非正規登用役職の新設 | 30万円 |
| 加算E:非正規退職金制度導入 | 10万円 |
| 加算F:育成計画・研修(1人あたり) | 10万円(最大5人=50万円) |
図にすると一目瞭然ですね!でも「取組A~Dのうち新たに1つ以上」という要件があるんですよね。全部やらなきゃダメじゃないんですね。
最低1つからOKです。ただし上限まで取りたいなら当然多くの取組を実施することになります。どの取組を選ぶかは、自社の状況と計画次第ですね。
補助率はどうなってるんですか?よくある「2分の1」とか「3分の2」みたいな?
この奨励金は定額制です。かかった経費の何割という計算ではなく、取組の実施に対してあらかじめ決まった金額が支払われます。例えば取組Aを実施すれば、実際にかかった費用が20万円でも40万円でも、支給額は30万円です。
えっ、じゃあ経費が30万円以下だとお得だけど、超えると持ち出しになるってこと?
その認識で合ってます。なので、計画を立てる時は各取組の実施コストを事前に試算して、無理のない範囲で組み合わせるのがポイントです。公募要領で各取組の具体的な経費の範囲を確認することをおすすめします。
個人事業主でもいけるんですか?会社じゃないとダメかと思ってました。
大丈夫です。申請書類は個人事業主用と法人用に分かれていて、屋号で申請できます。申請様式も「個人事業主用_支給申請書」と「法人用」が別に用意されていますから、フリーランスの方も対象ですね。
それはありがたい!でも「常用雇用労働者300人以下」って書いてありましたけど、1人だけの個人事業主でも要件を満たせるんですか?
従業員数の下限は特にありません。1人だけでももちろん対象です。ただし取組内容を考えた時に、女性役員の増加って言っても役員がいないとか、管理職がいないといったケースもあるでしょう。自社に合った取組を選ぶ必要があります。
300人以下という上限だけど、大きめの中小企業も対象ってことですね。逆に大企業はダメ?
はい、常用雇用労働者301人以上の企業は対象外です。あくまで中小企業等が対象。東京都の制度ですから、都内に事業所があることが条件です。
主たる事業所が都内にある必要があります。事業所一覧の提出も求められるので、都内に登記や実体があることが前提ですね。
業種がめちゃくちゃ多いですね。全部列挙されてますけど、例えば飲食店や美容室も入ってる?
はい、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」に該当しますから、飲食店も美容室もOKです。他にも「農業、林業」から「鉱業」「建設業」「製造業」「情報通信業」「運輸業」「卸売・小売業」「金融・保険業」「不動産業」「学術研究・専門技術サービス業」「教育・学習支援業」「医療・福祉」など、実に20業種以上が対象です。
ほぼ全部じゃないですか(笑)。公務とか分類不能の産業まで入ってますよ。
そうなんです。東京都内で事業を営む中小企業であれば、ほとんど該当すると言っていいでしょう。ただし、**サービス業(他に分類されないもの)**という括りもあって、かなり幅広くカバーしています。
取組A~Dと加算E・F、それぞれ具体的にどんなことをするんですか?
まず**取組A「女性役員の増加」**は、文字通り役員に女性を登用する取り組み。**B「女性管理職の増加」**は課長級以上の管理職ポストに女性を増やす。**C「女性係長職の増加」**は係長級のポスト。**D「非正規従業員でも登用が可能な役職の新設」**は、正社員以外の人が就ける役職を新しく作る、といった内容です。
なるほど。非正規の人のキャリアアップにつながる役職を作るってことですね。加算Eは退職金制度?
**加算E「非正規従業員の退職金制度の導入」**は、非正規従業員にも退職金が支払われる制度を導入する取り組み。加算FはB~Dで対象となる人材向けの育成計画を策定し、研修を実施するものです。1人あたり10万円で最大5人なので、しっかり育てたい人に絞って計画を立てるのがポイントです。
これらの取組にかかる経費って、具体的にどんなものがありますか?例えば研修の講師代とか?
この奨励金の具体的な対象経費の範囲は公募要領で要確認です。ただし、取組を実施するために必要な費用として、専門家派遣や社内研修の実施、データベース公表のためのシステム利用料などが想定されます。一方で、設備投資や通常の運営費などは対象外になる可能性が高いですね。
対象経費のイメージ- 専門家派遣費用(2回分)
- 社内研修実施費用(講師謝金・資料代)
- データベース公表に関する費用
- 行動計画策定・届出のための事務費
×デメリット
- 設備投資(パソコン・備品購入)
- 通常の給与・賞与
- 土地・建物の取得費
- 取組と直接関係ない一般経費
あくまでイメージなんですね。実際に申請する時は公募要領をしっかり読まないと。
そうです。しかもこの奨励金は後払いです。まず自分で費用を立て替えて、実績報告後に支給されます。資金繰りに余裕を持って計画しましょう。
では実際の手順を教えてください。何から始めればいいですか?
