室谷さん、この補助金、名前がすごく長いですよね。国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費補助金(2次公募)って。読むだけで疲れちゃいます(笑)。
確かに長いですね(笑)。ただ、名前を分解すると意味が分かりますよ。「国際ルール形成」は世界の基準づくり、「市場創造型」は新しい市場を作る、「標準化推進」は標準を進める。つまり、国際基準やルールづくりを通じて市場を創り出すことを後押しする補助金なんです。
へえ、かっこいいですね!でも、具体的にどんな事業が対象になるんですか?
大きく分けて2つのタイプがあります。1つは、ISOやIECといったデジュール規格の開発に着手する前の段階で、国内外の市場調査などを行う「標準開発フィージビリティ・スタディ(FS)調査補助事業」です。
フィージビリティ・スタディ……。つまり、実現可能性の調査ですね?
その通り。もう1つは、社会課題の解決と事業の持続可能性を両立させる国際的なルール、つまりフォーラム標準の構築活動に取り組む「ルール形成を用いた社会課題解決型市場形成促進補助事業」です。
フォーラム標準っていうのは、ISOみたいな公的な機関が作るんじゃなくて、民間の団体が作る基準のことでしたっけ?
よく覚えましたね。そう、ISOやIECの公的な標準化プロセスを経ずに、特定の利害関係者から構成された組織がコンセンサス(合意)に基づいて制定する基準です。つまり、業界団体が集まって「この技術を業界標準にしよう」と決めるような活動ですね。
この補助金の特徴標準化で市場創出
国際標準やルール形成で新市場を切り開く
2つの事業タイプ
FS調査とフォーラム標準構築の2本立て
補助率2/3
対象経費の3分の2を補助、上限3,000万円
そもそも、なぜ国際標準づくりが補助金の対象になるんですか?
標準が決まると、その技術や製品が市場で広がりやすくなるからです。例えば、ある製品の規格が国際標準になれば、世界各国で同じ基準で作りやすくなる。つまり、標準化は「市場を作る道具」なんですね。
ああ、だから「市場創造型」なんですね!ルールを作る側に立てると、ビジネスで有利になる、と。
その通りです。だからこそ、国としても、民間の標準化戦略活動を支援する必要があるわけです。単なる研究開発とは違う、視点の広さが求められる補助金ですね。
この2つのタイプ、どちらを選ぶかでできることが変わりますよね。
ええ。簡単に言うと、FS調査は「将来のISO/IECを目指した事前調査」、ルール形成型は「民間発の基準づくり」です。事業計画に合わせてどちらかを選ぶ必要があります。
選んだ事業タイプ以外の標準化活動にはお金を使えない、という理解で合ってますか?
はい、そこは重要です。FS調査では、ISOやIEC以外のフォーラム標準やデファクト標準に関する費用は計上できません。逆に、ルール形成型では、ISO・IEC等のデジュール標準化活動の費用は対象外です。きっちり線引きされています。
2つの事業タイプを比較| 項目 | FS調査補助事業 | ルール形成型補助事業 |
|---|
| 内容 | ISO/IEC規格開発前の市場調査 | フォーラム標準の構築活動 |
| 対象外 | フォーラム標準・デファクト標準 | ISO/IEC等のデジュール標準化 |
これは間違えやすいポイントですね。自分の事業がどのタイプに当たるか、最初にしっかり判断しないと。
そう。そして、1件の提案で両方の審査を受けることはできません。どちらか一方を選択して提案する、というルールです。
いよいよお金の話ですね!いくらもらえるんでしょうか?
補助率は、補助対象経費の2/3以内です。つまり、かかった費用の3分の2が補助されます。そして、補助上限額は**3,000万円(税抜)**です。
3分の2で上限3,000万円……。かなり大きいですね!
