室谷さん、今日は東京都の観光関連の補助金を調べてきたんですけど、まず結論から聞いていいですか?
室谷: いいですよ。補助上限は3,000万円、補助率は2/3です。賃上げ計画を掲げて達成できれば3/4まで上がります!
佐藤: 3,000万円! これは大きい。観光事業者にとっては設備もシステムも一気に進められそうですね。
室谷: 大きいです。ただしこの制度、「やりたいことが決まっている人がそのまま出す」タイプじゃないんです。そこが最初の関門です!
佐藤: えっ、どういうことですか?
室谷: 中小企業診断士の資格を持ち、ITに関する知見を持つ専門家の派遣を受けて、経営診断やアドバイジングを受けることが前提なんです。そこで明らかになった優先して解決すべき課題に取り組む経費を補助する、という設計になっています。
その専門家って、自分で探してくるんですか?
室谷: いいえ、財団の仕組みとして派遣されます。しかも「補助金の申請前」と「交付決定後」の両方で受けることが必須です!
佐藤: 両方ですか。ちょっと面倒そうだなあ(笑)。
室谷: そこは裏返すと強みです。専門家が経営診断を通じて課題と方向性を提示してくれるので、計画が独りよがりになりにくいんですよ。
佐藤: なるほど。じゃあ「まず専門家に相談」がスタートなんですね。
室谷: そうです。東京都と東京観光財団の案内では、東京観光産業ワンストップ支援センターへの相談から流れが始まる、とされています。
その専門家派遣、回数に上限はあるんですか?
室谷: 1回あたり120分で、最大10回まで無料で利用できます!
佐藤: 10回! かなり手厚いですね。内訳はどうなっているんですか?
室谷: 申請前の支援コースが3〜5回、交付決定後の伴走支援が最低1回です。申請前は経営診断と事業計画づくりへの助言、交付決定後は事業の進行管理と取組内容への助言ですね。
佐藤: じゃあ書類を書き始める前から、かなり具体的に詰められるんだ。
室谷: そうなんです。だから「計画はもう完成してます」という状態で相談に行くと、けっこう手戻りになりますよ!
この制度の3つの特徴専門家の助言が必須
中小企業診断士でITに知見を持つ専門家の派遣を受けてから申請する
経営診断から始まる
既に決まった取組をそのまま出すのではなく、診断で見えた課題に取り組む
東京の観光に資する取組
東京の歴史・伝統・文化・自然・食材に紐づく新たな事業が対象
さっきの3,000万円って、経費が3,000万円まで出るってことじゃないですよね?
室谷: そこ、混同しやすいんです。3,000万円は「交付される補助金の上限」です。補助率2/3なので、補助対象経費が4,500万円のときに3,000万円に届くイメージですね。
佐藤: 4,500万円の2/3で3,000万円か。逆算するとわかりやすい!
室谷: 3/4に上がった場合は、補助対象経費4,000万円で3,000万円に届きます。率が上がると、より少ない経費で上限に届くんです。
佐藤: あ、そこは「少ない自己資金で上限に届く」ってことですね。
室谷: そういうことです。ただしあくまで上限であって、全額が通るわけではありません!
賃上げ計画って、従業員の給料を上げる約束をするってことですか?
室谷: はい。賃金引上げ計画を掲げて申請し、達成された場合に補助率が3/4以内になります!
佐藤: 達成できなかったらどうなるんですか?
室谷: そこは計画の扱いが細かく決まっています。達成報告書や未達成理由書といった様式が用意されているので、公募要領と交付要綱での確認が必要です。
佐藤: 未達成でも即返還、とは言い切れないと。
室谷: 断言できないので、そこは必ず要領を見てください。様式が「賃上げ計画あり/なし」で分かれているのもポイントです!
逆に、小さい取組だと出ないんですか?
室谷: 出ますが、下限があります。交付される予定の補助金が100万円以下となる場合は申請できません!
佐藤: じゃあ2/3なら、対象経費150万円くらいがボーダー?
