東京都 防災・BCP補助金 主要4制度
室谷さん、最近「首都直下地震への備えを強化しないといけない」って話を取引先からよく聞くんですけど、実際に使える補助金ってどのくらいあるんですか?
東京都と国を合わせると、災害・感染症対策の補助金って83件以上登録されてるんですよ。ジャンルもバラバラで、中小企業のBCP対策から住宅の通電火災対策、医療機関の感染症対応まで入ってます。
そうなんですよ。だから今日は「事業者が使いやすいもの」に絞って話しますね。大きく分けると事業者向けとインフラ・設備向けの2軸で整理できます。
こんな感じです。事業者向けは①BCP対策の設備・物品補助、②危機管理製品の開発支援、この2つが東京都独自で手厚い。インフラ向けは国主体で、天然ガス設備や通信ネットワークの耐災害化が中心ですね。
なるほど、「うちは中小企業です」って場合は①と②が入り口になるわけですね。
そうです!まずその2つを押さえておけばOK。内閣府の試算では首都直下地震(M7クラス)が発生した場合の経済被害は約95兆円、死者は最大2.3万人とされています。東京都はこのシナリオに本気で備えていて、補助金の設計もかなり充実してるんです。
95兆円…規模がすごいですね。だからこそ都も本気で支援してるんですね。
じゃあまず事業者向けのBCP補助金から教えてください。
BCP実践促進助成金は東京都中小企業振興公社が窓口で、単独型は上限500万円、連携型は上限1,000万円です。補助率は中小企業が1/2、小規模企業者は2/3まで。
1,000万円は結構大きいですね!何に使えるんですか?
対象経費が思ったより幅広いんですよ。食料・飲料水などの備蓄品、発電機・ポータブル電源、安否確認システム、感染症対策物品…ここまでは想像どおりでしょうけど、基幹システムのクラウド化とデータバックアップも対象なんです。
えっ、クラウド化も!それって実質IT補助金として使えますよね。
そうなんです(笑)。「災害時にオンプレサーバーが被災して業務停止したら困る」という観点でBCPを組めば、クラウド移行費用の半額〜2/3を補助してもらえる。連携型なら1,000万円まで出るので、グループ会社や取引先と共同でシステム整備できますよ。
入ってます。転倒防止装置、止水板、土のうも対象なので、物理的な防災設備の整備にも使いやすい。令和8年度の第1回申請期間は2026年5月13日〜19日です。短い期間なので注意が必要ですね。
BCPを策定していることが前提です。ただ中小機構の無料支援ツールを使えば費用ゼロでBCPを作れますし、東京都中小企業振興公社でも無料の策定支援相談を受け付けてます。あとはJグランツのGビズIDプライムアカウントが必要で、取得に2〜3週間かかるので早めに動くことが重要。
なるほど。GビズIDの準備不足で申請逃すパターン、多そうですよね。
めちゃくちゃ多いです!(笑)5月19日締切で「4月末に気づきました」ってなると実質詰んでます。GビズIDは絶対に先に取っておいてください。
GビズIDプライムアカウントを取得(2〜3週間かかる・最優先)
BCPを策定する(中小機構無料ツール or 東京都公社の支援相談を活用)
事業継続力強化計画の認定(単独型の場合、中小企業庁に申請)
Jグランツで電子申請(第1回
2026年5月13〜19日、第2回: 9月9〜15日)
BCP実践促進助成金 申請ステップ
これは東京都内の中小企業が「安全・安心」をテーマにした製品や技術を開発・改良する場合の助成金です。開発・改良フェーズで上限1,500万円、補助率2/3。さらに普及促進フェーズで上限350万円(補助率1/2)が追加で出ます。
そうです。対象は自然災害の激甚化対策から、サイバー攻撃対策、無差別犯罪・事故への対処まで幅広い「安全・安心」領域を扱う製品・技術ですね。採択されると東京ビッグサイトで開催される「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」への共同出展(無料)も受けられます。
