室谷さん、今回取り上げるのは「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」ですよね。名前が長い! まず何の補助金なのか、ざっくり教えてください。
はい、これはひとことで言うと「スーパーや食品工場、冷凍倉庫の冷凍・冷蔵設備を、地球に優しい冷媒を使う最新機器に入れ替えるとお金がもらえる」制度です。環境省の令和8年度予算による補助金で、実際の窓口は一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構、JRECO(ジェイレコ)です。
省エネ設備の補助金ってよくありますけど、これは「冷媒」に注目したタイプなんですね。
そこがミソです。業務用の冷凍冷蔵機器は、これまで温室効果の高いHFC、ハイドロフルオロカーボンを冷媒とする機器が多く使われてきました。それをアンモニア、二酸化炭素、空気、水といった自然冷媒に置き換えていこう、というのが狙いです。
そうなんですよ。しかも、ただ冷媒を変えるだけでなく、エネルギー効率の高い機器、つまり「脱炭素型自然冷媒機器」を市場に普及させることが目的だと明記されています。
「コールドチェーン」って、日本語にすると何なんですか?
環境省の発表資料では、業務用冷凍冷蔵機器は「我が国のコールドチェーンを支える重要なインフラ」と説明されています。要は、食品が生産されてから食卓に届くまでの低温物流の流れ、そのものです。冷凍・冷蔵機能を維持するために多量のエネルギーが消費され、さらに冷媒の漏えいや廃棄時の未回収でフロン類が出てしまう。
なるほど、スーパーの棚に並ぶまでずっと冷やし続ける、あの流れか。エネルギーと冷媒、両方が問題なんですね。
そのとおりです。しかも国際的に合意されたモントリオール議定書キガリ改正に基づくフロン類の段階的削減への対応も課題として挙げられていて、使用する冷媒をフロン類ではなく温室効果の小さい自然冷媒へ転換していくことが有効な対策になる、という流れです。
世界的な約束事が背景にあるんですね。規模が大きい。
この補助金、ひと言でいうと「設備の買い替え支援」ですか?
冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗におけるショーケースその他の脱炭素型自然冷媒機器を導入する事業に要する経費の一部を補助する、という形です。エネルギー起源二酸化炭素の排出抑制と、温室効果ガスであるフロン類の排出抑制、その両方が目的として掲げられています。
対象になる場所が決まっているんですね。工場ならどこでも、ではないと。
そう、そこはすごく大事なポイントです。この3つの場所に当てはまるかどうかで、そもそも申請できるかが変わってきます。
この制度の特徴脱炭素型自然冷媒機器が対象
アンモニア、二酸化炭素、空気、水などの自然冷媒を使用し、エネルギー効率が高い機器
対象は3つの場所
冷凍冷蔵倉庫・食品製造工場・食品小売店舗
全国・従業員数の制約なし
対象業種は製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業
補助率は原則1/3以下
補助上限は50,000万円。詳細は公募要領で確認
いちばん気になる金額です。いくらもらえるんですか?
補助金の上限は50,000万円、補助率は原則1/3以下です。jGrantsの掲載では補助上限額が500,000,000円と表記されています。
5億円……! インパクトありますね。でも「万円」で言うと50,000万円なんだ。桁が大きくて読むのが大変(笑)。
そうですね(笑)。ただ、これはあくまで上限であって、誰でも満額もらえるわけではありません。公募の注意書きに「補助金の予算の範囲で補助事業を選定し、補助金を交付します」と明記されています。その範囲の中で交付額が決まる仕組みです。
はい。しかも「対象事業の要件に適合する提案であっても、応募内容によっては補助額の減額または不採択とする場合もあります」とされています。ここは覚えておいてください。
補助率1/3以下、というのは具体的にどう計算するんですか?
たとえば事業費が3億円なら、その3分の1で1億円。これが補助額の目安になります。上限の50,000万円に届くのは、事業費が15億円くらいの規模のときですね。
15億円の設備投資って、相当な規模だ。ということは、多くの事業者にとっては上限よりも「1/3」のほうが効いてくる数字ですね。
そうなります。しかも「原則」1/3以下なので、事業内容によっては1/3より低い設定になる可能性もあります。補助率についての詳細は「令和8年度公募要領」に書かれているので、そこで必ず確認してください。
なるほど! 1/3が固定だと思い込まないほうがいいんですね。
では表にしておきましょう。募集期間や対象地域も一緒に確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度(秋公募)コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業 |
| 補助上限額 | 50,000万円(500,000,000円) |
| 補助率 | 原則1/3以下(詳細は令和8年度公募要領を確認) |
| 応募受付期間 | 令和8年9月14日(月)~ 令和8年10月13日(火)17時必着 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 製造業/運輸業、郵便業/卸売業、小売業 |
| 従業員数の上限 | 従業員数の制約なし |
| 利用目的 | 新たな事業を行いたい/設備整備・IT導入をしたい/エコ・SDGs活動支援がほしい |
| 実施機関(執行団体) | 一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO) |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WfQ000003EVJxUAO |
ありがとうございます! これ一枚あると頭が整理されます。
業種の指定があります。製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業の3つです。従業員数の上限は設けられていません。
従業員数の制約がないのはありがたい。中小企業限定、みたいな縛りでもないんですか?
