今日は「令和8年度ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金」を取り上げたいと思います! 医療とか介護の会社が海外に出るための補助金って、珍しいですよね?
そうなんですよ! 日本の医療・介護サービスって世界的に見てもかなり高水準なんですけど、海外に出ていっている企業はまだまだ少ない。それを後押ししようというのがこの補助金の狙いです。経済産業省が主体で、一般社団法人Medical Excellence JAPAN(MEJ)が管理団体として運営しています。
経済産業省のヘルスケア産業課が推進する、ヘルスケアの国際展開に特化した法人です。医療機器メーカー、病院、介護施設、ITヘルスケア企業など多様な会員を持っていて、海外展開の実務支援も行っています。この補助事業のほか、アジア各国に「MExx(メックス)構想」という拠点ネットワークも展開しています。
なるほど! 国の政策と民間の支援が一体になってるんですね。背景にはどんな政策があるんですか?
令和7年2月に閣議決定された「健康・医療戦略」と、令和3年6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」に、ヘルスケア産業の国際展開を推進する旨が明記されています。日本の経済成長戦略の重点施策のひとつとして位置づけられているんです。
ちゃんと政府の方針として動いているんですね! 令和7年度はどのくらい採択されたんですか?
令和7年度は、2025年4月21日から5月19日の応募期間で10件が採択されています。令和6年度も同じく10件。毎年コンスタントに採択されている実績ある補助金です。
非公開なんですが、かなり競争率が高いです。「書類審査 → ヒアリング審査」という2段階審査があって、専門的な視点から事業の実現可能性や将来性を厳しく評価されます。だからこそ、採択されたらかなりの信用度になりますし、伴走コンサルによるサポートも手厚い。
今年(令和8年度)の具体的なスケジュールを教えてください!
はい、
令和8年4月24日(金)に公募開始、
令和8年5月21日(木)の12時が締切です。正午に必着なので、時間に余裕を持って準備してください。
申請から採択までの流れ
えっ、もう始まってるんですね!(笑) 採択はいつごろわかるんですか?
ヒアリング審査が令和8年6月中旬から下旬を予定していて、採択結果はその数日後に発表予定です。採択後の補助事業実施期間は交付決定日から令和9年2月26日(金)までです。
はい!
令和8年4月30日(木)の15時から16時、Microsoft Teamsによるオンライン説明会が開催されます。ただし申込期限も令和8年4月30日の12時までなので、今から参加登録するなら急いだほうがいい。
meti-project@me-jp.org に申し込みメールを送る形式です。
| 項目 | 詳細 |
|---|
| 公募開始 | 令和8年4月24日(金) |
| 公募締切 | 令和8年5月21日(木)12時必着 |
| 説明会 | 令和8年4月30日(木)15時〜16時(Microsoft Teams) |
| ヒアリング審査予定 | 令和8年6月中旬〜下旬 |
| 採択発表 | ヒアリング審査から数日後 |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜令和9年2月26日(金) |
スケジュールがかなりタイトですね…。それだけ本気でやる人向けってことか。
補助率は大企業と中小企業で違うんですよね? 詳しく教えてください!
はい、ここは大事なポイントです。
中小企業等は2/3以内、大企業は1/3以内という補助率になっています。
補助率比較
医療法人と学校法人は中小企業等に含まれます。なので補助率2/3が適用されます。ただし、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有される法人や、直近3年の課税所得平均が15億円超の場合は、大企業扱いになるので注意が必要です。
実は公募要領に明確な上限金額の記載がないんです。「事業計画と予算額の内容を精査の上、決定します」という形式で、案件の規模や内容によって個別に決まります。令和6・7年度の採択実績を見ると、1件あたり数百万〜数千万円規模の案件が採択されています。
| 経費区分 | 内容 |
|---|
| 人件費 | 事業に直接従事する者の直接作業時間に対する人件費 |
| 旅費 | 国内出張・海外出張に係る経費(交通費・宿泊費・日当) |
| 会議費 | 会議・講演会・シンポジウム等の会場費・機材費など |
| 謝金 | 外部専門家への謝金、講演・研究協力対価など |
| 借料及び損料 | 機械器具等のリース・レンタル費用 |
| 外注費 | 直接実施できない業務の外注費(請負契約) |
| 補助員人件費 | アルバイト等の補助員に係る経費 |
| その他諸経費 | 事業に必要な経費で他区分に属さないもの |
| 委託費 | コンソーシアム形式での参加団体への委託費(委任契約) |
そうなんですよ。ただし施設整備や設備購入はNGです。また、コンピューターの新規プログラム開発費も原則計上できません。外注費が補助経費の5割を超えるような事業も対象外になります。全体の経費の半分以上は自社内で使うことが条件です。
- 施設・設備の購入費(リース・レンタルはOK)
- 建築費用
- 法人設立のための登記費用
- 新規コンピューター・ソフトウェア開発費(システム改修は総費用の1/2以下ならOK)
- 美容整形・審美歯科を目的とした海外展開に関する費用
- 単なる人材育成のみで完結する事業の費用
申請するときに「基礎調査」と「実証調査」を選ぶって書いてありましたが、違いは何ですか?
