補助金・助成金の全体像フロー図
室谷さん、うちの会社、新しい技術を開発したいんですけど、お金の調達がネックで。茨城県ってそういう研究開発の補助金、充実してますか?
結構いいんですよ、茨城(笑)。つくばに国の研究機関が300以上あって、産学連携の文化が根付いてるんです。だから県も市も、研究開発支援に力を入れてる。
300以上!それは多いですね。具体的にどんな制度があるんですか?
大きく分けると3層あります。国の制度、県の制度、市区町村の制度ですね。国はSBIRやNEDO系の大型補助金、県は戦略分野特化の独自制度、市はつくば市みたいに産学連携を直接補助するところがある。
ほんとに?市レベルでも研究開発補助金があるんですか。
つくば市なんて研究者の街ですから、当然ですよ。市内のものづくり中小企業が大学や研究機関と組んだら補助する、って制度がちゃんとあります。
なるほど。うちは中小企業なんですけど、どこから手をつければいいですかね?
まず茨城県の独自制度を確認して、次に使える国の制度を押さえる、という順番がいいですよ。県の制度は競合が少ない分、採択されやすい傾向がありますし。
一番注目なのが「令和8年度戦略分野新製品開発促進事業費補助金」ですね。上限1,000万円で補助率は対象経費の3分の2以内。
3分の2って、すごくないですか?100万かかったら66万もらえるってこと?
そうです。しかも審査上位5件は4分の3に引き上げられる。ざっくり言うと「頑張ったら75%返ってくる」制度です(笑)。
それは申請しないともったいないですね。どんな分野が対象なんですか?
AI・半導体、量子、バイオ、航空・宇宙、フードテック、エネルギー・GX、創薬・先端医療、フュージョンエネルギー、マテリアル、情報通信、っていう成長分野ですね。かなり幅広い。
つくばって農業研究も盛んなので、農業×IT×バイオみたいな複合テーマも対象に入ってるんです。採択件数は20件以上の予定で、倍率もそこまで高くない。
令和8年度は令和8年4月27日から5月25日の公募でした。毎年度募集があるので、次の公募を見逃さないようにするのが大事ですよ。
事務局は一般財団法人茨城県科学技術振興財団のサイエンス推進課、電話番号は029-861-1201です。つくば市竹園にあります。相談は無料なので、まず電話してみるのをお勧めします。
茨城県補助金比較表
つくば市の「産産・産学連携研究開発支援補助金」が代表的ですね。市内のものづくり中小企業や情報通信業が、大学・研究機関と連携して研究開発する費用を補助してくれます。
補助率2/3で、補助限度額は50万円です。県の1,000万円と比べると小さいですが、使い方が違うんです。初期の連携費用、たとえば大学の先生に技術相談するコストとか、試作品を共同で作る費用に使えます。
そうそう。まずつくば市の補助金で大学と連携の実績を作って、次に県や国の大型補助金に申請する、という戦略が有効です。採択実績があると信頼性が上がりますから。
茨城県北地域(日立市・ひたちなか市・北茨城市・常陸太田市・那珂市など)には「産学連携等研究開発補助金」という制度があって、上限100万円・補助率10/10なんです。
そうです(笑)。公益財団法人日立地区産業支援センターが運営しています。これは県北地域の中小企業が大学や研究機関と連携する研究開発だと全額出してくれるという、かなり手厚い制度です。
そうですね。対象は那珂郡東海村、日立市、久慈郡大子町、常陸太田市、高萩市、北茨城市、ひたちなか市、常陸大宮市、那珂市に所在する中小企業です。日立製作所のお膝元でものづくりが盛んな地域なので、研究開発支援も厚い。
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 特徴 |
|---|
| SBIR推進プログラム(連結型) | 個別設定 | 要問合せ | スタートアップ・中小企業の研究開発から事業化まで一貫支援 |
| NEDO先導研究プログラム | 要確認 | 要確認 | NEDOの先端技術研究支援 |
| 新製品・新技術開発助成事業(東京都) | 1,500万円 | 1/2以内 | 都内限定だが研究開発の王道制度 |
| TOKYO戦略的イノベーション促進事業 | 8,000万円 | 2/3以内 | 都内企業向け大型研究開発支援 |
| 先進的技術開発等支援事業 | 1.5億円 | 10/10 | 定額補助で大型案件向け |
| ゼロエミッション推進製品開発助成金(単独) | 1,500万円 | 2/3以内 | 脱炭素関連の製品開発 |
| ゼロエミッション推進製品開発助成金(共同) | 3,000万円 | 2/3以内 | 複数企業共同での脱炭素製品開発 |
| 海外知財出願支援(JETRO) | 300万円 | 1/2 | 研究成果の海外特許出願費用補助 |
全国で使える制度も結構ありますね。ただ東京都の制度は茨城の会社は使えないですよね?
