室谷さん、今日は「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金(ウクライナ避難民採用企業コース)」について教えてください!また長い名前ですね(笑)。
長いですよね(笑)。でも中身は意外とシンプルなんです。ウクライナ避難民を採用した企業が、その従業員に日本語教育を行うための費用を東京都が助成してくれる制度です。
補助率なんと10/10です。つまり、かかった経費の全額が助成の対象になります。上限は標準プランで50万円。これはかなり太っ腹ですよ!
マジですか!実質タダで日本語教育ができるってことですね。
そう考えていいです。公式のキャッチコピーも「ウクライナ避難民の就労を後押しします!」ですからね。採用後の定着支援に、ぜひ活用してもらいたい制度です。
この制度の特徴 補助率10/10
かかった経費の全額を助成(上限あり)
中堅・中小企業が対象
東京都内に本社または主たる事業所があればOK
日本語教育が中心
日本語学校への通学や社内研修も対象
標準と短時間の2プラン
50時間で上限50万円、30時間で上限30万円
そもそも、なぜウクライナ避難民専用のコースがあるんですか?
目的は「ウクライナ避難民の就労を後押しする」ことです。避難民の方々が日本で働き続けるには、やはり日本語の壁が大きい。その壁を取り除くために、日本語教育の費用を助成して、就労をサポートしようという趣旨なんです。
なるほど。企業側も「日本語が不安だから雇えない」とは言いづらいですからね。研修費用が全額近く戻ってくるなら、採用のハードルも下がりそうです。
そうですね。しかも、このコースは中堅企業も対象に含まれているのがポイントです。「都内に本社又は主たる事業所がある中堅・中小企業等」とされています。
じゃあ、中小企業だけじゃなくて、ある程度規模の大きい会社も対象になるんですね。
なります。「中堅・中小企業等」というくくりですね。自社が該当するかは、公募要領で確認するのが確実です。
幅広いですよ。漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売業、小売業、医療、福祉…と、ほぼ主要な業種がカバーされています。
入ってます。金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援業も対象です。農業や林業、鉱業なども含まれています。
これはかなり幅広いですね。じゃあ、うちの会社も該当するかも…と期待しちゃいます。
ただ、自分の業種が本当に対象に含まれるかは、公募要領で必ず確認してください。あと、従業員数については「従業員数の制約なし」と明記されていますよ。
従業員数の縛りがないのは大きいですね。小さい会社でも申し込みやすい。
そうなんです。ただし、あくまで「中堅・中小企業等」という区分の範囲内ですから、その辺の線引きはやはり要領の確認をおすすめします。
じゃあ、助成対象になる従業員は誰でもいいんですか?
いいえ、ここが重要です。助成事業実施期間中に継続して直接雇用されている、都内の事業所に勤務する従業員でなければいけません。さらに「ウクライナ避難民証明書」を持っていて、「就労可能な在留資格」を持っていることが条件です。
なるほど。証明書が必要なんですね。派遣社員とかはダメですか?
「直接雇用」が条件なので、自社で直接雇用していることが必要です。あと「都内の事業所に勤務」という要件もあるので、勤務地が都内であることも確認が必要です。
採用するときに、証明書と在留資格の2点は必ずチェックしないといけないですね。
そうですね。採用前に「ウクライナ避難民証明書を持っているか」「就労可能な在留資格を持っているか」を確認して、書類として残しておくのが安心です。
じゃあ次はお金の話を詳しく!この制度、具体的にどのくらいもらえるんですか?
補助率は10/10。プランが2つあって、標準プランは上限50万円、短時間プランは上限30万円です。
補助率10/10って、かかった経費の全額が戻ってくるってことですよね?上限さえ超えなければ。これは本当に太っ腹ですね!