掲載情報では従業員数の制約なし、とされています。ただ、業種と、次に話す「場所」の条件は必ず確認してください。ここが入口の関門です。
分かりました。まずは自社の業種が当てはまるか、ですね。
冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、そして食品小売店舗におけるショーケースその他の脱炭素型自然冷媒機器——この3か所です。
スーパーのショーケースが入っているのは、けっこう身近に感じますね。
そうですね。食品の小売店舗で使う冷凍冷蔵の設備も対象になります。逆にいうと、この3か所に当てはまらない施設は対象外ということなので、検討の最初にここをチェックしましょう。
なるほど! 設備の種類より、まず場所から考えるんですね。
対象地域は全国です。北海道でも沖縄でも、同じ条件で応募できます。
それは分かりやすい! 東京だけ、地方だけ、みたいなややこしさがないのは助かりますね。
そうですね。ただ、応募受付期間が決まっているので、そこはスケジュール管理が大事になってきます。準備に時間がかかる書類もありますから。
公表されているのは「冷凍冷蔵倉庫・食品製造工場・並びに食品小売店舗におけるショーケースその他の脱炭素型自然冷媒機器を導入する事業に要する経費の一部を補助します」というところまでです。細かい線引きは公募要領に書かれていますので、そこを確認する必要があります。
そうなんです。だからこそ、申請前に必ず公募要領を開いて、対象経費の一覧を自分の目で確認してください。ここを飛ばして見積もりだけ進めると、後で困ります。
じゃあ、この補助金が向いているのはどんな会社ですか?
冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗のいずれかで、脱炭素型自然冷媒機器への入れ替えを考えている事業者さんですね。省エネとフロン削減を同時に進めたい、という目的にも合っています。
補助率が原則1/3以下なので、残りの費用は自己負担になります。資金計画は先に立てておく必要があります。あと、予算の範囲で選定されるので、必ず通るとは限らない点も頭に置いておきましょう。
はい。応募内容によっては減額や不採択もある、と明記されていますから、期待しすぎず、準備をしっかりやる。それが結局いちばん近道です。
この補助金のいいところ・注意点- 補助上限は50,000万円と規模が大きい
- 補助率は原則1/3以下
- 対象地域は全国、従業員数の制約もなし
- 年度をまたぐ複数年度事業も秋公募の対象
×デメリット
- 残りの費用は自己負担になる
- 補助金の予算の範囲で選定される
- 応募内容によっては減額・不採択がある
- 対象経費の細目は公募要領での確認が必要
実際に応募するとなったら、何から手を付ければいいですか?
まずはJRECOの補助金事業ホームページを開いて、公募要領と様式をダウンロードするところからです。応募に必要な申請書式は「様式1」「別紙1」「別紙2」の3つ。必ず指定の様式をホームページからダウンロードして作成してください。
ダウンロードして作る、と。市販の書式とかじゃダメなんですね。
ダメです。指定の様式でないと受け付けてもらえません。ここは最初に押さえておきましょう。
jGrantsのページには「ログインして申請する」という導線が用意されています。この電子申請を使うには、事前にGビズIDの取得が必要です。取得に時間がかかる人が多いので、応募受付が始まる前に準備しておくのがおすすめです。
なるほど、締切直前にGビズIDを取りに行くのは危険だと。
そうですね。締切は令和8年10月13日(火)17時必着です。「必着」なので、その時刻に届いていないと終わりです。余裕を持った提出を心がけてください。
はい、公募要領に「なお、郵送等による申請も可能です。詳しくは公募要領を参照ください」と書かれています。郵送の場合の宛先や部数のルールは、公募要領の記載に従ってください。
電子が苦手な会社でもチャンスがあるのはいいですね。
そうですね。あと、jGrantsのページでは代理申請が可能とされています。申請の手間を外部に任せる、という選択肢もあります。手順の全体はこの図のとおりです。
応募から事業実施までの流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要。時間がかかるので早めに準備
- 2
公募要領と様式をダウンロード
JRECOの補助金事業ホームページから
- 3
- 4
応募受付期間内に提出
電子申請または郵送等。10月13日17時必着
- 5
- 6
交付決定後に事業を実施
翌年度の令和10年2月29日まで(2箇年度)
大前提として、予算の範囲で選定されるというルールがあります。つまり、要件を満たしているだけでは足りなくて、限られた枠の中で選ばれる必要がある、ということです。
競争があるんですね。倍率とかは公表されてるんですか?
