室谷さん、今回取り上げるのは「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の2026年度第2回公募ですね。名前が長い!
長いですよね(笑)。でも中身はシンプルです。日本の技術を、日本とは環境が違う海外の現場で実証して、有効性を示して、国内外での普及につなげる。これがこの事業の狙いです。
そこが肝です。NEDOの公募予告ページには、S+3E、つまり安全性・安定供給・経済性・環境適合の実現に資する技術を対象にすると書かれています。日本の環境でうまくいった技術が、暑い国や寒い国、電源事情が違う国でも同じように働くかどうかは、実際に置いてみないと分かりません。
そういうことです。さらにその先に、日本のエネルギー関連産業の海外展開、国内外のエネルギー転換・脱炭素化、そして日本のエネルギーセキュリティへの貢献まで見据えています。単発の研究ではなく、出口までセットで考えられているのが特徴です。
でも、いきなり海外で大規模実証、となるとハードルが高そうですね。
そこは段階が切ってあります。この事業は[1]成立性調査、[2]実証設計、[3]実証研究、[4]フォローアップの4つで構成されていて、今回の第2回公募で募集するのは[1]成立性調査と[2]実証設計です。
じゃあ、いきなり実証研究が始まるわけではないんですね。
はい。まず成立性を調べ、実証の設計を固める。そして[2]から[3]へ、[3]から[4]へ進めるかどうかは、審査によって個別に決定されます。
そこは誤解のないようにしたいところです。公募で選ばれたら実証研究まで自動的に行ける、という仕組みではありません。
この事業の3つの特徴海外での実証が前提
日本と環境が異なる海外の現場で有効性を示す
4段階の構成
成立性調査→実証設計→実証研究→フォローアップ
今回は前半2段階を公募
2026年度第2回は成立性調査と実証設計が対象
NEDOの募集要項では、対象者は「企業(団体等を含む)、地方公共団体」とされています。
そこは幅を持たせた書き方になっていて、細かい法人格の扱いは公募要領で要確認です。ただ、企業に限らず地方公共団体も対象として明記されているのは大きいですね。
あり得ます。地域の技術を海外に売り込む、という文脈で自治体が関わることは自然ですから。
jGrantsの掲載情報では、従業員数の上限は「従業員数の制約なし」となっています。
そうなんです。だからといって誰でも通るという話ではなく、技術の中身と実証計画が問われる、ということです。人数で門前払いされるタイプの制度ではない、と理解しておけばいいと思います。
はい。むしろ書類と面談の準備量のほうが高い壁になります。
jGrants上では対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」と表示されています。利用目的は「研究開発・実証事業を行いたい」、対象地域は全国です。
はい。ただ、業種の当てはめは自分の会社がどの区分に入るかで迷いやすいところです。判断に迷ったら、NEDOの問い合わせ先に確認するのが確実ですよ。
事業統括部 国際1課が窓口で、メールアドレスが公開されています。NEDOのページでは「kokusaijissyou[]ml.nedo.go.jp」と表示されていて、[]の部分を@に変えて使う形式です。この表記、初見だとちょっと戸惑いますよね(笑)。
スパム対策なんでしょうけど、知らないと「送れない」ってなりそう。
ここが一番気になるところです。いくらもらえるんですか?