実用化した製品の販路開拓まで支援してもらえるの、かなりいいですね。
令和7年度の申請は終了していますが、毎年度継続してる事業なので令和8年度も公募があります。防災・危機管理領域の製品開発を検討してるメーカーには絶対チェックしてほしい制度ですよ。
- BCP実践促進助成金 → 既存の物品・設備・システムの導入(自社のBCP対策)
- 安全・安心な東京の製品開発支援 → 新製品・新技術の開発(防災製品メーカー向け)
- 両方の対象者になりうる企業は、用途を分けて両方申請する戦略も可能
住宅系の補助金も気になってるんですが、感震ブレーカーってよく聞くんですよね。
感震ブレーカーはですね、地震の揺れを感知して自動的に電源を遮断する装置です。これが通電火災を防ぐうえで非常に重要で、過去の大地震でも電気火災が被害拡大の主因になってるんです。
阪神淡路大震災の火災も電気系統が原因のものが多かったですよね。
そうです。首都直下地震でも通電火災のリスクが高いとされています。で、この補助金は東京都内に新築木造住宅を施工する住宅事業者が対象で、感震ブレーカー(分電盤タイプ内蔵型)の購入費の1/2を補助、上限は1台あたり3万円です。
補助金IDが確認済みのやつですね。既存住宅はどうなりますか?
既存住宅へのリトロフィット(後付け)は各区市町村が独自に補助金を設けてるケースが多いです。新宿区、渋谷区、品川区などでは個別に補助を実施しているので、住宅のある区市町村に問い合わせるのが確実ですね。
感震ブレーカー補助金の詳細はこちらで確認できます。
そうです。設置費用は補助対象外で、購入費のみが対象です。あと使用するブレーカーは一般社団法人日本配線システム工業会の規定に適合するものに限られるので、製品選定のときに確認が必要です。
「災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」ですね。上限3億6,000万円と大型で、補助率は1/2または1/3。コージェネレーションシステム、燃料電池、ガスエンジンヒートポンプなどの導入を支援します。
避難所や防災拠点など、停電時でも機能を継続しなければならない施設向けのイメージが強い制度です。令和6年度版と令和5年度補正版で複数公募がありました。東京都内だと自治体や医療機関が主な申請者ですね。
制度によりますが、コージェネを自社ビルに導入する場合は申請できるケースもあります。都市ガス振興センターが事務局なので、そちらに問い合わせるのが早いです。
令和6年度版の詳細はこちらで確認できます。
これは防災拠点施設に石油製品タンクや石油ガス災害バルクを整備する費用を補助する制度です。令和8年度版は上限25億5,000万円と超大型。定額補助なので補助率という概念がなく、補助金そのものの額が決まってます。
自治体の防災拠点施設ですね。避難所、病院、消防署など大規模災害時に機能継続が必要な施設が対象で、間接補助の形で執行団体(資源エネルギー庁の委託先)から事業者へ補助が出る仕組みです。
詳細はこちらで確認できます。
ガスネットワークって電気・水道と並ぶ重要インフラですよね。東日本大震災でも復旧に時間がかかって、ガスの早期復旧の重要性が再認識されました。それで中小ガス事業者の設備強化を国が支援してるんです。
バルブ開閉器やガバナ遠隔監視システムの導入ですね。令和7年度版は補助率が
バルブ開閉器2/3、ガバナ遠隔監視システム1/2で、上限は1億3,000万円超です。対象は私営ガス(一般ガス導管事業者)のうち中小企業者です。
詳細はこちら。
東京ガスじゃなくて、小さいガス事業者向けなんですね。
そうです。東京都内だと外周部の地域ガス会社がこの制度の活用対象になります。
ケーブルテレビネットワークの耐災害化は総務省が毎年度公募してます。光化やルート多様化による複線化で、災害時でも地域の情報インフラを守る整備費を補助する事業ですね。
そうです。地域ケーブルテレビ事業者が主な申請者です。令和6年度補正・令和7年度当初版が2025年4月に公募されています。東京都内のケーブルテレビ事業者には見逃せない制度ですよ。
