今日は鉄道の補助金ですか。名前が長すぎて、読むだけで疲れるんですけど……。
室谷: (笑)正式名称は「交通システムの省CO2化に向けた設備整備事業(鉄道事業等におけるネットワーク型低炭素化促進事業)」の三次公募です。二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の中の一つで、環境省から交付決定を受けた一般社団法人地域循環共生社会連携協会が執行しています。
佐藤: えっ、環境省の事業を協会が実行しているんですか!
室谷: そうなんです。鉄道や軌道の分野で省エネ・省CO2化を進めるための設備整備を支える事業で、目的には車両の省エネ化と、鉄道車両が減速時に発生させる回生電力の有効活用をバランス良く組み合わせて、鉄道システム全体の省CO2化を推進する、と書かれています。
佐藤: バランス良く、というのがミソなんですね。
室谷: そこが肝です。事業の実施によってエネルギー起源二酸化炭素の排出量が確実に削減されることが重要、とも明記されています。設備を入れただけでは足りず、削減量を示せるかどうかが問われます。
正式名称をもう一度お願いします。メモしておきたいので。
室谷: 制度名は「交通システムの省CO2化に向けた設備整備事業(鉄道事業等におけるネットワーク型低炭素化促進事業)(三次公募)」、事業名は「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」です。
佐藤: 三次公募ということは、何回か募集があるんですね!
室谷: そういうことですね。今回の募集期間は令和8年10月5日から令和8年12月23日まで、対象地域は全国です。応募資格や経費の細かい定義は公募要領で要確認ですが、枠組みはこのとおりです。
佐藤: なるほど、まずは日程を押さえるのが第一歩ですね。
特徴をざっくり教えてください。
室谷: 一つ目は鉄道の省CO2化に特化していること、二つ目は設備等の整備を支援する点、三つ目は削減効果の確実性が重視される点です。
佐藤: ふむふむ。
室谷: 少し整理して図にしておきますね。
この制度の3つの特徴鉄道の省CO2化に特化
車両の省エネ化と回生電力の活用を組み合わせて鉄道システム全体の脱炭素を進める
設備等の整備を支援
省エネ設備や回生電力活用設備、先進的な設備システムの導入が対象
削減効果の確実性が重視
エネルギー起源二酸化炭素の排出量が確実に削減されることが重要と明記
3つ目の「確実に削減」が、あとで効いてきそうですね。
室谷: そのとおりです。ここが審査の軸になります。
メニューを1個ずつ見ていきたいです。まず並べて比較できますか?
室谷: いいですよ。ただ、それぞれの細かい対象設備や単価の考え方は公募要領で要確認なので、まずは枠組みを押さえましょう。
3つの事業メニューの違い- 車両への省エネ設備の導入
- 40%以上のCO2削減効果が見込まれる車両の改修が対象
- 回生電力の有効活用に資する設備の導入
- 減速時に発生する電力を活かす
- 省CO2効果の高い先進的な設備・システム
- 先進性の説明が求められる
車両省エネは、車両への省エネ設備の導入で40%以上のCO2削減効果が見込まれる改修、でしたよね。
室谷: そのとおりです。40%以上という大きな数字が条件なので、どの設備を入れて、どのくらい減るのかを数字で説明できる資料が要ります。
佐藤: そこは後で詳しく聞きたいです!
室谷: はい、審査のところでじっくり話しますね。
回生電力って、ブレーキのときに発電するやつですよね?
室谷: そのイメージで大丈夫です。鉄道車両が減速するときに発生させる回生電力を有効活用するための設備の導入を支援する枠です。
佐藤: 使われなかったら、そのまま消えちゃう電気なんですか?
室谷: 使い切れない分は活かせないままになってしまいます。だから活かす仕組みを整えるほど省CO2につながる、という整理です。
佐藤: なるほど、もったいない電気を拾いにいく感じですね!
先進省エネは、回生電力の枠と何が違うんですか?
室谷: こちらは省CO2効果の高い先進的な設備・システムの導入を対象にした枠です。「先進的」と付く以上、どこが新しいのかを説明する必要が出てきます。
佐藤: ふつうの設備更新だと弱いかもしれない、と。
室谷: そこは公募要領の対象要件を確認してください。ただ、効果と先進性の両方を説明できる準備をしておくのが安全です。
佐藤: なるほど、言い方の工夫も要りそうですね。
で、いくら出るんですか? そこが一番知りたい!
室谷: ここは正直に言います。この公募の情報では、補助上限額は公募要領を参照、補助率も公募要領を参照とされています。実額は公募要領で要確認です。
佐藤: えっ、金額が書かれていないんですか!
室谷: そうなんです。だからこそ、応募を考えるなら先に公募要領を開いて、上限額・補助率・対象経費の範囲を確認するのが最初の一歩になります。
どこに載っているんですか?