これがですね、jGrantsの掲載情報では、補助上限額は「-」、補助率も記載なし、補助金額も上限の記載なし、という状態なんです。
そうなんです。だからこの記事でも、勝手に「○千万円」なんて数字を作るわけにはいきません。金額と補助率は公募要領で要確認、これが正確な答えです。
そのとおりです。ここを曖昧にしたまま社内稟議を通そうとするのが、一番危険な進め方です。
事業分類が「研究(委託、共同研究、補助)、実証事業(フィールドテスト)、調査等」となっています。つまり、委託なのか、共同研究なのか、補助なのか、性格が複数ある書き方なんです。
違います。補助は自分でいったん支払って後から受け取る形、委託は業務として受ける形で、資金繰りの感覚も会計処理も変わってきます。どれが適用されるかは公募要領と契約形態の確認が必須です。
見落とすと、資金繰りが想定と全然違う、という事故になります。金額の前に、まず形態を確認してください。
これはjGrantsの掲載情報にも予告ページにも一覧が出ていません。ですので「この経費は対象」と断定はできません。公募要領で要確認の項目です。
ですよね。ただ第1回公募のページには、実証設計の公募要領や提案書、積算用総括表、経済性評価関連資料といった様式が公開されていました。第2回も同種の書類が公募開始日に出るはずなので、そこを待つのが確実です。
まさにその読み方が有効です。数字を先に知るのではなく、様式から要求を読む。公募前にできる一番賢い準備ですよ。
この公募の期待と注意- 従業員数の制約なしと明記されている
- 企業だけでなく地方公共団体も対象
- 2026年度第2回として公募が実施される
×デメリット
- 補助上限額・補助率が掲載情報では確認できない
- 委託・共同研究・補助が混在し形態の確認が必要
- プレエントリー面談が必須で応募までに時間がかかる
はい、9分野あります。そして応募にあたっては、1分野のみを選択して応募します。複数分野にまたがるからまとめて出す、という出し方はできません。
ダメです。どこに自分の技術を置くか、最初に決める必要があります。ここはプレエントリー面談の中でも決めることになります。
水素・アンモニア技術、再生可能エネルギー技術、サーキュラーエコノミー技術、半導体・情報インフラ技術、AI・ロボット技術、バイオ・材料技術、自動車・蓄電池技術、航空機・宇宙技術、省エネルギー技術。この9つです。
けっこう幅広い! うちの技術、どれにも当てはまりそうで当てはまらない気がする(笑)。
その迷いはよく起きます。各分野の詳細はNEDOの事業紹介ページに整理されていますし、3分で概要を紹介する事業紹介動画やリーフレットも用意されています。まずはそこを眺めるのが早いです。
補足すると、第1回公募では成立性調査と実証設計で対象分野の並びが同じではなく、実証設計のほうが分野が絞られていました。第2回の扱いは公募要領で要確認です。
同じ9分野でも、区分によって出せる分野が違う可能性があると。
そうです。だからこそ、早い段階で「自分は何区分で、どの分野か」を固めておく必要があります。
技術分野の選び方- 水素・アンモニア
- 再生可能エネルギー
- サーキュラーエコノミー
- 半導体・情報インフラ
- AI・ロボット
- バイオ・材料
- 自動車・蓄電池
- 航空機・宇宙
- 省エネルギー
- 1分野のみ選択
- 詳細は事業紹介ページを参照
- 面談終了時に技術分野を決定
さっきから「面談」という言葉が出てきますが、これが必須なんですか?
必須です。NEDOの第2回予告ページには、公募に応募するためにはプレエントリー申請を行い、NEDOと面談していただくことが必須、と明記されています。
そうなんです。しかも第1回公募のページを見ると、プレエントリーを実施していない方の応募は受理できない、という書き方になっています。門の前に門があるイメージですね。
プレエントリー申請書に基づいて面談を実施し、面談終了時に応募者が技術分野と応募区分(成立性調査/実証設計)を決定する、という流れになっています。つまり面談は選考の場というより、応募の入口を確定する場です。
ですので、自分の技術が9分野のどこに当たるか、成立性調査と実証設計のどちらで出すかを、ある程度整理してから臨むのが良さそうです。第1回では、事業内容としてこの点が明記されていました。
まさに。面談は限られた時間ですから、そこは準備で差がつきますね。
第2回の予告ページでは、プレエントリー申請期限が2026年9月1日、面談期間が8月24日から9月10日と示されています。面談日程は希望どおりにならない場合があり、期間終了間際は混雑が予想されるので、早めの申請が推奨されています。
8月24日から面談が始まるのに、申請期限が9月1日というのは?