太っ腹ですよ(笑)。ただし、かかったお金すべてが対象になるわけではなく、あくまで「助成対象経費」として認められた範囲です。どんな経費が認められるかは、あとで詳しく説明しますね。
ざっくり言うと、研修時間の長さと助成上限の金額です。標準プランは研修時間が50時間以上で上限50万円。短時間プランは30時間以上で上限30万円。どちらも補助率は10/10です。
じゃあ、研修を30時間で収めたいなら短時間プラン、がっつり50時間以上やるなら標準プランって選び方ですね。
そのとおりです。ただ注意したいのが、交付申請から交付決定まで1か月程度かかる点。研修をいつから始めるか、スケジュールに余裕を持たせてくださいね。
なるほど。申請してからすぐに始められるわけじゃないんですね。
そうなんです。助成対象期間は「交付決定の日から令和9年3月31日(水)まで」なので、決定を受けてから研修を実施するのが基本です。ここを勘違いすると、せっかく申請しても研修期間が足りず、時間数要件を満たせないリスクがあります。
プラン 補助率 助成限度額 必要時間数 標準プラン 10/10 上限50万円 50時間以上 短時間プラン 10/10 上限30万円 30時間以上
表にすると一目瞭然ですね!標準プランは50万円、短時間プランは30万円、どちらも補助率10/10と。
はい。たとえば標準プランで40万円の研修費用がかかれば、その40万円が助成対象になります。上限の50万円を超えなければ、かかった分が全額戻ってくる計算です。
それは助かりますね。研修の規模に合わせてプランを選べばいいんですね。
対象事業は4つあります。①日本語教員による日本語教育、②日本語教材の作成(日本語教員が作成したものに限る)、③ビジネスマナー講座、④異文化理解に係る講座です。
そうです。ただし、ここで大事なルールがあります。③と④、つまりビジネスマナー講座と異文化理解講座は、単体では実施できません。①か②と組み合わせて実施する必要があります。
組み合わせのルールをもう少し詳しく教えてください。
簡単に言うと、①日本語教育だけで完結するパターンか、②教材作成だけで完結するパターンが基本です。③と④は、あくまで①か②にプラスして使うものです。
つまり、①だけでも成立するし、②だけでも成立する。③と④は単体ではダメだけど、①か②とセットならOK、と。
完璧です。補足すると、①を選んだ場合は、①のみの総受講時間数が選択したプランの時間以上である必要があります。②を選んだ場合は、想定学習時間数が選択したプランの時間以上である必要があります。
対象事業の組み合わせ判定 実施する研修の内容は?
①日本語教育を含む ①単独で総受講時間数を満たせばOK
③ビジネスマナーや④異文化理解を追加も可
①を含まない場合 ②教材作成の想定学習時間数で判断
③と④のみの単体実施は不可
なるほど。③と④だけの研修計画だと助成対象にならない、っていうのが重要なポイントですね。
時間数の話が出ましたけど、もう少し具体的に教えてください。
標準プランは合計50時間以上、短時間プランは合計30時間以上です。①日本語教育を選んだ場合は、①の総受講時間数がこの時間以上である必要があります。②教材作成を選んだ場合は、想定学習時間数がこの時間以上である必要があります。
ちなみに、対象になる従業員の日本語レベルって、何か条件があるんですか?
あります。対象事業の説明に「日本語能力試験概ねN2レベル以下のウクライナ避難民を対象とした」とあります。つまり、日本語の初級〜中級レベルの方を対象にした研修であることが条件です。
なるほど。すでにN2以上の方への研修は対象外になるってことですね。
そうとらえていいです。あと、これは大事なポイントですが、日本語教員にも要件があります。出入国在留管理庁の告示基準に定める「教員」の要件を満たす必要があるんです。
どんな人が教えるか、も確認が必要なんですね。社内の日本人スタッフが適当に教えればいいわけじゃないんですね。
そのとおりです。研修を外部に委託する場合は特に、教員の資格要件を満たしているか事前に確認しましょう。
対象経費は、報償費、消耗品費、旅費、印刷製本費、委託料、使用料及び賃借料です。たとえば日本語教員への謝金、教材の印刷費、研修会場の賃借料なんかが想定されます。
そうですね。具体的にどの品目まで認められるかは、公募要領で確認してください。あと、面白いのが消費税も助成対象になる点です。申請書類は税込金額で作成する決まりになっています。
消費税まで対象になるのは珍しいですね。100円の教材を買っても、110円で計上していいってことですか?
