室谷さん、今日は「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/量子コンピュータユースケース開発における研究・実証の進め方に関する調査」っていう、すごく長い名前の公募について聞いていいですか?
もちろんです!(笑)名前が長くてびっくりしますよね。でもこれ、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が仕掛ける国家プロジェクトの一部で、量子コンピュータの社会実装を加速するための調査研究機関を全国から募集しているという、かなり画期的な公募なんですよ。
量子コンピュータ……!なんかSFみたいな話ですね。これってどんな組織が応募できるんですか?
大学・研究機関・企業の研究開発部門など、多様な組織が応募できます。ポイントは「補助金」じゃなくて「委託事業」だという点で、採択されれば経費の全額をNEDOが負担してくれるんです。
そうです!ただし、補助金とは性格が違うので、成果物の権利関係や経費管理のルールが厳格になります。この「補助金との違い」については後で詳しく説明しますね。まずは制度の全体像を掴んでいきましょう。
そもそも「ポスト5G」って何なんですか?5Gですらまだよく分かってないのに(笑)
ですよね(笑)。今の5Gは「高速・大容量・低遅延」が特徴ですが、ポスト5Gはそこからさらに進化して、超低遅延・多数同時接続の機能が飛躍的に強化された次世代通信規格です。スマート工場や自動運転、医療遠隔手術といった産業応用が本格的に現実になる世界ですね。
なるほど!で、そこに量子コンピュータがどう絡んでくるんですか?
量子コンピュータは「ある種の最適化問題」や「特定の計算」において、従来のコンピュータより圧倒的に速い処理ができる可能性があります。でも実は、「どの産業・課題に量子コンピュータを適用すると一番効果が出るか」がまだ整理されていないんです。
あ、なんか技術があるのに使い道が定まってない状態ってことですか?
まさにそれです! 量子コンピュータで解決できそうな社会課題はたくさんあるのに、なぜか社会実装に至らないケースが多い。本調査はそのボトルネックを実際に量子コンピュータ環境を使いながら特定して、解消策を整理することが目的なんです。
なるほど。要するに「量子コンピュータの使い方マニュアル」を国家レベルで整備しようってことですね!
上手い表現ですね!(笑)まさにそういうことです。この調査成果は政策立案・業界ガイドライン形成にも活用される予定で、社会的インパクトが大きい仕事ですよ。
補助金とNEDO委託事業の比較表
さっき「委託事業」って言いましたよね。補助金との違いを教えてもらえますか?
補助金は「企業などが自分でやりたい事業のコストを国が一部負担する」仕組みですよね。でも委託事業はまったく逆の発想で、「NEDOがやらせたい調査・研究を、実施能力のある機関に全部お願いする」形なんです。
逆転の発想ですね!ということは、自己負担がゼロな代わりに、何か制約があるんですか?
いくつかあります。まず経費は「原価主義」で、実際にかかった費用しか請求できません。利益を乗せることはできないです。タイムシートを使った人件費の積算、旅費・外注費の証拠書類保管など、経理管理が厳格ですね。
知的財産の帰属はNEDOとの契約書に明記されるので、採択前に公募要領で必ず確認が必要です。受託者に帰属が認められる場合もありますが、NEDOへの報告義務や実施許諾義務が課されることも多いです。
| 項目 | 補助金 | NEDO委託事業 |
|---|
| 資金負担 | 自己負担あり | 全額NEDO負担 |
| 応募主体 | 中小企業等 | 大学・研究機関・企業 |
| 成果物の権利 | 申請者に帰属 | 契約で規定 |
| 経費管理 | 比較的柔軟 | 原価主義・厳格 |
| 目的 | 事業活動支援 | 国家課題の調査・研究 |
| 利益計上 | 可 | 不可 |
こういう違いがあるんですね。委託事業の方が「責任も重い」感じがしますね。
その通りです。でも裏を返せば、資金調達リスクなしに国家プロジェクトに参画できるわけで、研究機関・企業の研究部門にとっては大きなチャンスですよ!
基本的な情報を整理してほしいんですけど、期限とか対象者とか教えてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 事業名 | ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業 |
| プロジェクトコード | P25014 |
| 事業分類 | 調査等(委託事業) |
| 事業期間 | 2026年度〜2027年度 |
| 公募開始 | 2026年3月19日 |
| 応募期限 | 2026年5月1日(金)正午まで |
| 対象者 | 企業(団体等含む)、大学等 |
| 実施機関 | NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) |
| 技術分野 | 量子 |
| 資金負担 | 全額NEDO負担(委託事業) |
| 申請方法 | Jグランツ電子申請 |
| 公式ページ | NEDO公式公募ページ |
2026年5月1日正午!これって今日じゃないですか!?
そうなんです! 実はもともと4月下旬が締切だったんですが、2026年4月21日に提出期限が延長されました。既に提案書を提出済みの機関でも、期間内であれば再提出が可能です。
期限が来てしまっている可能性が高いですね……。じゃあ次回公募への備えとして読んでもらう感じでしょうか?
