室谷さん、「地熱ポテンシャル高度利活用技術開発」っていう公募があるんですけど、これどんな事業なんですか?
これはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2026年度から2030年度まで5年間かけて実施する、地熱発電の課題を根本から解決しようとする大型の国家プロジェクトです!2026年度だけでも予算規模は6億円程度と、かなり本気の取り組みですね。
めちゃくちゃ重要なんです!日本は世界第3位の地熱資源ポテンシャルを持っているのに、実際の導入量はポテンシャルに比べて著しく少ない。太陽光や風力と違って24時間安定して発電できるベースロード電源なのに、宝の持ち腐れになってるんですよ。
ほんとに?世界第3位なのにもったいないですね。なんで活用できてないんですか?
理由がいくつかあって、開発リスクとコストが高い、リードタイムが長い、開発適地に制約がある、といった課題が重なってるんです。本事業はその課題を技術革新で突破しようとするもので、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でも地熱発電の重要性が明確に位置づけられました。
4つの研究開発項目と予算規模の比較図
本公募では4つの研究開発項目があります。それぞれ課題も予算規模も違うので、整理しましょう。
| 研究開発項目 | 内容 | 2026年度予算 | 事業期間 | 資金形態 |
|---|
| ①環境対応 | 円滑な事業化に資する環境対応手法・プロセスの開発 | 2億円程度 | 5年以内 | 委託(NEDO100%負担) |
| ②スケール対策 | スケール対策技術の開発 | 1億円程度 | 3年以内 | 委託(NEDO100%負担) |
| ③酸性流体対策 | 酸性流体対策技術の開発 | 0.5億円程度 | 5年以内 | 補助(NEDO2/3→1/2) |
| ④超臨界地熱 | 超臨界地熱資源活用に係る技術開発 | 1.5億円程度 | 3年以内 | 委託(NEDO100%負担) |
4つも!それぞれどんな課題を解決するんですか?少し詳しく教えてください。
まず①の環境対応ですが、国立・国定公園内での地熱開発は環境アセスメントに膨大な時間がかかるんですよ。これを最終目標として半年以上のリードタイム短縮につなげる手法とプロセスを開発します。AIやIoT技術を活用した動植物調査の省力化なども含まれます。
環境アセスメントがそんなにボトルネックになってるんですね。
そうなんです!②のスケール対策は、地熱発電特有の問題で、地熱流体に含まれるシリカ(ケイ素)が配管に詰まっていく「スケール」という現象への対処技術を開発します。放射光を使ったナノレベルの構造解析で、スケールの生成メカニズムを科学的に解明するんです。
地熱流体には酸性の強いものがあって、これが機器を腐食させるんですよ。既存の耐酸性材より低コストな素材を開発するのが目標で、最終目標は既存の高級鋼と比較してコストを半分以下に!これが達成できると、地熱開発のコストが大幅に下がります。
えっ、コスト半分以下ですか!それはすごい。④はどうですか?
④の超臨界地熱は、将来の地熱発電の本命とも言われる次世代技術です。深部の超高温・超高圧の「超臨界」状態の地熱流体を活用するもので、従来型より大幅に高いポテンシャルがあります。まず新しい候補地点の選定から地熱系概念モデルの構築まで進めていきます。
委託と補助で資金の仕組みが違うんですね。どう違うんですか?
大きな違いです!委託事業(①②④)はNEDOが研究開発費を100%負担します。原則として研究者側の自己資金ゼロで研究できるんです。一方、③の補助事業は、最初はNEDO2/3・自己負担1/3ですが、2028年度のステージゲート審査を通過するとNEDO1/2・自己負担1/2になります。
委託なら全額NEDOが出してくれるんですね!それは魅力的。
そうなんです。人件費・設備費・調査費・旅費・外注費など幅広い研究開発コストがカバーされます。資金調達の心配なく研究に集中できる環境が整っているのが大きなメリットです。
- 委託(①②④): 研究開発費は原則NEDO100%負担。自己資金不要
- 補助(③): 2026〜2028年度はNEDO2/3・事業者1/3。ステージゲート審査後はNEDO1/2・事業者1/2
- 重複受給禁止: 同一テーマ・経費での他公的資金との重複は不可
- 研究期間: 2026年度〜2030年度(最長5年間)
あります!対象外経費として代表的なのは、本事業に直接関係ない汎用設備の購入費、交際費・接待費、消費税(免税事業者を除く)などです。また、既に他の公的資金で計上済みの経費の二重計上も認められません。提案前に公募要領の「委託費の対象外経費」の項目を必ず確認してください。
なるほど、お金の仕組みはわかりました。では誰が応募できるんですか?