ただし、具体的な補助金額は「補助上限額と補助対象経費の2/3のうち小さい額」です。上限まで確実にもらえるわけじゃなく、実際の経費に応じて決まります。あくまで上限が3,000万円です。
なるほど、予算の上限と経費の2/3を比べて、小さい方が支給額になるんですね。
そうです。それから、この上限額は「最終的には事務局との調整により決定」とあります。応募した事業内容と相談しながら、適正な金額が決まるのでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助率 | 補助対象経費の2/3以内 |
| 補助上限額 | 3,000万円(税抜)※最終的には事務局との調整により決定 |
| 採択予定件数 | 5〜10件 |
例えば、補助対象経費が1,500万円の場合。その2/3は1,000万円ですね。今回は上限3,000万円の方が大きいので、補助額は1,000万円です。
じゃあ、4,500万円の経費なら、2/3は3,000万円でちょうど上限に達する、と。
完璧です!4,500万円の2/3が3,000万円なので、補助額は上限いっぱいの3,000万円になります。さらに経費が増えても、補助額は3,000万円で頭打ちです。
なるほど。上限を超えた分は全額自己負担ってことですね。大きな事業を計画するなら、経費の割り振りをしっかり考えないといけませんね。
そうですね。それと、補助対象経費として認められるには、その経費が事業に必要なことの証明が必須です。あとで詳しく見ていきますが、ここはよく注意してください。
申請資格について詳しく教えてください。個人事業主でも可能なんでしょうか?
応募資格の冒頭には「民間事業者等」とあります。株式会社や合同会社はもちろん、一般社団法人なども含まれるでしょう。個人事業主が明確に含まれるかどうかは、公募要領でご確認いただくのが確実です。
やはり確認が必要なんですね。では、海外に拠点がある会社は?
「日本国内に拠点を有していること」が要件です。ですから、海外だけに拠点がある会社は対象外と考えます。国内に事業所やオフィスがあることが必要です。
その可能性は高いですが、正確なところは公募要領の解釈によります。やはり、気になる方は事務局に問い合わせるのが安全ですね。
よくある売上要件とか、従業員数の条件はあるんですか?
基本情報を見る限り、従業員数の制約はありません。その代わり、きちんと事業を遂行できる組織・人員・経営基盤があるかどうかが確認されます。具体的には、資金管理の能力や、事業の中で知り得た情報の秘密保持が徹底できること、などです。
スタートアップでもチャンスがあるってことですね。ただ、事業を回せる体制じゃないとダメ、と。
そう。補助金をもらって終わりではなく、事業の成果を社会に出すところまで求められます。あと、経済産業省が進めるEBPMの取り組みへの協力も要件に含まれています。
はい。政策を効果的にするために統計などを分析する取り組みです。補助事業者も、その趣旨を理解して協力することが求められているんですね。難しいことはありませんが、応募書類にその旨記載が必要かもしれません。
| 応募資格(公募要領より抜粋) | 内容 |
|---|
| 国内拠点 | 日本国内に拠点を有していること |
| 組織・人員 | 事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること |
| 経営基盤 | 必要な経営基盤と資金管理能力を有していること |
| 停止措置 | 経済産業省からの補助金交付等停止措置等を受けていないこと |
| 秘密保持 | 事業で知り得た情報の秘密保持を徹底できること |
| EBPM協力 | 経済産業省におけるEBPMに関する取組に協力すること |
コンソーシアム形式で申請できます。その場合、幹事者を決めて、幹事者が事業提案書を提出してください。幹事者は、業務の全てを再委託することはできません。つまり、主たる事業は幹事者が主体的にやらないといけない、ということです。
そうです。提出書類も幹事者の名前で揃えることになるでしょう。連携する企業が多いと、役割分担や情報共有のルールを最初にしっかり決めておかないと、後でトラブルになりかねません。
それは大事ですね。あと、応募資格に「暴力団排除に関する誓約書」もありましたが。
はい、提出書類の一つに含まれています。反社会的勢力ではないことを誓約する書類です。多くの補助金で求められる定番の書類なので、名前は知っておいて損はないですよ。
主なものは、人件費、職員旅費、委員等旅費、会場費、謝金、補助員人件費、翻訳費、消耗品費、備品費、印刷製本費、設備・ソフトウェア等導入・整備費、借料及び賃料、その他諸経費です。
人件費が入ってるのはありがたいですね。具体的にどう計上するんですか?
