室谷さん、「児童扶養手当」って聞いたことはあるんですけど、正直どんな制度か詳しく知らなくて。ひとり親の人が使える制度ですよね?
そうです! 児童扶養手当は、離婚や死別などの事情でひとり親になった方が子どもを育てるための国の手当です。月に最大で第1子4万6,690円が支給されます。
えっ、月4万6千円以上!? それって毎月もらえるんですか?
毎月計算されますが、支給は年6回・奇数月(1月・3月・5月・7月・9月・11月)に2ヶ月分まとめて振り込まれます。たとえば1月には12月・1月分が振り込まれる仕組みです。
なるほど、年6回払いなんですね。ざっくり年間いくらくらいになるんですか?
全部支給で子ども1人なら年間約56万円です。子どもが2人いれば第1子分と第2子加算額を足して年間69万円以上になりますよ!
それはかなり大きい金額ですね。ちなみに、「母子家庭の手当」というイメージがありましたが、お父さんももらえるんですか?
平成22年(2010年)8月以降は父子家庭の父にも支給対象が広がりました。今は
父・母・養育者のどなたでも要件を満たせば申請できます。ひとり親全般を支援する制度ですね。
児童扶養手当 対象者チェックフロー
じゃあ具体的に、どういう状況の人がもらえるんですか?
大前提として、18歳になる年度末(3月31日)までの子どもを監護していることが必要です。障がいがある場合は20歳未満まで拡大されます。そのうえで次のいずれかの事情があること、という2段階の要件です。
その「事情」というのは、離婚だけじゃないんですか?
全部で8パターンあります。離婚のほか、父または母が亡くなった場合、父または母が国民年金の障害等級1級程度の重度障がい状態にある場合、生死不明の場合、1年以上の遺棄・拘禁がある場合、裁判所のDV保護命令が出た場合、そして婚姻によらない出産の場合も対象です!
DV保護命令まで含まれるんですね。それは知らなかったです。
そうなんです。2012年(平成24年)8月の改正でDV被害者の方も対象に加わりました。ひとり親になった背景は様々ですから、「自分は対象外かも」と思う前に、ぜひ窓口に相談してほしいです!
- 離婚: 父母が婚姻を解消した
- 死亡: 父または母が死亡した
- 重度障がい: 父または母が国民年金障害等級1級程度の障がい状態
- 生死不明: 父または母の生死が明らかでない
- 遺棄: 父または母から1年以上継続して遺棄されている
- DV保護命令: 裁判所からのDV保護命令が出た(平成24年8月〜)
- 拘禁: 父または母が1年以上継続して拘禁されている
- 未婚: 婚姻によらず生まれた
はい。主に3つです。受給者や子どもが日本国内に住所を持たない場合、子どもが児童福祉施設に入所中または里親委託中の場合、そして子どもが父または母の配偶者(事実婚を含む)に養育されているときは受給できません。再婚後も手当を受け続けるのはNGです。
事実婚も含まれるんですね。それは重要な注意点ですね。支給額の話も聞きたいんですが、詳しく教えてもらえますか?
そうです。令和7年(2025年)4月以降の手当額はこうなっています。
| 区分 | 第1子 | 第2子以降 |
|---|
| 全部支給 | 月額 46,690円 | 月額 11,030円 |
| 一部支給(最大) | 月額 46,680円 | 月額 11,020円 |
| 一部支給(最小) | 月額 11,010円 | 月額 5,520円 |
児童扶養手当 支給額一覧(令和7年4月以降)
受給者(父または母)の前年の所得で決まります。ざっくり言うと、扶養親族がいない場合、所得が69万円未満なら全部支給、208万円未満なら一部支給、それ以上だと支給停止です。
ポイントは、ここでいう「所得」が「年収」じゃないことです。給与所得控除やひとり親控除(35万円)などを差し引いた後の額なので、給与収入ベースでは年収130万〜160万円台でも全部支給になるケースが多いですよ。
えっ、それは知らなかった! もっと多くの方がもらえますね。
そうなんです。令和6年(2024年)11月の法改正で所得制限限度額が引き上げられて、より受給しやすくなりました!