室谷: 一般社団法人地域循環共生社会連携協会の公募ページ、
https://rcespa.jp/r08-kotsu/r08-kotsu-no3 に、交付規程・公募要領・実施要領、そして応募申請書の様式が置かれています。
佐藤: なるほど、まずそこを開くと。
室谷: はい。jGrantsのページにも公募要領、交付要綱、申請様式のリンクがあります。数字は必ず一次資料で確認してください。
金額が分からないまま準備を始めるのは不安です。
室谷: ですよね。だから先に要領を読んで、上限額と補助率をメモして、そのうえで自社の事業費と突き合わせる順番がおすすめです。
佐藤: 順番を逆にすると、あとで計画が崩れると。
室谷: そうなります。設備の仕様を決めてから「実は対象外だった」と分かると、スケジュールごと崩れます。
佐藤: たしかに、先に金額と範囲を知らないと見積もりも立てられないですね。
補助金って、あとからもらうんですよね?
室谷: 補助事業なので、まず事業者が支払って、あとで精算される流れになります。だから資金繰りの計画は大事です。
佐藤: なるほど、そこは覚悟が要るんですね。
室谷: 支払いのタイミングと入金のタイミングを並べて、資金が足りるかを見ておきましょう。
うちみたいな会社でもいけますか?
室谷: 応募資格は3つ挙がっています。鉄道事業法第3条に基づく許可を有する事業者、軌道法第3条に基づく事業の特許を有する事業者、そして導入する設備等をその許可・特許を持つ事業者に対してリース等により提供する事業者です。
佐藤: リース会社も入れるんですね!
室谷: はい。鉄道事業者だけではなくて、設備をリース等で提供する立場の事業者も応募できます。ここは見落とされがちなポイントです。
許可と特許、どっちかを持っていればいいんですか?
室谷: 並列で書かれているので、どちらかの立場であれば応募資格の許可・特許の項目に当てはまる、という整理です。
佐藤: 自社がどちらに当たるか分からない場合は?
室谷: 提出書類の準備も含めて、問い合わせ先に確認するのが確実です。
佐藤: なるほど、ここは自己判断しないほうがよさそうですね。
業種の縛りはありますか?
室谷: 公募情報では対象業種として公務(他に分類されるものを除く)、運輸業・郵便業、不動産業・物品賃貸業が挙がっています。従業員数の上限は設けられていません。
佐藤: 従業員数の制約なし、というのは助かりますね!
室谷: そうですね。人数で弾かれる心配はありません。
どんな目的に使える想定なんですか?
室谷: 公募情報では、安全・防災対策支援、まちづくり・地域振興支援、設備整備・IT導入、エコ・SDGs活動支援という使途が挙がっています。
佐藤: まちづくりとセットで語られるのが面白いですね。
室谷: 公共交通は地域の暮らしそのものですから、脱炭素の話が地域振興と重なるんです。
佐藤: なるほど、鉄道だけの話じゃないんですね。
経費の線引きはどうなっているんですか?
室谷: ここは正直、公募要領で要確認の領域です。事業の説明では、設備等の整備に要する経費の一部を補助するとされていますが、どの費目が対象になるかは要領の記載で決まります。
佐藤: 想像で書いちゃいけないところですね。
室谷: そういうことです。だからこそ、要領を読むときのチェック項目を先に整理しておきましょう。
対象として挙がっているもの・要領で確認したいもの- 車両への省エネ設備の導入により40%以上のCO2削減効果が見込まれる車両の改修
- 回生電力の有効活用に資する設備の導入
- 省CO2効果の高い先進的な設備・システムの導入
×デメリット
- 補助上限額は公募要領を参照
- 補助率は公募要領を参照
- 対象設備の細目や単価の考え方は公募要領を参照
- 複数年度申請は年度ごとの経費区分と年度ごとの交付申請が必要
具体的に何を見ればいいですか?
室谷: まず対象設備そのものの範囲、次に設計や工事をどこまで含むのか、既存設備の撤去がどう扱われるのか、単価の考え方、そして消費税の扱いです。
佐藤: 意外と細かいところで差が出るんですね。
室谷: 出ます。見積もりの段階で「これは対象ですか」と確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
佐藤: なるほど、早めに聞くのが得ですね。
提出書類で特に大事なのは何ですか?
室谷: 複数年度で申請する場合、応募の時点で年度ごとの事業経費を明確に区分した経費内訳書と実施計画書を出す前提になっています。ここが曖昧だと、そもそも審査に乗りません。
佐藤: 年度をまたぐと一気に複雑になる!
室谷: そうなんです。しかも複数年度の場合は、補助金の交付申請を年度ごとに行う必要があります。
佐藤: なるほど、そこは覚えておきます。
車両省エネの40%って、どうやって示すんですか?
