室谷さん、今日は「女性活躍情報公開促進奨励金」の実績報告について教えてください。そもそも、何のためのお金なんですか?
これは東京都の事業で、実施しているのは公益財団法人の東京しごと財団です。目的は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定や、男女間賃金差異などの情報公開に取り組む中小企業等を支援すること。女性従業員の処遇や賃金の引き上げを後押しする、という位置づけですね。
公開するだけではないんです。行動計画を作って、社内に周知して、公表して、労働局に届け出て、データベースでも公表して、専門家の支援も受けて、幹部向けの研修もやる。これを3か月以内に全部やるのが条件です。
そうなんですよ。でも逆に言えば、やることが明確に決まっているので、段取りさえ組めば迷いにくい。支給金額は20万円です。
タイトルに「実績報告」って付いていますよね。これ、申請じゃなくて報告の話ですか?
そこは大事なポイントです。この制度は、まず支給申請をして、支給が決まったあとに3か月の取組を実施して、そのあとに実績報告を出す。今回の募集は、その実績報告の受付なんです。
じゃあ、いきなり実績報告だけ出してもダメなんですね。
そういうことです。前段の支給申請を通っていることが前提になります。順番は、支給申請、支給決定、3か月の取組、実績報告、額の確定と請求、支給。この流れは後半で詳しく追いかけますね。
はい、お願いします! 知らずに報告だけ出そうとする人、いそうですもんね。
いそうですよね。だから最初に流れを頭に入れておくのが、いちばんの近道です。
制度名は「令和8年度 女性活躍情報公開促進奨励金」、実施主体は公益財団法人の東京しごと財団です。Jグランツ上のページ名は「女性活躍情報公開促進奨励金 実績報告」になっています。
東京都の報道発表では、令和8年度の新規事業として「女性の活躍推進に向けた職場環境改善プロジェクト」が始まり、その中のひとつとして奨励金の募集が始まったと案内されています。募集開始は令和8年6月15日です。
そうです。だからこそ、過去の事例に頼るより、公式の募集要項と専用サイトを一次情報として確認するのが確実です。
金額を詳しくお願いします。20万円って、ぱっと見で合っていますか?
はい、女性活躍情報公開促進奨励金の支給金額は20万円です。Jグランツ上の補助上限額も200,000円と一致しています。
補助率ってあるんですか? 10分の9とか、3分の2とか。
そこは注意で、補助率の記載がありません。なので「使った経費の何割」という計算ではなく、要件を満たしたら20万円、という受け取り方になります。
ただ、細かい経費の扱いは公募要領で要確認です。ここを勝手に解釈しないでくださいね。
正直にお伝えすると、公開されている情報では対象経費の一覧まで示されていません。なので、私から「研修費は対象です」と断定することはできません。
えっ、そうなんですか。そこは想像で埋めちゃダメですもんね。
そうですね。使途としては新たな事業、人材育成、雇用・職場環境の改善が挙げられていて、実際の取組は行動計画の策定、情報公開、専門家の支援、幹部研修です。だから方向性は見えますが、対象経費の線引きは募集要項と様式で確認するのが確実です。
はい。実績報告の様式は第8号の別紙1と別紙2、法人用と個人事業主用がそれぞれ用意されていて、記入例のPDFも公開されています。まず記入例を見るのが早いですよ。
この奨励金が向く企業・注意したい点- 本社または主たる事業所が東京都内にある
- 常時雇用する労働者が100人以下である
- 女性活躍の情報公開にこれから取り組む企業
- 3か月で6つの取組をやり切れる体制がある
×デメリット
- すでに女性の活躍推進企業データベースで情報公開済みの場合は対象外
- 支給申請日時点で女性の割合が4割以上の場合は対象外
- 6つの取組は3か月以内にすべて完了が必要
- 補助率の記載はなく支給額は定額20万円
定額ってことは、「経費の8割を計算して…」みたいな面倒な作業はないんですか?
支給額そのものは20万円という定額で、補助率の記載はありません。ただし実績報告書類の提出は必要ですし、取組を実施した事実をどう記載するかは様式に沿って整理が要ります。
そういうことです。逆に言うと、金額のブレがないので資金計画は立てやすい。20万円を何に充てるかは、自社の女性活躍の取組に合わせて考えればいいと思います。
誰がもらえるのか、詳しくお願いします。東京の会社じゃないとダメですか?
対象地域は東京都です。要件のひとつが「本社または主たる事業所が東京都内にあること」。なので都外の会社は対象外になります。
支給申請日から実績報告日に至るまで、常時雇用する労働者数が100人以下であること。期間中のずっと満たしている必要があります。あわせて、都内に勤務する常時雇用の労働者で、雇用保険の被保険者である人を1名以上雇用していることも条件です。
様式が法人用と個人事業主用の両方で用意されていますから、個人事業主も想定されています。ただ「その他要件あり」と案内されているので、最終的には募集要項で自分の形態が当てはまるか確認してください。
さっき「女性の割合が4割を下回っていること」って出ましたよね。あれはどういう条件ですか?
