今日は愛媛県今治市が実施している「今治市設備投資奨励金」についてお聞きしたいんですけど、これって何が特徴的なんですか?
これがかなり面白い制度なんですよね(笑)。普通の補助金って「対象経費の〇〇%を補助します」という形が多いんですが、この奨励金は設備更新にかかった固定資産税の収納額そのものを奨励金として戻してくれる、という仕組みなんです。
ほんとに?つまり税金を払ったら、その分が返ってくる感じですか?
まさにそういうことです。設備に2,000万円以上投資した場合、その設備に課税される固定資産税相当額が3年間にわたって奨励金として交付されます。各年度の上限は1,000万円なので、最大で合計3,000万円を受け取れる計算になります。
えっ、最大3,000万円!それはすごい金額ですね。
今治市が「強力バックアップ」と銘打っているだけあって、かなり実質的な支援になっています。ただし、これは今治市全域が対象というわけじゃなくて、「指定区域(今治新都市区域)」と「指定区域を除く全域」の2タイプがあって、内容が若干違います。
なるほど、区域によって条件が違うんですね。詳しく教えてもらえますか?
はい。シンプルに言うと、どちらのエリアでも
中小企業者が2,000万円以上の設備更新投資をすれば、固定資産税の収納額相当を3年間交付してもらえます。上限は両エリアとも各年度1,000万円です。令和5年4月1日の制度拡充以降、より多くの業種が対象になっているので使いやすくなっています。
申請フロー図解
「固定資産税の収納額相当」って言っても、実際にどのくらいの金額になるのか想像しにくいんですが。
わかります。具体的に計算してみましょう。一般的に設備(機械装置)の固定資産税率は1.4%ですが、耐用年数によって評価額が変わるので一概には言えません。ざっくりの目安として、2,000万円の設備投資なら初年度の固定資産税は年間20〜25万円程度、5,000万円なら50〜60万円程度になることが多いです。
ということは、2,000万円の設備投資で3年間もらえる奨励金はざっくり70万円前後くらいですか?
そうですね、規模によりますが。でもこの制度の本当においしいポイントは、大規模な設備投資をするほど恩恵が大きくなるところです。たとえば7億円の設備投資をしたなら固定資産税は年間1,000万円を超えてきますが、上限の1,000万円×3年=3,000万円を受け取れるんです。
なるほど!大型投資をする製造業なんかには特に魅力的な制度なんですね。
そうです。今治市は繊維・タオル産業や造船業が盛んな工業都市なので、設備更新ニーズが高い企業には使い勝手が良いんですよ。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 奨励金の性質 | 設備更新に伴う固定資産税の収納額相当 |
| 交付期間 | 設備更新完了の翌年度(基準年度)から3年間 |
| 各年度上限 | 1,000万円 |
| 3年間の最大合計 | 3,000万円 |
| 最低投資額 | 2,000万円 |
奨励金シミュレーション
誰でも申請できるわけじゃないですよね。どんな企業が対象なんですか?
まず「中小企業者」であることが必須条件です。そして業種によって従業員数の上限が決まっていて、製造業・建設業・運輸業その他は300名以下、卸売業は100名以下という要件があります。
あります。対象になるのは製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、卸売業、医療・福祉、学術研究・専門技術サービス業などです。ただし情報通信業については情報サービス業・インターネット付随サービス業・映像音声文字情報制作業に限られ、学術研究・専門技術サービス業については学術開発研究機関・専門サービス業・広告業に限られます。
そうなんです。令和5年4月の改正で対象業種が拡大されたので、以前より使いやすくなっています。
- 対象者: 今治市内に事業所を有する中小企業者
- 投資額: 設備導入に係る投資額が2,000万円以上
- 雇用維持: 設備導入後も当該事業所における雇用が維持されること
- 対象業種: 製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業(一部)、卸売業、医療・福祉、学術研究・専門技術サービス業(一部)
- 従業員数: 製造業等は300名以下、卸売業は100名以下
「雇用が維持されること」という条件は、どのくらい厳しく見られるんですか?
