室谷さん、今回のテーマは「未来型新エネ実証制度」ですよね。まずどういう制度なんですか?
新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業という大きな枠組みの中の、実証に特化した支援制度です。正式には「2026年度第2回『新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業』(未来型新エネ実証制度)」という名前で公募されています。
名前が長い!(笑)実施しているのはNEDOですよね。
そうです。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、通称NEDOですね。再生可能エネルギーの導入促進・普及拡大、低炭素・脱炭素化技術の開発促進に貢献する研究開発を支援するのが目的です。
再エネの主力電源化に向けた支援、というイメージで合ってますか?
合ってます。NEDOの公式ページでも「再生可能エネルギーの主力電源化の達成に資する技術の早期実用化」に向けて、実証事業を支援すると説明されています。単なる基礎研究というより、社会実装を見据えたステージですね。
同じ事業の中に「新エネ中小・スタートアップ支援制度」もあると聞きました。どう違うんですか?
新エネ中小・スタートアップ支援制度は、中小・スタートアップ企業等の技術シーズを発掘して、フィージビリティ・スタディ(FS)から基盤研究、実用化研究開発まで、フェーズに分けて支援します。未来型新エネ実証制度は、その中でも「実証」に絞っているのが特徴です。
実証に特化しているから、より実用化に近い段階ってことですか?
そう捉えるといいですね。未来型では、発電コストの低減や地域特有の再生可能エネルギー源との共生など、再エネ大量導入の課題解決に向けた取組を支援します。しかも、事業期間終了後1年以内での事業化を目指すと明記されています。
はい。NEDOのページに、福島イノベーション・コースト構想の推進につながる再生可能エネルギー分野の技術開発について支援を強化し、福島県浜通り地域の復興・再生に貢献する、とあります。
地元に根ざしたプロジェクトは歓迎される可能性があるんですね。
その方向性が読み取れますね。あくまで制度の目的として書かれている内容ですが、応募を検討する際には意識しておいて損はないと思います。
未来型新エネ実証制度の特徴実証支援に特化
再エネの大量導入に向けた課題解決の実証事業を支援
中小・大企業が対象
中小企業等単独または大企業と中小企業等の連携体制
対象分野は5つ
風力・海洋・水力・地熱・バイオマスエネルギー
未来型新エネ実証制度は、中小企業等および大企業を対象としています。NEDOの公募ページでは「中小企業等単独または大企業と中小企業等が連携して取り組むものであること」と書かれています。
つまり大企業だけ単独ではダメで、中小企業等と組む必要があるってことですか?
その可能性が高いですね。ただし、あくまで公募ページの記載ベースです。単独で応募できるケースや業種ごとの要件は、公募要領で確認した方が確実です。
jGrantsの情報を見ると、対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」となっていますよね。研究機関しかダメなんですか?
いえ、NEDOの公募ページでは「中小企業等および大企業を対象」と説明されています。jGrantsの業種分類とNEDO側の説明に差があるので、ここは注意が必要です。
それは提示されている情報からは断定できません。自社の業種が該当するかどうかは、公募要領を確認するか、NEDOの事前相談で聞くのが確実です。事前相談は通年で受け付けています。
jGrantsの表示では「従業員数の制約なし」となっています。人数を理由に門前払い、ということはなさそうですね。
実施体制の条件を満たせば、ですね。ただし「制約なし」と「採択されやすい」は別の話。事業内容や体制の具体性はしっかり見られますから、そこは覚悟しておいてください(笑)。
jGrantsの基本情報では、対象地域は全国です。福島県浜通り地域への支援強化はありますが、応募自体は全国からできると表示されています。
ええ。再エネの実証は設置場所や地域特性が重要なので、全国の事業者が対象になるのは大きいですね。
気になるのはお金です。補助率はどうなってるんですか?
NEDOの公募ページでは、中小企業等は2/3以内、大企業は1/2以内と記載されています。さらにNEDO負担額は3億円以内という枠が示されています。
おお、NEDO負担額って3億円以内なんですね。でも補助上限額は「-」って書いてあるページもありますよね?