掲載情報からは分かりません。ただ、申請内容によって減額や不採択があると明記されているので、内容の作り込みは必須です。
まず、対象の3か所——冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗——のどれに当てはまるかを明快に示すこと。そして、導入する機器が脱炭素型自然冷媒機器であること、つまり自然冷媒を使っていてエネルギー効率が高いこと。この2点を丁寧に書くのが基本です。
公表されている例では、アンモニア、二酸化炭素、空気、水などが挙げられています。どの機器が要件を満たすかは個別の確認が必要なので、公募要領と照らし合わせてください。
なるほど! 思い込みで「たぶん対象」と進めるのがいちばん危ないと。
締切が17時必着であること、指定様式を使うこと、そして秋公募は複数年度事業に限定されていること。この3つは特に落とし穴になりやすいポイントです。
それは次のセクションで詳しく話しましょう。ここ、けっこう大事な違いなんです。
応募受付は令和8年9月14日(月)から令和8年10月13日(火)17時までです。環境省の報道発表でも同じ日付が示されています。
そうなんです。設備の見積もりを取って、書類をそろえて……と考えると、1か月はあっという間です。早めに動き出しましょう。
秋公募で執行される補助事業の実施期間は、複数年度事業、つまり国庫債務負担行為に該当する事業で、初年度の交付決定日以降から翌年度の令和10年2月29日まで、2箇年度となります。
そういうことです。単年度で完結する小さい買い物というより、年度をまたぐ規模の設備導入を想定している、と読めます。
なるほど! だから「秋公募は複数年度事業に限定」なんですね。
あります。令和8年度は春公募が令和8年4月24日から5月25日まで実施されていて、その交付先はJRECOのサイトで公開されています。秋公募は9月14日から10月13日です。
秋公募は「複数年度事業に限定して実施する」という点が明記されています。春公募の内容とあわせて、JRECOのページで確認するのが確実です。
令和8年度のスケジュール令和8年4月24日
春公募 開始
5月25日まで。交付先はJRECOのサイトで公開
令和8年9月14日
秋公募 開始
応募受付スタート
令和8年10月13日
応募締切
17時必着
交付決定日以降
事業実施期間
翌年度の令和10年2月29日まで(2箇年度)
同じ制度の年2回の募集です。環境省の報道発表でも、春公募は4月24日から5月25日、秋公募は9月14日から10月13日と案内されています。
秋公募は複数年度事業に限定されている点が明確な違いです。年度をまたぐ計画なら秋公募、という判断になります。単年度で完結する事業の扱いは公募要領で確認してください。
なるほど! 自分の事業が何年度にまたがるかで選ぶんですね。
どういう事業者が選ばれているかを知る材料になります。応募前の下調べとして、一度目を通しておくといいですよ。
そこは掲載情報に記載がありません。公募要領で要確認というのが正確な答えです。
なるほど、勝手に「大丈夫」と言っちゃいけないところですね。
そうですね。併用の可否は制度ごとにルールが違うので、必ず一次情報で確認しましょう。この記事でも、確認が取れていないことは断定しません。
春公募と秋公募の違い- 令和8年4月24日~5月25日
- 交付先が公開されている
- 令和8年9月14日~10月13日
- 複数年度事業に限定して実施
従業員数の上限は設けられていないので、人数の条件で弾かれることはありません。業種が製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業のいずれかに当てはまるか、そして対象の3か所での導入かを確認してください。
はい。まず場所、次に業種、そして予算とスケジュール。この順番で考えていくと整理しやすいです。
分からないことがあったら、どこに聞けばいいですか?
ありがとうございます。締切前に質問が集中しそうなので、早めに聞いたほうがよさそうですね。
そのとおりです。公募要領を読んでも分からないことは、遠慮なく問い合わせてください。
最後に、この制度のポイントをもう一度お願いします。
補助上限は50,000万円、補助率は原則1/3以下。対象は冷凍冷蔵倉庫・食品製造工場・食品小売店舗での脱炭素型自然冷媒機器の導入。応募受付は令和8年9月14日から10月13日17時必着で、対象地域は全国です。
対象業種は製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業の3つ。従業員数の制約なし。秋公募は複数年度事業に限定、と。
完璧です。あとは公募要領を開いて、自社の事業が当てはまるか確認するだけです。最初の一歩を踏み出してください!