室谷さん、「フェーズフリーの省CO2独立型施設支援事業」って補助金があるんですけど、名前が長すぎてまず何のことかわからなくて(笑)
ははは、確かに(笑)。でも内容がわかると「なるほど!」って思う面白い制度なんですよ。「フェーズフリー」っていうのは、日常時(平常時)と非常時(災害時)の区別なく使えるモノ・施設の考え方のことです。
たとえばコンテナハウスを想像してください。平常時はシェアオフィスや宿泊施設として使う。でも台風や地震が来たら、そのまますぐに避難所やクーリングシェルターとして使える。これが「フェーズフリー」な施設です。
なるほど!防災用品って「いざとなったとき専用」じゃないですか。それを日常でも使えるようにする発想ですね。
そうです!そしてこの補助金では、そういうフェーズフリーな施設を作るときに省エネ設備(高効率空調・太陽光発電・蓄電池など)も一緒に導入する費用を補助してくれます。環境省が令和7年度補正予算で用意した制度で、執行は公益財団法人北海道環境財団が担当しています。
環境省の補助金なんですね!補助額はいくらくらいですか?
1事業者あたり最大3,500万円です。ただし正確には「1棟あたりの上限」があって、ハウスのサイズで変わります。
フェーズフリー補助金 補助額比較
1棟あたりの上限が変わるんですか?それはどういう基準なんですか?
JIS規格の国際貨物コンテナ規格で決まります。表で整理しますね。
| ハウスの規格 | 床面積の目安 | 1棟あたり補助上限 |
|---|
| 大型(1AAA・1AA規格) | 29.63m²以上 | 最大350万円 |
| 中・小型(1CC規格) | 10m²程度以上 | 最大250万円 |
| 複数棟連結(建築物扱い) | 各棟の積算 | 積算額が上限 |
| 1事業者あたり(1回の公募) | - | 最大3,500万円 |
3,500万円を1棟350万円で割ると…10棟まで申請できる計算ですね!
計算が早い(笑)。その通りです。補助率は補助対象経費の1/3なので、たとえば1棟1,050万円の費用がかかる場合に350万円が補助される、という計算になります。
ただ、補助率1/3って決して多くはないですよね。なぜ低めに設定されてるんですか?
CO2削減コストに応じた上限も別途設定されていて、補助の効率性を確保するためです。省エネ効果が高い計画ほど審査で有利になる仕組みになっています。あと、これは「施設の設備費用」が対象なので、費用総額自体は結構大きくなりやすいんですよね。1事業者3,500万円でも相当な規模の整備ができます。
確かに。じゃあ次は誰が申請できるか教えてください!
| 申請者の種類 | 具体例 |
|---|
| 民間企業・法人 | 株式会社、合同会社など |
| 地方公共団体 | 市区町村、都道府県など |
| 一般社団法人・一般財団法人 | 各種協会、業界団体など |
| NPO法人 | 地域支援活動を行う法人など |
地方公共団体やNPOも申請できるんですね。国全体で防災インフラを整備しようという意図が感じられます。
そうです。全国どこでも申請できるのもポイントです。地理的な条件はありません。地方の小さな市町村が申請しても問題なし。
対象になる施設はどんなものですか?「コンテナハウス」だけですか?
正確には「自立型可動式ハウス」が対象です。重要な特徴は3つあります。まず、エネルギーを自給できること(太陽光発電を搭載)。次に移動できること。そして平常時と非常時で用途が切り替えられること。
移動できないと「フェーズフリー」の意味がないですもんね。
その通り。「随時かつ任意に移動可能」であることが要件になっています。シャーシ(車台)と組み合わせて「車両」として設置する場合と、基礎に固定して「建築物」として設置する場合の両方が認められますが、それぞれ道路運送車両法や建築基準法を遵守する必要があります。
建築物として固定してしまったら移動できないんじゃないですか?
するどい(笑)。建築物として申請する場合は「容易に移設できる構造であること」が求められます。基礎に固定されていても構造上は移動可能、という設計が必要です。あと重要なのが、施設のサイズ要件。JIS規格の国際貨物コンテナ(1AAA、1AA、1CC等)に準拠したサイズである必要があります。
かなり具体的な規格ですね。それは製品を選ぶ段階でチェックが必要そう。次は設備の要件を聞かせてください!
補助を受けるために「必ず入れなきゃいけない設備」があると聞きましたが、どんなものですか?
これが7つあって、全部入れることが必須なんです。7つすべてを導入することが補助を受ける条件なので注意が必要です。
- 断熱材: 外皮性能を一定以上に高めること
- 太陽光発電設備: 屋根等に設置、自立運転機能が必要
- 蓄電システム: 5kWh以上の据置型
- 省エネ型換気設備: 熱交換型などの第一種換気設備
- 高効率空調設備: 一定の冷房効率区分を満たすエアコン等
- エネルギー計測装置: 全エネルギーの使用量・発電量を計測・蓄積
- LED照明: 必須だが補助対象経費には含まれない点に注意
LED照明は入れなきゃいけないけど補助の対象外なんですね。それは盲点だ!
