室谷さん、今日は東京都の補助金ですね。医療系、しかも病院向けと聞いて、ちょっと身構えてます!
そう、今回は令和8年度 東京都入退院時連携支援事業補助金。かみ砕くと、病院が入退院支援の専門人材を配置するための人件費を、東京都が半分から4分の3まで出してくれる制度です。
人件費に補助が出るんですか。えっ、それってかなりありがたい話では?
そうなんですよ(笑)。しかも補助上限は270万円。看護師さん1人分の給料を丸ごと見てくれるわけではありませんが、それでも大きな金額です。
270万円! マジですか。で、なぜ東京都がそこまでするんですか?
目的がはっきり書かれています。入退院支援に取り組む人材を育成・確保して、入退院時の地域連携を強めて、患者さんが在宅療養へスムーズに移れるようにする。入院して、退院して、家に帰る。このつなぎ目を強くしたいんですね。
なるほど。退院したあとの受け皿づくりがテーマなんだ。
まさにそこです。だから補助されるのも、設備やシステムではなく「人」なんですよ。
この補助金の性格を教えてください。ふつうの補助金と何が違うんですか?
ポイントは3つあります。ひとつめは人件費に直接効くこと。ふたつめは研修の修了が前提になっていること。みっつめは要件の達成度で補助率が変わることです。1/2か3/4かで、もらえる額が大きく変わります。
まさに。しかも後で詳しく話しますが、3/4を狙えるなら最初から3/4で申請しないと、後から引き上げられません。ここ、めちゃくちゃ大事です。
そういうことです(笑)。「たぶん大丈夫だろう」で1/2で出してしまうと、そのままですからね。まずは全体像を図で見ておきましょう。
東京都入退院時連携支援事業補助金の特徴人件費に直接補助
入退院支援を担当する看護師又は社会福祉士等の人件費が対象
研修の修了がカギ
令和8年度に実施する研修を修了する者、または過去に修了した者が対象
要件の達成度で補助率が変わる
要件(1)から(3)を満たすと1/2、要件(1)から(5)を満たすと3/4
はい。では次は、いちばん気になる金額の話に進みましょう!
金額を掘り下げたいです。上限270万円って、どこから出てくる数字なんですか?
まず基準額があって、それが1病院あたり3,600千円です。これを土台にして、補助率を掛けたものが補助金額になります。3/4なら上限が2,700千円、1/2なら上限が1,800千円。だから最大で270万円、というわけです。
あっ、なるほど! 基準額ありきで、掛け算した結果が上限なんだ。
そう。だから「270万円もらえる」ではなく「最大で270万円」です。対象になる経費が小さければ、その分だけ減ります。実支出額から寄附金その他の収入額を除いた額と、都の補助金の基準額を比べて、小さいほうを選定額にする。その選定額に補助率を掛ける、という順番なんですよ。
ちょっと待ってください。ということは、3,600千円分の人件費を実際に払っていないと満額にはならない、と。
そういう形になります。比較して小さいほうが採用されるので、実支出が小さければ基準額は使われません。この順番を覚えておけば迷いません。
なるほど、小さいほうを採用、と。頭に叩き込みます。
補助要件を(1)から(3)まで満たすなら1/2、(1)から(5)まで満たすなら3/4です。(4)と(5)を追加でクリアできるかどうかが分かれ目ですね。
(4)と(5)が達成できれば、同じ経費でももらえる額が1.5倍になる。大きい!
そういうことです。ただしここで注意。1/2のコースは上限が1,800千円、3/4のコースは上限が2,700千円と、それぞれ上限が決まっています。
じゃあ「3/4で出しておいて、ダメだったら1/2に落ちる」はありなんですか?
それが公式に書いてあるんです。3/4の要件を満たす可能性があるなら3/4で申請してください、と。実績報告のときに要件に該当しないと確認できたら、1/2または非該当になる可能性があります。逆に、1/2で交付決定を受けた後に3/4へ引き上げることはできません。
上がる可能性があるなら上で出せ、と。知らないと損しますね。
まさにここが最大の分岐点です。図で整理しておきますね。
1/2コースと3/4コースの違い- 補助要件(1)から(3)を満たす
- 補助率は1/2
- 上限は1,800千円
- 補助要件(1)から(5)を満たす
- 補助率は3/4
- 上限は2,700千円
「配置月数」という言葉が出てきました。これ、何ですか?