この制度ではそうなってます。公式にも「本助成金は消費税も助成対象です」と明記されています。経費を積算するときは、税込金額で計算してくださいね。
助成対象経費と注意点 報償費(日本語教員への謝金など) 消耗品費(教材・テキストなど) 旅費・印刷製本費・委託料 使用料及び賃借料(研修会場の賃借料など) 消費税も助成対象(税込金額で申請) × デメリット
③ビジネスマナー講座・④異文化理解講座は単体では不可 ①日本語教育または②教材作成と組み合わせて実施が必要 対象経費の判断は公募要領・Q&Aで確認を
自分だけで「これは対象だろう」と判断せず、公募要領やQ&Aをしっかり読んで、不安なら問い合わせ先に確認するのが確実です。あとで「対象外だった」となると、自己負担が発生しますからね。
申請方法は2つあります。郵送と電子申請です。電子申請はJグランツ(jGrants)という政府のポータルサイトから行います。
レターパック等、双方に記録が残る方法で、東京都庁に送ります。宛先は「東京都産業労働局雇用就業部 就業推進課 人材確保推進担当」です。
電子申請だと、書類を郵送する手間が省けて便利そうですね。
そうですね。電子申請用の募集要項が用意されているので、そちらを確認してからJグランツ内の申請フォームで進めます。電子申請用の書類はJグランツ内のフォームにありますよ。
ざっくり言うと、①公募要項を確認する、②申請書類を準備する、③郵送または電子申請で提出する、④交付決定を受ける、⑤研修を実施する、⑥実績報告をする、⑦助成金を受け取る、という流れです。
交付申請から交付決定まで約1か月程度かかります。公式にも「日本語教育のスケジュールを立てるにあたっては、十分な余裕を確保してください」と注意書きがありますから、余裕を持った計画を立てましょう。
ウクライナ避難民採用企業コースの申請フロー 1 公募要項を確認
募集要項・交付要綱を読み、対象要件・対象経費を把握
2 申請書類を準備
交付申請書・経費総括表・計画書・誓約書などを作成
3 郵送または電子申請で提出
レターパック等で郵送、またはJグランツで電子申請
4 5 研修を実施
標準50時間・短時間30時間の要件を満たすよう実施
6 実績報告
支払い終了後30日以内、または令和9年4月1日まで
7 助成金の受領
額の確定後、助成金請求書を提出して受領
交付申請時には、交付申請書、経費総括表、経費内訳書、計画書、誓約書などが必要です。書類提出チェック用紙もあるので、それを使えばもれなく準備できますよ。
チェック用紙があるのはありがたいですね。記入例もあるんですか?
あります。交付申請書の記入例、経費総括表・経費内訳書の記入例、計画書の記入例などが用意されています。初めての方でも、記入例に沿って書けば迷いにくいですよ。
助かります。じゃあ、郵送と電子申請、どちらでも書類は同じようなものなんですか?
郵送用の申請書類はダウンロードできますが、電子申請用の書類はJグランツ内の申請フォームにあります。募集要項も郵送用と電子申請用で別になっているので、自分の申請方法に合った要項を確認してください。
支払いがいつ終わったかによって2パターンあります。令和9年2月28日以前に支払いが終了した場合は、支払い終了後30日以内。令和9年3月1日以降に支払いが終了した場合は、令和9年4月1日までに提出します。
ちょっと複雑ですね。研修の終わりが年度末にかかると、締切を意識しないといけないんですね。
そうなんです。あと助成対象期間自体が「交付決定の日から令和9年3月31日まで」ですから、この期間内に研修を終えて支払いまで完了させるのが大前提です。
つまり、遅くとも令和9年3月31日までに研修と支払いを終わらせる、と。
はい。なので、交付決定が仮に秋に下りた場合、研修を実施できる期間は半年ちょっとです。50時間の研修をやろうと思うと、それなりの期間が必要になりますから、申請は早めに動くのが得策です。
令和8年度のスケジュール 令和8年4月9日
申請受付開始
交付申請受付期間がスタート
令和9年1月14日
申請受付締切
交付申請受付期間の最終日
交付決定日
助成対象期間スタート
交付決定の日から令和9年3月31日までが対象期間
令和9年2月28日以前
支払い終了の場合
支払い終了後30日以内に実績報告
令和9年3月1日以降
支払い終了の場合
令和9年4月1日までに実績報告
せっかく申請するなら、通したいですよね。審査のポイントはどこですか?
まず押さえたいのが、申請前に「対象事業者」「対象従業員」「対象事業」の3つを満たしているか確認することです。この3つがずれていると、申請しても不採択や手戻りになりますからね。
対象事業者と対象従業員と対象事業…なるほど、3点セットでチェックですね。
特に、従業員が「ウクライナ避難民証明書」と「就労可能な在留資格」を持っているかは要確認です。この証明書がなければ、そもそも対象外になります。
スケジュールですね。交付申請から交付決定まで1か月程度かかるので、研修開始予定日から逆算して申請時期を決めましょう。ギリギリだと、研修期間が足りずに時間数要件を満たせなくなるリスクがあります。
確かに。50時間の研修をやろうと思ったら、週2回のペースでも2〜3か月は見ておきたいですもんね。あと、経費の計上も重要ですよね。
そこも大事です。助成対象経費は報償費、消耗品費、旅費、印刷製本費、委託料、使用料及び賃借料に限られます。ここに該当しない経費は助成対象になりませんから、積算時点で対象経費かどうかを確認しながら進めましょう。
申請前に押さえる3つのポイント
① 自社が都内に本社または主たる事業所がある中堅・中小企業等で、対象業種に該当するか。② 対象従業員がウクライナ避難民証明書を持ち、就労可能な在留資格を持って継続雇用されているか。③ 研修内容が①日本語教育または②教材作成を核に、標準50時間・短時間30時間の要件を満たす計画になっているか。
申請書類の不備も気になります。何かコツはありますか?
