東京都のPC補助金 主要4制度を比較
室谷さん、うちの会社もそろそろパソコンを買い替えたいんですが、東京都に補助金ってありますか?
ありますよ!ただ、パソコン補助金って「どれでもOK」じゃないんですよね。目的によって使える制度が全然変わる。まず「何のためのPCか」を決めるところから始めましょう。
もう少し具体的に言うと——テレワーク環境を整えたいのか、それとも業務ソフトを導入してデジタル化したいのか、という話です。この2軸で補助金の選び方が変わってくる。
全然違いますよ!テレワーク目的なら東京都のテレワーク促進助成金が最有力候補で、上限250万円・助成率50〜67%まで受けられる。これはPC本体から周辺機器まで直接助成対象になる。
でも国の補助金——たとえばデジタル化・AI導入補助金(旧: IT導入補助金)を使おうとすると、PC単体では原則申請できないんです。会計ソフトや受発注システムとのセット申請が必要で、PCの補助は上限10万円に絞られる。
えっ、10万円なんですね。IT導入補助金はもっと出るイメージがありました。
ソフトウェアのほうは最大450万円まで出るんですが、ハードウェア(PC・タブレット)は別枠で上限10万円・補助率50%なんです。「IT補助金でPCを買おう」と思っていた方が申請直前に気づいて困るケースが多くて。
それは事前に知っておきたいですね。では目的に合わせて制度を選ぶ、と。
そうです。まず全体像を整理しましょうか。東京都でPC購入に使えるのは大きく4つの制度があります。次のセクションで1つずつ掘り下げますね。
4つ!結構あるんですね。どれが一番使いやすいんですか?
規模や目的によって変わるんですが、まずテレワーク促進助成金から見ていきましょう。東京都が出している制度で、PC購入に一番直接的に使えます。
正式名称は「テレワーク促進助成金」で、東京しごと財団が運営しています。常時雇用する労働者が2人以上999人以下の都内中小企業が対象。助成上限は最大250万円で、助成率は従業員規模によって2段階です——30人以上999人以下なら2分の1、2人以上30人未満の小規模企業なら3分の2。
そうなんです。パソコン本体だけじゃなくて、ウェブカメラ、ヘッドセット、VPN機器、ソフトウェアのライセンス費用——テレワーク環境をまるごと整備する経費が助成対象になる。まとめて申請するほど効率がいい(笑)。
「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録することが必須要件です。まずウェブサイトから登録手続きをして、それから助成金の申請に進む流れです。詳細は
テレワーク促進助成金のページで確認してください。
「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」です。さっきの促進助成金の兄弟みたいな制度で、上限は少し下がって100万円・補助率2分の1。テレワークを導入したいが課題を抱えている企業向けに、専門家によるコンサルティングとセットになっています。
事前にオンラインで課題診断を受けることが申請の前提条件なんです。「テレワークを入れたいけど、うちの業種に合うか不安」という企業には逆にいいかもしれない。診断で方向性を固めてから、機器・ソフトウェア購入の費用を助成してもらえる、という設計です。こちらも
テレワーク定着促進フォローアップ助成金のページで詳細が確認できます。
国の制度で「デジタル化・AI導入補助金2026(旧: IT導入補助金)」ですね。PC購入に使うならインボイス枠(インボイス対応類型)で申請するのが基本です。会計・受発注・決済といったソフトウェアとセットで申請する必要があって、ハードウェアのみの申請は受け付けていません。
そうです。ただ、この制度の強みはソフトウェア側の補助額の大きさで——最大450万円まで出る。「PCも欲しいし、freeeや弥生のような会計ソフトも導入したい」という事業者なら、セットで申請することで合理的に補助を受けられます。申請には登録済みのIT導入支援事業者(ベンダー)を通す必要があるので、購入を考えているベンダーが登録事業者かどうかを最初に確認してください。
そうなんです。直接購入したら対象外になる。「安い店で買ったほうがトータルでお得じゃないか」と思うかもしれませんが、補助金を受けるなら必ず登録ベンダー経由で、かつ交付決定後に購入というルール。順序を間違えると取消しです(笑)。
「業務改善助成金」です。これは国(厚生労働省)の制度で、
最低賃金を30円以上引き上げることが条件になります。その代わり補助率が最大9/10と非常に高くて、上限600万円まで出る。パソコン購入も設備投資として対象になります。詳細は
業務改善助成金のページで申請要件も確認できます。
賃上げが条件なんですね。うちはちょうど給与改定を検討していたので、タイミングが合うかも!
