室谷さん、フリーランスとか個人事業主って補助金使えるんですかね?なんか「法人じゃないと無理」みたいなイメージがあって。
あー、これ本当によく聞かれるんですよ。結論から言うと、個人事業主でも使える補助金はたくさんあるんです。特に「小規模事業者」として認定される規模なら、むしろ有利な枠もあるくらいで。
そう。補助金って大企業より中小企業・小規模事業者の方が補助率が高く設定されていることが多いんです。ものづくり補助金だと中小企業で補助率1/2のところ、小規模事業者なら2/3になる枠があるし。
そうなんです!個人事業主でも従業員を雇ってなかったり5人以下くらいなら「小規模事業者」に該当することが多いので、むしろ活用しやすいとも言えます。大阪府の場合は全国制度に加えて、大阪産業局や各市の独自補助金もあるので、組み合わせの選択肢が広いんですよね。
大阪ならではの補助金があるんですか!それは知らなかった。
あります!堺市や八尾市、岸和田市など各自治体が独自の制度を持っていて、競争率が低めなんで狙い目なんですよ。今日はそのあたりを全部まとめて話しましょうか。
大阪府 個人事業主向け補助金 種類別比較図
まず全体像を教えてください。どんな種類があるんですか?
大きく3つに分けて考えるとわかりやすいです。まず「全国制度」、これが国が窓口になっているもので件数も金額規模も大きい。次に「大阪府・大阪産業局の制度」、そして「市区町村の独自制度」です。
そうそう。個人事業主が最初に押さえるべきなのは全国制度で、ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金・業務改善助成金の4つが基本の4本柱ですね。次に大阪産業局の知財・海外展開支援、最後に各市の独自補助金って順番で見ていくといいです。
| 補助金の種類 | 窓口 | 補助上限 | 補助率 | 個人事業主OK |
|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 商工会・商工会議所 | 200万円 | 2/3 | ✅ |
| ものづくり補助金 | 中小企業庁 | 4,000万円 | 1/2〜2/3 | ✅ |
| IT導入補助金 | 中小企業庁 | 450万円 | 1/2〜3/4 | ✅ |
| 業務改善助成金 | 厚生労働省 | 600万円 | 3/4〜4/5 | ✅(従業員あり) |
| 大阪産業局 海外出願支援 | 大阪産業局 | 300万円 | 1/2 | ✅ |
| 堺市DXリスキリング補助金 | 堺市 | 20万円 | 1/2 | ✅ |
| 八尾市 意欲ある事業者補助金(区分2) | 八尾市 | 250万円 | 1/2 | ✅ |
表にまとめてもらうと一目瞭然ですね。持続化補助金が200万円で補助率2/3って、かなりお得じゃないですか。
初心者の方にはこれが一番おすすめです。商工会・商工会議所がサポートしてくれるので、補助金が初めてでも使いやすいんです。ちゃんとした事業計画書を書ければ採択率も5割以上いくので、難易度もほどほど。
補助金申請フロー図 大阪府 個人事業主向け
まずは
小規模事業者持続化補助金のページから。創業型だと上限200万円・補助率2/3です。販路開拓なら一般型も同様の条件で使えます。チラシ制作、ホームページ制作・改修、店舗改装、展示会出展などが対象経費なんですよ。
使えます。「販路開拓につながる経費」という定義なので、かなり幅広い。ただ条件があって、商工会か商工会議所の会員じゃないと申請できない。でも年会費数千円払えば入れるので、実質ハードルは低いですよ。
直近の第17回一般型だと採択率51%ですね。申請者23,365件に対して採択が11,928件。2人に1人は採択される計算です。ちゃんとした計画書を出せば通る可能性は十分あります(笑)
ただ落とし穴があって、補助金は後払いなんです。事業を完了させてから実績報告書を提出して、審査が通ってから振り込まれる。だから一時的な資金は自分で用意しないといけない。フリーランスの方は特にここで詰まることがあるんで注意が必要です。
あとGビズIDっていう電子申請用のアカウントを事前に取得しておく必要があって、発行に1〜2週間かかるんです。締切直前に気づくと手遅れなので、公募開始したらすぐ申請しておくのが鉄則ですね。
次はものづくり補助金について教えてください。個人事業主でも使えますか?
使えます!正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、
詳細はこちらのページで確認できます。上限は4,000万円、補助率は中小企業で1/2、小規模事業者なら2/3になる枠があります。
その分、審査が厳しいです(笑)革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資が対象で、「何が革新的か」を事業計画書でしっかり説明できないといけない。採択率はざっくり40〜50%くらいですが、ちゃんと準備すれば通る可能性は十分あります。
はい。機械設備の購入が主な対象ですね。試作品開発のための装置とか、生産性を上げるためのシステム開発とか。フリーランスのIT系の方なら、開発環境の整備やソフトウェア開発費用なんかも条件次第で対象になることがあります。
IT導入補助金は個人事業主にも使いやすい補助金で、会計ソフト、受発注管理システム、顧客管理ツール、POSレジなどの導入費用が対象です。補助率は最大3/4で、上限は枠によって異なりますが数十万〜数百万円の範囲です。
そうです。IT導入支援事業者として登録されているベンダーのソフトが対象なので、自分でソフトを選んで申請できるわけじゃないですが、主要な会計ソフトは大体カバーされています。インボイス対応も兼ねて導入する事業者が多いですね。
なるほど。キャッシュレス対応なんかも対象になるんでしょうか?