そうです。都内に本社・事業所がある会社限定です。ただ茨城に本社があっても東京に拠点を置いてる会社はOKなこともある。茨城で研究開発して東京にも拠点、みたいなケースは要確認ですよ。
なるほど。じゃあ純粋に茨城だけでやってる中小企業が使える全国制度って何ですか?
SBIR推進プログラムが代表的ですね。経産省が推進する「中小企業技術革新制度」で、政府が設定した研究開発テーマに取り組むスタートアップや中小企業を支援します。
Small Business Innovation Researchの略で、アメリカ発の中小企業技術革新支援の仕組みです。日本版SBIRとして2024年から「SBIR推進プログラム」として本格運用が始まりました。
2026年度SBIR推進プログラム(連結型)の詳細もチェックしてみてください。
そうです。連結型と一気通貫型があって、連結型はフェーズ1(調査・実証)からフェーズ2(本格開発)まで切れ目なく支援を受けられます。いわゆる「ピッチして採択されたら次のステージに進める」という流れです。
スタートアップ向けのイメージが強いですが、中小企業でも使えますか?
使えます!というかSBIRは中小企業向けに設計されている制度なんですよ。スタートアップだけじゃなく、既存の中小企業が新技術を開発する案件でも普通に応募できます。
NEDOって名前をよく聞きますが、どんな補助金があるんですか?
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は日本最大の研究開発支援機関で、ざっくり毎年数百億円規模の補助金を出してます(笑)。
ただ規模が大きい分、応募のハードルも高くて。基本的に「大学や研究機関と組んで取り組む大型プロジェクト」が得意な制度です。ここで茨城の話に戻るんですよ。
つくばには国立研究開発法人が20以上集まっていて、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構(NIMS)、筑波大学などが全部そろっています。NEDOの研究開発テーマと相性のいい機関が近くにある、という意味で茨城の中小企業は地理的優位があるんです。
たしかに!産総研と組んでNEDOに申請、みたいなことができるわけですね。
まさに。NEDO懸賞金活用型プログラムなんかは、「量子コンピュータを使って社会課題を解いたチームに賞金」という形式なので、近くの研究機関の専門家に声をかけやすい地域なら絶対有利です。
でも相談のきっかけって難しくないですか?いきなり産総研に「一緒に研究しませんか」って言いにくいですよね。
そこが茨城産業技術イノベーションセンター(ITIC)の出番なんです。水戸市にあって、企業と大学・研究機関のマッチングを無料でやってくれます。「こういう技術を開発したいんだけど、適切な連携先を紹介してほしい」という相談に乗ってくれるんですよ。
無料でそんなことしてくれるんですか!それは利用しないと損ですね。
ほんとに。しかも機器の貸し出しや試験の受託もしてるので、試作品を作りたいけど設備がない、というときにも使えます。
- 茨城県科学技術振興財団(つくば市): 戦略分野新製品開発補助金の窓口、TEL 029-861-1201
- 茨城県産業技術イノベーションセンター(水戸市): 産学連携マッチング・機器貸出・技術相談
- 日立地区産業支援センター(日立市): 県北地域専用の産学連携研究開発補助金
- つくば市経済部産業振興課: 産産・産学連携研究開発支援補助金(上限50万円、補助率2/3)
まず「研究開発の目的を明確に」することですね。補助金って「何を開発するか」より「なぜ開発するか」を問われることが多くて。社会課題の解決とか、市場のニーズとかを最初に整理しておかないと、申請書が弱くなります。
