室谷さん、うちのお客さんで佐賀県で小さい会社を経営してる方がいるんですけど、「補助金使いたいけど何から手をつければいいか全然わからない」って言うんですよね。
ああ、それはめちゃくちゃ多い相談ですね。「小規模事業者」って括りだと、実は使える補助金がかなりたくさんあって、逆に多すぎて迷う、みたいなことになりがちなんですよ(笑)
確かに! まず「小規模事業者」ってどういう定義なのかも、ちゃんと把握してない事業者さん多そうで。
そうそう。まず定義からいきましょうか。小規模事業者は、業種によって従業員数の基準が違うんですよね。商業・サービス業・飲食店は従業員5人以下、製造業やその他の業種は従業員20人以下が基準です。
へえ、製造業は20人以下なんですね! 意外と大きいですね。
そうなんです。なので「うちは製造業で従業員10人くらいだから大企業の補助金は無理かな」と思ってる人でも、小規模事業者の補助金が使えたりするんですよ。
なるほど! じゃあ佐賀県で小規模事業者が使える補助金って、大きく分けるとどんな種類があるんですか?
大きく2つに分けて考えるといいですよ。全国どこの事業者でも使える「国の補助金・助成金」と、佐賀県や各市町村が独自にやってる「地域限定の補助金」です。佐賀県の場合は国の制度が充実してるので、まず国の制度を押さえておくのが先決ですね。
| 分類 | 主な制度 | 補助上限 | 対象 |
|---|
| 国の補助金 | ものづくり補助金 | 最大4,000万円 | 全業種の中小・小規模事業者 |
| 国の補助金 | 小規模事業者持続化補助金 | 最大200万円 | 商業・サービス5人以下等 |
| 国の助成金 | 業務改善助成金 | 最大600万円 | 賃金引上げをする事業者 |
| 国の補助金 | 販路開拓支援補助金(共同型) | 最大5,000万円 | 10社以上のグループ |
| 佐賀県独自 | 自動車整備業生産性向上支援 | 応相談 | 自動車整備業者 |
すごい、こんなに種類があるんですね! 最大4,000万円ってのもあるんですか。
あるんですよ、ものづくり補助金がそうですね。ただ「4,000万円もらえる」ってわけじゃなくて、設備投資のうち半分〜3分の2を補助してもらえる、という仕組みです。次のセクションで個別に詳しく見ていきましょう。
佐賀県小規模事業者向け補助金・助成金の比較チャート
じゃあ具体的に、国の制度から教えていただけますか? まずどれが一番使われてるんですか?
小規模事業者なら、やっぱり小規模事業者持続化補助金が一番のスタートポイントですね。通称「持続化補助金」って呼ばれてます。
小規模事業者持続化補助金(通常枠・賃金引上げ枠・創業型)
持続化補助金、よく聞きます。どんな補助金なんですか?
販路開拓や業務効率化に使える補助金で、チラシ制作とかウェブサイト作成、機械設備の購入まで対象になるんですよ。通常枠は上限50万円・補助率2/3なので、75万円の投資をすれば50万円が戻ってくる計算ですね。
へえ、広告費用とかウェブ系にも使えるんですね! 申請難易度はどうなんですか?
持続化補助金は比較的ハードルが低めですよ。経営計画書と補助事業計画書を書いて、所在地区の商工会や商工会議所に事業支援計画書(様式4)を発行してもらう必要があります。この様式4の発行に1〜2週間かかることがあるので、締切の3週間前には商工会に連絡しておくのが大事です。
余裕を持って動くの大事ですね(笑)。賃金引上げ枠ってのは?
2つの枠があるんですね。どっちを使うかは自分で選べるんですか?
要件を満たしていれば選べます。創業して間もない方は創業型、従業員を雇って賃金を上げたい方は賃金引上げ枠が有利ですね。それぞれ要件をちゃんと確認してから申請するのがポイントです。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
ものづくり補助金って名前がでてましたけど、これはどんな事業者に向いてるんですか?
設備投資をしたい事業者向けの補助金ですね。機械設備の購入、システム開発、試作品開発なんかに使えます。補助上限は最大4,000万円、補助率は1/2〜2/3と大型です。
4,000万円! 小規模事業者でも申請できるんですか?
