東京都の主要な研究開発補助金・助成金比較
室谷さん、研究開発の補助金って、東京都だとどんなものがありますか?うちの会社、新製品の試作をやろうとしてるんですけど、開発費用がけっこうかかりそうで……。
あー、それは使える制度が多いですよ!東京都は中小企業向けの研究開発支援が全国トップクラスに充実してますから。まず大きく分けると、「都独自の制度」と「国の制度」の2種類があって、組み合わせることもできます。
組み合わせることもできるんですか。それはうれしいですね!
そうなんです。東京都独自の制度で代表的なのが「
新製品・新技術開発助成金」で、上限2,500万円、補助率1/2。賃金引上げ計画を策定すると3/4まで上がるんですよ。
3/4ってすごい。4分の3が補助されるってことですよね?
そうです。さらに小規模企業者なら4/5まで引き上がる。ざっくり試算すると、2,000万円の開発費なら最大1,500万円が補助されるイメージですね。
それはでかい!ということは自己負担500万円で2,000万円規模の開発ができるんですか。
条件次第ですが、そういう計算になります(笑)。ただ補助率が上がる「賃金引上げ計画」というのは、実際に賃上げを実施しないといけないので、その点はしっかり確認してくださいね。
ええ。ただこちらは「イノベーションマップ」に沿った9つの重点分野が対象で——防災・減災、インフラメンテナンス、医療・健康、環境・エネルギーなど——そのテーマに合致している必要があります。申請下限額が1,500万円なので、本格的な研究開発をやる企業向けですね。
下限額がある制度なんですね。小規模な開発だと使えないと。
そうです。逆に言えば、それなりの規模で長期プロジェクトを組もうとしている企業には最高の制度だと思います。競合他社より先に社会課題解決型の製品を作りたいっていうビジョンのある企業に向いてる。
面白いのは「
宇宙製品等開発経費助成」ですね。上限1億円、補助率2/3。宇宙産業に参入したい中小企業向けの制度で、ロケット部品から宇宙データ活用ソリューションまでカバーしてます。
えっ、宇宙産業向けの補助金! 東京都、面白いことやってますね(笑)
でしょう(笑)。東京は宇宙スタートアップが多いんです。あと「
フェムテック開発支援・普及促進事業」というのもあって、女性の健康課題を解決するテクノロジー開発に最大2,000万円、補助率2/3が出ます。月経・妊娠・更年期など幅広いテーマが対象です。
幅が広い。研究開発というとものづくりのイメージが強かったんですけど、ソフトウェアやヘルスケアも含まれるんですね。
そうなんですよ。「新たなサービス創出のための研究開発」というカテゴリがあって、ハードウェアだけじゃなくソフトウェアの試作も対象になってるんです。これ、意外と知られていない。
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 対象 |
|---|
| 新製品・新技術開発助成金 | 2,500万円 | 1/2(賃上げで3/4) | 都内中小企業・個人 |
| TOKYO戦略的イノベーション促進事業 | 8,000万円 | 2/3 | 都内中小企業 |
| 宇宙製品等開発経費助成 | 1億円 | 2/3 | 都内中小企業 |
| フェムテック開発支援・普及促進事業 | 2,000万円 | 2/3 | 都内中小企業 |
| ゼロエミッション事業転換(製品開発) | 3,000万円 | 2/3 | 都内中小企業グループ |
| 介護現場ニーズ対応製品開発支援 | 2,000万円 | 2/3 | 都内中小企業 |
そうです。さらに国の制度も使えるので、次に国の補助金もお話しますね。
研究開発補助金の申請ステップ
まず経済産業省の「
産学融合拠点創出事業」は、大学と企業が一体となって研究開発と人材育成を行う拠点を作る制度で、上限1億1,000万円、補助率は定額です。東大・東工大など東京の大学との連携プロジェクトでよく使われてますね。
この制度は「産学融合」が名前に入ってるくらいですから(笑)。純粋に企業単独でやりたいなら「ものづくり補助金」の方が使いやすいですね。中小企業が革新的な試作開発をする場合、最大1,250万円(賃上げ要件あり)が出ます。採択率はざっくり40〜50%くらいで推移してます。
補助金の中では高めですね。ただ最近は競争が激化してきていて、事業計画の質が非常に重要になってます。「なぜこの研究開発が必要か」「誰にどんな価値を提供するか」を明確に書かないと採択されない。
これは大型案件用で、普通の中小企業が使うものではないですが、バイオ系の研究開発会社さんには知っておいてほしい制度ですね。
わかりました。では、中小企業が国の制度を活用するとしたら何がメインになりますか?