現状の雇用水準を下回らないように維持することが求められます。新規雇用を求められるわけではなく、「現状維持」がラインなので、多くの中小企業にとって達成しやすい条件です。ただし、奨励金の交付期間中に大幅な人員削減があれば、奨励金の取り消しになる可能性があるので注意が必要です。
実際に申請するにはどうすればいいんですか?手続きはどんな感じで進むんでしょう?
これが重要なポイントなんですが、設備更新に着手する前に申請する必要があります。着手後に申請してもダメです。
えっ、設備を入れる前に申請しなきゃいけないんですね!これは知らない人が多そう...。
そうなんです(笑)。「設備を買った後で申請しよう」と思っていると手遅れになるので、計画段階で動くことが大切です。
指定申請書を今治市長に提出(設備更新着手前に提出必須)
適用事業者としての指定を受ける(市長が審査・指定)
指定を受けた後に設備投資を実施(2,000万円以上)
設備更新完了後、翌年度から3年間にわたって奨励金を申請・受領
なるほど、順番が大事なんですね。指定を受けてから設備を入れる、という流れ。
まさに。これを逆にするとアウトになります。だから設備更新の計画が具体化してきたら、まず産業振興課に相談しに行くのが正しいアクションです。
指定申請書が基本ですが、詳細な書類一覧は産業振興課に問い合わせることをお勧めします。事業計画書、投資計画書、従業員数の確認書類などが求められることが一般的です。正確な書類リストは直接確認するのが確実です。
設備更新に着手する前に指定申請書を提出し、市長の指定を受けることが必須です。設備購入後に申請しても対象外になります。計画が決まったら早めに産業振興課へ連絡を。
どんな設備が対象になるんですか?何でもいいわけじゃないですよね?
制度の趣旨から考えると、生産増強・高付加価値化・環境負荷軽減を目的とした機械や装置の入れ替え・設置が対象です。要は「事業用の設備機械」ですね。
情報通信業が対象業種に含まれているので、その業種の方がITシステム関連設備を導入する場合は対象になり得ます。ただし、固定資産税の課税対象となるものが基本なので、詳細は産業振興課に確認することをお勧めします。
| 設備の種類 | 対象の目安 | 注意点 |
|---|
| 製造機械・装置 | 基本的に対象 | 2,000万円以上の投資が必要 |
| 電気・ガス設備 | 対象 | 電気・ガス業が対象業種 |
| IT・情報通信設備 | 情報通信業は対象 | 業種要件を確認 |
| 建物・構築物 | 対象外の可能性 | 「機械や装置」が基本対象 |
今治市の繊維・タオル業界とか造船業の会社だと、どんな設備が対象になりそうですか?
タオル・繊維メーカーなら織機・染色機械・仕上げ機械など、造船業なら溶接ロボット・塗装設備・NC加工機などが典型例です。生産性向上や品質改善につながる設備更新であれば対象になるケースが多いでしょう。
令和5年4月1日に制度が拡充されたって聞きましたが、何が変わったんですか?
大きく3点が改善されました。まず「指定区域を除く全域」での奨励金の限度額が拡充され、それから対象業種が拡大されています。加えて「カーボンニュートラル促進枠」が新設されました。
カーボンニュートラル促進枠って、環境関連の設備を入れると何か得になるんですか?
はい。カーボンニュートラル実現に資する企業の場合、「指定区域を除く全域」での企業立地促進奨励金の交付対象期間に2年度分が加算されます。設備投資と絡めてCO2削減を実現する計画がある企業には追い風の改正です。
以前は対象外だった業種が追加されました。製造業・情報通信業・卸売業などに加えて、学術研究・専門技術サービス業(学術開発研究機関・専門サービス業・広告業)が対象になっています。デジタル化・DXを推進するIT系企業や研究機関にも適用しやすくなりました。
今後の制度改正についても気になりますね。自治体の政策次第で変わりそうですが...。
今治市は港湾・物流・造船が基幹産業の都市で、産業振興に積極的な方針をとっています。現在の制度は2026年3月31日〜2027年3月31日が申請受付期間なので、この期間中に計画・申請を完了させることが重要です。
申請すれば必ず奨励金がもらえるんですか?それとも審査で落ちることもあるんですか?