室谷: ちょうど150万円で100万円なので、そこは「100万円以下」に当たってしまいます。超える必要がある、と考えるのが安全ですね。
佐藤: なるほど。小規模なITツール導入1本だけ、みたいな相談は難しいかもしれない。
室谷: そうですね。ただ経営診断のなかで複数の課題を組み合わせて、事業として立てていくことはできます。まず相談で見極めましょう!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助上限額 | 3,000万円 |
| 補助下限額 | 100万円(交付予定額が100万円以下の場合は申請不可) |
| 補助率(基本) | 補助対象経費の2/3以内 |
| 補助率(賃上げ計画を掲げ達成) | 補助対象経費の3/4以内 |
| 補助対象経費 | DX・デジタル化経費/設備導入費/新商品・サービス開発費 |
| 対象期間 | 公募要領で要確認 |
対象業種はどうなっていますか?
室谷: 東京都内で旅行者向けに直接サービスや商品を販売・提供する観光関連事業者で、宿泊・飲食・小売・旅行などの事業者です。jGrantsではサービス業、宿泊業、飲食サービス業などが表示されています。
佐藤: けっこう広いですね。
室谷: ただし細かい定義があります。宿泊なら旅館業法の許可、飲食なら食品衛生法の飲食店営業か喫茶店営業の許可が前提です!
佐藤: 許可がないとダメなんですね。
室谷: それと除外規定があります。風俗営業や店舗型性風俗特殊営業などに該当する施設は除かれます。
| 区分 | 主な要件 |
|---|
| 宿泊事業者 | 旅館業法第3条第1項の許可を受けて都内で営業していること |
| 飲食事業者 | 食品衛生法の飲食店営業または喫茶店営業の許可を受け、東京ならではの食事・食体験を提供していること |
| 小売事業者 | 常設店舗で、旅行者に東京ならではの土産・特産品を販売していること(仮設型店舗は除く) |
| 旅行事業者 | 都内に主たる営業所を置き、旅行業法の登録を受けて営業していること |
| その他 | 旅行者が五感で東京の魅力を体験できるプログラム等を継続提供し、財団理事長が認める者 |
さっきから「東京の歴史・伝統・文化・自然」って何度も出てきますけど、そんなに縛りが強いんですか?
室谷: 強いです! 飲食なら、東京の歴史・伝統・文化・自然・食材に強く紐づいた東京ならではの食事や食体験の提供が要件です。例として江戸前の幸専門の飲食店、東京の伝統工芸品を料理提供に使用する飲食店が挙げられています。
佐藤: じゃあ、ふつうの居酒屋は厳しそうだなあ。
室谷: 小売も同じで、常設店舗を設けて、旅行者に対して専ら東京の歴史・伝統・文化・自然等に強く紐づいた土産や特産品を販売していることが要件です。ポップアップストアのような仮設型店舗は除かれます!
佐藤: なるほど。ここは自社が当てはまるか、最初にじっくり確認したいところですね。
室谷: 旅行事業者は旅行業法の登録と都内の主たる営業所、その他は五感で東京の魅力を体験できるプログラムを継続的に提供している者として財団理事長が認める者、となっています。
「中小企業者に限る」ってありましたけど、どこで判断するんですか?
室谷: 中小企業基本法の定義に該当し、さらに大企業が実質的に経営に参画していないことが条件です!
佐藤: 実質的に経営に参画って、具体的には?
室谷: 大企業が単独で発行済株式総数や出資総額の2分の1以上を所有している、複数で3分の2以上、役員総数の2分の1以上を大企業の役員や職員が兼務している、フランチャイズ加盟店なども該当し得ます。
佐藤: フランチャイズは注意ですね。
室谷: そうですね。あと個人事業主も対象です。法人でも個人でも、要件を満たせば申請できます!
経費は何が対象になりますか?
室谷: 大きく3つです。DX・デジタル化経費、設備導入費、新商品・サービス開発費!
佐藤: デジタルだけじゃなくて、設備や新商品開発も入るんですね。
室谷: そこがこの制度の面白さです。DXや設備導入等による生産性向上だけでなく、デジタル化以外の取組も対象になります。
佐藤: じゃあアナログ寄りの体験プログラムも可能性あり?
室谷: あります。ただし各経費の詳細や注意事項は募集要領に書かれているので、そこは必ず確認してください!
具体的にどんな取組が想定されているんですか?
室谷: 公式に例が挙がっています。東京の自然や文化・歴史の保全や継承に寄与する観光コンテンツの開発・提供、東京ならではの観光資源を活用したアクティビティ用設備の開発・設置です!