基準額の式が**1名あたり3,600千円×(配置月数÷12)**なんです。配置月数というのは、対象の職員が入退院支援のために配置されていた期間のこと。1年配置なら12/12で満額、途中からならその分だけ、という考え方です。
はい。しかも1病院につき1名というルールがここでも効いてきます。2人分は出ません。
なるほど。じゃあ配置のタイミングも、できれば年度初めからが良さそうですね。
そこは事業計画と相談ですね。令和8年度内、つまり令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間で、いつから配置するかを決めて申請する形になります。
| 項目 | 1/2コース | 3/4コース |
|---|
| 満たすべき要件 | (1)から(3) | (1)から(5) |
| 補助率 | 1/2 | 3/4 |
| 上限 | 1,800千円 | 2,700千円 |
| 基準額 | 1名あたり3,600千円×(配置月数÷12) | 同左 |
ここからは対象の話を。そもそも誰が申請できるんですか?
まず大前提が、医療法第7条第2項各号に定める病床の合計数が200床未満の都内病院であることです。東京都内にあって、ベッドの合計が200未満。対象業種は医療・福祉です。
200床以上は対象外、と。大きい病院は自前でやってね、というメッセージにも見えますね。
そう読める部分はあります。そして、そこからさらに3つの除外があります。
ひとつめが令和8年4月1日時点で施設基準に定める入退院支援加算1を取得している病院。ふたつめが医療法第7条第2項第1号に定める精神病床のみを有する病院。みっつめが地方公共団体、地方独立行政法人、特定地方独立行政法人、国、独立行政法人及び国立大学法人が開設する病院です。
なるほど。すでに加算1を取っている病院は、もう体制ができているから外れる、という理解でいいですか?
そこは公募要領では「除外」とだけ書かれています。理由の解釈は断定せず、担当窓口に確認されるのが確実ですね。
順番に見ていくと分かりやすいです。まず都内かどうか。次に、病床の合計が200床未満かどうか。そして、3つの除外に当たらないか。この3ステップですね。
図にするとこんな流れです。弾かれるパターンも先に知っておくのが大事ですよ。
申請できる病院かどうかの判定都内の病院で、病床の合計数が200床未満ですか?
はい除外3つに当たらないか確認する
令和8年4月1日時点で入退院支援加算1を取得していないか
精神病床のみを有する病院ではないか
地方公共団体・国・独立行政法人等の開設ではないか
すべてクリアなら申請を検討できる
分かりやすい! まずここで外れる病院もありそうですもんね。
そうですね。逆に対象なら人件費を見てもらえるので、判定はていねいにやりたいところです。次は、誰の人件費が出るのかを見ていきましょう。
入退院支援を行う看護師又は社会福祉士等の人件費です。そして対象になる人は2パターンあります。
まず「ア」が、入退院支援を行うために配置されている職員で、令和8年度に実施する入退院時連携強化研修又は退院支援人材育成研修を修了する者。次に「イ」が、過去に退院支援人材育成研修、退院支援強化研修(平成29年度まで実施)、入退院時連携強化研修のいずれかを修了し、入退院支援を行うために配置されている者です。
つまり、これから研修を受ける人も、もう受けた人もOK、と。
はい。ここで「今年度、研修を修了する予定」でもアに当てはまり得る、というのが見落としやすいポイントです。
じゃあ、まだ研修を受けていなくても、申請の土俵には立てる可能性があるわけですね。
そうなります。ただ研修の日程や修了の扱いは、公募要領と担当窓口で確認してくださいね。
公式には、常勤職員給料、非常勤職員給料、賞与及び手当、法定福利費が含まれるとされています。
賞与も手当も法定福利費も入るんですね。思ったより広い!
そうですね。社会保険料の事業主負担まで対象に入るのは、実質的な持ち出しを軽くしてくれます。
でも、そうなると「何でも入る」と思ってしまいそうです。
そこは注意です。国、地方公共団体等の他の補助金等を充当する場合は対象外になります。同じ人件費を二重に補助してもらうことはできません。
はい。ここを間違えると申請そのものが崩れるので、最初に確認しておきたいところです。
なんか、3年というキーワードが出てきた気がするんですが。
よく気づきました。当該職員について、これまで在宅療養移行支援事業補助金、在宅療養移行体制強化事業補助金、入退院時連携支援事業補助金の交付を受けていた期間が通算して3年を超えない場合に限ります。これが3つの壁です。
そういう趣旨ですね。だから、人を替えるのか、別の進め方を考えるのか、という発想が必要になります。
通算で3年、しかも1病院1人まで、と。人選がかなり重要になってきますね。
そうなんですよ。では、対象になる経費と対象外を図で見ておきましょう。
対象になる経費・ならない経費×デメリット
- 国・地方公共団体等の他の補助金等を充当する分
- 看護師又は社会福祉士等以外の人件費
- 1病院あたり2人目以降の人件費
そう。では次は、補助要件の(1)から(5)をひとつずつ見ていきましょう!