そこがややこしいところで、jGrantsの概要ページでは補助上限額が「-」となっています。NEDOの公募ページには「NEDO負担額:3億円以内」とあるので、上限の考え方は公募要領で確認しましょう。
| 項目 | 中小企業等 | 大企業 |
|---|
| 補助率 | 2/3以内 | 1/2以内 |
| NEDO負担額 | 3億円以内 | 3億円以内 |
| 事業期間 | 原則3年以内 | 原則3年以内 |
そうですね。ただし、この数値はNEDO公募ページの記載で、jGrantsの基本情報では補助率も「記載なし」扱いです。申し込む前に必ず公募要領と照合してください。
原則として3年以内です。地元合意を形成するための事前準備が必要な場合は、最大1年間の事前準備期間を設けられます。
事業が終わったら、すぐ事業化が求められるんですね。
未来型では事業期間終了後1年以内での事業化を目指すことになっています。実証で終わらせない計画づくりが不可欠です。
2026年度の公募で対象になっているのは、風力エネルギー、海洋エネルギー、水力エネルギー、地熱エネルギー、バイオマスエネルギーの5分野です。NEDOのページには「対象分野は年度ごとに見直しを行います」とあります。
未来型新エネ実証制度の対象分野には、この5つが掲げられています。太陽光や蓄電池などは、同じ事業の中の「新エネ中小・スタートアップ支援制度」の対象分野に入っていますね。
2025年度の未来型新エネ実証制度では、風力エネルギー分野で「洋上風車タワーへの高張力鋼の適用に向けた技術開発実証」、海洋エネルギー分野で「新型油圧発電システムを用いた波力発電装置の実証試験」が採択されています。
波力発電や洋上風力は、まさに未来型って感じがしますね。
2024年度も海洋エネルギー分野の波力発電や、バイオマスエネルギー分野のCO2回収のテーマが採択されています。あくまで過去の例ですが、制度の狙いが見えてきますよね。
補助対象になる経費は何を基準に確認すればいいですか?
今回の提示情報には、人件費や設備費といった細かい経費区分の記載がないんです。だから「何が対象になるか」は、2026年度公募要領の経費項目を確認する必要があります。
「これは絶対に経費にならない」という線引きも公募要領次第ですか?
そうです。基本は研究開発・実証に対する補助ですから、事業内容と直接関係する費用が対象になると考えられますが、具体的な線引きは公募要領で確認してください。勝手に判断すると申請書類が台無しになりますよ(笑)。
対象になり得る事業と注意点- 発電コスト低減につながる実証
- 地域特有の再エネ源と共生する実証
- 新技術の確立や新発電・供給システムの設計
×デメリット
- 細かい経費区分は公募要領での確認が必要
- 対象分野は年度ごとに見直しあり
- 事業終了後1年以内の事業化を見据えた計画が必要
今回の第2回公募は、2026年8月7日から2026年9月7日までです。NEDOの公募ページには別の回次と思われる時期の案内もあるので、公式ページで回次を確認してくださいね。
まずは公募要領と提案用書類等チェックリストをダウンロードして、必要書類をそろえます。その上で電子申請システム「Jグランツ」で応募します。
Jグランツでの申請にはGビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要です。持っていない人は先に取得しましょう。持参・郵送・FAX・Eメールでの提出は原則受け付けないので、電子申請が必須です。
Jグランツでの申請ステップ- 1
GビズIDを取得
プライムまたはメンバーのアカウントを準備
- 2
公募要領を入手
NEDO公式ページから2026年度公募要領をダウンロード
- 3
書類を作成
提案書類等チェックリスト・様式1(情報項目ファイル・積算表)などを用意
- 4
事前相談を利用
通年受付。事前相談様式を提出してNEDO担当者と相談
- 5
Jグランツで申請
募集期間内に電子申請。余裕をもって提出
NEDOの公募ページの資料欄に、「提案用書類等チェックリスト(2026年度未来型)」や「様式1:情報項目ファイル・積算表」などの資料があります。まずはここを確認するところから始まります。
チェックリストって名前の通り、もれ防止に使えますか?