委託事業では、企業・大学等が対象で、日本国内に研究開発拠点を有していること、関連技術の研究開発実績があること、研究計画を遂行できる体制があること、などが条件です。大学単独でも、企業単独でも、コンソーシアム(複数機関の連合体)でも応募できます。
できます!ただし、地熱ポテンシャルの評価・探査・開発に関する専門性が必要なので、技術力と実績がポイントになります。例えば地質調査会社、計測機器メーカー、IT企業(AI・データ分析)なども、地熱分野に応用できる技術があれば応募対象です。
むしろ歓迎されます!AIやリモートセンシング技術、IoTなどの技術を地熱分野に応用する革新的な提案が差別化のポイントになります。特に①の環境アセスメントの省力化では、AI活用を明示的に求めているくらいですから。
- 直接関連: 地熱探査・地質調査会社、地熱発電事業者、掘削技術企業
- 応用技術系: AI・機械学習企業(探査・評価に応用)、計測機器メーカー
- 学術系: 地球科学・資源工学・環境科学の大学・研究機関
- IT系: リモートセンシング、IoT、データ分析技術を持つ企業
- 素材系: 耐酸性・耐熱素材の研究開発メーカー(③向け)
応募から採択までの流れ
GビズIDの取得が2週間以上かかるのは要注意ですね!
そうなんです!2026年5月12日正午が締切なので、GビズIDを未取得の方はすぐに手続きを始めることをおすすめします。GビズIDなしではJグランツへの申請ができないので、これだけは絶対に先手を打ってください。
できます!複数法人でコンソーシアムを組んで応募できます。その場合は代表法人が提出書類を取りまとめてJグランツで申請します。代表法人以外はJグランツ上での申請は不要です。地熱技術は多分野の知見が必要なので、産学連携のコンソーシアムが採択でも有利に働くケースが多いですね。
NEDOの審査基準は6軸あります。事業の適合性・開発の優位性・計画の妥当性・実用化事業化への取り組み・実施体制・能力・提案の経済性、これらを総合評価します。
それを踏まえて、採択される提案書ってどんなポイントを押さえてるんですか?
一番大事なのが「NEDOのロードマップとの整合性」です。本事業の基本計画でどの技術課題を解決するのかを明確に示す必要があります。それと実用化・事業化への道筋、つまり「開発した技術がどう実際の地熱開発プロジェクトに使われるのか」を具体的に書くことですね。
はい、地熱開発は温泉事業者や自然環境との共存が大きな課題です。特に国立・国定公園内の開発については地域との合意形成が鍵になります。提案書に環境影響の低減策や地域共生の方策を盛り込むことで、技術の社会受容性をアピールできます。
- 基本計画との整合: NEDOの技術ロードマップのどの課題を解決するかを明確に
- 産学連携体制: 地質学・資源工学・環境科学など多分野のコンソーシアムが理想
- 実用化シナリオ: 開発技術が実際の地熱開発にどう適用されるか具体的に
- 環境・地域共生: 環境影響低減策と地域との合意形成計画を盛り込む
- 予算の適切性: 過大・過小でなく研究内容に見合った予算計画を
提案書作成って60日くらいかかるって聞いたんですが、本当ですか?
