今日取り上げるのは「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金(令和7年度補正)【四国支部】」です。室谷さん、この補助金、名前からして難しそうで。「休廃止鉱山」「鉱害」って、いつの時代の話ですか?(笑)
マジですか(笑)、でもそれが盲点なんですよ佐藤さん。日本には今も全国各地に休廃止鉱山が何百ヵ所もあって、そこから有害な廃水が流れ出し続けているんです。過去の鉱業活動が引き起こした問題を、現在進行形で国が対応しているということです。
えっ、現在進行形!?ちょっと待って、鉱山ってもう掘ってないんですよね?なのにまだ問題が起きてるんですか?
そうなんです。鉱山を閉めても、地中に残った鉱物が水と反応して重金属を含む坑廃水 を生み出し続けるんです。それが川に流れ込むと、下流の農業や生活用水に大きな被害をもたらします。さらに、堆積場の崩壊や地盤陥没のリスクも続く。だから国が「鉱害防止工事費」を補助して、地方公共団体や処理事業者を支援している仕組みです。
なるほど!過去の負の遺産への対策なんですね。で、この補助金、令和7年度補正って書いてあるけど、何が「補正」なんですか?
補正予算というのは、通常の本予算とは別に追加で組む予算のことです。この制度は令和7年度(2025年度)の補正予算で新たに資金が確保された公募で、2026年3月25日から2027年3月31日まで 約1年間、申請を受け付けています。予算規模はざっくり11億2,381万円です!
11億円!かなり大きな予算ですね。それで「四国支部」とついてるのは、エリアが四国限定ということですか?
正確には「中国四国産業保安監督部四国支部」の管轄区域内にある休廃止鉱山が対象です。窓口は香川県高松市にある四国支部の鉱山保安課です。四国4県の鉱山跡地が主な対象になります。
休廃止鉱山 補助対象3類型
この補助金、誰が申請できるんですか?地方公共団体だけですか?
実は3つのカテゴリが申請できます。一つ目が地方公共団体、二つ目が坑廃水処理事業者、三つ目が指定鉱害防止事業機関です。それぞれ役割が違うので詳しく説明しますね。
まず地方公共団体 は、鉱害防止や危害防止の義務を持つ鉱業権者が「無資力(お金がない)」または「現存しない(倒産・消滅)」状態の場合に、代わりに工事を実施する主体です。自治体が手を上げて工事をやる、という形です。
鉱業権者がいなかったり、お金がなかったりしたら自治体が代わりにやるんですね。なるほど!
次に坑廃水処理事業者 は、①鉱業権が消滅している鉱山、または②鉱業権は存続しているけど長期間採掘活動を終了して再開見込みのない鉱山で、坑廃水を処理している民間事業者です。ただし、自己の採掘活動に起因する部分の処理費は対象外 で、それ以外の部分だけが補助の対象になります。
あー、自分が掘って汚した分は自分で払え、ということですね(笑)。なんか当然な気もするけど、じゃあ「それ以外」って何ですか?
例えば、複数の鉱山から流れ込む共有の水路を処理しているケースとか、上流の別鉱山由来の汚染水まで処理しているケースです。それから三つ目の指定鉱害防止事業機関 は、国から鉱害防止事業の指定を受けた公的な機関です。
申請者カテゴリ 対象となる工事・事業 要件のポイント 地方公共団体 鉱害防止工事・危害防止工事 義務者が無資力または現存しない 坑廃水処理事業者 坑廃水処理事業 自治体が必要性を認めること 指定鉱害防止事業機関 鉱害防止関連事業 国から指定を受けた機関
補助率は一律で補助対象経費の3/4(75%) です。これはかなり手厚い設定で、自治体や事業者の持ち出しは経費の1/4だけで済みます。
項目 内容 補助率 補助対象経費の3/4(75%) 補助上限額 約11億2,381万円(令和7年度補正予算全体) 申請期間 2026年3月25日〜2027年3月31日 対象地域 中国四国産業保安監督部四国支部管轄区域 対象業種 鉱業、採石業、砂利採取業(石炭・亜炭を除く休廃止鉱山)
補助率3/4って本当に手厚いですね。国が7割以上を負担してくれるとは!次は申請の話を聞く前に、対象となる工事の種類を教えてください。
補助金が使える工事・経費って、具体的にどんなものですか?