まさに!事業期間が2026年度〜2027年度なので、後継の公募が出る可能性もあります。量子コンピュータ関連のNEDO事業は継続性が高く、今からGビズIDの取得や提案書の構成を考えておくと有利ですよ。
じゃあ応募の資格について詳しく教えてもらえますか?うちみたいな中小企業でも応募できるんですか?
応募できます!ただし条件があります。日本国内に拠点を有する法人であること、そして量子情報科学または情報通信分野に専門的知見を有する組織であることが求められます。
専門的知見……うちはITコンサルなんですが、量子コンピュータの専門家がいないと厳しいですか?
純粋な量子技術の専門家がいなくても、情報通信政策・産業技術調査・技術経営(MOT)などの専門性と量子技術の基礎知識を持つチームでも、競争力のある提案が可能ですよ。コンソーシアム(複数機関の共同提案)を組んで弱点を補完するのが賢い戦略です!
- 法人格: 日本国内に拠点を有する法人であること(企業・大学・研究機関・公益法人等)
- 専門能力: 量子情報科学、情報通信工学、または関連分野の研究実績・専門知識
- 実施体制: 調査報告書・成果物を期限内に作成・納品できる体制
- 契約能力: NEDOとの委託契約を締結できること
- 財務健全性: 過去のNEDO等での不正使用歴なし、財務的に健全
個人事業主や個人研究者が単独で応募するのは難しいです。NEDO委託事業は法人との契約が前提なので、所属機関(大学等)を通じた応募を検討してください。
なるほど。コンソーシアムの場合はどうやって組めばいいんですか?
代表機関がNEDOとの窓口になって、参加機関への再委託という形が標準的です。役割分担・経費配分・知的財産の取扱いについて事前に書面で合意しておくことが大事ですよ。
NEDO委託事業 申請の流れフロー図
申請は全てJグランツ(電子申請システム)で行います。持参・郵送・FAX・メールは原則受け付けないので注意が必要ですね。流れをざっくりいうと——
Jグランツってよく聞くんですが、事前準備が必要ですよね?
そうですね!Jグランツを使うにはGビズID(プライム)の取得が必要です。GビズIDの取得には数週間かかることがあるので、今から準備しておくといいですよ。次回公募の際にスムーズに動けます。
採択されるための提案書、どんなことを意識して書けばいいですか?
- 調査方法論の独自性: 文献調査だけでなく、ステークホルダーヒアリング・海外動向調査・実証設計フレームワーク提示など、成果物の実用性を高めるアプローチを明示
- 実施体制の専門性: 量子情報科学・情報通信工学・産業応用の各専門家が参画する体制を示す。主要メンバーの論文・特許・過去のNEDO参画実績を具体的に記載
- 経費積算の透明性: 費目ごとに作業量との対応関係を明確化。過大でも過小でも評価を下げる
- 政策目標との整合性: ポスト5G政策・量子技術イノベーション戦略との関連を提案書冒頭で明確に位置づける
- 現実的なスケジュール: 各工程の工数・期間を現実的に計画し、マイルストーンを明示
「政策目標との整合性」って具体的にどうやって書けばいいですか?
NEDO・経済産業省の政策文書(量子技術イノベーション戦略、ポスト5G推進プログラム等)を参照して、「この調査がどの政策課題を解決するか」を冒頭で論理的に説明するのがコツです。「国家戦略の文脈で自分たちの提案を位置づける」感じですね。
なるほど!逆に審査で落ちやすいポイントってありますか?
ありますよ!一番多いのが経費積算の不透明さです。「なぜこの金額なのか」が説明できない積算書は即アウト。次に多いのが「実施体制に量子の専門家が不在」というケースです。コンソーシアムで補完することを検討してください。
- 経費の根拠が曖昧: 「だいたいこのくらい」という積算はNG。費目・工数・単価を明示すること
- 二重計上リスク: 他の公的資金(科研費等)と同一経費を計上するのは厳禁。業務を分離して明記すること
- 量子の専門性が証明できない: チームに量子・情報通信分野の実績(論文・受賞・過去事業等)がゼロだと難しい
- 調査の独自性が見えない: 「ネットで調べます」レベルの提案では通らない
ありがとうございます。ここまで申請要件と審査ポイントが分かりました。次に、実際に何の経費に使えるのか教えてもらえますか?
