室谷さん、最近うちの取引先の京都の中小企業さんが海外展開を本気で考えてるって話をしてて。でも最初の一歩が分からないって言うんですよ。補助金って何から調べたらいいんですか?
ほんとに多いんですよ、京都は特に。まず大きく「知財を守る」「製品を作る・改良する」「売り込む・展示会に出る」の3ステージに分けて考えると整理しやすいですよ。国の補助金と京都府・京都市独自の補助金を組み合わせるのが定石です。
ありますよ(笑)。令和8年度から京都市が新しく始めた「KYOTO海外展開チャレンジ支援事業」なんて、市内中小企業向けに補助率2分の1、最大160万円で海外市場調査・展示会出展・プロモーションまでカバーするんです。しかも2026年4月15日から5月20日が募集期間だから、まさに今がタイミングです。
160万円かあ。展示会1回行ったらすぐ使い切りそうですけど(笑)。
まあ展示会の規模にもよりますよね。でもこれは入口です。もっと大きい枠が国にあって、それを組み合わせるのが実際にうまくいってる企業のやり方ですよ。
| ステージ | 主な補助金 | 上限額 | 補助率 |
|---|
| 知財保護 | 京都産業21 海外出願支援 | 300万円 | 1/2以内 |
| 市場調査・展示会 | KYOTO海外展開チャレンジ | 160万円 | 1/2 |
| 設備・製品開発 | ものづくり補助金 | 最大3500万〜4000万円 | 1/2〜2/3 |
| 事業転換・大型投資 | 事業再構築補助金 | 最大5億円 | 1/2〜2/3 |
| 清酒・食品輸出 | 酒類業振興支援事業費補助金 | 1500万円 | 1/2〜2/3 |
| コンテンツ海外展開 | コンテンツ産業成長投資支援 | 数億円規模 | 1/2以内 |
京都府の海外展開補助金マップ:知財保護・展示会・大型投資の3ステージ図解
まず京都産業21が窓口になってる「令和8年度 中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」ですね。補助率1/2、上限300万円で、特許・実用新案・意匠・商標を外国で権利化する費用を助成してくれます。受付は2026年5月7日から6月5日。
特許とか商標って、海外で取らなきゃいけないんですか?
そうなんですよ。日本で特許を取っても、中国やヨーロッパで同じ商品を売ろうとしたら、その国でも権利化しないと保護されないんです。「先に現地で商標登録された」って話、よく聞きますよ。
じゃあこれはまず使ってから他の補助金を使う、って順番なんですね。
そうです。「知財→製品開発→販路」の順番が基本。知財を押さえてからお金をかけて展開しないと、模倣品に市場を取られるリスクが高くなりますよ。
なるほど。次のステップの「製品開発」って、補助金でいうとどれになるんですか?
国のものづくり補助金が代表格ですね。海外向け仕様の製品ライン整備や品質改善投資に使えます。上限は公募回によって変わりますが、ざっくり数百万から数千万円の規模です。あとは京都市独自の「KYOTO海外展開チャレンジ支援事業」の区分2で、海外規格に対応した製品開発費用を上限80万円で補助してくれます。
国の補助金で、海外展開で使えるものってどれくらいあるんですか?
大きく分けると、「事業転換を支援する大型補助金」「知財を守る補助金」「食品・農産物の輸出補助金」「コンテンツ産業の補助金」があります。
関係大ありですよ。たとえば国内向け製造業から輸出業態に転換するとか、国内商圏が縮小してきたので海外ECに舵を切るとか、そういうケースに事業再構築補助金(最大5億円)が使えます。
事業再構築補助金 第十二回(ID155)は補助率1/2〜2/3で、建物・設備・システム開発など幅広い経費が対象です。
でも採択にはちゃんとした事業計画書が必要で、「なぜ転換するのか」「市場はどこか」「競合優位性は何か」を数字で示す必要があります。採択率は公募回によって差がありますが、ざっくり40〜50%台のイメージです。
じゃあコンテンツ産業向けって、京都だと何が使えるんですか?
