今日は「令和8年度 廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業 FS調査事業」について聞いていきます。まず、FSって何ですか?
FSは「Feasibility Study(フィージビリティスタディ)」の略で、事業の実現可能性を調査することです。簡単に言うと、「このビジネスって本当に成り立つの?」を客観的に確かめる調査ですね。
なるほど、実現可能性を調べるわけですね。それがなぜ補助金の対象になるんですか?
廃棄物処理施設の余熱や発電電力を地域で使う事業って、数千万から数億円規模の設備投資が前提になります。でも配管ルートや需要先との距離によって採算性がまったく変わるので、いきなり設備を入れるのはリスクが高すぎる。だからまず「調査してみましょう」という段階に補助金をつけたんです。
ほんとに?設備を入れる前の段階に補助金が出るんですか!それは珍しいですね。
そうなんです!(笑)この補助金の最大の特徴はそこで、設備を入れる前のFS調査費用を最大1,500万円まで定額補助してもらえます。定額補助というのは、かかった費用がそのまま補助される仕組みで、補助率が1/2とか2/3とかじゃないんです。
珍しいですね!FS調査だから金額も明確にしやすいし、環境省としても「まず正確に調べてほしい」という意思の表れだと思います。調査費用が1,500万円以内なら実質自己負担ゼロで事業化判断の材料が手に入ります。
廃棄物処理施設 エネルギー利活用ロードマップ
じゃあこのFS調査って、その後の設備投資につながるんですね?
まさに!この補助金の位置づけは「ステップアップ型」で、同じ親事業に3つの補助金があります。まずFS調査で実現可能性を確認して、翌年度以降に設備補助に進むという流れが推奨されています。
なるほど!段階を踏んで進めるわけですね。ただ、FS調査と設備補助を同時に申請することはできるんですか?
それは同一施設・同一年度では重複申請できません。FS調査をやる年度に同じ施設で熱利活用や電力利活用の設備申請は不可です。「まずFS調査→翌年度以降に設備」がルールです。ただし、施設が別々なら同一年度でも両方申請できますよ。
- FS調査で客観的なデータを得てから設備投資の意思決定ができる
- 数千万〜数億円の設備投資のリスクを最小化
- FS採択実績は翌年度の設備補助申請で計画の信頼性を高める
- 調査費用は最大1,500万円まで全額補助(定額補助)
意外とオープンで、次の法人格ならほぼ申請できます。民間企業、地方公共団体、独立行政法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人です。環境大臣の承認があればその他の団体でも可能です。
民間企業も申請できるんですね!廃棄物処理施設を持っていないといけないですか?
厳密には廃棄物処理施設側だけでなく、需要側(熱や電力を使う側)の企業も申請できます。ただし、エネルギー供給者と需要者の間で合意形成が図られている旨の表明が必要です。自治体と民間企業の共同提案という形が一般的ですね。
農業法人とかでも申請できますか?焼却施設の近くで農業ハウスをやっているところとか。
できます!(笑)農業ハウスの暖房コスト削減のために隣の焼却施設の余熱を使いたいというケースは、典型的なFS調査の対象事例です。自治体と共同申請する形をとれば申請資格もクリアできます。
- 地方公共団体: 清掃工場を運営する市区町村・一部事務組合(最も典型的)
- 民間廃棄物処理業者: PFI・DBO・BOT方式で施設を運営する企業
- エネルギー事業者: 余熱・電力の地域活用を事業化したい企業
- 農業法人: 余熱を農業ハウスの加温に活用したいケース(自治体と共同申請)
- 一般社団・財団法人: エネルギーコンサルティング系の法人
補助方式は定額補助で上限1,500万円です。「定額」というのは、算出された補助対象経費をそのまま補助するということ。かかった費用が1,200万円なら1,200万円を補助、800万円なら800万円を補助します。上限を超えると1,500万円に固定されます。
そうです。補助対象外の経費(消費税・地方消費税、一般管理費・人件費など)を除いた金額が補助されます。実際の補助金額は見積から対象外経費を差し引いた額になります。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助方式 | 定額補助 |
| 補助上限額 | 1,500万円 |
| 自己負担 | 原則なし(ただし補助対象外経費は自己負担) |
| 事業期間 | 交付決定の日から令和9年2月末日 |
| 対象地域 | 全国 |
事業期間が令和9年2月末日というのは、令和8年度中に調査を完了しないといけないんですね。
そのとおりです。公募が令和8年4月13日〜5月8日で、採択後に着手して令和9年2月末日までに報告書を提出する流れです。ざっくり10ヶ月以内に調査をまとめることになります。
FS調査事業の対象経費と対象外経費
どんな費用が補助されるのか、具体的に教えてください。
大きく5つのカテゴリに分けると整理しやすいです。調査コンサルティング費、計測・分析費、設計検討費、事業性評価費、報告書作成費、これら全部が対象です。
エネルギーコンサルタントに外注した費用が全部入るんですか?