室谷: 削減効果の計算方法や参照すべき資料は公募要領と参考資料に従います。協会の公募ページには応募申請書の様式と参考資料が事業別に並んでいて、そこからダウンロードする形です。
佐藤: 自前で勝手に計算しちゃダメなんですね。
室谷: 様式に沿って、根拠がたどれる形にするのが鉄則です。数値の出どころを説明できないと、審査で止まります。
佐藤: なるほど、式より説明力なんですね。
実際の手順を教えてください。
室谷: 大きく分けると、要領の確認、IDの準備、書類の作成、そして提出です。順番に説明しますね。
応募から事業完了までの流れ- 1
公募要領をダウンロード
協会の公募ページから交付規程・公募要領・実施要領を入手
- 2
応募資格を確認
鉄道事業法の許可、軌道法の特許、リース等で提供する立場のいずれかに該当するか
- 3
GビズIDを取得
jGrantsでの電子申請に必要。発行に日数がかかる場合がある
- 4
経費内訳書と実施計画書を作成
複数年度は年度ごとに経費を明確に区分
- 5
削減効果の根拠を整理
40%以上などの算定根拠をそろえる
- 6
電子申請で提出
募集期間は令和8年10月5日から令和8年12月23日まで
- 7
交付決定後に事業を実施
今年度分は交付決定の日から令和9年2月28日までに完了する必要
電子申請なんですね。
室谷: jGrantsでの受付なので、GビズIDの取得が必要になります。発行まで日数がかかる場合があるので、締切前に慌てないよう早めに動いてください。
佐藤: なるほど、ID取得から始めると。
室谷: 書類を作りながら並行して進めると効率的です。
締切と、その後の期限を教えてください。
室谷: 募集期間は令和8年10月5日から令和8年12月23日までです。今年度の事業は、交付決定の日から令和9年2月28日までに完了する必要があります。
佐藤: そこは短い! 逆算が必須ですね。
室谷: はい。補助事業期間は原則として2年度以内ですが、初年度分の完了期限が決まっているので、工事や納入のリードタイムを先に確認しておきましょう。
募集スケジュールの流れ令和8年10月5日
募集開始
三次公募の受付を開始
令和8年12月23日
募集締切
期間内に電子申請で提出
交付決定後
事業実施
今年度分は令和9年2月28日までに完了する必要
通るかどうかの分かれ目は何ですか?
室谷: 目的に「確実に削減されることが重要」と書かれているのがヒントです。つまり、削減効果の確実性をどれだけ具体的に示せるかです。
佐藤: そこを突き詰められれば強い、と。
室谷: そういうことですね。
具体的には何を準備すればいいですか?
室谷: 導入する設備の仕様、導入前後の比較、算定の根拠、そして運用してからの効果の測り方です。この4点がつながっていると強いです。
佐藤: なるほど、導入して終わりじゃないんですね。
室谷: そこです。補助事業は効果を報告する前提なので、測れる形にしておくことがそのまま審査対策になります。
やらかしがちなポイントを教えてください。
室谷: 年度の区分があいまいなまま経費内訳書を作ってしまう、削減効果の根拠が社内資料だけで外から見えない、締切直前にID取得に気づく、あたりです。
佐藤: 全部やりそうで怖い(笑)。
室谷: (笑)だから早めに要領を開いて、書類の型を先に把握しておくのが近道です。
佐藤: なるほど、型から入るんですね。
最後に基本情報を整理してもらえますか?
室谷: 制度名、事業名、募集期間、対象地域、問い合わせ先をまとめておきます。
質問したいときはどこに?
室谷: 一般社団法人地域循環共生社会連携協会 事業部、担当は花田さんと中島さん、メールは
koutsu08@rcespa.jp です。
佐藤: リースで関わる場合も相談していいんですか?
室谷: 応募資格にリース等で提供する事業者が入っているので、そこは要領を見たうえで問い合わせるのが早いです。複数年度の申請も、年度ごとの経費区分と交付申請のルールがあるので、同じく確認しておきましょう。
佐藤: なるほど、分からないことは聞くのが一番ですね。
今日の話、最後に要点を絞ってもらえますか?
室谷: 一つ目は公募要領で上限額・補助率・対象経費を確認すること、二つ目は削減効果の根拠資料を作り込むこと、三つ目は締切と完了期限から逆算してスケジュールを引くことです。
佐藤: なるほど!
室谷: 鉄道の脱炭素は設備の組み合わせが勝負なので、計画の作り込みがそのまま結果に出ます。早めに動いた人が強いですね。
もう一度、要点を図で見せてもらえますか?
室谷: はい、これで最後の確認をしてください。
ありがとうございました。まず公募要領を開くところから始めます!
室谷: それが一番の近道です。分からない数字は、必ず一次資料で確認してくださいね。