難易度からいうとそのくらい見ておいた方がいいですね。NEDOの委託研究は求められる書類が多くて、3年分の財務諸表の準備だけでも意外と時間がかかります。コンソーシアムを組む場合は各組織との調整も必要ですし、早め早めに動くことが大切です。
| 質問 | 回答 |
|---|
| 地熱発電事業者でなくても応募できる? | できます。地質調査会社・IT企業・大学等も対象 |
| 企業単独でも応募できる? | 単独でも可。ただしコンソーシアムが採択に有利 |
| 国外の機関も参画できる? | 特別な研究開発能力・設備活用・国際標準獲得の観点から必要な場合は可 |
| 部分提案(一部の目標のみ)はできる? | 不可。一部の開発目標のみの提案は認められない |
| 他の補助金と組み合わせられる? | 同一テーマ・経費での重複は不可。関連する別フェーズでの活用は検討可 |
| 採択件数はどのくらい? | ①②④は原則1件。③は複数件の採択も検討 |
採択件数が①②④は原則1件というのは、かなり競争が激しそうですね。
そうですね、でも逆に言えば採択されれば大きな資金と5年間の研究期間が保証されるんです。地熱関連の技術開発をしている研究機関や企業にとっては、絶対に見逃せない機会だと思います。
他の補助金や助成金との組み合わせはどうなりますか?
同一テーマ・同一経費での重複受給はNGです。ただし関連する異なるフェーズでの資金活用は可能です。例えば基礎研究を文部科学省の科研費で、応用技術開発を本NEDO事業で、という役割分担は考えられます。
実証フェーズに入ったときの資金調達はどうするんですか?
実証・実用化フェーズでは、経済産業省の「地熱資源開発費補助金」やJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の地熱資源開発支援制度との連携が考えられます。本事業で開発した技術を実際の地熱開発プロジェクトに適用する段階で、これらの制度を活用する流れです。
あります!地熱資源の豊富な東北・九州地域の自治体は独自の地熱開発支援策を持っている場合がありますので、地域の産業振興担当窓口への確認もおすすめします。
ちなみに似たような技術開発・エネルギー系の公募って他にもありますか?
ありますよ!NEDOや経済産業省系の技術開発公募は複数走っています。参考に類似する公募をまとめました。
| 補助金名 | 特徴 | 詳細 |
|---|
| 脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム | 省エネルギー技術の研究開発支援。NEDO委託。 | 詳細 |
| 新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業(未来型新エネ実証制度) | 新エネルギー系のシーズ発掘・実証支援。NEDO公募。 | 詳細 |
| 競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業 | 水素技術開発・基礎調査支援。NEDO委託。 | 詳細 |
- NEDOは「不合理な重複」と「過度の集中」を厳しくチェックします
- 同一テーマ・同一経費で複数の公的資金から受給することは禁止
- 申請時にJグランツ上で他の公的資金との関係を申告する必要があります
- 虚偽の申告は採択取消・返還請求の対象になる可能性があります
| 項目 | 内容 |
|---|
| 事業名 | 地熱ポテンシャル高度利活用技術開発 |
| 実施機関 | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) |
| 公募期間 | 2026年3月30日〜2026年5月12日正午 |
| 事業期間 | 2026年度〜2030年度(最長5年間) |
| 2026年度予算 | 約6億円程度 |
| 対象者 | 企業・大学等(国内研究開発拠点を有する法人) |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)のみ。GビズIDプライム/メンバー必須 |
| 問い合わせ先 | NEDO 再生可能エネルギー部 熱利用・地熱発電ユニット |
| メール | thermalgroup@ml.nedo.go.jp |
| 公式ページ | NEDO公式ページ |
もちろん!本事業はNEDOが2026〜2030年度の5年間で実施する、地熱発電の課題を技術革新で解決する大型国家プロジェクトです。全体予算は各年度6億円程度、4つの研究開発項目(環境対応・スケール対策・酸性流体対策・超臨界地熱)があり、委託事業はNEDO100%負担で研究できます。締切は2026年5月12日正午、GビズIDの取得から始めてください!
ありがとうございます!地熱は日本が世界に誇れるエネルギー資源なんですね。この機会を活かせる研究機関・企業の方はぜひ挑戦してみてください。
地熱技術開発以外にも、地域ごとに使える補助金・助成金ってあるんですか?
たくさんあります!お住まいの都道府県別の一覧からもご確認いただけます。東京・大阪・北海道・福岡・宮城など主要エリアのページを参照してみてください。