面談期間の途中まで申請を受け付ける、という建て付けですね。ただ、9月1日に近づいてから出すと、面談の枠が埋まっているリスクがあります。実質的には8月中に出す気持ちで動いたほうが安全です。
なるほど、期限どおりに出せばいいわけじゃないんだ。ひっかけだ(笑)。
応募受付はJグランツ上で行う予定です。そしてJグランツでの応募には、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要です。
そこが落とし穴で、NEDOのページには取得に2週間以上かかる場合もあると書かれています。未取得なら余裕をもって登録手続きを、と明記されています。
2週間以上! 締切前に気づいたら詰んでた、ってことになりかねない。
まさに。しかも今回はプレエントリー面談もあるので、GビズID、面談、本申請と三段階あるつもりでスケジュールを引いてください。
第1回公募では、応募はJグランツ上で行い、他の方法(持参・郵送・FAX・メール等)による応募は受け付けない、と明記されていました。提出期限直前は混雑する可能性があるので余裕をもって、とも書かれています。
ですので、紙で社内稟議を通す文化の会社ほど、早めに動いたほうがいいです。押印を集めている間に締切、というのが定番の失敗パターンですから。
第2回の制度説明会は2026年7月29日14時00分から15時00分に、NEDO高輪ゲートウェイオフィスでの対面とオンラインの併用で開催され、すでに終了しています。申込期限は対面参加が2026年7月24日、オンライン参加が2026年7月28日でした。
いえ、制度説明会の資料は2026年7月27日に、動画は2026年8月10日に掲載されています。今からでも中身は追えますよ。
応募までの流れ- 1
GビズIDを準備
プライムまたはメンバー。取得に2週間以上かかる場合がある
- 2
説明会資料と動画を確認
2026年7月27日公開の資料、8月10日公開の動画
- 3
プレエントリー申請書を提出
提出先はNEDO事業統括部 国際1課。申請期限は2026年9月1日
- 4
NEDOと面談
面談期間は2026年8月24日から9月10日。ここで技術分野と応募区分を決定
- 5
Jグランツで本申請
jGrants掲載の募集期間は2026年9月25日から10月26日。詳細は公募要領で要確認
まず押さえるべきは、[2]実証設計の実施者の公募と[2]から[3]への移行は、外部有識者で構成される委員会により審査される、という点です。第1回の公募ページに明記されています。
はい。[3]から[4]への移行の可否も審査により個別に決定するとされています。つまり、入口で通ったら終わりではなく、次の段階でまた見られる。ここを理解しているかどうかで提案の作り方が変わります。
提示されている情報から言える範囲で整理すると、3つです。ひとつは日本と環境が異なる海外で実証する意味。ふたつめはS+3E、つまり安全性・安定供給・経済性・環境適合への貢献。みっつめは国内外での普及につながる道筋です。
そのとおりです。第1回の公募では、実証設計の応募書類として経済性評価関連資料や企業化計画書といった様式が用意されていました。経済性と、事業として続いていくかを見られている、と読めます。
足りません。加えて、実証成果の普及活動をNEDOが支援する必要がある、かつ有効と認められた場合には[4]を実施することがある、という書き方もあります。普及まで見ている事業だということを、提案にもにじませたいところです。
大きいのは3つです。分野を1つに絞り切れていない、成立性調査と実証設計のどちらで出すか決めていない、GビズIDやプレエントリーの日程が間に合わない。この3つは、技術の中身以前に足をすくわれます。
そうなんです。技術は強いのに手続きで出せない、が一番もったいない。逆に言えば、ここを先に固めるだけで土台が変わります。
全体の日程を、もう一度時系列で整理してもらえますか?