人件費は、事業に直接従事する人の直接作業時間に応じて計上します。つまり、この補助事業に何時間使ったかを記録しておく必要があります。ここは後で実績報告の際に証拠が求められるところです。
はい、事業に必要な国内出張と海外出張の旅費が対象です。ただ、委員会や講演会などに出席した外部専門家に支払う旅費は「委員等旅費」として別に計上します。職員の出張と外部の専門家の出張で科目が分かれているので注意してください。
備品費は、1年以上継続して使用でき、当該事業のみで使用されることが確認できるものが対象です。つまり、事業専用の備品じゃないと認められにくい、ということですね。
じゃあ、従業員全員が使うコピー機とかはダメですか?
全員が使う共用のコピー機は、事業専用とは認められにくいでしょう。ここは「当該事業のみで使用される」ことが確認できて初めて対象になります。設備・ソフトウェア等導入・整備費も同様に、補助事業終了後も事業の目的以外に利用できません。
結構厳しい条件ですね。うまく使うには、事業専用の機器を明確に分けて管理する必要がありそうです。
事業タイプごとの対象外があります。FS調査補助事業では、ISOやIEC以外のフォーラム標準やデファクト標準に関する費用は対象外。ルール形成型では、ISO・IEC等のデジュール標準化活動に関する費用が対象外です。
じゃあ、2つのタイプをまたいだ事業計画は作れない、ということですね。
その通りです。どちらか一方の事業として提案し、その事業に必要な経費だけを計上してください。あと、経費全般に言えることですが、原則として交付決定日以降に契約・発注し、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限られます。
採択前に契約しちゃったらダメってことですね。注意が必要です。
そう。あと、見積もりも大事です。経済性の観点から、可能な範囲で相見積もりを取り、最低価格を提示した業者を選定する必要があります。違う業者を選ぶ場合には、選定理由書を整備しなければなりません。
経費の考え方- 人件費・旅費・会場費など幅広く対象
- 補助率2/3で手厚い
- 上限3,000万円で大きな事業も対応
×デメリット
- 事業専用の備品でないと認められない
- 交付決定日後の契約が必要
- 相見積もりや証拠書類の整備が必要
申請の流れを教えてください。まず何から始めればいいですか?
まず、電子申請システム「Jグランツ」を利用するために、GビズIDプライムアカウントを取得します。これはもう、必須の第一歩です。
GビズIDって、法人の手続きでよく出てくるあれですよね。
そうです。オンライン申請なら最短即日、書類郵送なら原則2週間以内で発行されます。公募締切に間に合うように、早めに手続きを進めましょう。
ちなみに、このIDって他の人と共有してもいいんですか?
ダメです。GビズIDの利用規約に反する行為ですし、トラブルの原因になります。アカウントとパスワードは、外部の支援者にも絶対に開示しないでください。
公募要領と交付規程を細かく読むことですね。対象経費や応募資格、提出書類がびっしり書いてあります。この記事で概要を掴んだら、必ず原本を確認してください。
書類が多いですよね。申請書、事業提案書、補足説明資料、調査票、賃金引上げ計画の表明書、暴力団排除に関する誓約書、チェックリスト……。
それぞれの様式がJグランツのページからダウンロードできます。たとえば、事業提案書は、FS調査補助事業用とルール形成型用で様式が分かれています。間違えないように気をつけましょう。
フォームに沿って入力する形です。ただ、入力情報は必ず申請者自身が理解して確認してください。外部の支援者に任せっぱなしはNGです。わからない用語があれば、そのままにせずに調べるか問い合わせるようにしましょう。
令和8年9月8日です。Jグランツの受付もその日までです。締切間際はアクセスが集中して、操作が遅くなることも予想されます。余裕をもって送信しましょう。
申請までのステップ- 1
GビズIDプライムアカウントを取得
オンライン最短即日、郵送は2週間以内
- 2
公募要領・交付規程を確認
対象経費・様式・提出方法を把握
- 3
- 4
Jグランツで入力・送信
9月8日まで。申請者本人が確認
採択されるためには、何を一番意識すればいいですか?