基本的にそうです。外注費に含まれる一般管理経費分を含めて対象になります。下請状況についても説明を求められますが、元請としての妥当性を説明できれば大丈夫です。
自社の人件費は原則対象外です。これが結構盲点になりますね。自治体の職員の人件費も対象外。だから実務はコンサルタントや調査機関に外注して、外注費として計上するのが正解です。
以下の費用は補助されません。申請書に含めると修正指示が入ります。
- 土地の取得費・賃借料: 調査に必要な現地測量地代も対象外
- 設備・機器の購入費: 計測機器は「一時的なレンタル」なら対象
- 建設工事費: FS調査の段階では工事費は不可
- 一般管理費・人件費: 自社スタッフの給料、役員報酬等
- 消費税・地方消費税: 税込み金額で申請しないよう注意
- 既に実施済みの調査費: 遡及適用は不可。交付決定前の着手も不可
既に実施済みの調査には使えないんですね。これ重要ですね。
絶対に外せないポイントです!交付決定通知書が届く前に調査に着手すると補助対象外になります。「採択されたら業者に発注しよう」ではなく、交付決定後に初めて契約・着手できます。これを勘違いして損をする申請者が毎年います。
FS調査の具体的な内容を教えてください。何をどう調べるんですか?
大きく分けると5つの調査項目があります。施設から出るエネルギーの量の調査、需要先の特定と需要量の調査、供給インフラのルート検討、事業採算性のシミュレーション、CO2削減効果の算定、これが基本セットです。
供給インフラって、パイプラインとか電線のことですか?
そうです。熱なら熱導管のルート設計と建設コスト概算、電力なら自営線のルート設計ですね。施設と需要先の距離、道路や地形の条件によって建設コストがガラっと変わるので、ここが事業採算性に直結します。
現地調査を含む計画が高評価されます。余熱量の実測や需要先での温度・熱量計測を計画に入れると、調査結果の信頼性が高いと評価されます。机上シミュレーションだけだと「本当に動くの?」という審査担当者の懸念が残ります。
1廃棄物処理施設の概要整理(処理能力・発電量・余剰熱量の把握)
2余熱・電力の供給ポテンシャル調査(既存データの確認+現地実測)
3需要先の特定と需要量調査(周辺施設の熱・電力ニーズのヒアリング)
4供給インフラの概略設計(熱導管または自営線のルート・コスト概算)
5事業採算性の分析(建設コスト・運用コスト・収入・投資回収年数の試算)
6CO2削減効果の算定(代替化石燃料との比較で定量評価)
かなり本格的な調査ですね。どのくらいの期間がかかりますか?
案件の規模にもよりますが、3〜6ヶ月が標準的です。令和8年度は5月8日が締め切りなので、採択が7〜8月、そこから着手して令和9年2月末日までというスケジュールですね。
5ステップで進めます。調査企画の立案、委託先の選定と見積取得、申請書類の準備、jGrantsまたはメールで提出、審査・交付決定後に調査着手、という流れです。
GビズIDプライムアカウントが必須です。プライムアカウントの取得には通常2〜3週間かかります。令和8年度の公募期間は4月13日〜5月8日のわずか3週間なので、GビズIDを持っていない人は今すぐ申請を始めてください!
えっ、3週間しかないんですか!それは急がないとダメですね。
そうなんです(笑)でも実はこの補助金、jGrantsだけでなく電子メールでも申請できます。技管協のホームページから様式をダウンロードして、PDFにして、パスワード付きZIPファイルで送付します。GビズIDが間に合わない場合はこちらの方法で。
1GビズIDプライムアカウントの申請(未取得の場合は即日手続き開始)
2調査委託先候補(エネルギーコンサルタント等)の選定と見積取得
3公募要領・申請書様式のダウンロード(技管協HPまたはjGrantsから)
5jGrantsポータルまたはメール(hojyo-01@jaem.or.jp)で提出(期限 令和8年5月8日17時着信)
7調査実施・完了報告書の提出(令和9年2月末日まで)
委託先はいつ決めるんですか?申請前に決めておく必要がありますか?