まず2026年7月8日に第2回公募の予告が公表されました。7月27日に制度説明会資料、8月10日に説明会動画が掲載されています。説明会自体は7月29日14時00分から15時00分に開催され、終了しています。
そうです。面談期間は8月24日から9月10日、プレエントリー申請期限は9月1日。そしてjGrantsの掲載では募集期間が2026年9月25日から10月26日と表示されています。
予告ページでは「2026年9月中旬頃から開始する予定」となっていましたよね。
はい。予告の時点では9月中旬頃から開始する予定とされていました。jGrantsの掲載では9月25日から10月26日という表示になっています。開始日の表現に幅があるので、最終的な日程は公募ページと公募要領で要確認です。
GビズIDが2週間以上かかる場合があることを考えると、7月の予告が出た時点で動き出すのが理想です。8月24日から面談が始まるので、8月上旬にはプレエントリー申請書をまとめ、9月1日の申請期限前に面談枠を押さえる。これが一番安全な組み立てです。
説明会の資料と動画は公開されているので、そこから入ることはできます。ただしGビズIDの取得期間と面談枠の残りが効いてきます。迷っている時間が一番高くつきますよ。
2026年度第2回公募のスケジュール2026年7月8日
公募予告を公表
第2回公募の予告ページが公開される
2026年7月27日
説明会資料を掲載
制度説明会の資料が公開される
2026年7月29日
制度説明会を開催
14時00分から15時00分。対面とオンラインの併用。終了済み
2026年8月10日
説明会動画を掲載
当日の動画が公開される
2026年8月24日〜9月10日
プレエントリー面談期間
面談終了時に技術分野と応募区分を決定
2026年9月1日
プレエントリー申請期限
早めの申請が推奨される
2026年9月25日〜10月26日
jGrants募集期間の表示
詳細は公募要領で要確認
この記事で並べられる比較対象は提示されていないので、他制度の上限や補助率と横並びにすることはしません。ただ、性格の違いは言えます。この事業は海外での実証と、段階を追った移行審査がセットになっている点が独特です。
そうですね。国内の実証で完結するなら国内の制度、海外展開を伴うならこの事業、という切り分けができるかどうかが最初の判断になります。
最後に、応募前に確認すべき基本情報を整理してください。
制度名は「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の2026年度第2回公募、実施機関は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、プロジェクトコードはP93050です。
対象地域は全国、対象業種は「学術研究、専門・技術サービス業」、従業員数は制約なし、利用目的は研究開発・実証事業です。補助上限額は「-」、補助率は記載なしなので公募要領で要確認です。
はい。メールは「kokusaijissyou[]ml.nedo.go.jp」、[]を@に変えて使う形式です。ここは意外と見落とされます。
基本情報の確認ポイント| 項目 | 掲載されている内容 |
|---|
| 制度名 | 脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(2026年度第2回公募) |
| 実施機関 | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) |
| プロジェクトコード | P93050 |
| 補助上限額 | -(公募要領で要確認) |
| 補助率 | 記載なし(公募要領で要確認) |
| 募集期間の表示 | 2026年9月25日〜2026年10月26日(詳細は公募要領で要確認) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 学術研究、専門・技術サービス業 |
| 従業員数 | 制約なし |
| 対象者 | 企業(団体等を含む)、地方公共団体 |
| 問い合わせ先 | NEDO事業統括部 国際1課(kokusaijissyou[*]ml.nedo.go.jp、[*]を@に変える) |
金額が載っていないのに、検討を進めていいんでしょうか?
進めていい部分と、止めるべき部分があります。プレエントリー面談の日程調整やGビズIDの準備は、金額が分からなくても進められます。一方、社内の意思決定や資金計画は、公募要領で補助率・上限・経費範囲を確認してからでないと危険です。
はい。手続きの準備は並行、お金の話は要領確認後。これが現実的な進め方です。
うちの技術、水素にも省エネにも見えるんですけど(笑)。
あるあるですね。ただ、応募は1分野のみの選択です。プレエントリー面談で技術分野を決定することになるので、その場で考えず、候補を2つほどに絞って面談に臨むのがおすすめです。
面談は決定の場ですから、相談というより確認に近いと捉えておきましょう。事前に整理しておくのが安全です。
[2]から[3]に進めなかったら、そこで終わりですか?
移行の可否は審査により個別に決定する、という建て付けです。つまり移行できないケースは想定されています。だからこそ、実証設計の段階で次に進むための根拠をどれだけ積めるかが勝負になります。
最初から最後まで通る前提で考えないほうがいいんだ。
そういうことです。段階ごとに成果を出して、次の審査に進む。その積み上げ型だと理解してください。
技術で勝負する事業ですが、勝負の前に手続きの階段がいくつかあります。GビズID、プレエントリー、面談、本申請。この4つを先に片付けてしまうのが、2026年度第2回公募の最短ルートです。