支給申請の時点で、労働者、係長職、管理職、役員のうち、いずれかに占める女性の割合が4割を下回っていること。つまり、これから女性活躍の情報公開に取り組む段階の企業を想定している、ということですね。
そういうことです。もうひとつ、支給申請の時点で、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に男女間賃金差異および女性管理職比率などの情報公開を行ったことがないこと、という要件もあります。
はい。ここは意外と見落としやすいので、申請前の時点でチェックしておきたいところです。
業種はかなり広く設定されています。漁業、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業、公務、分類不能の産業まで含まれています。
そう見えますよね。ただ、細かい判定は公募要領で要確認です。業種よりむしろ、従業員数と女性比率、情報公開の経験のほうが分かれ目になります。
中身の話を詳しくお願いします。6つの取組って具体的に何ですか?
まず1つ目が「自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析」。2つ目が「1つ以上の数値目標を定めた行動計画の策定、社内周知、公表」。3つ目が「行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出」です。
行動計画って、作ったことない会社が大半ですよね。ハードル高くないですか?
そこを支えるのが、5つ目の取組になっている専門家の支援です。だからゼロから一人で作る必要はない。これがこの制度の心強いところですね。
そうなんです。しかもその支援を受けること自体が要件になっているので、使わないと要件を満たせない。逆に言えば、必ずサポートが入る仕組みです。
4つ目が「厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースに、男女間賃金差異および女性管理職比率に加えて1項目以上を公表すること」。5つ目が「専門家の支援を受けること(1回)」。6つ目が「社内の幹部等向けの研修を行うこと」です。
男女間賃金差異を外に出すの、ちょっと勇気いりますね。
そこがこの制度の考え方で、いきなり丸裸にするのではなく、行動計画を作ったうえで公開していく。公表はゴールではなく、処遇や賃金を上げていく出発点なんです。
そう捉えてもらえれば。この6つは全部やる必要があって、1つでも抜けると実績報告が通りません。だから最初にチェックリストを作ることをおすすめします。
3か月で終わらせる6つの取組1 状況把握・課題分析
自社の女性の活躍に関する状況を把握し課題を分析する
2 行動計画の策定・周知・公表
1つ以上の数値目標を定めて策定し社内周知と公表を行う
3 労働局への届出
行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出る
4 データベースで公表
男女間賃金差異と女性管理職比率に加え1項目以上を公表
6 幹部等向け研修
社内の幹部等向けの研修を実施する
流れを整理してもらえますか。書類を出してから、どう動くのか。
まず申請期間内に支給申請書類を提出します。これはJグランツでの電子申請で、そのためにGビズIDプライムの取得が必要になります。次に、支給決定後に奨励金対象事業を実施期間内に実施します。この実施期間が3か月で、専門家の支援1回を含みます。
支給決定のあとに動くんですね。先にやっておいたらダメですか?
実施期間は支給決定後に取組を開始して、実施期間の最終日までに完了する、というスケジュールです。先走ると対象にならないおそれがあるので、順番は守ってください。
そういうことです。段取りとしては、決定通知が来たらすぐ専門家支援の日程を押さえる、が鉄板です。
取組が終わったら実績報告書を提出します。そのあと、実績確認と奨励金額の確定があって、請求、そして支給という流れです。
実績報告書は様式第8号の別紙1と別紙2で、法人用と個人事業主用があります。記入例も公開されているので、それを見ながら進めるのが現実的です。
申請回ごとに受付期間が決まっていて、たとえば第1回は令和8年11月30日まで、第10回は令和9年8月31日まで。詳しくは次のセクションで見ていきましょう。
女性活躍情報公開促進奨励金の流れ- 1
GビズIDプライムを取得
Jグランツでの電子申請に必要
- 2
募集要項と様式を確認
募集要項・支給要綱・記入例をダウンロードする
- 3
支給申請書類を提出
申請期間内にJグランツで電子申請する
- 4
- 5
3か月の取組を実施
6つの取組を実施期間の最終日までに完了。専門家支援1回を含む
- 6
実績報告書を提出
様式第8号別紙1・別紙2を申請回ごとの受付期間内に提出
- 7
交付額確定・請求
実績確認後に奨励金額が確定し請求する
- 8
はい。支給申請期間は第1回が令和8年6月15日から6月30日、第2回が7月1日から7月31日、第3回が8月1日から8月31日、第4回が9月1日から9月30日、第5回が10月1日から10月31日。ここまでが令和8年で、第6回以降は令和9年にずれていきます。
各回100社、年間で1,000事業者という規模です。埋まってしまうかどうかは記載がないので何とも言えませんが、定員がある以上、早めに動くに越したことはないですね。
第1回が令和8年11月30日、第2回が令和8年12月31日、第3回が令和9年1月31日、第4回が令和9年2月28日、第5回が令和9年3月31日。第6回以降は4月30日、5月31日、6月30日、7月31日、8月31日と続いて、第10回の令和9年8月31日が最後です。