例えば「新しいセンサーを開発したい」というテーマだったら、「農業現場での収量予測精度が低く、食品ロスが年間○万トン発生している。この課題を解決するためのセンサー技術を開発する」という形で社会的意義から入るとグッと強くなります。
あとはGビズIDの事前取得は絶対やっておいてください。国の補助金はほぼ全部オンライン申請で、GビズIDがないと申請できません。取得に2週間くらいかかることがあるので、申請を思い立ったらすぐ申請しておく。
知らなかったです、それ!申請直前に気づいたら間に合わないですもんね。
結構ありますよ、締め切りの1週間前に気づいて間に合わなかった、みたいなケース(笑)。
- GビズID取得: gBizID.go.jpから申請、発行まで2週間かかることがある
- 履歴事項全部証明書の取得: 申請から3か月以内のものが必要なケースが多い
- 決算書の準備: 直近2〜3期分の決算書が必要なことが多い
- 相見積もりの取得: 高額の設備購入は2社以上の見積もりが必要
制度によって全然違います。茨城県の戦略分野補助金は採択件数20件以上の予定で、毎年の応募数次第ですが、比較的採択されやすい印象があります。一方、NEDOの大型プロジェクトは数パーセントのこともあります。
そうです。ただ採択されなくても「申請した」という実績が大事で。事業計画書のクオリティが上がりますし、次の公募でリベンジしやすくなる。最初から完璧を目指すより、とにかく出してみることが大切です。
茨城県科学技術振興財団または産業技術イノベーションセンターに事前相談する
申請テーマ(開発する技術・製品)と社会的意義を整理する
連携先の大学・研究機関候補を調べる(産学連携型は採点加点になることが多い)
採択後は事業実施計画通りに進め、実績報告書を期限内に提出する
他の都道府県と比べて茨城の研究開発環境ってどうですか?
正直、かなり良いと思います。つくば研究学園都市という日本最大の研究機関集積地があって、人材も設備も相談窓口も充実している。しかも地価が東京より安いので研究開発拠点を置きやすい。
確かに。ここまで出てきた制度を数えると、かなりの数になりますね。
そうなんです。茨城県の独自制度2つ、つくば市の制度1つ、日立地区の全額補助制度、全国制度が10本以上。ちゃんと探せば使える制度が20件以上あります。
ただ注意点も言っておきたくて。補助金は「後払い」なんですよ。先にお金を使って、完了後に実績報告して、審査が通って初めて振り込まれる。だから手元資金が必要です。
そこで茨城県の低利融資制度と組み合わせるのが現実的です。補助金が決まったら銀行に「補助金採択通知書」を見せると融資が通りやすくなります。
じゃあ最初は小さい制度で実績を作って、徐々に大型を目指す、という戦略ですか?
まさにそれが王道ですよ。「茨城県の補助金を受けて試作品を作りました」という実績があると、NEDOや経産省の大型申請で説得力が全然違います。補助金受給歴って採点加点になることも多いので。
それは知らなかったです。最後に、今すぐやるべきことをまとめてもらえますか?
まずGビズIDを取得すること、次に茨城県科学技術振興財団か産業技術イノベーションセンターに電話して現状を相談すること、ですね。「こんな技術を開発したいけど補助金使えますか?」という一本の電話が、全ての始まりになります。窓口の人たちも親切で、一緒に最適な制度を探してくれますよ。
茨城県の研究開発補助金全件は
研究開発の補助金・助成金一覧(茨城県)で検索できます。また、茨城県全体の補助金は
茨城県の補助金・助成金一覧でまとめて確認できます。研究開発補助金全国一覧は
研究開発の補助金・助成金もあわせてどうぞ。