できますよ! 中小企業・小規模事業者が対象ですから。ただ、持続化補助金よりも事業計画の作り込みが必要です。「どうやって付加価値額を上げるか」「賃上げをどう実現するか」を数値目標とともに書く必要があります。
ものづくり補助金の詳細はこちらをご覧ください。
数値目標か。難しそうですね。採択率ってどのくらいなんですか?
直近はざっくり40〜50%程度ですね。半分は落ちるわけですが、それでも挑戦する価値はあります。採択されなくても次の回に申請できますし、そもそも事業計画を書く過程で自社の強みを整理できる副産物もありますよ。
なるほど、計画書を書くこと自体が経営の棚卸しになるんですね。
そうなんです。「書くのが大変」っていう声も多いですが、補助金申請をきっかけに経営戦略を見直すケースは多いですね(笑)
業務改善助成金
助成金ってのもありましたよね。補助金と助成金って何が違うんですか?
補助金は採択審査があって競争なんですよ。助成金は要件を満たせば原則もらえる。ただ、後払いなので注意が必要です。
業務改善助成金でいうと、まず自腹で設備投資をして、実績報告をして、その後に助成金が振り込まれる仕組みです。だから資金繰りに余裕がないと一時的に立て替えが必要なんですよ。佐賀みたいな地方の小規模事業者だと、この立替期間が地味にきつかったりするんで、銀行とも事前に相談しておくといいです。
それは盲点ですね! 業務改善助成金の内容を教えてください。
事業場内の最低賃金を30円以上引き上げて、生産性向上のための設備投資等をすると助成してもらえます。助成率は3/4〜4/5と高くて、上限は最大600万円です。
業務改善助成金の詳細はこちらで確認できます。
高いんですよ。ただ「賃金を上げること」が前提条件なので、そこは覚悟して申請してください。毎年4月ごろに公募が始まるので、前の年度から準備しておくのがベストです。
1社だけじゃなくて複数社でも使える補助金ってあるんですか?
ありますよ! 共同・協業販路開拓支援補助金っていう制度があって、地域の商工会や商工会議所、協同組合などが10社以上の小規模事業者をまとめて申請するタイプです。
10社以上で! 佐賀だと商店街とか産地組合で使えそうですね。
そうそう! 有田焼の窯元グループとか、嬉野茶の生産者グループとかが集まって、共同で展示会出展やマーケティング拠点を作るのに使えます。上限は5,000万円で、補助率は定額または2/3です。
個社では難しい大きな販路開拓に向いてますね。佐賀みたいに有田焼・唐津焼・佐賀牛・嬉野茶みたいな地域ブランドが複数ある県は、こういうグループ型の補助金が活用しやすいです。
共同・協業販路開拓支援補助金の詳細はこちらをご覧ください。
そうなんですよ! 有田焼は世界的にも知名度があるし、嬉野茶は日本三大銘茶の一つです。佐賀牛は九州和牛の中でも高いブランド力がある。こういう産地ブランドを持つ事業者は、ブランド発信という切り口で補助金を活用するのがおすすめです。
佐賀県小規模事業者向け申請フロー図
海外にも打って出たい、みたいな事業者さんも最近多いですよね。そういう場合の補助金もあるんですか?
ありますよ! 有田焼とか嬉野茶とか、海外需要が見込める佐賀の産品を持つ事業者に特に注目してほしいのが、海外出願支援の補助金です。
そうそう。商標登録や特許を海外でも取るのって、費用がけっこうかかるんですよね。1か国あたり数十万円〜100万円以上かかることも。その費用を1/2補助してくれる制度があります。
へえ! 有田焼の窯元さんとかが、海外で「ARITA」を商標登録するのに使えるわけですね。
佐賀の地域ブランドにぴったりですね。ブランド保護って後回しにしがちですが、海外に出る前に商標取っておかないと後で困りますよね。
そうなんです、それが大事なポイントで! 実際に「先に商標取られてた」っていうケースが出てくると大変なので、海外展開を考えてるなら早めに動いてほしいです。
佐賀県独自の補助金や支援って、どんなものがあるんですか?