これが重要なポイントです! 海外展開の「ステージ」によって使い分けます。
まず基礎調査は、「まだ海外展開の詳細は固まっていないが、市場調査・パートナー選定・ビジネスモデルの構築をしたい」という段階向け。現地の競合環境調査、制度調査、ニーズ調査、パートナー選定などが対象です。
実証調査は、「ビジネスモデルはある程度固まっていて、現地パートナーも決まっており、実際にサービスを試してみたい」という段階向けです。サービストライアル、収益性の検証、料金設定の策定などが対象になります。
| 基礎調査 | 実証調査 |
|---|
| 対象段階 | ビジネスモデル構築前 | ビジネスモデル確立後 |
| ビジネスモデル | 未確立・検討中 | 一定程度確立済み |
| 現地パートナー | 選定中 | 協力関係構築済み |
| 活動例 | 現地制度調査、競合環境調査、パートナー選定 | サービストライアル、収益性検証 |
うちはまだ海外のことを全然知らないから、基礎調査から始める感じですね!
そうですね。ただ、基礎調査と実証調査では申請書のフォーマットが異なります。様式1・2・4は統合したファイルで提出、予算書は様式3で提出という具体的なルールがあるので、公募要領をよく確認してください。
- 基礎調査向け: 海外展開したい国・地域が決まっていない / パートナーがいない / ビジネスモデルを模索中
- 実証調査向け: 展開国と具体的なパートナーが決まっている / 一定のビジネスモデルがあり現地で試したい / 既に海外で類似事業の実績がある
いいえ。法人格を有する民間事業者または団体が対象です。個人事業主、地方公共団体、法人格のない任意団体は原則応募できません(有限責任事業組合LLPは応募可能)。
大きくこのカテゴリが対象です。医療機器・医薬品・福祉用具メーカー、医療サービス・介護サービス事業者、PHRや健康経営・健康増進などのヘルスケアサービス事業者、これらを海外で普及させたい企業・医療機関ですね。
はい。美容整形・審美歯科を目的とした海外展開は対象外です。また「医療インバウンドの推進のみ」も対象外(アウトバウンドと組み合わせた事業はOK)。そして、ミャンマーは政情不安を理由に令和8年度も採択対象外となっています。
必須ではないですが、加点がつくのがアジア(インド・インドネシア・タイ・ベトナムは特に重点)とアフリカです。これらは日本政府のMExx構想(産官学医の現地キーパーソンをネットワーク化する施策)対象地域でもあるため、審査で優遇されます。
審査基準は大きく4つ。製品・サービスの強み、本年度事業の内容、将来的な計画の実現性、費用対効果の妥当性です。
「本年度の事業内容(様式2のC)」が一番配点が大きいです。現地の課題を的確に踏まえた事業設計になっているか、持続的なビジネスモデルになっているかが特に問われます。「採択されたらどうなるか」より「採択後5年でどう自立するか」まで書けるかどうかが勝負です。
- 加点狙い: インド・インドネシア・タイ・ベトナム・アフリカを対象国に含める
- 革新性: 画像解析AIや収集データを活用した診断補助など、革新的技術の活用を明記
- コンソーシアム: 複数企業で組成する場合は役割分担を明確に
- 賃上げ表明: 大企業3%・中小企業1.5%の賃金引上げ予定を表明(様式5提出)
- WLB認定: 女性活躍推進法認定(えるぼし)・次世代育成支援対策推進法認定(くるみん)などの認定を受けている場合は加点
コンソーシアムを組む加点項目があるので有利ですが、一者単独での採択実績も多いです。大事なのは、コンソーシアムを組む場合は各参加団体の役割と責任が明確になっていること。経費の5割以上をコンソーシアム内で使うルールもあります。
Microsoft Teamsで実施され、簡潔な説明が求められます。審査委員会(学識経験者等)が採択候補を決めるので、1社あたりの時間が限られている中で事業の核心を伝える練習が重要です。プレゼンの明確さ・簡潔さが勝負です。
はい、郵送・持参・FAXはすべてNGです。Jグランツのみです。また、補足資料やパンフレットなど様式外の資料は一切受け付けません。差し替えも不可なので、提出前に十分確認してください。
採択されたら終わりじゃなくて、その後も義務があるんですよね?