大きく5つのカテゴリに分かれています。まず「鉱害防止工事費」として、坑口閉塞工事、堆積場安定化工事、排水処理施設の設置、沈殿池の整備などが対象です。それから「危害防止工事費」として、陥没防止工事、落石防止工事、法面安定化工事が入ります。
ですね(笑)。さらに「坑廃水処理費」として処理薬剤費、処理施設の運転費、水質モニタリング費、汚泥処理費が対象になります。それと「調査・設計費」として地質調査費、水質調査費、工事設計費も補助されます。最後に「工事管理費」として現場管理費、安全対策費、品質管理費も対象です。
費用カテゴリ 対象となる主な費用項目 鉱害防止工事費 坑口閉塞、堆積場安定化、排水処理施設、沈殿池整備 危害防止工事費 陥没防止、落石防止、法面安定化 坑廃水処理費 処理薬剤、施設運転、水質モニタリング、汚泥処理 調査・設計費 地質調査、水質調査、工事設計 工事管理費 現場管理、安全対策、品質管理
対象外になるのは、鉱業権者が資力を有する(お金がある)鉱山の工事費、現在操業中の鉱山に係る費用、自己の採掘活動に直接起因する坑廃水処理費、一般管理費や事務経費、そして用地取得費です。
鉱業権者が資力を持つ鉱山の工事費(→資力ある権利者に請求すること)
現在も操業中の鉱山に係る費用(→休廃止鉱山のみが対象)
自己の採掘活動に直接起因する坑廃水処理費
一般管理費・事務経費・用地取得費
整理できました。対象経費の話が終わったので、次は申請の手続きを教えてください!
休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金 申請フロー
5つのステップで整理できます。まず一番重要なのが「ステップ1 - 事前相談」 です。四国支部の鉱山保安課に早めに連絡して、対象鉱山の要件確認と工事計画の方向性についてアドバイスをもらいましょう。
鉱業権の状態確認とか、「その鉱山が本当に対象になるか」の判断って、複雑なんですよ。法律的な確認事項が多いので、一人で書類を読んで判断するより、専門の担当者に早めに相談した方が確実に速く進みます。特に坑廃水処理事業者が申請する場合は、関係する自治体から「実施必要性の認定」をもらう 必要があるので、自治体との連携も早めに始めましょう。
自治体との連携まで必要とは、思ったより関係者が多いですね。申請書類ってどこで入手できますか?
申請に使う様式は、交付要綱とともにJグランツポータルからダウンロードできます。「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金交付要綱様式」という書類です。事前相談のときに担当者に確認しておくと確実です。
せっかく申請するなら採択されたいじゃないですか。どうすれば通りやすくなりますか?
事前調査の徹底 : 鉱害リスクや現状を詳細に調査し、水質調査データや過去の鉱害事例など客観的根拠を添える
工事計画の具体性 : 工法選定・スケジュール・費用対効果を具体的に記載。坑廃水処理は長期事業なので持続可能な計画を示す
関係機関との連携体制 : 地方公共団体・処理事業者・指定機関が連携する体制と役割分担を明確にする
加えて言うと、この補助金は公共性が高く政策目的が明確 で、対象要件を満たしていれば採択される可能性は高い です。ただ予算枠内での審査になるので、工事の緊急度と必要性を客観的データで裏付けることが採択の最重要ポイントです。
「必要です!」と言うだけじゃダメで、データで証明しないといけないんですね。
まさにそうです。例えば坑廃水処理なら、pH値や重金属濃度の水質データを定期モニタリングして、「これだけ基準値を超えている」と示せると強いですよ。鉱害防止工事なら、堆積場の安定計算書や地盤調査報告書が説得力になります。
科学的なデータが決め手なんですね。逆に申請で失敗しやすいポイントはありますか?