使えますね。必要な書類を一覧で確認して、提出前に「漏れがないか」をチェックするのに便利です。更新情報で差し替えられていることもあるので、最新版をダウンロードしてください。
NEDOのページによると、公募締め切りから採択決定まで90日程度、採択決定から交付決定(事業開始)まで60日程度かかる見込みです。
採択されてから事業開始まで、さらに2ヶ月ほど見ておく必要があるんですね。
そうですね。実証の準備には時間がかかりますから、採択後を見越した準備も考えておきたいです。
公募〜事業開始の目安2026年8月7日
公募開始
第2回公募の受付開始
2026年9月7日
応募締切
Jグランツで電子申請
締切から約90日
採択決定
約90日程度かかる見込み
採択後約60日
交付決定・事業開始
交付決定後に事業開始
採択されるために、どこをアピールすればいいですか?
未来型新エネ実証制度は、NEDOが設定する2026年度技術実証課題一覧表に掲げる課題に合致する提案を公募する仕組みです。まずは自分のテーマがその課題にどう対応するかを明確に示すことが大前提です。
はい。NEDOの公募ページでも「2026年度技術実証課題一覧表(未来型新エネ実証制度)に掲げる課題」への合致が条件とされています。公募要領で必ず確認してください。
課題への合致以外に、評価されやすいポイントはありますか?
未来型は、事業期間終了後1年以内での事業化を目指すと明記されています。「実証して終わり」ではなく、その先の事業化までの道筋が描けているかが大事です。
なるほど。じゃあ実証データを取るだけじゃダメってことですね。
加えて、発電コストの低減や地域特有の再エネ源との共生など、再エネ大量導入の課題解決にどうつながるのかを説明できるといいですね。
NEDOが「応募を検討されている企業様からの相談を受け付けております」と明記しています。テーマが対象になるか、留意すべき点、フェーズの違いなども確認できるので、活用しない手はないですね。
事前相談様式をダウンロードして必要事項を入力し、相談実施前日までに電子メールで提出します。事業内容や技術概要の資料がすでにある場合は、様式の代わりにその資料を送っても問題ないそうです。
同じ事業の中の2つの制度、どちらを選べばいいか迷いますね。
未来型新エネ実証制度は、実証支援に特化していて、中小企業等だけでなく大企業も対象です。一方、新エネ中小・スタートアップ支援制度は、中小・スタートアップ企業等が対象で、FSから実用化研究開発までフェーズに分かれた支援です。
そうです。新エネ中小・スタートアップ支援制度は、各フェーズ通算して原則最大8年以内で実用化を目指す設計。未来型の事業期間は原則3年以内で、事業終了後1年以内の事業化を目指すから、スピード感が違います。
中小向けから未来型に移るとき、審査があるんですか?
公式ページには「新エネ中小・スタートアップ支援制度から未来型新エネ実証制度へのステージゲート審査は設けていません」と明記されています。
いえ、それは誤解しないでください(笑)。ステージゲート審査がないだけで、それぞれの公募に応募して採択される必要があります。書類の準備は制度ごとに行うことになります。
いいですよ。未来型と新エネ中小・スタートアップ支援制度を並べると、こんな感じです。
同じ事業内の2つの制度を比較| 項目 | 未来型新エネ実証制度 | 新エネ中小・スタートアップ支援制度 |
|---|
| 対象 | 中小企業等および大企業 | 中小・スタートアップ企業等 |
| 主な支援内容 | 実証事業を支援 | FS・基盤研究・実用化研究開発をフェーズ別に支援 |
| 事業期間 | 原則3年以内 | 各フェーズ通算して原則最大8年以内 |
| 補助率 | 中小企業等2/3以内・大企業1/2以内(NEDO負担額3億円以内) | 公募要領で要確認 |
こういう制度ですね。正式名称、実施機関、募集期間、対象地域、対象業種、公式URLをまとめます。
はい。ただし、補助上限額が「-」と表示されている点は注意してください。NEDO負担額の3億円以内という表記もありますが、最終的な上限の考え方は公募要領で確認するのが確実です。
NEDOの公募事務局が事前相談を受け付けています。連絡先は「NEDO『新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業』公募事務局」で、E-mailは venture-pfg1[]ml.nedo.go.jp です。[]を@に変えて使います。
そうです。相談実施前日までに電子メールで提出します。事業内容の資料があれば、様式の代わりに送ってもOKというのも公式ページに書かれています。
代表的な質問に簡潔に答えますね。この後のFAQコメントにも載せておきます。
ありがとうございます。申請を検討する皆さんも、まずはここから確認ですね。
そうですね。公募期間は限られていますが、事前相談や公募要領の確認から始めれば、十分間に合いますよ!