そうなんですよ。LED照明は「当然のもの」として補助対象外になっています。コスト計算するときに忘れがちなので注意が必要です。
7つ全部入れる必要があるということは、どれか1つでも省略すると申請できないんですか?
そうです。たとえば「蓄電池は高いから省略したい」は認められません。非常時に独立して稼働するために必要な構成要素として、すべてをパッケージで要求しています。
| 経費カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|
| 空調設備費 | 高効率エアコン、GHP空調機、全熱交換換気システム |
| 再エネ・蓄電設備費 | 太陽光発電設備、定置用蓄電池、パワーコンディショナー |
| EMS関連費 | エネルギーマネジメントシステム、計測・監視機器、デマンドコントローラー |
| 工事費 | 設備設置工事、電気配線工事、断熱改修工事 |
| 設計費 | 設備設計費、省CO2効果算定費、非常時対応計画策定費 |
設計費まで対象になるんですね!それは助かりますね。逆に対象外の経費はどんなものですか?
逆に補助を受けられない費用も確認しておきましょう。
- 土地の取得費・賃借料: 土地そのものの費用は対象外
- 建物本体の新築・建替え費用: 施設の箱自体を新たに建てる費用は対象外
- 汎用性の高い事務機器の購入費: パソコンや一般的な家具など
- 消費税および地方消費税: 税額そのものは補助されない
- 交付決定前に発注・契約した費用: 審査前に着手した場合は全額対象外に
- 日常的な施設運営・維持管理費: ランニングコストは対象外
「交付決定前に発注した費用」が対象外なのは要注意ですね。焦って先に機材を発注してしまうと、全額自己負担になってしまう。
これが一番多いミスです!必ず交付決定通知を受け取ってから発注してください。申請中に業者に仮予約はしても、正式な発注・契約はNGです。
フェーズフリー補助金 申請フロー
GビズIDが必要なんですね。持っていない場合はどうすればいいですか?
GビズIDは経済産業省のサービスで、事前に取得が必要です。GビズIDプライムの取得には書類提出から2〜3週間程度かかるので、申請を検討しているなら今すぐ取得手続きを始めてください。公募期間(2026年5月12日締切)まで時間があまりないので要注意です。
なるほど、GビズIDを先に準備しておくのが重要なんですね。申請の注意点はほかにありますか?
メールの送付が必須というのも見落としがちです。jGrantsで電子申請した後で、
souko_oubo@heco-hojo.jpに「申請済みである旨」を記載したメールを別途送らないといけません。これをやり忘れると申請が無効になりかねないので、必ずセットで行ってください。
申請後のメール送付が必須なのは、かなり特殊ですね。それでは、審査で採択されるためのポイントを教えてください!
審査で有利になるためには、どんな点を意識すればいいんですか?
審査で最も重視されるのは「両面の価値の定量化」です。
- CO2削減量と独立稼働時間を数値で示す: CO2削減効果(t-CO2/年)と非常時の独立稼働時間(時間)の両方を具体的な数値で提示する。両面の価値が高い計画ほど審査で有利
- 地域の防災計画・熱中症対策計画と連動させる: 自治体の地域防災計画やクーリングシェルター設置計画と連携した提案は社会的意義の面で高評価。自治体との事前協議で連携の裏付けを得ておく
- 蓄電池容量を施設の収容人数に合わせて設計: 停電時も空調やライフライン機能を一定時間維持できる蓄電池容量の設計が重要。施設の収容人数と利用想定に基づく適切な容量計算を示すことで計画の実現可能性をアピールできる
CO2削減量の算定って、具体的にどうやるんですか?難しそうで…
環境省が「地球温暖化対策事業効果算定ガイドブック」を公開していて、これに沿って計算します。太陽光発電の発電量予測や、高効率空調への切り替えによる電力削減量をエネルギー計算ソフトで算出するのが一般的です。
この計算は設計費が補助対象になっているので、設備メーカーや環境設計の専門家に委託することをお勧めします。省CO2効果算定費が対象経費に含まれるので、専門家費用も補助の対象です。
それは助かります!「新たな災害備蓄」という位置づけの話、もう少し聞かせてもらえますか?
この事業の独自のコンセプトがここです。従来の補助金は「省エネか防災か」どちらかを目指すものでした。でもこの事業は「フェーズフリーな省CO2独立型施設を、新たな『災害備蓄』として社会に定着させる」ことを目指しています。地域コミュニティの防災力向上への貢献を事業計画に明記することで、審査での評価が高まります。
防災と脱炭素を同時に達成できる施設、という位置づけですね。次は他の補助金との関係を教えてください!