やっぱりものづくり補助金、SBIR制度(スタートアップ向け),あとは経産省の「産業技術・環境政策推進研究開発等事業」ですね。特にSBIRは公共調達と連動していて、国や自治体が「こういう技術が欲しい」と課題を出して、スタートアップが研究開発して納入する仕組みです。
- GビズIDプライムを先に取得: 申請はjGrants(Jグランツ)からになります。GビズIDの発行に2〜3週間かかるため、公募前から準備を
- 賃金引上げ計画で補助率UP: 新製品・新技術開発助成金は、賃上げを実施することで補助率が1/2から最大4/5まで上昇します
- 都の制度と国の制度は原則、重複受給不可: 同一経費への二重補助は認められないため、どちらを優先するか戦略的に検討を
同じ経費には使えないんですが、「研究フェーズ」と「設備フェーズ」に分けて使うことはできます。例えば試作開発費に都の助成金、設備導入にものづくり補助金、というように。ただこの辺は申請前に確認が必要です。
補助金コンサルタントが一番価値を発揮するのって、こういうところだと思ってます。単に「この補助金に申請しましょう」じゃなくて、複数の制度をどう組み合わせて使うかまで含めてアドバイスするのが本来の仕事。
たしかに。ではGビズIDを取るのが最初のステップなんですね。
そうです!GビズIDプライムの取得は必須です。オンライン申請できるんですが、印鑑証明書と印鑑が必要で、書類審査があるので2〜3週間はかかります。公募が始まってから気づいても間に合わない場合があるので、研究開発補助金を使いたいならまず今すぐ取得手続きを始めてください。
東京都の研究開発系助成金は、公募期間が3〜4週間程度と短いものが多くあります(例として、宇宙製品等開発経費助成、フェムテック開発支援など)。GビズIDプライムを持っていない状態で公募が始まると、申請書類を作っている間にGビズIDの発行が間に合わず、受付期間を過ぎてしまうことがあります。
研究開発計画の「独自性」を明確にする — 「なぜ既存製品・サービスでは解決できないのか」を具体的に説明する。競合比較や市場分析があると審査官に刺さります
試作品が完成した後の「事業化計画」を書く — 補助金はあくまで「事業化への投資」。試作だけで終わらず、「誰に・いくらで売る」という計画まで描く
賃金引上げ計画は積極的に活用 — 新製品・新技術開発助成金では補助率が大幅に上がるため、実施可能なら必ず検討を
申請書は審査員目線で読み返す — 専門用語が多すぎると審査員に伝わらない。「技術の素人でもわかる説明」をめざす
不採択でも諦めない — 不採択の場合、理由を問い合わせると教えてもらえることがある。次回公募に活かせる
事業化計画まで書く必要があるんですね。研究費を出してもらうだけだと思ってました。
そこが補助金と助成金の大事な前提です。「税金を使って試作するんだから、ちゃんと製品化して社会に還元してね」という趣旨なので、審査員は事業化の実現可能性を必ず見ます。
なるほど。研究だけで終わらない計画が必要なんですね。
そういうことです。あと東京都の制度では「都内の本店または支店で実質的な事業活動を行っていること」が条件になっているものが多いです。本社が東京でも実態が別の都市にある場合は注意が必要ですね。
いろんな制度が出てきましたが、自分に合った制度をどう選べばいいですか?
3つの軸で選ぶといいです。「開発規模」「テーマ・分野」「スピード」ですね。
まず「開発規模」。1,500万円未満の小規模な試作なら「新製品・新技術開発助成金(上限2,500万円)」や「ものづくり補助金」が使いやすい。1,500万円以上の本格開発なら「TOKYO戦略的イノベーション促進事業(上限8,000万円)」も視野に入ります。
次に「テーマ・分野」。宇宙産業なら宇宙製品等開発経費助成、フェムテックならフェムテック開発支援、介護・医療機器なら介護現場ニーズ対応製品開発支援と、テーマ特化型の制度が複数あります。自分の開発テーマが当てはまるか確認してみてください。
テーマ特化型の方が採択されやすかったりするんですか?
そうですね、競争相手が絞られるので(笑)。「この補助金は宇宙産業に参入したい企業のため」という用途が明確なので、そのテーマにど真ん中の企業なら採択率が上がりやすいです。
公募から採択通知・事業開始までの速さですね。ものづくり補助金は申請から採択通知まで2〜3ヶ月かかることが多いですが、東京都の制度の方が審査が速いものもあります。急ぎの開発なら都の制度を優先した方がいいケースもある。
採択まで2〜3ヶ月かかるんですね。逆算して申請しないと……。
採択通知が来てから交付決定が出るまでにさらに時間がかかることがあるので、注意が必要です。補助金適正化法で「交付決定前の事業開始は原則NG」という制約があるので、スケジュールを逆算して申請タイミングを決めましょう。
- 東京都中小企業振興公社(新製品・新技術開発助成金、TOKYO戦略的イノベーション促進事業等)
- 東京都中小企業振興公社 多摩支社(ゼロエミッション関連助成金)
- 東京都産業労働局(フェムテック開発支援・普及促進事業)
- 東京都中小企業振興公社 経営支援課(宇宙製品等開発経費助成)
無料の補助金・助成金相談も受付中。まず問い合わせから始めるのがおすすめです。
まずは相談窓口に行くのが一番手っ取り早いですかね。
そうですね。東京都中小企業振興公社は無料で相談に乗ってくれますよ。「こういう開発を考えているんですが、どの制度が使えますか?」と聞くだけでもかなり整理できます。実際に申請する前に1回相談することをすすめてます。
わかりました。まずGビズIDを取りながら、公社に相談に行ってみます!