書類提出チェック用紙を活用することですね。提出前にチェック用紙で一つずつ確認すれば、もれなく準備できます。記入例も参考にしながら、経費の計算が合っているか、計画書の時間数がプランの要件を満たしているかを確認しましょう。
この制度の中に「一般コース」というのがあって、ウクライナ避難民採用企業コースと併給が可能です。ただし、コースごとに助成対象経費等が明確に区別できる必要があります。
併給するときは、経費を分けて管理しないといけないんですね。
そうです。どの経費をどのコースで申請するのか、事業側で整理しておく必要があります。混ざってしまうと、あとで説明が大変になりますからね。
なるほど。まさに事務管理がキモですね。ちなみに、申請期間はいつまでですか?
交付申請の受付期間は令和8年4月9日(木)から令和9年1月14日(木)までです。長いとはいえ、交付決定に1か月かかることや研修期間を考えると、やはり早めの申請がおすすめです。
読者のみなさんから寄せられそうな質問を確認させてください。まず、外部の日本語学校に通わせる場合も対象になりますか?
なりますよ。公式にも「日本語学校への通学や、日本語教員による社内研修等幅広く活用いただけます」と書かれています。ただし、あくまで対象従業員の要件を満たしていること、研修時間数の要件を満たすことが前提です。
それは心強いですね。社内に日本語教育のノウハウがなくても、学校に任せられますね。
そうですね。その場合も、日本語教員の要件を満たす学校かどうか、研修内容が対象事業に合っているかは確認が必要です。委託先を決める前に、公募要領をチェックしておきましょう。
助成対象期間に研修が終わらなかったらどうなるんですか?
助成対象期間は交付決定の日から令和9年3月31日までです。この期間内に支払いまで完了させるのが原則です。期間をまたいでしまうと、助成対象にならない可能性がありますから、必ず期間内に収まる計画を立ててください。
申請をやり直したり、確認の連絡が来たりする可能性があります。書類提出チェック用紙を使って、もれなく記入漏れのないように準備することが大事です。特に経費の計算は、税込金額で統一されているか確認してくださいね。
ウクライナ避難民証明書を持っている従業員が、まだ入社していない場合はどうですか?
雇用予定の場合用の書類があります。「雇用予定及び在留資格確認書」という参考様式です。これは雇用予定の場合や、助成金の対象となる在留資格が付与されていない場合に提出するものです。詳細は募集要項で確認してください。
東京都産業労働局雇用就業部 就業推進課 人材確保推進担当、電話番号は03-5320-4628です。受付時間は月曜から金曜の9時から12時、13時から17時までです(祝日と年末年始を除く)。
電話で直接聞けるのは心強いですね。書類の判断に迷ったら、遠慮なく聞きましょう。
そうしてください。申請前に確認しておけば、不備による手戻りも防げますからね。
ありがとうございます!これさえあれば、申請を検討するときに迷わずに済みそうです。
1 ウクライナ避難民を採用した都内の中堅・中小企業等が、日本語教育などの費用を助成してもらえる制度 2 補助率は10/10。標準プランは上限50万円(50時間以上)、短時間プランは上限30万円(30時間以上) 3 対象従業員はウクライナ避難民証明書を持ち、就労可能な在留資格を持つ直接雇用の従業員 4 対象事業は①日本語教育、②教材作成、③ビジネスマナー講座、④異文化理解講座。③④の単体実施は不可 5 申請期間は令和8年4月9日から令和9年1月14日まで。交付決定まで約1か月かかるので早めの申請を
今日は本当に詳しく教えていただいて、ありがとうございました!最後に、読者へのメッセージをお願いします。
ウクライナ避難民の方々が日本で安定して働き続けるためには、日本語の習得が本当に大切です。この制度を使えば、そのための費用をほぼ全額助成してもらえます。ぜひ募集要項を読んで、早めに申請を検討してみてください!