| 制度名 | 対象 | 上限額 | 補助率 | 実施主体 | 現在の状況 |
|---|
| BCP実践促進助成金 | 中小企業・小規模企業 | 500〜1,000万円 | 1/2〜2/3 | 東京都中小企業振興公社 | 令和8年度募集中 |
| 安全・安心な東京の製品開発支援 | 都内中小企業 | 1,500万円 | 2/3 | 東京都中小企業振興公社 | 令和7年度終了(毎年継続) |
| 感震ブレーカー購入費補助 | 住宅事業者 | 3万円/台 | 1/2 | 国(消防庁等) | 令和7年度中の着工が対象 |
| 天然ガス設備導入支援 | 設備導入事業者 | 3.6億円 | 1/2〜1/3 | 国(経産省) | 令和6年度終了(後継あり) |
| 燃料備蓄推進事業 | 防災拠点施設(自治体等) | 25億5,000万円 | 定額 | 国(経産省) | 令和8年度公募中 |
| 都市ガスレジリエンス強化 | 中小ガス事業者 | 約1.3億円 | 2/3・1/2 | 国(経産省) | 令和7年度終了(後継あり) |
| ケーブルテレビ耐災害化 | ケーブルテレビ事業者 | 要確認 | 要確認 | 国(総務省) | 令和7年度公募中 |
| 地上基幹放送耐災害性強化 | 放送事業者・自治体 | 3億6,000万円 | 1/2〜2/3 | 国(総務省) | 令和8年度公募中 |
| PCB変圧器高効率化補助 | 事業者 | 100万円 | 1/10〜1/3 | 国(経産省) | 令和7年度二次公募 |
| 小規模事業者持続化補助(災害支援枠) | 被災小規模事業者 | 200万円 | 2/3 | 国(中小機構) | 能登地震対象エリア限定 |
できます。例えばBCP実践促進助成金でクラウド化費用の半額を補助してもらいながら、天然ガスコージェネを国の補助金で導入して停電対応力を高める、という組み合わせが典型的ですね。
同じ経費に2つの補助金をかけることはできませんが、用途が異なれば別々の補助金を同時活用してOKです。例えば発電機の購入費はBCP助成金で、クラウドサーバーの費用は別のIT補助金で、というパターンは問題ない。重要なのは同一経費への重複ではないこと、そして各制度の申請要件を満たすことです。
「自分がどの補助金を使えるか」を最初にどう確認すればいいですか?
まず東京都中小企業振興公社の窓口に相談するのが一番早いです。無料で専門家が補助金の活用診断をしてくれます。電話は03-3251-7824、Jグランツでの電子申請支援も受け付けています。
- BCP実践促進助成金の申請にはGビズIDプライムアカウントが必須
- アカウント取得には書類提出・本人確認等で2〜3週間を要する
- 第1回締切(2026年5月19日)に間に合わせるなら、2026年4月中旬には申請開始を
- GビズIDヘルプデスク 0570-023-797(デジタル庁)
ずばり、東京都の事業者が防災対策で使いやすい補助金のトップ3はどれになりますか?
第1位は間違いなくBCP実践促進助成金。上限が大きく対象経費が幅広い。第2位は防災製品メーカーなら安全・安心な東京の製品開発支援、最大1,850万円取れる。第3位は住宅施工事業者向けに感震ブレーカー購入費補助金、入れやすさでいうと一番シンプルです。
なるほど、自分の業種・規模によって入り口が変わるんですね。
そうです。共通して言えるのは「GビズIDを先に取れ」ということと(笑)、BCP策定は無料でできるからまず動いてみることですね。東京都は首都直下地震への本気度が高くて、補助金の更新・追加も頻繁にあります。半年に一回くらいのペースで制度情報を確認する習慣をつけるといいですよ。
ありがとうございました!感染症対策との組み合わせも含め、かなり全体像がつかめました。
感染症対策は給付金側に制度が多いので、必要な方は東京都の個人向け支援ページも合わせて見てみてください。自然災害・感染症の両方に備えるのが現代のBCPの鉄則ですから。