佐藤: なるほど、体験型に設備をつけるイメージですね。
室谷: あとは観光関連業務の効率化を図るための独自システムの開発・導入、直販比率拡大のための自社サイト内の予約販売・決済システムの構築・導入、顧客データのAI分析を活用した販売予測ツールの開発・導入、といった例です。
佐藤: 予約決済の自社化は、宿泊業だと刺さりそうだなあ。
室谷: そうですね。ただし「自社のため」であることが大事です。そこは次の話につながります!
逆に、これはダメというのは?
室谷: まず、他社への提供・販売を想定・目的とした取組は対象になりません!
佐藤: 自社の経営力強化じゃないとダメってことか。
室谷: はい。それと専門家が補助対象事業を請け負うこともできません。あくまで助言者であって、実作業の受注者ではないんです。
佐藤: 線引きがはっきりしているんですね。
室谷: もう一つ、既に内容が決まっている取組をそのまま出すのもNGです。経営診断を経て課題を特定する、というプロセスそのものが問われます!
対象になるもの・ならないもの- DX・デジタル化経費
- 設備導入費
- 新商品・サービス開発費
- 東京の文化・自然に紐づく観光コンテンツ
- 自社サイトの予約販売・決済システム
- 顧客データのAI分析ツール
×デメリット
- 他社への提供・販売を目的とした取組
- 専門家が請け負う作業
- 既に内容が決まっている取組の丸投げ
- 補助対象事業者以外からの問い合わせ・代行申請
じゃあ実際の流れを整理してもらえますか?
室谷: ワンストップ支援センターへの相談から始まり、専門家派遣・助言を受けて事業計画を作成、補助金申請と審査・交付決定、事業実施と伴走支援、そして補助金交付、という流れです!
佐藤: けっこう長いですね。
室谷: 長いです。だからスケジュールから逆算して動く必要があります。特に専門家派遣の申込は最初の関門です!
佐藤: ちなみに、いまからでも間に合いますか?
室谷: 東京観光財団のページには「専門家派遣のお申込の受付は終了しました」という表示があります。申請には専門家の助言が必須なので、まずは財団に状況を確認してください!
補助金申請までの流れ- 1
ワンストップ支援センターに相談
デジタル化や新サービス開発の悩みを相談
- 2
専門家派遣を申し込む
中小企業診断士の専門家が経営診断
- 3
- 4
- 5
- 6
交付決定・事業実施
専門家の伴走支援を最低1回受ける
- 7
申請方法は2つあるんですね。
室谷: はい、郵送とjGrantsでの電子申請です。郵送は簡易書留やレターパックなど追跡できる方法で、11月30日当日消印有効!
佐藤: 電子申請は?
室谷: 電子申請は11月30日の16時到着分までです。しかも郵送とは様式が違うので、ダウンロード元を間違えないように!
佐藤: それは危ない(笑)。どっちがおすすめですか?
室谷: 急ぐなら郵送、しっかり管理したいなら電子ですが、電子はGビズIDが要ります。そこが最大の落とし穴です!
郵送申請と電子申請の違い- 簡易書留やレターパックなど追跡可能な方法
- 11月30日当日消印有効
- 財団のページの様式をダウンロード
- GビズIDは不要
- jGrantsで申請
- 11月30日16時到着分まで
- jGrantsのページから様式をダウンロード
- GビズIDプライムアカウントが必要
GビズIDって、そんなに時間かかるんですか?
室谷: はい、GビズIDプライムアカウントの発行には通常2〜3週間かかります!
佐藤: 2〜3週間! 締切の1か月前に気づいても間に合わない可能性がある?
室谷: あります。アカウント発行が間に合わない場合は郵送で申請してください。だから電子申請を考えているなら、今すぐ取得手続きです!
佐藤: わかりました。まずID、ですね。
室谷: それと申請書類に不備があると受け付けられません。申請期限の1週間〜10日前には提出するのがおすすめです!
審査はどう進むんですか?
室谷: 募集締切後に書類審査(一次審査)、そのあと面接審査(二次審査)を実施して、補助対象事業者が決まります!
佐藤: 面接あるんですね。誰が出るんですか?
室谷: そこは公募要領で要確認ですが、事業計画を説明できる方が出るのが自然です。専門家の助言を受けた計画なので、一貫した説明ができるかが見られます。
佐藤: 丸投げで作った計画だと、面接でボロが出そうですね(笑)。
室谷: まさにそこです。自分の言葉で語れる計画になっているか、が勝負になります!
書類の不備って、そんなに厳しいんですか?