この制度は要件を満たせば基本的には認定される「要件審査型」の制度です。ただし事前に適用事業者としての指定を受ける手続きがあるので、書類の不備や要件の不満足がないかはしっかり確認が必要です。
では、スムーズに通過するためのポイントを教えてください!
一番大事なのは「早期相談」です。産業振興課は申請者のサポートをしてくれる立場なので、事前相談をしっかりすることで見落としを防げます。また投資計画の内容を具体的にまとめておくと相談がスムーズに進みます。
- 早期に産業振興課へ相談: 設備更新計画が決まったら即行動。着手前申請のルールを絶対に守る
- 要件の事前確認: 対象業種・従業員数・投資額の要件を一つひとつ確認する
- 雇用計画を整備: 設備更新後も現状の雇用水準を維持できるか確認し、根拠を準備する
今治市に事業所があっても、本社が他県にある企業でも申請できますか?
「今治市内に事業所を有する中小企業者」が対象ですから、本社が他県でも今治市内に事業所があれば対象になります。ただし今治市内の事業所で行う設備投資が対象になりますので、その事業所での投資計画を明確にする必要があります。
この奨励金と他の補助金を組み合わせて使うことはできるんですか?
基本的には国・県・市の補助金との重複受給についての制限がある場合があるので、必ず産業振興課に確認してください。ただ、税相当額の返還という性質上、他の補助金とは性格が異なるので、一概に「ダメ」とは言えません。
似たような補助金と比べて、この奨励金の強みはどこですか?
最大の特徴は「補助率の概念がない」点です。ものづくり補助金なら「補助率1/2〜2/3」という形ですが、この奨励金は固定資産税相当額が100%戻ってくる形なので、実質的な設備投資コストが固定資産税分だけ下がるという効果があります。
ものづくり補助金との違いはどのくらい大きいですか?
ものづくり補助金の
【経済産業省】ものづくり補助金(22次締切)は補助上限がありますが、対象経費の幅が広いです。今治市の奨励金は対象が「固定資産税相当額」という点で異なりますが、今治市内での設備投資なら両方の申請可能性を検討する価値があります。
今治市には他にも企業立地関係の奨励制度がありますよね?
そうなんです。今治市は企業立地促進条例に基づいてさまざまな優遇措置を設けています。たとえば
今治市指定区域用地取得奨励金は今治新都市区域での用地取得を支援する制度です。設備投資と組み合わせることで、工場新設・移転の際のトータルコストを大幅に削減できる可能性があります。
基本的な情報を改めてまとめてもらえますか?申請窓口とかも知りたいです。
産業振興課に実際によく問い合わせがある内容をQ&A形式で説明します。
まず「既存設備のリース更新は対象になりますか?」という質問はどうでしょう?
リース資産の場合、固定資産税の課税対象がリース会社側になるケースが多いため、対象外になる可能性が高いです。購入(所有)する設備更新が基本的な対象です。詳しくは産業振興課に確認を。
「2,000万円の投資のうち、複数の機械を合算して計算できますか?」という点は?
「設備導入に係る投資額が2,000万円以上」という要件なので、同一の設備更新プロジェクト内での合算は可能と考えられます。ただし、異なるタイミングでの別々の投資を後から合算するのは認められない可能性があります。事前相談でしっかり確認してください。
「指定を受けた後、投資のタイミングはいつでもいいんですか?」という質問も気になります。
指定の有効期間がありますから、指定を受けたら速やかに設備投資を実行することをお勧めします。期間についても産業振興課に確認してください。
なるほど、やっぱり早め早めの行動が大事なんですね。今治市で設備更新を考えている中小企業には、ぜひ使ってほしい制度ですね!