申請前の段階では受託予定者が決まっていない状態が前提です。競争性を発揮した選定が求められるので、公募申請の段階では「複数社に見積依頼中」が正常な状態。書類作成のために見積を取ることはOKです。
審査で重視されるのは「この調査の後にどうなるか」という点です。FS調査から設備投資へのロードマップが具体的かどうかが最重要ポイントです。例えば「令和8年度にFS調査→令和9年度に熱利活用事業で設備導入申請→令和10年度に供用開始」という具体的なタイムラインを示してください。
「調査のための調査」で終わらないことを示すんですね。
まさに!それともう一点、複数の需要先候補を調査対象に含めると採択力が高まります。特定の1施設だけだと、その施設の事情で事業化が頓挫するリスクがある。複数候補から最適な組み合わせを選ぶ計画にするほうが調査の実効性が高いと評価されます。
めちゃくちゃ評価されます!自治体の地球温暖化対策実行計画や地域脱炭素ロードマップとの整合性を示すと政策的な位置づけが明確になります。環境省が推進する「脱炭素先行地域」に選定された自治体の案件は特に高評価が期待できます。
- 設備投資へのロードマップを明示: 「FS調査→翌年度設備申請→供用開始」の具体的スケジュール
- 複数需要先候補の設定: 1箇所だけでなく複数施設を調査対象に含める
- 現地実測を含む調査計画: 机上計算だけでなく現地での実測・ヒアリングを計画
- 地域脱炭素計画との整合: 自治体の脱炭素計画・ロードマップとの連携を記載
調査費用が1,500万円の上限ギリギリまで使わないといけないですか?
そんなことはまったくないです!適正規模での申請が推奨されます。必要な調査を積み上げた結果が500万円なら500万円で申請してください。無理に予算を膨らませると、審査で「なぜこんな費用が必要なのか」という疑問が生まれます。
この補助金と似た制度はありますか?どう使い分けるんですか?
熱利活用が補助率1/2、電力利活用がEV収集車3/4・自営線や蓄電池等が1/2です。FS調査の定額補助とは違って自己負担が発生しますが、設備の規模は数千万〜数億円になるので補助額は大きくなります。
脱炭素先行地域づくり事業の計画策定支援補助金との組み合わせは、調査対象や目的が重複しないよう区分すれば可能な場合があります。地方自治体が独自に実施する脱炭素関連の調査補助金との組み合わせも、同一経費への二重計上にならない限りOKです。事前に技管協に相談するのが確実です。
申請前によく聞かれる疑問点を確認させてください。FS調査って自社でもできますか?
自社内に専門人材がいれば自社実施も理論上は可能です。でも客観性と専門性の観点から、エネルギーコンサルタントや環境系調査機関への外注が一般的です。それに自社人件費は原則補助対象外なので、外注費として計上するほうが経理上もすっきりします。
はい、調査体制の妥当性がちゃんと評価されます。専門資格者や実績のある調査機関の参画を示すと採択力が高まります。「○○コンサルタント(環境省補助金FS実績○件)が調査を担当」みたいな書き方が有効ですね。
FS調査の結果、事業化が難しいとわかったら補助金を返還しないといけないですか?
返還は求められません。FS調査の目的は事業の実現可能性を客観的に評価することなので、「実は難しい」という結論も正当な成果です。適切に調査を実施して報告書を提出すれば補助金の返還は不要。ただし調査を途中で中止した場合や実績額が交付決定額を下回った場合は精算の対象です。
以前にFS調査を実施した施設に、また申請できますか?
原則として同一内容の重複申請は不可です。でも前回から状況が変わった場合(需要先の変更、新技術の導入検討等)や、前回が熱利活用のFSで今回は電力利活用のFSというように調査内容が異なる場合は申請できる可能性があります。事前に技管協に相談してください。
- 廃棄物処理施設(ごみ焼却施設・バイオマス発電施設等)の余熱・発電電力を地域で利活用する事業の調査か
- 調査対象となる廃棄物処理施設が特定されているか
- 民間企業・地方公共団体・一般社団財団法人等に該当するか
- 余熱見込量や事業採算性の検討を含む調査計画か
- 同一施設の同一年度に熱利活用・電力利活用事業との重複申請をしていないか
- GビズIDプライムアカウントを取得済みか(or メール申請を選択済みか)
令和8年5月8日の17時着信が締め切りなんですね。今日の日付によっては本当に急がないとダメですね。
そうですね。GビズID取得が間に合わなそうな場合は電子メール申請を使ってください。メール申請の場合は様式をダウンロードして、パスワード付きZIPで
hojyo-01@jaem.or.jp に送付します。
公募期間外でも申請に関する相談は受け付けています。技管協の公式フォームか電話・メールで気軽に相談してください。
この補助金は全国対象ですが、都道府県ごとに独自の脱炭素・省エネ補助金がある場合も。お住まいの地域の追加支援を確認してみましょう。