最初にGビズIDを取得する必要があります。Jグランツ(電子申請システム)で申請するためのアカウントです。すでにお持ちの方はそれを使えます。次に公募要領をダウンロードして、自社が対象か、どの取組を実施するか計画を練ります。
GビズIDってどうやって取得するんですか?時間かかります?
オンラインで申請できて、だいたい1~2週間くらいで発行されます。余裕を持って取得しておきましょう。申請期間が月ごとに区切られていて、各回100社の定員がありますから、書類が揃ったら早めに申請するのがコツです。
奨励金申請の流れ- 1
GビズIDを取得
Jグランツにログインするためのアカウント
- 2
公募要領と申請書類を準備
事業専用サイトから様式をダウンロード
- 3
- 4
- 5
取組を実施(6か月間)
専門家派遣2回・社内研修・データベース公表
- 6
- 7
- 8
結構ステップがありますね。でも専門家派遣が2回あるから、サポートを受けながら進められるのは安心です。
そうなんです。専門家派遣は必須要件の一つで、取組の実施期間中に2回、専門家の支援を受けます。計画の立て方から進捗管理までアドバイスをもらえるので、初めてでも心強いですね。
主なものは、支給申請書(様式第1号別紙2)、事業所一覧(様式第1号別紙3)、誓約書(様式第2号)です。法人用と個人事業主用でファイルが分かれているので、自分の形態に合ったものを選んでください。記入例もPDFで公開されていますから、それを見ながら作成すれば大丈夫です。
記入例があるのは助かりますね。電子申請ってことは、PDFをアップロードするんですよね?
正確には、Jグランツ上で申請書のフォームに直接入力する方式と、Excelファイルを添付する方式があります。事業専用サイトで最新の方法を確認してください。各回の申請期間によって申請フォームが異なるので注意が必要です。
審査ではどんなところが見られるんですか?やっぱり採択率とか気になります。
残念ながら採択率の公表はありませんし、私も知りません。ただ、審査のポイントとしては、まず行動計画に取組が正しく記載されているか、そして都道府県労働局に届出が行われているかが基本です。
行動計画って、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画ですよね。それを作って届けないと始まらない。
そうです。しかもこの奨励金では、取組内容を行動計画に記載し、労働局に提出することが必須です。さらに、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」で情報公表も求められます。公表項目は、行動計画、女性労働者比率、女性係長比率、女性管理職比率、女性役員比率、男女間賃金差異の6つ。
結構な情報を公開するんですね。でも逆に言えば、これを機に自社の女性活躍状況を可視化できるってことか。
その通り。審査では実施の確実性が重視されると思います。例えば、研修の実施日時や参加者リスト、専門家のアドバイス内容など、証拠書類をしっかり残すことが合格への近道です。
まず申請期間を間違えること。各回の開始日と締切日が決まっていて、定員100社に達すると受付終了になります。特に第1回は6月15日~6月30日と短いので、そこを逃すと7月以降になります。
あ、それ重要ですね。カレンダーにマークしておかないと。
次に書類の不備。申請書の記入漏れや、添付ファイルの形式が違うといったミスがよくあります。記入例をよく見て、ダブルチェックしましょう。また、専門家派遣や社内研修を「実施したつもり」で報告すると、後で確認が入って支給されない可能性もあります。
スケジュールを教えてください。いつまでに何をすればいいんです?
申請期間は令和8年6月15日から令和9年3月31日まで、月ごとに10回に分かれています。各回の定員は100社。つまり最大で1000社が採択される可能性がある計算ですね。
申請スケジュール第1回 2026年6月15日~6月30日
申請受付
月100社の定員
第2回 2026年7月1日~7月31日
申請受付
第3回 2026年8月1日~8月31日
申請受付
第4回 2026年9月1日~9月30日
申請受付
第5回 2026年10月1日~10月31日
申請受付
第6回 2026年11月1日~11月30日
申請受付
第7回 2026年12月1日~12月31日
申請受付
第8回 2027年1月1日~1月31日
申請受付
第9回 2027年2月1日~2月28日
申請受付
第10回 2027年3月1日~3月31日
申請受付
月ごとに区切られてるんですね。でも例えば第1回で定員に達しなかったら、残りは第2回に回るんですか?
そのあたりは公募要領でご確認ください。おそらく各回独立した枠だと思われますが、正確なところは事業専用サイトの情報をチェックしてください。
そうです。東京都産業労働局雇用就業部労働環境課(03-6205-6711)も関連窓口です。ただし申請方法の具体的な質問は、実施主体である東京しごと財団(03-5211-2784)に聞くのが確実でしょう。
もし申請した後にやっぱり取りやめたいってなったらどうすれば?
最後にまとめると、この奨励金は女性活躍に本気で取り組む中小企業にとって、かなり手厚い支援制度ですね。
そうですね。180万円という金額も大きいですし、専門家派遣や社内研修のサポートも付いてくる。単にお金をもらうだけでなく、会社の体質を改善するきっかけにもなります。ぜひチャレンジしてみてください!
ありがとうございました!申請を検討されている方は、まずは事業専用サイトをチェックしてみてくださいね。