この補助金の目的を思い出してください。「標準化戦略活動や市場創出等の促進」です。つまり、標準化をやればいいわけではなく、それがどう市場創出につながるかを明確に示すことが大事です。
ISOやIECの規格開発に着手する前に、その国内外の市場調査をどれだけ具体的に計画しているかですね。調査項目、対象地域、調査方法まで踏み込んだ計画が求められます。
社会課題の解決と事業の持続可能性を両立させるフォーラム標準の構築です。つまり、単に業界の基準を作るだけでなく、社会課題が解決され、その事業が継続していけるモデルになっているかが審査のポイントになります。
多いのは、補助対象経費の計上ミスです。たとえば、FS調査事業なのにフォーラム標準の費用が入っている、といったケース。事業タイプごとの対象外をしっかり確認してください。
そうですね。人件費は、事業に直接従事した作業時間を記録し、それに対応する人件費を計算します。この記録がないと、補助対象として認められない可能性が高いです。勤怠システムや業務日報で、確実に時間管理をしましょう。
必要です。経費の経済性を確認するため、可能な範囲で相見積もりを取り、最低価格を提示した業者を選定してください。もし違う業者を選ぶなら、理由を明らかにした「選定理由書」を整備します。
事務処理まで見据えた計画が大事なんですね。正直、ハードルが高いと感じますが、きちんと準備すれば可能性を広げられそうです。
今回の2次公募のスケジュールを改めて教えてください。
募集期間は令和8年8月7日から令和8年9月8日です。そして、公募説明会が8月21日(金)15時からオンラインで予定されています。事前登録が必要です。
正直、参加をおすすめします。制度の狙いや、採択するにあたって重視するポイントが直接聞けるからです。録画データや資料が後から公開されることもありますが、やはり生で聞くと理解が違いますよ。
なるほど。申請を迷っている人ほど、説明会で話を聞いてみるのが良さそうですね。
採択されたら、いつまでに事業を終えればいいんですか?
事業期間は、交付決定日から**令和9年2月26日(金)**までです。この期間内に補助事業を実施し、経費の支払いも完了させる必要があります。
意外と短期決戦ですね。事業計画を立てるときは、この期間内に収まるようにしないと。
そうなんです。調査やルール形成は時間がかかるので、工程管理が重要です。採択後にあわてないよう、応募の時点で具体的なスケジュールとマイルストーンを計画しておきましょう。
令和8年度2次公募スケジュール2026年8月7日
公募開始
2次公募の受付スタート
2026年8月21日
公募説明会
15時〜 オンラインで開催
2026年9月8日
応募締切
Jグランツで受付終了
2026年度内
交付決定
審査を経て採択・交付決定
2027年2月26日
事業期間終了
実績報告と支払い完了が必要
最後に、この補助金の基本情報を表にまとめてもらえますか?
ここからは、よくある質問をいくつか見ていきたいと思います。まず、個人事業主でも申請できますか?
応募資格には「日本国内に拠点を有している民間事業者等」とあります。個人事業主の扱いが明確に書かれていないので、申請を検討する場合は、公募要領をご確認のうえ、事務局に問い合わせるのが確実です。事業を遂行する組織・人員・経営基盤の要件は満たす必要があります。
2つの事業タイプの両方に申請することはできますか?
できません。1件の提案について、2つの補助事業の審査を受けることはできないとされています。どちらか一方を選択して提案してください。
一般的な流れとしては、事業完了後に実績報告を提出し、その内容が確認された後に支払われます。この補助金で概算払いが可能かどうかは、公募要領・交付規程をご確認ください。
うまくいって採択されたら、事業は期間内に絶対終わらせないといけませんか?
事業期間は交付決定日から令和9年2月26日(金)までです。この期間内に事業を完了し、支払いを終えないと補助対象にならない可能性があります。スケジュール管理が本当に大事です。