申請と実績報告のスケジュール(抜粋)令和8年6月15日〜6月30日
第1回 支給申請
定員100社。実施期間は令和8年8月1日〜10月31日
令和8年10月1日〜10月31日
第5回 支給申請
実施期間は令和8年12月1日〜令和9年2月28日
令和8年11月30日
第1回 実績報告の締切
取組実施後から受付
令和9年3月1日〜3月31日
第10回 支給申請
実施期間は令和9年5月1日〜7月31日
令和9年8月31日
第10回 実績報告の締切
この回が最終
表にすると分かりやすいですね。自分の回を探せばいいんだ。
そうですね。第5回以降の実施期間は年をまたぐので、年末年始を挟む回は余裕を持った計画を立ててください。
専門家支援は、土日祝日と、令和8年12月29日から令和9年1月3日を除く平日に実施されます。だから年末年始は動かない前提で考えてください。
はい。平日のみと覚えておけば大丈夫です。第5回以降は12月から3月にかけて取組が走る回もあるので、休みの日に当たらないように日程を先に組むのがコツです。
それが正解です。では次は、つまずきやすいポイントを見ていきましょう。
まず大前提として、6つの取組はどれか1つでも欠けたらダメです。「研修はやったけどデータベースへの公表を忘れた」という抜けが、いちばんもったいないんですよ。
実績報告書の様式と記入例を見ながら6項目を洗い出しておく。これだけで事故はかなり防げます。
もうひとつ、実施期間の最終日までに完了していること。3か月という期限があるので、専門家の支援の日程調整を後回しにすると詰みます。平日のみの実施ですから、先に予約を押さえる意識が大事です。
あと、途中で会社の名前が変わったらどうなるんですか?
支給決定後に、申請事業者の名称、所在地、代表者のいずれかに変更があった場合は変更届が必要です。Jグランツ上に変更届のページが用意されています。
支給決定を通知した日から14日経過後に、奨励金対象事業および専門家支援を中止する場合は中止届を出します。ここも14日という日数があるので、判断が遅れないようにしたいところです。
そうなんですよ。困ったときにいちばん早いのは、事務局に電話で聞くこと。平日の午前9時から午後5時まで受け付けています。
実績報告書も支給申請の様式も、法人用と個人事業主用の両方が用意されています。だから個人事業主も想定されています。ただし「その他要件あり」とされているので、自分の形態が対象になるかは募集要項で確認してください。
そうですね。記入例は法人用と個人用がそれぞれPDFで公開されています。最初から自力で書こうとせず、記入例をなぞるのが一番早いです。
女性の活躍推進に向けた職場改善プロジェクト事務局が窓口です。電話は03-6744-6539、受付時間は平日の午前9時から午後5時までです。メールでの問い合わせ窓口も用意されています。
はい、それぞれ別のページに分かれています。必要になったときに探さずに済むよう、ブックマークしておくといいですよ。
さっきから気になっていたんですけど、同じプロジェクトにもう1つ奨励金があるんですか?
はい。「女性の活躍推進に向けた職場環境改善奨励金」というメニューがあります。こちらは女性管理職の増加や非正規従業員のキャリアアップなどが対象で、支給金額は最大180万円、対象は常用雇用労働者300人以下、実施期間は6か月、専門家派遣が2回。今回の情報公開促進奨励金とは中身も要件も別物です。
えっ、同じプロジェクトでこんなに違うんですか!(笑)
そうなんです。どちらが自社に合うかは、事業専用サイトのチェックツールで確認できます。5つの質問に答えるだけで、対象かどうかや申請できる奨励金が分かる、と案内されていますよ。
はい、表にしました。ここを見れば迷わないと思います。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度 女性活躍情報公開促進奨励金(実績報告) |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京しごと財団 |
| 支給金額 | 20万円(補助上限額 200,000円) |
| 補助率 | 記載なし |
| 募集期間 | 2026年10月1日〜2028年3月31日 |
| 申請締切 | 全10回。第1回 令和8年11月30日〜第10回 令和9年8月31日 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象業種 | 漁業、建設業、製造業、情報通信業、卸売業・小売業、金融業・保険業、医療・福祉、教育・学習支援業など多数 |
| 対象者 | 本社または主たる事業所が都内にある中小企業等(常時雇用する労働者100人以下ほか要件あり) |
| 実施期間 | 3か月(専門家支援1回を含む) |
| 使途 | 新たな事業、人材育成、雇用・職場環境の改善 |
| 問い合わせ先 | 女性の活躍推進に向けた職場改善プロジェクト事務局 03-6744-6539(平日 午前9時〜午後5時) |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDeSvMAL |
| 事業専用サイト | https://jyokatsu-project.jp |
ありがとうございます! これで申請の全体像がつかめました。
3か月で6つの取組をやり切る、20万円の定額奨励金です。まずは事業専用サイトのチェックツールで対象かどうかを確認して、通ったら専門家支援の日程を早めに押さえる。この順番で動けば大丈夫ですよ。