それなら絶対に候補に入れてほしいですね。賃上げを実施する予定があるなら、業務改善助成金は他の補助金と比較して補助率が飛び抜けて高い。通年で受け付けているのも使いやすいポイントです。
東京都中小企業振興公社が「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」(通称: デジタルツール助成金)を運営しています。上限100万円・助成率50〜67%。ただし、名前のとおりソフトウェアが主体で、
PC本体は原則として対象外です。詳しくは
中小企業デジタルツール導入促進支援事業のページで確認できます。
完全に対象外というわけじゃなくて、「導入ソフトウェアの目的を達成するために接続する専用機器」に限り、上限20万円で例外的に対象になる場合があります。たとえばスキャンツールとそれ専用のスキャナ機器みたいなケース。ただしこの例外適用は狭い。
なるほど。ソフトのついでに少しだけ、という感じですね。
そうです。この助成金の本当の価値は補助金額よりも振興公社の相談窓口を使えるところにあって——申請書類の作成から伴走支援まで無料でサポートしてもらえます。「テレワーク促進とデジタルツール助成のどちらが自社に合うか」という相談も乗ってもらえる。
都内の区や市にも独自の補助金がある場合があって、中には周辺機器をPC本体より対象にしやすい制度もあります。事業所の区役所・市役所の産業支援窓口にも一度問い合わせてみる価値はあります。
区によっても違うんですね。じゃあ複数の窓口をチェックするべきなんですね。
特に都内23区は独自予算で動いているところが多いので、振興公社の相談窓口で「自分の区にある制度も教えてほしい」と相談するのが一番まとまった情報を取れると思います。
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | PC単体申請 | 申請窓口 |
|---|
| テレワーク促進助成金 | 250万円 | 50〜67% | 可 | 東京しごと財団 |
| テレワーク定着フォローアップ助成金 | 100万円 | 50% | 可(コンサル前提) | 東京しごと財団 |
| デジタル化AI導入補助金(インボイス枠) | ソフト最大450万円+PC10万円 | PC50% | 不可(ソフトとセット) | IT導入支援事業者経由 |
| 業務改善助成金 | 600万円 | 最大90% | 可(賃上げが条件) | 都道府県労働局 |
| 東京都デジタルツール導入促進支援 | 100万円 | 50〜67% | 原則不可 | 東京都中小企業振興公社 |
シンプルに言うと——テレワーク整備ならテレワーク促進助成金、賃上げ予定があるなら業務改善助成金、ソフトも一緒に導入するならデジタル化AI導入補助金、です。複数の要件に当てはまるなら、原則として1つの機器に複数の補助金は使えないので優先順位を決める必要がありますが、別々の機器・経費に充てることは可能なケースもあります。
基本的にはできません。1つの経費に対して補助金は1つというのが大原則です。ただし「このPCはテレワーク促進助成金で申請して、別のタブレットは業務改善助成金で申請する」という使い分けは可能なケースもある。専門家か相談窓口で確認してください。
パソコン補助金の申請フロー
最重要は「購入タイミング」です。すべての補助金において、交付決定を受け取る前にPCを購入すると対象外になります。「安売りを見つけたので先に買いました」は理由になりません。
一番多いトラブルです(笑)。申請から交付決定まで数週間〜数ヶ月かかるので、PC購入の計画は余裕をもって動かす必要があります。買い替えを急ぎたい場合でも、補助金を使うなら必ず決定通知を待ってから。
テレワーク促進助成金やデジタル化AI導入補助金の申請に使う「Jグランツ(電子申請システム)」を使うには、GビズIDというアカウントが必要です。これの取得に原則2週間程度かかると言われているので、補助金申請を検討し始めたら最初に取得手続きを始めてください。直前に気づくと間に合わないことがあります。
あと、デジタル化AI導入補助金はIT導入支援事業者(ベンダー)登録が必要です。「自社で好きなPCメーカーから直接買えばいい」と思ってたら、そのメーカーやショップが登録事業者でないと申請できない。まず登録事業者のリストを見て、そこから購入先を決めるという順序が必要です。
なるほど。購入先から逆算して選ぶ必要があるんですね。
そういうことです。補助金申請は「先に買ってから後でお金が返ってくる」というイメージを持っている方が多いんですが、実際は「承認後に買って、実績報告後に振込」という後払いの仕組み。資金繰りの計画もしっかり立てておいてほしいですね。
先払いして後から振込なんですね。キャッシュフロー的に注意が必要か。
そうです。特に中小企業は申請から振込まで数ヶ月かかることを見越して、一時的に自己資金でまかなえるかどうかを確認してから申請に進んでください。
- 交付決定前の購入は対象外(購入タイミングの逆算が必須)
- GビズID取得は2週間前後かかる(早めに手続き開始)
- デジタル化AI導入補助金はIT導入支援事業者経由でのみ申請可(購入先の確認が先)
まとめると、東京のPC補助金の使い方はどう考えればいいですか?
一言で言うと「目的で絞ってから申請の逆算をする」ですね。テレワーク整備なら促進助成金を検討、ソフトもあわせて入れるならAI導入補助金を、賃上げ予定があるなら業務改善助成金を——という流れで選んでください。
複数の補助金を組み合わせることも考えていいですか?
同じ機器への重複適用はNGですが、異なる機器や事業目的に対して別々の補助金を活用することはできます。東京都は支援制度が充実しているので、振興公社の相談窓口で「うちの状況だとどれが使えますか」と聞くのが一番手っ取り早いです。無料で親身に相談に乗ってくれますよ。
そうですね。東京都で使えるすべての補助金・助成金の情報はそちらで一覧できるので、ぜひ気になる制度を調べてみてください。PC以外の設備投資にも活用できる制度がたくさんありますから。
- テレワーク環境整備 → テレワーク促進助成金(上限250万円)が最直接的
- ソフト導入もセット → デジタル化AI導入補助金(ソフト最大450万円+PC10万円)
- 賃上げ予定あり → 業務改善助成金(補助率最大90%・上限600万円)
- 申請相談 → 東京都中小企業振興公社の無料窓口を活用
目的を決める(テレワーク整備 or IT化 or 賃上げとセット)
GビズIDを取得する(2週間前後かかるため最初に着手)
PCを購入・テレワーク環境を整備する(決定後に購入すること)