京都はアニメ・映像・伝統芸能の産地でもあるので、コンテンツ関連は特に注目です。「
コンテンツ産業成長投資支援事業費補助金(ID249)」がゲーム・アニメ・音楽・実写IPの海外展開をサポートしてくれます。ローカライズ費用やプロモーション費用が対象で、補助率は間接補助事業者で1/2以内です。公募タイミングが年1回程度なので、業界団体のメーリングリストを登録しておくことをお勧めします。
伝統芸能や映像って海外で本当に需要があるんですかね?
あるんですよ! 京都の茶道・能・舞妓文化って、欧米の富裕層に対してブランド力が強くて、サブスクリプション型の体験動画やオンラインクラスが伸びてるんです。コロナ以降でオンライン展開した京都の事業者が実際に収益化してる事例もあります(笑)。
- 事業再構築補助金(最大5億円): 事業モデル転換(海外EC・現地法人設立等)が対象。補助率1/2〜2/3
- 酒類業振興支援事業費補助金(最大1500万円): 清酒・焼酎の海外プロモーション・ブランディング支援。補助率1/2〜2/3
- 農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業: 有機JAS認証・GAP認証取得、輸出規制対応費用を支援
- コンテンツ産業成長投資支援事業費補助金: ゲーム・アニメ・映像・音楽IPの海外展開。約29.8億円規模
- スポーツエンターテインメント・コンテンツ海外展開支援(最大約1.7億円): スポーツ×コンテンツの海外ファン拡大
清酒・食品輸出を支援する補助金の比較:酒類業振興・農林水産物輸出・有機JAS認証支援
京都って清酒の産地でもあるじゃないですか。酒造さん向けの補助金って何かありますか?
ありますよ!国税庁が実施する「
令和8年度酒類業振興支援事業費補助金(ID581)」が直接対応します。「海外展開支援枠」と「新市場開拓支援枠」の2本立てで、海外展開支援枠は最大1500万円(複数事業者連携時)、補助率1/2(小規模事業者は2/3)です。
日本産酒類のブランディング・海外プロモーション・インバウンド対応・酒蔵ツーリズム、ICT活用による製造・流通の高度化など、かなり幅広いです。京都の清酒事業者なら「酒蔵見学×体験コンテンツの海外向けデジタル化」にも使えます。
農林水産省の「
農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業(ID241)」があります。認定品目団体が主体になる大型事業ですが、個別企業でも有機JAS認証やGAP認証の取得費用を最大2000万円支援してくれる枠があります(ID1868)。京都の有機野菜・お茶・伝統食品の輸出を考えてる事業者に特に有効です。
もちろんです。宇治茶は産地ブランドが確立してるので、海外バイヤーとの商談に補助金を使いやすいですよ。ただ「品目団体(農業者団体等)」が申請主体になるケースが多いので、個人農家なら地域の農業協同組合や輸出事業者を通じる形になります。
そうです。あと有機JAS認証・GAP認証を取ると海外バイヤーからの信頼度が格段に上がるんですよ。EU市場は特に有機認証への要求が厳しいので、認証取得費用の支援を使って先手を打っておくのがお勧めです。
じゃあ実際に補助金を申請するって、どういう流れになるんですか?
まず「どのステージで何をやりたいか」を整理してから補助金を選ぶのが鉄則です。補助金ありきで事業を考えると採択されにくくなります。
海外展開の目的・ターゲット市場・展開フェーズを整理する
京都産業21または京都海外ビジネスセンターで無料相談(事前予約制)
GビズIDを事前取得(jGrants申請に必要。取得まで2〜3週間かかる)
法人・個人事業主向けの政府認証ID(gBizID)です。ほとんどの国補助金の電子申請(jGrants)に必要で、取得に2〜3週間かかることがあるので、申請を考えてる段階で早めに作っておくのが重要です。締切直前に「IDがない!」って焦るケースが多いんですよ(笑)。
それはやってしまいそう(笑)。相談窓口って具体的にどこがいいですか?
