室谷さん、今日はとんでもなく長い名前の公募を調べてきたって聞きました。「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業/普及促進事業/グローバルな液化水素サプライチェーン構築に向けた我が国技術の適用可能性等調査」……息継ぎなしでは読めない!
そう、これが正式名称です。スラッシュで区切られた固まりがいくつもあって、いちばん最後が液化水素サプライチェーンの適用可能性等調査。名前の長さだけで腰が引けますよね(笑)。
実施機関は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOです。NEDOがこの事業の実施者を広く一般に公募していて、受託を希望する人はNEDOのホームページを確認して応募してください、という案内になっています。
ほんとに? じゃあ「この調査、うちにやらせてください」って手を挙げる公募なんですね。
そのとおりです。jGrantsでは補助金として掲載されていますが、NEDOの文章は「受託」なんですよ。だから委託契約の形で実施されるタイプの事業だと考えられます。この点は公募要領で要確認です。
受託って、補助金と何が違うんですか? そこが正直ピンとこないんです。
一言でいうと、お金の出方が違う可能性がある、ということです。ただ、この公募のページには支払いの方法までは書かれていません。だからそこは公募要領と、NEDOが用意している契約手続きの案内で確かめるしかありません。
そう、補助上限額は「-」、補助率の欄は空欄です。ここは想像で埋めちゃいけないところ。埋めてしまうと、応募の前提が全部ずれます。
たしかに。じゃあ「いくらもらえるか分からないまま応募する」ことになるんですか?
いえ、そうではありません。jGrantsのページには公募要領・交付要綱・申請様式の欄が用意されていて、NEDOのホームページには公募の詳細ページがあります。まずそこを開く。順番としてはそれだけです。
でも中身が分からないと、応募するかどうかも決められないですよ。
そこで使えるのが、同じ事業名で2025年度に実施された公募のページです。NEDOのサイトに残っていて、そこに事業の目的が書かれています。我が国が強みを持つS+3E、つまり安全性・安定供給・経済性・環境適合の実現に資する技術を、環境が違う海外で実証して、有効性を示して普及につなげる。それが目的です。
海外で実証、っていうのがポイントなんですね。国内で完結する話ではないと。
そうです。さらにそのページでは、東欧地域、具体的にはルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、スロバキア、チェコ、ポーランドでのグリーン水素の地産地消がテーマとして挙げられています。
そうなんです。EUの「水素回廊」構想の中で、東欧が水素の供給地としてEU全体の水素経済を支える役割が期待されている、という整理も書かれています。今回の公募でも同じ問題意識が土台になっていると考えられますが、最終的には今回の公募要領で要確認です。
jGrantsの対象者は「企業(団体等を含む)、大学等」と書かれています。事業分類は「調査等」です。
大学等も対象です。研究機関や技術系の企業が中心になりそうな公募ですね。ここは門戸が開かれている印象です。
jGrants上は学術研究、専門・技術サービス業と分類されています。研究開発や技術サービスを手がける会社、コンサルティング系の会社も視野に入ってくる表示です。
これはあくまでjGrants上の分類表示です。自分の業種で応募できるかどうかは、公募要領の対象者要件で要確認。ここは「たぶん大丈夫」で進めると危ないところです。
そういうことです。分類は検索の入口、要件は審査の入口。役割が違います。
そこははっきりしていて、従業員数の制約なし、対象地域は全国です。
それはありがたい! 東京の会社でも地方の会社でも同じ土俵なんですね。
そういうことです。この規模の公募にしては門が広いほうだと思います。ただ、門が広いぶん、提案の中身で差がつくということでもあります。
正直に言います。公募のページには補助上限額が「-」、補助率は空欄です。
違います。金額の記載がない、ということです。だから僕がここで「○千万円」と書いたら、それは完全な創作になります。