そうなんです。ここは意外とハードルが高いです。月1回程度、経済産業省・MEJ・伴走コンサルとのオンライン会議での進捗報告が必須です。それと10〜11月の中間報告会と、補助事業終了後の最終報告会(一般聴講者あり)での発表も義務になります。
それだけ「他の日本企業の海外展開に役立ててほしい」という趣旨があるんです。得られた知見を横展開することが求められています。事業報告書は公開版と非公開版を作成し、令和9年2月26日までに完成・提出が必要です。帳簿や証拠書類の保存義務は補助事業完了年度の終了後5年間です。
なるほど。ちゃんと成果を社会に還元する仕組みになってるんですね。
| 項目 | 詳細 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金 |
| 実施主体 | 経済産業省(ヘルスケア産業課)、管理団体:一般社団法人Medical Excellence JAPAN |
| 公募期間 | 令和8年4月24日〜令和8年5月21日(12時必着) |
| 補助率 | 中小企業等:2/3以内、大企業:1/3以内 |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜令和9年2月26日 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請のみ) |
| 対象 | 法人格を有する民間事業者・団体 |
| 対象分野 | 医療機器・医薬品・介護・健康増進等ヘルスケアの海外展開 |
| 問合せ先 | meti-project@me-jp.org |
| 公式ページ | MEJのWEBサイト |
過去にどんな事業が採択されているか、パターンはありますか?
MEJの公開情報を見ると、毎年10件程度の採択です。採択されているのはざっくり言うと、「日本発の医療技術・サービスをアジア・アフリカで実証したい医療機関・メーカー・スタートアップ」というパターンが多いです。
過去の採択事業を見ると、診断支援AIシステムの東南アジア展開、遠隔医療サービスのインドでの実証、日本式の介護サービスモデルのタイでの展開、PHR(個人健康記録)プラットフォームのインドネシア展開といった案件が目立ちます。革新的な技術(AI・データ活用)を含む案件は加点が入るため、単純な輸出ではなく「日本の強みをテクノロジーで活かした事業」が審査委員に刺さりやすいです。
はい、病院が代表団体になった採択事例もあります。ただ、病院単体だとビジネスの側面での説得力が弱くなることも。医療機器メーカーやITスタートアップなどとコンソーシアムを組んで「医療サービス×テクノロジー」の掛け合わせにするのが採択確率を上げる王道パターンです。
なるほど。スタートアップでも応募できるんですよね?
もちろんです。ただし応募資格に「ヘルスケア事業の取組経験を有すること」という条件があるので、全くの新規参入より、国内で一定の実績がある企業・医療機関のほうが有利です。「この製品・サービスを国内でここまで展開してきた実績がある、だから海外でも通用する」という流れが作れると強い。
同じ内容で他の補助事業に採択されてたらダメなんですか?
はい、同一内容で経済産業省や他省庁の補助事業の採択を過去に受けていた場合、応募できません。類似性の高い事業を実施中・予定している場合も、役割分担が不明確だと採択対象外になります。ここは要注意です。
国内外の出張費用(交通費・宿泊費・日当)は計上できます。ただしグリーン車やビジネスクラスには制限があるので、事務処理マニュアルで確認が必要です。
MEJから外注されたコンサルティング会社で、採択事業者の活動サポートを担います。月次の進捗報告への参加、事業推進上の課題相談、書類整備のアドバイスなどを行います。補助金の手続きに不慣れな医療機関や中小企業にとっては、かなり心強いサポートです。
最後に、これから準備する人へのアドバイスをいただけますか?
締切まで時間がないので、まずGビズIDを今すぐ取得することです。次に公募要領PDF(62ページ)を一読して、基礎調査か実証調査かを決める。その上で、応募する国・地域と対象製品・サービスをどう差別化するかを固める。採択後の5年計画まで具体的に書けると、審査委員会に刺さる申請書になります。競争率が高い分、採択されれば手厚い伴走支援と対外的な信用度という大きなリターンがあります。
ミャンマーは2021年2月の軍事クーデター以降、政情不安が続いています。令和8年度の補助事業でもミャンマーを対象とする事業は採択対象外です。現在ミャンマーへの展開を検討している場合は、他の対象国(インド・インドネシア・タイ・ベトナム等)を検討してください。
似たような補助金と比べて、この補助金の特徴はどこにありますか?
同じ経済産業省・MEJが実施している過去年度版や、他の海外展開支援補助金と並べてみましょう。
| 補助金名 | 補助率 | 対象 | 詳細 |
|---|
| 令和4年度ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金 | 中小企業等2/3、大企業1/3 | 医療・介護・ヘルスケア事業者 | 詳細 |
| 令和5年度ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金 | 中小企業等2/3、大企業1/3 | 医療・介護・ヘルスケア事業者 | 詳細 |
| 令和8年度スポーツエンターテインメント・コンテンツ海外展開支援事業費補助金 | 要確認 | エンターテインメント・コンテンツ事業者 | 詳細 |
令和4年度・5年度版は既に終了していますが、毎年ほぼ同じ内容で継続公募されているため、過去の公募要領や採択事例が非常に参考になります。スポーツ・エンタメ系も海外展開補助金なので、仕組みの比較に使えます。
他の医療・ヘルスケア関連の補助金も確認したいですね。
ですね。この補助金は全国対象の国費補助金ですが、都道府県・市区町村レベルでも医療機器や介護サービス向けの補助金があります。
東京都・
大阪府・
愛知県・
神奈川県・
福岡県など、地域ごとに確認してみてください。