要件の中身を順番に見ていきたいです。(1)から(5)までありましたよね。
はい。(1)が入退院調整体制の強化に取り組むこと、(2)が入退院支援担当者を中心に、在宅療養移行支援や地域における医療と介護の連携などに取り組むこと、(3)が在宅療養患者の病状変化時における受入体制の確保に努めること。この3つは1/2コースでも3/4コースでも共通です。
つまり、この3つを満たすだけでも1,800千円までは行ける、と。
そういう組み立てになります。ここを取りこぼすと土俵に立てません。
そのとおりです。では、3/4を狙うための追加要件に進みます。
(4)が「3月で9人以上」ですよね。読み方がいまいち分からないんですが。
公式には在宅療養患者の受入れについて、3月で9人以上の実績があることと書かれています。そして注記がすごく大事で、交付申請及び来年度4月の実績報告時に、直近3か月間の実績が9人以上ある必要があるんです。
えっ、申請のときだけじゃなくて、実績報告のときにも見られるんですか?
そこなんですよ。申請時点で足りていても、実績報告のタイミングで直近3か月が9人を割っていたら、要件を満たしたことにはならない。だから3/4を狙うなら、この数字を年間通して維持する覚悟が要ります。
そう思います。3/4で申請して、実績報告で該当しなければ1/2または非該当になる可能性がある。だからこその慎重さです。
多職種連携システムを活用して、地域の医療・介護関係者との情報共有に取り組むことです。病院の中で完結させず、外の関係者と情報を共有する仕組みを使う、という条件ですね。
なるほど。(1)から(3)が体制づくり、(4)が実績、(5)が情報共有、というイメージですかね。
そうまとめると分かりやすいです。この5つを全部押さえたうえで、3/4を狙うかどうかを決めることになります。
ふむふむ。じゃあ次は、実際の申請の流れとスケジュールを教えてください!
この補助金はjGrantsでの電子申請です。だからまず、jGrantsにログインするためのGビズIDが必要になります。ここが案外時間がかかるので、先に準備しておくのが鉄則です。
GビズIDって取得に時間かかりますもんね。締切前にバタバタするやつだ。
そうならないように。そしてもうひとつ。令和4年度より、様式を提出する方法から申請フォームの直接入力に変更されています。様式の作成は不要です。
えっ、様式を作らなくていいんですか! それは助かる。
助かりますよね(笑)。ただしその分、フォームに入れる情報は事前に整理しておく必要があります。
そうなんです。jGrants上の代理申請は不可とされていますから、申請は事業者自身のアカウントで行うことになります。
公募情報としては募集期間が2026年10月14日から2026年12月31日と表示されています。ただ、公式ページの案内では**申込締切は12月18日(金)**なんです。しかも「間に合わない場合は担当宛に連絡を」と書かれています。
あれ、31日までって書いてあるのに締切は18日? そこ、混同しそうです。
そうなんですよ。表示上の募集期間と、実務上の締切が違うので、**12月18日(金)**を本番の締切として動いてください。ここを31日だと思っていると、間に合いません。
お願いします。では、手続きの流れを図でまとめておきますね。
申請から実績報告までの流れ- 1
GビズIDを取得
jGrantsのログインに必要。早めに準備
- 2
対象要件を確認
200床未満か、除外3つに当たらないか
- 3
対象職員を決める
看護師又は社会福祉士等から1人まで
- 4
研修の該当を確認
ア(令和8年度に修了する者)かイ(過去に修了した者)
- 5
補助率コースを決める
3/4の要件を満たす可能性があるなら3/4で申請
- 6
jGrantsで電子申請
フォームに直接入力。様式の作成は不要
- 7
12月18日(金)までに提出
間に合わない場合は担当宛に連絡
- 8
来年度4月に実績報告
直近3か月の実績9人以上を確認
入力フォーム方式だと、逆に何を準備しておけばいいですか?
要件に関わる数字と、対象職員の研修の状況ですね。あと、対象経費の実支出額と、寄附金その他の収入額。これらが補助金額の計算に効いてきます。
寄附金って、もらっていなければゼロでいいんですよね。
そういう形になります。あとは、他の補助金を充当していないか。ここは対象外になる条件なので、しっかり確認してください。
分かりました。詰まったら締切前に担当者へ連絡、と。
はい。問い合わせ先が明記されていますから、そこは遠慮なく使ってください。
まず、公式ページの更新日が2026年10月14日。公募情報の募集期間は2026年10月14日から2026年12月31日、実務上の締切は12月18日(金)です。
10月に始まって、12月18日までに出す、と。およそ2か月ですね。
そうですね。そしてもうひとつ、**令和8年度内(令和8年4月1日から令和9年3月31日まで)**に、(1)から(3)または(1)から(5)の要件を満たす必要があります。
申請して終わりじゃなくて、年度が終わるまで要件を満たし続ける、と。
そこがこの補助金のいちばん緊張感のあるところです。図で見ておきましょう。
令和8年度のスケジュール令和8年4月1日〜令和9年3月31日
要件を満たす必要がある期間
(1)から(3)、または(1)から(5)を満たす
2026年10月14日
公募開始
公式ページの更新日
2026年12月18日(金)
申込締切
間に合わない場合は担当宛に連絡
2026年12月31日
公募情報上の募集期間の末日
表示上の期間
来年度4月
実績報告
直近3か月の実績が9人以上か確認
注記に書かれているのは、交付申請と来年度4月の実績報告のときに、直近3か月間の実績が9人以上あるかです。ここで足りないと、3/4が1/2になったり、非該当になったりする可能性があります。
じゃあ、秋から冬にかけて数字を作ればいい、という話でもないんですね。
そうなんです。報告のタイミングで直近3か月を見られるので、年間を通じた運用が要ります。ここを軽く見て3/4で出すと、後で痛い思いをします。
なるほど。慎重にコースを選ぶ必要がある、と。よく分かってきました!