NEDOのホームページにある公募要領と仕様書です。jGrantsのページにも公募要領・交付要綱・申請様式の欄が用意されています。まずそこを開いて、金額の条件を自分の目で確認する。これが最短ルートです。
マジですか。じゃあ自分たちで書類をそろえる必要があるんですね。
そうです。ここは気合を入れて準備するしかありません。逆に言うと、外部に丸投げできないぶん、事業の中身を自分たちが一番よく分かっている状態で書けるとも言えます。
上限も補助率も分からないと、社内の決裁が通らないんですが。
そのとおりです。だから順番としては、NEDOの公募ページから公募要領をダウンロードして、金額の条件を確認してから社内に持ち帰る。この順番が現実的です。
募集期間が2週間弱なので、順番を間違えると間に合いません。金額の確認が最初の一歩です。
この公募の3つの特徴NEDOの国際実証事業
脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術を海外で実証する事業
事業分類は調査等
jGrantsでは補助金として掲載。NEDOの案内は受託を希望する方
全国・従業員数の制約なし
対象地域は全国、従業員数の上限はなし
募集期間は2026年9月18日から9月30日までです。
短いです。書類をそろえながらだと、あっという間に最終日が来ます。しかも今回は代理申請ができません。
そういうことです。逆に、早く動いた人ほど有利な条件です。
同じ事業名の2025年度の公募ページには、事業期間はNEDOが指定する日から原則1年以内と書かれています。
今回の公募でも同じ条件かどうかは公募要領で要確認です。ただ、長期の開発というより、調査や実証を1年でまとめるタイプだと考えておくと、提案の組み立てがしやすくなります。
2025年度の普及促進事業の公募は、2025年8月8日から8月29日正午まででした。
そういうことです。時期が動くということは、毎年同じタイミングで準備すればいいわけではない、ということでもあります。情報はこまめに追う必要があります。
今回の公募スケジュール2026年9月18日
募集開始
募集期間の初日
2026年9月30日
募集締切
募集期間の最終日
採択後
NEDOが指定する日から原則1年以内
2025年度公募の記載。今回は公募要領で要確認
NEDOの別の公募の予告ページでは、Jグランツでの応募にはGビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要で、事前に準備をお願いします、と案内されています。
あ、それ聞いたことある。取るのに時間がかかるやつですよね。
そう、だから募集期間が2週間弱の今回は、GビズIDを持っていないとかなり厳しい。まずここから動くのが現実的です。
そのとおりです。ここでつまずくと、中身が良くても出せません。
郵送でもいいですか? 分厚い書類を送るのかと思ってました。
2025年度の公募ページでは、持参・郵送・FAX・メールでの応募は受け付けない、Web入力フォームから必要情報の入力と書類のアップロードをしてください、と書かれています。
そうです。さらに、提出期限直前は混雑する可能性があるので余裕をもって提出してください、とも書かれています。これは本当に大事な一言です。締切当日の夜にアップロードしようとして詰まる、というのが一番もったいない負け方です。
2025年度の公募ページには、NEDOの水素・アンモニア部が問い合わせ先として案内されていて、担当者名とメールアドレスも載っています。
そう考えるのが自然ですが、最終的には今回の公募ページの記載を確認してください。問い合わせ先が違うと、質問が届かないまま時間だけが過ぎます。
応募までの流れ- 1
GビズIDを準備
Jグランツ応募にはGビズIDプライムまたはGビズIDメンバーが必要と案内
- 2
公募要領と仕様書を読む
金額・要件・対象経費はここで確認
- 3
提案書などの書類を作成
2025年度は提案書や確認票などが求められた
- 4
Web入力フォームから提出
持参・郵送・FAX・メールは不可
- 5
期限に余裕を持って完了
締切直前は混雑する可能性がある
2025年度の普及促進事業のページには、公募要領、仕様書、提案書、それにワーク・ライフ・バランス等推進企業に関する認定等の状況、情報管理体制等の確認票とその説明、契約に係る情報の公表について、基本計画、実施方針といった資料が並んでいました。