室谷: 厳しいです。不備がある場合、申請を受け付けられません!
佐藤: えっ、修正してもらえない?
室谷: 期限を過ぎて不備や不足があると、審査のスケジュール上受け付けられません。締切間際の申請で修正が間に合わない方が増えている、と公式がわざわざ書いているんです。
佐藤: それは怖い。何日前が目安ですか?
室谷: 申請期限の1週間〜10日前には提出するのがおすすめ、と明記されています!
通る計画にするコツはありますか?
室谷: まず、経営診断で明らかになった「優先して解決すべき課題」に素直につなげることです。そこがぶれると、何のためのDXかわからなくなります!
佐藤: たしかに、最新システムを入れたいだけ、に見えたら弱いですね。
室谷: あとは東京の旅行地としての魅力やブランド力の向上につながるか。制度の目的がそこにあるので、自社の利益だけで終わらせない視点が要ります。
佐藤: 地域の文脈を計画に織り込むんですね。
室谷: それと令和7年度募集と様式が一部違います。必ず最新の様式を使ってください!
スケジュールを整理するとどうなりますか?
室谷: 第2回の募集は令和8年10月19日から11月30日まで、と公式ページに記載があります。jGrantsの基本情報では10月18日と表示されているので、開始日は公募要領で要確認です!
佐藤: 1日の違いでも、動き出しが変わりますもんね。
室谷: そうなんです。締切は11月30日で、電子申請は16時到着分まで、郵送は当日消印有効。締切後に一次審査、二次審査が行われます。
佐藤: 交付決定後も専門家の伴走支援が最低1回あるんですよね。
室谷: はい。そこまで含めて計画を立てておくのが安全です!
第2回募集のスケジュール令和8年10月19日
募集開始
開始日は公募要領で要確認
令和8年11月30日
応募締切
電子申請は16時到着分まで、郵送は当日消印有効
締切後
一次審査(書類審査)
提出書類をもとに審査
一次審査後
二次審査(面接審査)
面接を経て補助対象事業者を決定
交付決定後
事業実施・伴走支援
専門家の支援を最低1回受ける
事業完了後
実績報告・補助金交付
報告を経て補助金が交付される
質問したいときはどこに聞けばいいですか?
室谷: 公益財団法人東京観光財団 観光産業振興部 観光産業振興課です。電話は03-5579-8873、メールは
keiei@tcvb.or.jp!
佐藤: 住所もお願いします。
室谷: 〒163-0915 東京都新宿区西新宿二丁目3番1号 新宿モノリス15階です。
佐藤: 郵送申請の宛先も同じところですね。
室谷: 同じです。ただし補助対象事業者以外の方からの問い合わせはご遠慮ください、と明記されています。代行申請も不可です!
個人事業主でも大丈夫なんですか?
室谷: 対象です。中小企業者又は個人事業主に該当することが要件に入っています!
佐藤: 法人じゃないと不利、みたいなことは?
室谷: それは分かりません。ただ要件は同じように満たす必要があります。許可証などの確認書類は早めに揃えておきましょう。
佐藤: なるほど。あと、東京都内で引き続き事業を営む予定、というのも要件でしたね。
室谷: はい、補助事業の成果を活用し、東京都内で引き続き事業を営む予定であることが要件です!
他の補助金と一緒にもらうことはできますか?
室谷: 併給のルールは、今回の情報の中には書かれていません。なので「公募要領で要確認」です!
佐藤: 正直ですね(笑)。でも勝手に書かれるより安心です。
室谷: 同じ経費に二重で出すのは、どの制度でもトラブルになりがちです。申請前に必ず確認してください。
佐藤: 担当者に聞くのが早いですね。
室谷: そうです。電話03-5579-8873、またはメール
keiei@tcvb.or.jpで確認できます!
最後に、この補助金を一言でいうと?
室谷: 「専門家と一緒に経営課題を整理してから挑む、上限3,000万円の観光DX支援」です!
佐藤: 金額だけ見て飛びつくと、最初の専門家派遣でつまずく、と。
室谷: まさに。相談、診断、計画、申請という順番を守ること。そして締切の1週間〜10日前の提出と、GビズIDの2〜3週間を忘れないこと!
佐藤: 今日から動くなら、まず財団への相談ですね。
室谷: はい。東京の観光を強くしたい事業者にとって、大きなチャンスだと思います!