では次、見落としやすい落とし穴をまとめておきましょう。
ここまで聞いて、いちばんの勘所は補助率の選び方だと思いました。
そうですね。公式に3/4の要件を満たす可能性がある場合は、補助率を3/4として申請してくださいと明記されています。逆に、1/2で交付決定を受けた後で3/4に引き上げることはできません。
だから申請時に見極める。ただ、実績報告で3/4の要件に該当しないと分かれば、1/2または非該当になる可能性があります。上に賭けるリスクもゼロではない、というバランスです。
上げられないけど、下がることはある、と。ここはほんとに要注意ですね。
そうなんですよ。だから(4)の実績をどう見込むかが、実質的な勝負になります。
最後に、金額の計算手順をもう一回おさらいしたいです。
手順は3つです。まず、対象経費の実支出額から寄附金その他の収入額を除いた額を出します。次に、それと都の補助金の基準額を比べて、小さいほうを選定額にします。最後に、選定額に補助率1/2または3/4を掛けます。
そうです。実支出が基準額を超えていれば基準額が採用され、超えていなければ実支出額が採用される。この順番を覚えておけば迷いません。
では、見落としがちなポイントを図にまとめておきます。
落とし穴を整理しておきたいです。ズバリ3つ挙げるとしたら?
まず、締切の日付。募集期間の終わりと実際の締切が違います。次に、3/4から1/2への引き下げはあり得るが、逆はないという一方通行。そして、通算3年の制限と他の補助金との併給不可です。
そう、静かに落ちるんですよ(笑)。派手にエラーが出るなら誰も間違えませんからね。
では、ここからはよくある質問にまとめて答えていきますね。
よくある疑問をまとめて聞いていきます。年度の途中で申請ってできるんですか?
公募期間が2026年10月14日からで、締切が12月18日(金)ですから、この窓の中で申請します。年度途中の追加募集については公募情報に記載がないので、公募要領で要確認です。
はい。逆に言えば、この窓を逃すと次の機会を待つことになるので、スケジュール管理が命です。
入退院支援の担当を2人つけたら、2人分もらえますか?
そこは明確で、1病院1人までです。経費の対象になるのは1人分だけです。
その代わり、その1人をどの研修枠で通すか、という検討は必要になります。アなのかイなのか、で準備が変わりますからね。
対象経費のアは、令和8年度に実施する入退院時連携強化研修又は退院支援人材育成研修を修了する者です。だからこれから受ける人でも、アの枠で対象になり得ます。イは過去に修了している人の枠ですね。
じゃあ、研修予定でも申請自体はできる可能性がある、と。
そうなります。ただし研修の日程や修了の扱いは、公募要領と担当窓口で確認してくださいね。
締切に間に合わないときも、ここに連絡すればいいんですね。
はい。公式に「間に合わない場合は下記担当宛ご連絡願います」とあります。手遅れになる前に連絡するのが大事です。
なるほど。では最後に、この制度を使うべきかの判断を聞かせてください!
都内で200床未満の病院で、入退院支援を強化したい、でも専門職を雇う予算が重い。そういう病院にはかなり効きます。逆に、すでに入退院支援加算1を取得している病院は対象外なので、そこは早々に切り分けが必要です。
向いていない、というより対象外のパターンもあるんですね。
そうなんです。まず足切りを確認して、通ったら3/4を狙えるかを考える。この順番が最短ルートです。
順番、大事ですね。いきなり書類を書き始めたらダメなやつだ。
そう、そこから入ると遠回りになります。では最後に、要点をまとめておきますね。
はい。上限270万円、補助率1/2または3/4、締切は12月18日(金)。対象は病床合計200床未満の都内病院で、除外が3つ。対象経費は看護師又は社会福祉士等の人件費で1病院1人まで。そして、3/4を狙うなら来年度4月の実績報告まで見据える。この6つを押さえれば大丈夫です。
ありがとうございました! まずは対象かどうかの判定から始めます。