室谷さん、今日は愛媛県今治市の「賃貸借型企業立地奨励金」について聞かせてください。名前が長くて、なんだか難しそうで……。
(笑)そうですよね、名前は長いんですけど、中身はシンプルです。ひと言でいうと、「今治市に賃貸オフィスを借りて事業所を開いたら、賃料の3分の2を最大36か月にわたって補助してくれる」制度です。
えっ、賃料の3分の2!?それって月50万の家賃なら33万円くらい戻ってくるってこと?
そうです。正確には「月額賃借料に3分の2を乗じた額」で、上限は月50万円なんです。だから50万円の家賃なら33万円くらい、150万円の家賃でも上限の50万円は出ます。
そうなんです。上限額の計算は「50万円×36か月=1800万円」。
地方自治体の企業誘致策としては、かなり太っ腹な水準ですよ。
今治市賃貸借型企業立地奨励金 補助金額の概要
実際にどんな業種が対象なのか気になります。「情報通信業」って書いてありましたけど、全部の業種が使えるわけじゃないんですよね?
そうなんです。賃貸借型の奨励金は対象業種が絞られています。具体的には2つのカテゴリーです。
まず「情報通信業」——ここで言う情報通信業は「情報サービス業」「インターネット付随サービス業」「映像・音声・文字情報制作業」の3種類に限られます。次が「学術研究、専門・技術サービス業」で、こちらは「学術・開発研究機関」「専門サービス業」「広告業」です。
なるほど、いわゆるIT系や知識集約型のサービス業ってことですね。製造業は別の制度になる感じですか?
正確には、製造業は今治市の「企業立地促進奨励金」という固定資産税ベースの別の奨励金が使えます。賃貸借型という制度の性質上、工場みたいな大型施設よりオフィス系の業種に向いているんです。
そうか、だから情報通信系やコンサル系に絞られてるんですね。ちなみに従業員数とか、企業規模に制限はあります?
従業員数の制約は特にありません。ただし、立地に伴う「新規雇用従業員が2人以上」というのが要件です。既存の従業員を転勤させるだけじゃなく、今治市で新たに2人雇う必要があります。
ほんとに?それって地域雇用の創出が目的なんですね。
まさにそうです。今治市は「人を増やしてくれる企業に来てほしい」という考え方なんです。パート・アルバイト等の短時間労働者は2人でカウント1人分という計算になります。
- 情報通信業: 情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業
- 学術研究・専門技術系: 学術・開発研究機関、専門サービス業、広告業
- 雇用要件: 立地に伴う新規雇用従業員2人以上(短時間労働者は2人で1人換算)
補助額の詳細を改めて確認したいんですが、テーブルで見せてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助対象 | 賃貸オフィス等の月額賃借料 |
| 補助率 | 月額賃借料の3分の2 |
| 月額上限 | 50万円(月) |
| 交付期間 | 最大36か月 |
| 総額上限 | 1800万円 |
月50万円の上限があるから、仮に月100万円の賃料だったとしても、もらえる補助は50万円止まりってことですよね?
そうです。月額100万円の3分の2は約67万円ですが、上限の50万円が適用されます。逆に月75万円の家賃なら3分の2は50万円ちょうどなので、上限内に収まりますね。
なるほど、月75万円の賃料がちょうど上限になるラインですね。それ以下の家賃なら全部3分の2が出る。
その通りです。都内のオフィスより地方の方が家賃は安いので、今治市なら月75万円以内で収まる物件も多いと思いますよ。
あと、これとは別に「開設費用への奨励金」もあるって聞いたんですが?
そうです。賃借料で最大1800万円+開設費用で最大500万円、合計最大2300万円の支援を受けられる可能性があります。しかも、採用も積極的にやれば
今治市雇用促進奨励金も加算されます。
- 賃借料奨励金: 最大1800万円(本記事の制度)
- 開設費用奨励金: 最大500万円(別制度)
- 雇用促進奨励金: 新規雇用1人につき30万円、上限1億円(別制度)
実際の申請はどう進めればいいんですか?「まず市長に申請して指定を受ける」って書いてあって、なんか大変そうで……。
大丈夫ですよ。流れを整理すると5つのステップになります。
今治市賃貸借型企業立地奨励金 申請フロー
「指定申請」が最初のハードルですね。これって書類が多そうですか?
具体的な必要書類は産業振興課(電話 0898-36-1540)に確認するのが一番確実です。一般的には、会社の登記事項証明書・事業計画書・賃貸借契約書などが必要になることが多いですね。
賃貸借契約自体は先に締結しても問題ないと思いますが、操業開始前に指定を受けることが前提です。「もう開業してます」という状態で申請すると対象外になる可能性があるので、必ず物件探しの段階から産業振興課に相談してください。
- 指定前に操業開始: 開業してから申請しても対象外になる恐れがあります。必ず指定申請→指定→開業の順番で進めてください。
- 対象外業種での申請: 情報通信業・学術研究・専門技術サービス業のうち、指定業種以外は対象外です。自社の業種区分を事前に確認しましょう。
- 新規雇用要件の誤解: 既存社員の転勤は「新規雇用」にカウントされません。今治市で2人以上を新規採用することが必要です。
そもそも今治市って、どんな地域なんですか?正直、しまなみ海道のイメージしかないんですけど(笑)。
ほんとに?(笑)そうですよね、タオルとしまなみ海道が有名ですけど、企業拠点としての今治市は地方移住・サテライトオフィスの文脈でも注目されています。
愛媛県って都市部から遠いイメージがあるんですが、交通は大丈夫ですか?