| 扶養親族等の数 | 全部支給(所得) | 一部支給(所得) |
|---|
| 0人 | 69万円未満 | 208万円未満 |
| 1人 | 107万円未満 | 246万円未満 |
| 2人 | 145万円未満 | 284万円未満 |
| 3人 | 183万円未満 | 322万円未満 |
その通りです。また、元配偶者からもらっている養育費の8割が所得に加算されます。養育費を受け取っている方は計算のときに注意してください。
受給者本人の所得が基準内でも、同居している父母や兄弟姉妹など扶養義務者の所得が限度額(扶養0人で236万円未満)を超えると支給が停止されます。親元で暮らしている方は親の所得も確認しましょう。
なるほど。じゃあ申請方法と手続きについて教えてもらえますか?
お住まいの市区町村の児童扶養手当担当窓口に直接行って、認定請求書を提出します。郵送は受け付けていない市区町村が多いので、窓口に行く必要があります。
主に戸籍謄本、住民票、前年の所得証明書、振込先の金融機関口座番号がわかるもの、印鑑が必要です。離婚の場合は離婚の事実が確認できる戸籍謄本、死亡の場合は死亡診断書や除籍謄本が必要になります。
1必要書類を準備する(戸籍謄本・住民票・所得証明書・口座番号など)
認定請求書を提出した日の属する月の翌月分から支給開始です。たとえば4月15日に申請すれば5月分から手当が発生します。さかのぼっての受給はできないので、対象になりそうな方はできるだけ早く申請してください!
早めの申請が大事なんですね。受給が始まった後も何か手続きはあるんですか?
一度申請したら、あとは自動的にもらい続けられるんですか?
それが大事なポイントで、毎年手続きが必要なんです! 受給者全員が毎年8月1日から8月31日の間に「現況届」を提出しなければなりません。
8月に毎年届出が必要なんですね。もし出し忘れたらどうなりますか?
11月分以降の手当が受けられなくなります。さらに2年間まったく届出をしないと、時効により受給資格が完全に消滅してしまうので要注意です!
えっ、それは怖い。毎年8月は絶対忘れないようにしないと。
事前に市区町村から通知が来るので、届いたらすぐ対応するのがベストです。受給状況に変化があった場合(就職・転居・再婚・収入変化など)は随時届出が必要です。放置すると不正受給になって返還を求められることもあります。
手当を受給して5年、または支給要件に該当して7年を経過すると、手当額の2分の1が支給停止されます。ただし次のいずれかに該当する方は、所要書類を期日までに窓口に提出すれば減額を回避できます。就業している場合、求職活動中の場合、身体または精神上の障がいがある場合、負傷・疾病で就業困難な場合、児童や親族の介護で就業困難な場合です。
5年ルールは知りませんでした。書類を提出すれば回避できるんですね。
そうです! 就業中・育児中・求職中でも対象になります。期日が来たら必ず窓口に相談してください。公的年金との関係も重要なポイントがあるので、次に解説しますね。
遺族年金や障害年金をもらっている人は、児童扶養手当はもらえないと聞いたんですが?
以前はそうだったんですが、法改正で今は公的年金の額が児童扶養手当額より低い場合は、その差額分の手当を受給できる仕組みになりました!
えっ、それ知らずに申請しなかった人も多そうですね!
本当に多いんです。令和3年(2021年)3月からさらに改正されて、障害基礎年金の「子の加算額」との差額も受給できるようになりました。年金をもらっているひとり親の方は一度窓口で確認することを強くおすすめします!
年金をもらっているから対象外とあきらめていた人も、差額がもらえるかもしれないということですね。
その通りです。年金を受給している場合は、必ず市区町村窓口への届出が必要です。年金を受け取れる状態になったのに届け出をしないでいると、過去に受給した手当の返還を求められる場合があるので注意してください。
- 年金額 < 手当額: 差額分の手当を受給できる(令和3年3月〜)
- 障害基礎年金の子の加算額 < 手当額: 差額分を受給できる
- 年金額 >= 手当額: 手当は受給できない
- 年金を受け取れる状態になったら速やかに窓口へ届出が必要
こういう改正情報って、自分から調べないと気付けませんよね。申請窓口の詳細も教えてもらえますか?