京都の海外展開支援の総合窓口は京都海外ビジネスセンター(京都経済センター3階、TEL 075-366-4364)です。京都産業21・JETRO・中小機構が連携してるので、補助金の選択から申請書作成まで伴走してくれます。
- 採択後払いが基本: 多くの補助金は補助事業を実施し完了後に補助金が支払われる(後払い)。一時的な資金繰りに注意
- 複数補助金の併用制限: 同一経費への重複申請は不可。事業再構築補助金とものづくり補助金の同時申請は可能なケースもあるが、経費の重複は禁止
- 採択率: 競争率が高い補助金は1回不採択でも諦めずに再申請が有効
- 補助対象経費の確認: 渡航費・通信費等は対象外になるケースが多い
そうなんですよ。100万円使ったら100万円が後から戻ってくる仕組みなので、最初に自己資金か借入が必要です。日本政策金融公庫の低利融資と組み合わせてる事業者も多いですね。補助金申請と並行して資金計画も立てておくことをお勧めします。
ぶっちゃけ、どの補助金を選べばいいのか迷いそうです。
| 目的・状況 | お勧め補助金 | 上限額 | ポイント |
|---|
| 海外商標・特許を初めて取る | 京都産業21 海外出願支援 | 300万円 | 京都府内限定。競争倍率が高めなのでプレゼン準備を |
| 市場調査・展示会に出たい | KYOTO海外展開チャレンジ | 160万円 | 令和8年度から新設。コーディネータの伴走支援付き |
| 海外向け製品を開発・改良したい | ものづくり補助金等 | 数百万〜数千万円 | 製造プロセス改善が中心。海外向け仕様変更も可 |
| 事業モデルを海外向けに転換したい | 事業再構築補助金 | 最大5億円 | 売上10%減等の要件あり。大きな決断が必要 |
| 清酒・日本酒を海外に売りたい | 酒類業振興支援事業費補助金 | 1500万円 | 国税庁管轄。海外プロモーション費用が対象 |
| 食品輸出で有機認証を取りたい | 農林水産物輸出促進緊急対策 | 2000万円 | EU市場進出には有機認証が重要 |
小規模な事業者が最初に使うなら、どれがとっつきやすいですか?
まず「KYOTO海外展開チャレンジ」ですね。上限160万円と規模は小さいですが、申請のハードルが国補助金より低くて、専門コーディネータが一緒についてくれる。「海外に出てみたい」という初期段階の企業に向いています。同時並行で知財保護として外国出願補助金を申請して、次のステップでものづくり補助金を狙うというロードマップを描くのが現実的です。
なるほど、段階的に使っていくイメージですね。京都型GNT補助金って、聞いたことあるんですけど、これは何ですか?
すごいですよね(笑)。ただしこれは海外展開の直接費用ではなく、認定企業が京都市内で拠点を増設・新設するときの不動産コスト支援なんです。グローバルにニッチな市場でシェアを取りにいく製造業や研究開発企業向けです。「世界シェア○位を狙う」という事業計画と、まず京都市の認定を受けることが前提になります。
そんなことはないです。京都は電子部品・計測機器・伝統工芸素材で世界的なニッチトップ企業が多いんです。従業員50人以下でも、「このニッチ市場なら世界首位が狙える」という技術があれば応募できます。審査では「なぜ京都の技術でなければならないか」が問われるので、そこを磨き込むことが大事です。
今日の話、めちゃくちゃ整理できました。ありがとうございます!
京都は補助金の種類も多いし、相談窓口も充実してるので、「何から始めればいいか分からない」という方こそまず京都産業21か京都海外ビジネスセンターに相談してみてください。補助金の選び方から申請書の書き方まで無料でアドバイスもらえますよ。
GビズIDは今すぐ作っておいたほうがいいですね(笑)。
それと同時に、競合する海外の同業者を最低3社はリサーチしておくことをお勧めします。「どこの市場で、何で勝つか」が明確な事業者は採択率が明らかに高いですよ。補助金は手段であって、目的は海外でちゃんと稼ぐことなので。
確かに。補助金ありきで考えると本末転倒ですよね。今日も実務的な話、ありがとうございました!
ありがとうございました。京都発のグローバルビジネス、応援してます!
- GビズID取得済み: 国補助金の申請に必須(取得まで2〜3週間)
- 知財の洗い出し: 海外で守るべき特許・商標・意匠を確認
- ターゲット市場の設定: 国・地域・顧客像を明確に
- 競合リサーチ: 現地で勝てるポイントを言語化
- 自己資金の確認: 補助金の後払い分を賄える資金計画
- 相談窓口への事前予約: 京都海外ビジネスセンター(075-366-4364)か京都産業21
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