今治市は愛媛県の北東部にあって、松山市まで高速道路で約1時間。松山空港からは1時間ちょっとで来られます。広島からはしまなみ海道で車で約1時間半、高速バスもあります。東京・大阪からの出張も日帰りが可能な距離感ですね。
なるほど、アクセスはそこまで悪くないんですね。オフィスの賃料水準はどのくらいですか?
今治市内の賃貸オフィスは、都内と比べると圧倒的に安いです。10坪から20坪程度のオフィスで月10万円〜30万円くらいの感覚です。月20万円の家賃なら、奨励金で月13万円強が返ってくる計算になります。
都内で同じ広さのオフィス借りたら50万〜100万円はしますから、コスト差が段違いですね。
賃料の安さ+奨励金のダブル効果で、実質コストが都内の10分の1以下になるケースもあります。IT系のスタートアップや、サテライトオフィスの拠点として今治市を選ぶ企業が増えているのはそういう背景があります。
| 比較項目 | 東京都内(例) | 今治市(例) |
|---|
| 月額賃料(20坪) | 50万〜100万円 | 10万〜30万円 |
| 奨励金(月額) | なし | 最大20万円(賃料30万円の場合) |
| 実質負担 | 50万〜100万円 | 10万円以下になるケースも |
実際に活用する場合、どんな点に気をつければうまくいきますか?
ポイントは3つあります。まず「早めに相談すること」。指定申請には審査期間があるので、オフィスを決める前から産業振興課に連絡を入れておくことが重要です。
「雇用計画をしっかり立てること」です。新規雇用2人以上という要件は、計画段階から採用活動を始めないと間に合わないこともあります。採用がうまくいかないと要件を満たせない可能性があります。
確かに、採用って時間がかかりますもんね。3つ目は?
「他の奨励金との組み合わせを検討すること」です。開設費用への奨励金や雇用促進奨励金と組み合わせれば、総合的な支援額がさらに大きくなります。
今治市企業立地促進奨励金や
今治市設備投資奨励金なども、状況によっては使える可能性があります。
- 1. 指定申請を物件決定前に: 産業振興課へ早めに連絡・相談。物件候補を3〜5つ持って相談するのがベスト
- 2. 採用計画を先行: 新規雇用2人の要件を満たすため、採用活動は拠点開設と同時進行で
- 3. 複数奨励金の活用: 開設費用奨励金(最大500万円)・雇用促進奨励金との組み合わせで支援を最大化
ここまでで大体わかってきましたが、基本情報を一覧で教えてもらえますか?
公募期間が2027年3月31日まであるんですね。まだ余裕がある感じですか?
公募期間はありますが、「指定申請→審査→指定」というプロセスがあるので、早めに動く方が安全です。特に年度末は問い合わせが集中しやすいので、今から検討している方は早めに産業振興課に連絡することをおすすめします。
最後に、よく聞かれる疑問をいくつか教えてもらえますか?
了解です。まず「個人事業主でも使えますか?」という質問が多いですね。
制度上は「企業」が対象と記載されているので、法人格があることが前提だと思われます。個人事業主の場合は事前に産業振興課に確認することをおすすめします。
じゃあ、すでに今治市内に事業所がある会社が増設する場合はどうですか?
「新たに事業所を開設する」のが条件なので、既存の事業所の移転・増設は対象外になる可能性があります。ただし今治市外からの移転は「新設」として扱われることがあるので、これも個別に確認が必要です。
「賃貸オフィス等」という表現になっているので、コワーキングスペースが対象になるかは曖昧な部分があります。固定席のある本格的な契約ならOKの可能性はありますが、フリーアドレス型はグレーゾーンです。これも産業振興課に直接確認してください。
なるほど、グレーな部分は直接聞くのが一番ですね。今治市でのオフィス開設を検討している方は、まずは産業振興課に問い合わせてみるのがよさそうです!
そうです。今治市は企業誘致に積極的なので、相談した時の対応も丁寧だと思いますよ。愛媛・四国エリアへの拠点展開を考えているIT系・コンサル系の企業さんには、ぜひ検討してほしい制度です。
ありがとうございました!今治市、思ったより面白い選択肢ですね。
今治市には他にも似たような制度があるってことでしたよね。整理してもらえますか?
はい、今治市は企業立地に関連した複数の奨励金を用意しています。
賃借料奨励金+開設費用奨励金+雇用促進奨励金を組み合わせたら、本当にすごい金額になりますね。
10人新規採用なら雇用促進奨励金だけで300万円。それに賃借料1800万円+開設費500万円を足したら合計2600万円です。今治市での拠点展開コストのかなりの部分が賄えますよ。
これは中小企業のIT系スタートアップが地方進出する際の有力な選択肢になりそうですね!
そうです。愛媛・四国エリアは地方創生の文脈でも注目されていますし、しまなみ海道沿いの観光資源もあって、従業員にとっても住みやすい環境です。今治市への拠点設置をぜひ検討してみてください。
愛媛県の補助金情報は
こちらの愛媛県ページでも確認できます。今治市ならではの奨励金を上手に組み合わせて、ぜひ活用してみてください!