佐賀県は中小企業サポートとして、業種特化型の支援もやってますよ。最近だと自動車整備業向けの生産性向上支援補助金(令和8年度)の申請受付が始まってましたね。
業種特化型は採択率が高い傾向があるんですよ。競合が少ないので。佐賀県の場合、農業・食品・観光・陶磁器産業を中心とした産業構造に合わせた支援制度が組まれてます。
佐賀県の業種特化型補助金は、佐賀県庁のしごと・産業部門が窓口になってます。市町村独自の補助金もあるので、地元の商工会や商工会議所に「うちの業種で使える補助金ない?」って聞いてみるのが一番早いですよ。
- 佐賀県商工会連合会: 商工会地区(市外・町村部)の小規模事業者は商工会へ
- 佐賀商工会議所: 佐賀市内の事業者が対象
- 唐津商工会議所・鳥栖商工会議所等: 各市内の事業者
- 佐賀県よろず支援拠点(公益財団法人 佐賀県産業振興機構内): 業種問わず無料相談可
そうです。商工会・商工会議所は持続化補助金の事業支援計画書(様式4)の発行もしてくれるし、補助金の相談にも乗ってくれます。無料なのに使ってない事業者が多いんですよ(笑)
結局どの補助金を選べばいいのか、整理してもらえますか?
| こんな状況なら | おすすめの補助金 | 補助上限 |
|---|
| 販路開拓・広告費を補助してほしい | 小規模事業者持続化補助金(通常枠) | 50万円 |
| 創業したてで販路を広げたい | 小規模事業者持続化補助金(創業型) | 200万円 |
| 設備投資で生産性を上げたい | ものづくり補助金 | 最大4,000万円 |
| 賃上げに合わせて設備投資したい | 業務改善助成金 | 最大600万円 |
| 複数社でまとめて販路開拓したい | 共同・協業販路開拓支援補助金 | 最大5,000万円 |
| 海外に知的財産を守りながら出たい | 中小企業等海外展開支援補助金 | 最大300万円 |
わかりやすい! でもこれ、複数同時に申請することってできるんですか?
できるものもあるし、できないものもあります。ものづくり補助金と持続化補助金は同一事業での重複申請はできませんが、別の事業目的なら両方使えるケースもあります。組み合わせ方は専門家に相談するのが安心です。
なるほど。補助金を「積み上げる」ような使い方もできるわけですね。
そうそう。うまくやってる事業者さんは、「今年は持続化補助金で広告費をカバーして、来年はものづくり補助金で機械更新」みたいに計画的に使ってますよ。GビズIDは全ての補助金でjGrants申請に必要になるので、まずGビズIDを取得しておくのが大事です。
- 持続化補助金・ものづくり補助金ともにjGrants(電子申請)での申請が主流
- GビズIDの発行に1〜2週間かかることがあるため、応募前に必ず取得しておく
- 申請はGビズID公式サイトから行う
GビズIDを取得する(未取得の場合。発行まで1〜2週間かかる場合あり)
地元の商工会・商工会議所に相談して使える補助金を確認する
事業計画書・経営計画書を作成する(商工会が支援してくれる)
持続化補助金の場合は事業支援計画書(様式4)を商工会に発行してもらう
交付決定後に事業を実施する(交付決定前の着手はNG)
ステップ8が大事ですね。「交付決定前に着手したらNG」ってのは、なんでですか?
交付決定は「この事業に補助します」という契約みたいなものなんです。その前に動いてしまうと、その費用は補助対象外になってしまうんですよ。これで補助を受けられなかったっていう事業者さんが毎年いるので、注意してほしいです。
知らなかったらやってしまいそう! タイミングが大事なんですね。
決定通知が来てから動く、これを徹底してほしいです。あと、補助金は「後払い」が基本なので、実施期間中は自己資金か融資で賄う必要があります。「補助金が入ったら返せる」という前提で、地元の信用金庫や信用組合に相談しておくのも賢いやり方ですよ。
- 補助金は後払い。採択=即入金ではない
- 交付決定前の発注・着手は補助対象外になる
- 実績報告の締切を守らないと返金を求められることがある
- 経費の領収書・発注書は必ず保管しておく
書類管理も大事なんですね。最後に、佐賀の小規模事業者が補助金を活用するうえで、一番大事なことを教えてください。
一番大事なのは「補助金ありきで考えない」ことですね。まず自社で何をやりたいかを明確にして、その事業に合った補助金を探す順番が正しいです。補助金ありきで計画を作ると、「採択されたけど事業としては微妙」みたいなことになりがちです(笑)
補助金は手段であって目的じゃない、ということですね。ありがとうございました! 佐賀県の小規模事業者さん、ぜひ活用してみてください。