委託事業の経費は、調査業務に直接必要なものが対象です。主な費目を見ていきましょう——
| 費目 | 対象となる具体例 |
|---|
| 人件費 | 研究員・専門家の労務費、プロジェクトマネージャーの人件費 |
| 外注費・再委託費 | 専門機関への調査委託費、翻訳・通訳費、データ収集・分析の委託費 |
| 旅費・交通費 | 国内出張旅費(ヒアリング調査等)、海外出張旅費(国際動向調査) |
| 会議費・調査費 | 専門家ヒアリング会議の開催費、ワークショップ・セミナー開催費 |
| 設備・消耗品費 | 調査用文献・資料購入費、情報処理機器・ソフトウェアライセンス費 |
| 間接費 | 施設使用料按分、通信・光熱水費按分、管理部門経費按分 |
大事なところですね!対象外の経費は6種類あります。
- 委託契約範囲外の研究開発経費: 本調査と直接関係のない研究活動の費用
- 個人への直接支払い: 法人を通じない人件費は認められない
- 土地・建物の取得費: 固定資産の取得は対象外
- 利益相当分: 原価主義のため、利益を乗せた請求はできない
- 事業目的と無関係な交際費・接待費: 業務と関係ない飲食・接待は対象外
- 採択前の事前準備費用: 採択が決まる前にかかった費用は遡って申請できない
- 他の公的資金との二重計上: 科研費等と同一経費の重複計上は厳禁
「採択前の費用は対象外」ってとこが注意ですね。準備にお金をかけ過ぎないようにしないと。
その通りです!事前説明会(2026年3月30日にオンラインで開催済み)の資料もNEDO公式サイトで公開されているので、そちらで疑問点を事前に解消しておくといいですよ。
今回の締切が2026年5月1日で、すでに受付終了の可能性がありますよね。今から何ができますか?
大事な質問ですね!量子コンピュータ関連のNEDO事業は国家戦略の中核なので、後継事業・次回公募の可能性が非常に高いんです。今からやっておくべきことを整理しましょう。
- GビズID(プライム)の取得: Jグランツ申請に必須。取得に数週間かかるため、今すぐ申請しておく
- 量子コンピュータユースケース事例集の研究: NEDOが2026年4月に「量子コンピューターユースケース事例集第二版」を公開。無料で入手できる
- 事業計画のブラッシュアップ: 自社・自機関の量子関連研究実績・専門性を棚卸しして、提案書の骨格を作成しておく
- コンソーシアムパートナーの探索: 量子技術・情報通信政策・産業応用の各専門家を持つ機関との連携先を調査
- NEDO公式X(@nedo_info)のフォロー: 新規公募情報がリアルタイムで流れてくる
- 過去の採択事例研究: デロイトトーマツ等が過去に受託している事例を分析して提案書の質を高める
「量子コンピューターユースケース事例集第二版」って今回の事業と関係があるんですか?
実はめちゃくちゃあるんですよ! 2026年4月に公開された第二版は、「量子コンピュータの産業化促進に向けた包括的調査」(ポスト5G事業の一環)で委託先のデロイトトーマツが作ったものです。製造・交通・エネルギー・創薬・金融分野の最新ユースケースがまとめられていて、提案書を書く上での情報源として最高の資料になりますよ。
競合他社の動きも見えてくるわけですね。関連する他のNEDO事業についても教えてもらえますか?
同じNEDOポスト5G事業のファミリーや、量子コンピュータ関連の事業がいくつかあります。比較してみましょう。
こんなに関連事業があるんですね!懸賞金型っていうのは何ですか?
「この課題を解いたら賞金をあげます」という形式です。
「量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発2」は、量子コンピュータを使って具体的な社会問題を解くプロジェクトへの支援で、
本調査と補完的な関係にあります。本調査が「研究の進め方を整理する」なら、懸賞金型は「実際に解いてみる」アプローチですね。
全体像が見えてきました!問い合わせ先はどこですか?
はい! 研究機関・企業から多く来る質問をQ&A形式でまとめますね。
補助金は「企業が自分でやりたい事業の費用の一部を国が補助する」もの。委託事業はNEDOが必要な調査・研究の実施を外部機関に委託するものです。採択されれば全額のコストをNEDOが負担しますが、成果物・知財の取扱いはNEDOとの契約に従います。自己負担なしで国家プロジェクトに参画できる点が最大の特徴です。
一般的に2〜3ヶ月程度で採択結果が通知されます。採択後の契約締結に2〜4週間かかるので、公募締切から事業開始まで合計3〜5ヶ月を見込んでおくといいですよ。
「過去にNEDO事業に参画したことがなくても応募できますか?」
応募は可能です!ただし、実績のある機関に比べて経理・管理体制の信頼性を示す点で不利になることもあります。実績のある機関をコンソーシアムパートナーとして参加させるのが有効な戦略です。
「量子コンピュータの専門家がいないと難しいですか?」
純粋な量子技術の専門家が必須というわけではないです。情報通信政策・産業技術調査・技術経営(MOT)などの専門性に量子技術の基礎知識を組み合わせたチームでも十分競争力を持てますよ。コンソーシアムで多様な専門性をカバーすることをお勧めします!
ありがとうございます!量子コンピュータ×ポスト5Gという最先端テーマで、しかも全額NEDO負担ってすごいですね。研究機関や企業の研究部門の方はぜひ注目してほしい公募でした!