- 申請窓口: お住まいの市区町村の児童扶養手当担当窓口
- 三重県内の方(県への照会): 三重県 子ども・福祉部 家庭福祉・施設整備課 家庭福祉班
- 電話: 059-224-2271(三重県庁)
- 公式ページ: 三重県 児童扶養手当について
- こども家庭庁公式ページ: 児童扶養手当制度の概要
実際の申請は市区町村窓口なんですね。わかりました!
そうです。三重県内なら、津市は「こども政策課」(TEL 059-229-3155)、四日市市は「こども手当・医療給付課」(TEL 059-354-8083)など、各市町の担当課に問い合わせてください。全国共通の制度ですが申請は地元窓口です。
「児童扶養手当の手続きに手数料が必要」「ATMで操作してください」「銀行口座番号や暗証番号を電話で教えてください」といった連絡は詐欺です。行政機関がATMで手続きを求めることや、電話で暗証番号を聞くことは絶対にありません。不審に思ったら最寄りの警察や消費者ホットライン(188)に相談してください。
離婚が成立していないケースはどうですか? 別居中でも申請できますか?
別居中は「婚姻関係は続いている」とみなされるため、基本的には申請できません。ただし、DV保護命令が出ている場合は申請可能です。まず窓口に相談してみてください。
転居先の市区町村に受給者証を持参して異動手続きをすれば、手当は引き続き受給できます。転居後の住民票を移してから速やかに手続きを!
所得が増えれば一部支給に変わるか、一定以上で支給停止になりますが、就業中であれば5年経過後の半額停止を回避する書類が出せます。就職は長期的な自立につながるので、支給額が変わっても焦らずに手続きを続けてください。
養育費が未払いでも申請できます。養育費を受け取っていない場合は所得への算入もありません。ただし、養育費の請求権を持っていながら請求していないケースは市区町村で扱いが異なることがあるので窓口で確認を。
児童扶養手当と一緒に使える給付金はほかにもありますか?
いくつかあります! まず、お子さんに障がいがある場合は
特別児童扶養手当を重複受給できます。こちらも月額最大5万円以上の手当です。
また、全国的には
児童手当も原則として受給できます。所得要件を満たしていれば、
児童扶養手当と児童手当の両方を同時に受給することが可能です。
ひとり親家庭医療費助成制度も各都道府県・市区町村が実施しています。所得制限はありますが、対象者なら医療費の自己負担が大幅に軽減されます! 児童扶養手当を受給している方は医療費助成の対象になりやすいので、セットで申請を検討してください。
| 制度名 | 対象 | リンク |
|---|
| 特別児童扶養手当 | 障がいがある20歳未満の子ども | 詳細を見る |
| 児童手当 | 中学卒業まで(原則) | 詳細を見る |
| ひとり親家庭医療費助成 | ひとり親家庭 | 詳細を見る |
| 障害児福祉手当 | 重度障がいの20歳未満 | 詳細を見る |
| 母子父子寡婦福祉資金 | ひとり親家庭(横浜市等) | 詳細を見る |
こんなに並行して受けられる給付があるんですね! 知っているかどうかで大きく違いますね。
本当にそうです。「知らないと損する制度」の代表格です。窓口に行ったとき、「他に使える制度はないですか?」と一言聞くだけで教えてもらえますよ!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 児童扶養手当 |
| 対象者 | 18歳年度末まで(障がいがある場合20歳未満)の児童を養育するひとり親・養育者 |
| 支給額(全部支給) | 第1子 月額46,690円、第2子以降 月額11,030円(令和7年4月以降) |
| 所得制限 | 扶養0人で所得69万円未満が全部支給(令和6年11月改正後) |
| 支給時期 | 年6回・奇数月(1月・3月・5月・7月・9月・11月) |
| 現況届 | 毎年8月1日〜31日に提出必要 |
| 申請窓口 | お住まいの市区町村の児童扶養手当担当窓口 |
| 公式ページ | こども家庭庁 |