これは要注意です。本補助金は環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」のメニューの一つです。同じ環境省の他メニューとの重複申請は原則不可です。
| 補助金名 | 重複の可否 | 備考 |
|---|
| 環境省 民間建築物の省CO2改修支援事業 | 原則不可 | 対象設備が完全に異なる場合は要相談 |
| 環境省 テナントビルの省CO2改修支援事業 | 原則不可 | 同上 |
| 内閣府 防災関連交付金 | 可能性あり | 防災設備部分とCO2設備部分を明確に切り分けられる場合 |
| 自治体独自のクーリングシェルター整備補助金 | 自治体による | 国庫補助との重複を認めないケースが多い |
自治体のクーリングシェルター補助との組み合わせが、自治体によって変わるんですね。
そこが難しいポイントです。事前に所在地の自治体に問い合わせて確認することが必須です。また、補助金の合計額が補助対象経費を超えることはできませんので、複数の補助金を使う場合は合計額の管理も必要です。
関連する補助金として、同じ環境省が実施している建築物系の補助金もありますよね?
ありがとうございます。では基本情報をまとめてください!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【令和7年度補正】フェーズフリーの省CO2独立型施設支援事業(一次公募) |
| 実施機関 | 公益財団法人北海道環境財団(環境省委託) |
| 補助率 | 補助対象経費の1/3 |
| 補助上限額(大型) | 1棟あたり最大350万円 |
| 補助上限額(中・小型) | 1棟あたり最大250万円 |
| 1事業者あたり上限 | 3,500万円 |
| 公募期間 | 2026年3月31日〜2026年5月12日(17時必着) |
| 申請方法 | jGrants電子申請(GビズIDプライム必須) |
| 対象地域 | 全国 |
| 問い合わせ先 | h-ido_ask@heco-hojo.jp |
| 公式サイト | 公益財団法人北海道環境財団 |
| jGrants申請ページ | Jグランツ |
締切が2026年5月12日なので、この記事を読んでいる方は急いだほうがいいですね!
GビズIDの取得に2〜3週間かかることを考えると、まだID取得が済んでいない方は今すぐ手続きを開始してください。間に合わなくなってしまいます。
ちなみに、どんな施設の事業者が特に申請を検討すべきですか?
申請を検討すると良い事業者の特徴は3つあります。省エネ設備の更新を検討している事業者で、特に施設の電力コストが課題になっているところ。地域の防災・熱中症対策に貢献したいと考えている法人(自治体、社会福祉法人、NPOなど)。そしてBCP(事業継続計画)の強化を検討している企業、です。
幅広い事業者が検討できる補助金ですね。最後によくある質問に答えてもらえますか?
「フェーズフリーとは何か」をもう一度シンプルに説明してもらえますか?
フェーズフリーとは、日常時(平常フェーズ)と災害時(非常フェーズ)の区別なく役立つものの設計思想です。本補助金では、平常時は省CO2・省エネに貢献し、非常時には避難所・クーリングシェルターとして機能する独立型施設を「フェーズフリーな省CO2独立型施設」と定義しています。
非常時に独立して稼働できる施設であることが要件のため、蓄電池と太陽光発電等の再エネ設備の導入は実質的に必須と考えてください。停電時も空調を稼働させるための独立電源が確保されていることが、「省CO2独立型施設」の核心的な要素です。
クーリングシェルターの指定を受ける必要がありますか?
申請時点では必須条件ではありません。ただし、クーリングシェルターの指定を受ける計画があることは審査でプラスに評価される可能性が高いです。指定は各自治体が行うため、所在地の自治体に事前相談されることをお勧めします。
既存建物への省CO2設備の導入・改修も対象です。高効率空調への更新、蓄電池・太陽光発電設備の新設、断熱改修などを組み合わせ、フェーズフリーの独立型施設として機能を強化する計画が想定されています。建物の新築そのものの費用は対象外ですが、既存建物の設備改修は補助対象となります。
従来の省CO2補助金は平常時のCO2削減効果に焦点を当てていましたが、本補助金は「フェーズフリー」の概念を導入し、非常時(災害時)の防災機能も重視している点が大きな違いです。クーリングシェルターや災害時活動拠点としての機能を持たせることが求められるため、防災とCO2対策を統合した施設整備を検討する事業者に最適な制度です。
ありがとうございました!防災と脱炭素の両立、これからの施設整備の新しい標準になりそうですね。
この考え方は今後さらに広がっていくと思います。気候変動適応法の枠組みの中で制度化されており、今後の防災インフラへの投資の在り方を変えていく可能性があります。補助金の活用を通じて、地域の防災力向上と脱炭素化の両方に貢献できる施設を増やしていきましょう!