そうなんです。特に仕様書は「何をどこまでやるのか」が書かれた資料なので、公募要領とセットで読む必要があります。提案書だけ先に書き始めると、ずれたものを書いてしまいます。
今回も似た構成の資料が公募要領と一緒に公開されると考えられますが、実際のラインナップは今回の公募ページで要確認です。
「情報管理体制等の確認票」って、ちょっと怖い名前ですね。
名前のとおり、情報をどう管理するかの確認に関する書類です。国際実証となると、海外の関係者と情報をやり取りすることになりますから、そこを確認されるのは自然な流れです。
そうです。技術の中身と、それを運用する体制の両方を見られる。これがこの手の公募の特徴です。
2025年度のページに書かれている東欧地域の話が大きなヒントになります。EUの「水素回廊」構想の中で、東欧が水素輸送の要所となり、水素の供給地としてEU全体の水素経済を支える役割が期待されている、という整理です。
なるほど。じゃあ「その地域でどう水素を作って、どう使うか」を書き込む必要があるんですね。
そうです。域外へグリーン水素を供給するだけでなく、地産地消を図ることが、さらなる水素の有効活用につながる。この問題意識が土台にあります。
2025年度の公募では、東欧地域内での水素利用が国際実証事業として成立し得るか、その地域で継続的に事業の普及が可能か、という検証がテーマだと書かれています。
技術の話と、ビジネスが続くかの話、両方いるんですね。
そこがこの事業の面白いところであり、難しいところです。「技術的に動く」だけでは足りず、「その国で続く」ところまで見られます。
僕がまず挙げるのは、締切の短さとGビズIDの準備不足です。中身の前に、出せないという理由で負けてしまう。これが一番もったいない。
金額の条件を確認しないまま社内説明を始めてしまうことです。上限も補助率もページに記載がないので、公募要領を開かないと話が進みません。あとは、2025年度の情報を今回の条件と決めつけてしまうこと。年度が変われば条件も変わります。必ず今回の公募要領で確認してください。
応募のメリットと注意点- 全国どこからでも応募できる
- 従業員数の制約がない
- 企業も大学等も対象
- 脱炭素化・エネルギー転換という大きなテーマに挑める
×デメリット
- 補助上限額・補助率が公表されていない
- 募集期間が2026年9月18日から9月30日までと短い
- 代理申請ができない
- 書類は自分たちでそろえる必要がある
対象者は「企業(団体等を含む)、大学等」と書かれているので、個人事業主の扱いは公募要領で要確認です。ここで「いけます」と言ってしまうと、後で取り返しがつきません。
補助率と上限は、結局どこを見れば分かるんでしょう?
公募要領と仕様書です。jGrantsのページにも公募要領・交付要綱・申請様式の欄があります。ここに記載がなければ、NEDOの問い合わせ先に確認するのが確実です。
そうです。ただ、募集期間が短いので、質問は早めに出すのが鉄則です。
この記事で扱っている情報の中には、比較できる他制度のデータがありません。だから他の制度と並べて「こっちが得」とは言えません。比較するなら、それぞれの公募要領で条件を並べてからです。
それが安全です。特に金額は、公表されていないものを推測で埋めると判断を誤ります。
NEDOが、脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術を海外で実証する事業の実施者を募っている公募です。対象地域は全国、従業員数の制約はなし、企業も大学等も対象です。
で、募集期間が2026年9月18日から9月30日まで、と。
そう、ここが勝負です。そして補助上限額は「-」、補助率は記載なし。この2つは公募要領で確認する。代理申請はできないので、GビズIDの準備から自分たちで進める。この順番だけ守れば、あとは提案の中身に集中できます。
なるほど! まず公募要領を開いて、金額を確認して、GビズIDを取って、提案書を書く。順番が全部見えました。ありがとうございました!
ちなみに、東欧の水素地産地消というテーマは、技術者にとってはたまらない題材だと思います。1年という限られた期間で、何を検証するかを絞り込むのが腕の見せどころです。