事前相談なしで書類を作り始めて対象要件を満たしてなかった
坑廃水処理事業者なのに自治体の「実施必要性の認定」を取り忘れた
「自己の採掘活動に係る経費」と「それ以外の経費」の区分を曖昧にした
鉱業権の現状確認(消滅・休止等)の法的確認を後回しにして時間切れ
この4つが実務でよく起きるトラブルです。特に自治体との連携は、自治体側にも決裁プロセスが必要なので、思った以上に時間がかかることがあります。申請から逆算して最低60日前には動き始めましょう。
この補助金と組み合わせて使える他の制度はありますか?
同一工事・同一経費への重複適用は原則NGです。ただし、鉱山跡地の総合的な環境整備を行う場合は、工事区分を明確に分けることで組み合わせられる可能性があります。
例えば環境省の環境修復事業や、国土交通省の砂防事業と区分を分けて組み合わせる事例があります。また地方公共団体が独自に実施する鉱害対策事業との連携も考えられます。具体的な組み合わせを検討する場合は、四国支部の鉱山保安課に必ず事前確認してください。
なるほど、工事を区分けすれば複数の補助金が使えるかもしれないということですね。類似の補助金も教えてもらえますか?
全国版があるんですね!ということは、四国以外に鉱山がある自治体でも申請できるんですね。
そうです。各監督部・支部が管轄区域別に公募しているので、自分の管轄区域に合わせて申請先を選ぶ形です。
項目 内容 制度名 休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金(令和7年度補正)【四国支部】 補助率 補助対象経費の3/4(75%) 補助上限額 約11億2,381万円(令和7年度補正予算全体) 申請期間 2026年3月25日〜2027年3月31日 対象者 地方公共団体・坑廃水処理事業者・指定鉱害防止事業機関 対象地域 中国四国産業保安監督部四国支部管轄区域内 対象業種 鉱業、採石業(石炭・亜炭鉱業を除く休廃止鉱山) 申請方法 窓口申請(Jグランツポータル参照) 主管 経済産業省 中国四国産業保安監督部四国支部
詳しく教えてもらってありがとうございます。最後に、今すぐ動くべき人へのアドバイスをお願いします!
申請期間は2027年3月31日まで約1年ありますが、工事計画の策定や関係機関との調整には時間がかかります。鉱害リスクが気になっている自治体や処理事業者は、まずは四国支部の鉱山保安課に相談の電話(087-811-8591)を入れること から始めてください。担当は八阪・藤原の両氏です。「うちの鉱山は対象になりますか?」という問い合わせから始まって全然OKです。
問い合わせのハードルを下げてくれると助かりますね!四国の休廃止鉱山に悩んでいる自治体・事業者の方は、ぜひ相談してみてください!
最後によくある質問をまとめて聞いてみましょう。まず、石炭鉱山は対象になりますか?
なりません。この補助金は石炭鉱業と亜炭鉱業を明確に対象外としています。石炭鉱山の鉱害防止については別途「石炭鉱害賠償等臨時措置法」等に基づく制度がありますので、そちらを確認してください。
坑廃水処理事業者が申請する場合、何が一番の関門ですか?
関係する地方公共団体から「実施必要性の認定」をもらうことです。自治体の決裁には時間がかかるので、自治体との連携を最優先で進めてください。
補助率については3/4が上限です。令和7年度補正予算全体で約11億2,381万円という枠の中での対応となります。個別の工事1件あたりの上限は交付要綱の詳細を確認してください。
令和7年度補正版は、令和7年度補正予算として追加で確保された資金による公募です。申請期間が2026年3月25日〜2027年3月31日と設定されており、
令和7年度版(四国支部) と並行して申請を受け付けています。どちらを申請すべきかは事前相談で確認しましょう。