POSレジやキャッシュレス決済端末も対象になる場合があります。特に小売業・飲食業の個人事業主の方には使いやすい制度だと思います。
業務改善助成金のページで詳しく説明していますが、これは最低賃金を引き上げるのとセットで、生産性向上のための設備投資を助成してもらえる制度です。補助率3/4〜4/5、上限600万円。
そうですね、従業員を雇っている個人事業主向けです。ただ、パートやアルバイトも含むので、1人でも雇っていれば対象になります。賃上げをしながら設備投資するっていう考え方が前提なので、人件費を増やしながらも設備で効率化したい方には向いています。
そうです。一人事業主さんはこの制度は使えないので、持続化補助金かIT導入補助金から入るのがいいと思います。
次は大阪独自の話を聞かせてください。どんなものがあるんですか?
まず大阪産業局の海外出願支援補助金が面白い制度で、
詳細はこちら。大阪府内に本社がある中小企業・個人事業主が対象で、外国への特許・商標・意匠出願の費用を半額補助してくれます。上限300万円で、特許1件あたり上限150万円、商標なら60万円。
そうなんです。英語の翻訳費用から外国弁護士費用まで含めると1件あたり数百万円かかることもある。それが半額になるのは大きい。大阪でモノを作っていて「海外でも知財を守りたい」という個人事業主さんには使いやすい制度です。
ものづくり系の個人事業主さんには特に関係ありそうですね。
近畿経済産業局の知財支援もあって、こちらは支援機関側への補助ですが、中小企業が知財相談を受けやすくなる仕組みを作っています。
詳細はこちら。活用して中小企業の知財支援を受けましょうということですね。
大阪産業局は「MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)」という拠点があって、製造業の個人事業主・中小企業向けに展示会出展支援、販路開拓支援、技術相談など幅広いサポートをしています。直接的な補助金だけじゃなく、こういった支援機関を使って「補助金の申請支援」を受けるのも賢い使い方です。
なるほど、補助金の申請自体を手伝ってもらえるんですね(笑)
そう!特に初めて補助金を申請する方は、いきなり申請書を書くより、まず商工会議所や大阪産業局に相談に行くのをおすすめしています。「自分の事業に使える補助金があるか」を聞くだけでも、知らなかった制度に気づけることが多いので。
金額は小さめですが、競争率が全国制度より低いのがメリットです。大阪府内だと堺市、八尾市、和泉市、岸和田市あたりが個人事業主に使いやすい制度を持っています。
堺市の中小企業DXリスキリング補助金、
詳細はこちら、DX関連の研修費用を半額補助してくれます。上限20万円と金額は控えめですが、堺市内で事業をしている個人事業主さんなら申請しやすいです。事前に「堺DX診断」を受ける必要がありますが、それ自体が自社のDX状況を把握するきっかけになるので一石二鳥かも。
ほんとに?研修費用を補助してもらえるとはありがたいですね。
そうなんです!東大阪市と並んで大阪のものづくりの拠点ですから、そういった地域特性に合わせた制度がある。和泉市には
再エネ・省エネ機器設置促進事業補助金もあって、太陽光発電や蓄電池の設置費用を最大3,000万円まで補助してくれます。事業用物件を持っている個人事業主さんには大きい。
市区町村で全然違うんですね。自分の事業所がある市の制度は必ずチェックしないといけないですね。
絶対チェックしてください!各市のホームページや商工会のウェブサイトに載っているので、「○○市 補助金 中小企業」で検索するだけでも出てきます。全国制度と市の制度を組み合わせて使うのが賢いやり方です。
ここまで色々教えてもらいましたが、どれを選べばいいか迷いますね(笑)
整理しましょう。目的別に見ると選びやすくなります。
| 目的 | おすすめ補助金 | 補助上限 | ポイント |
|---|
| 販路開拓・HP制作 | 小規模事業者持続化補助金 | 200万円 | 初心者向け、採択率5割 |
| 設備投資・大型 | ものづくり補助金 | 4,000万円 | 革新性が必要 |
| ITツール導入 | IT導入補助金 | 数百万円 | 会計ソフト・POSレジ等 |
| 賃上げ+設備投資 | 業務改善助成金 | 600万円 | 従業員ありが条件 |
| 海外知財保護 | 大阪産業局 海外出願支援 | 300万円 | 大阪府内事業者限定 |
| DX人材育成 | 堺市DXリスキリング | 20万円 | 堺市内限定、手軽 |
| 新事業展開 | 八尾市 意欲ある事業者補助金 | 250万円 | 八尾市内限定 |
| 再エネ設備 | 和泉市 再エネ補助金 | 3,000万円 | 和泉市内限定 |
これは便利!自分の状況と合わせて見ればすぐ選べますね。
「まず何か一つ使いたい」なら持続化補助金から入るのが一番おすすめです。サポートがあって採択率もそれなりに高いので。「設備投資したい」ならものづくり補助金や業務改善助成金。「ITツールを整えたい」ならIT導入補助金っていう感じで進めると。
補助金によっては同時申請できないものもあります。例えば持続化補助金とものづくり補助金は同じ補助対象経費に重複して使えない、みたいなルールがある。でも別の経費に使うなら重複申請が認められているケースもあるので、申請前に確認が必要です。
複数の補助金を組み合わせる場合は「補助対象経費が重複しないこと」がポイント。例えば「ものづくり補助金で設備費用」+「IT導入補助金で会計システム費用」は別経費なので組み合わせ申請できる場合があります。不明な点は商工会議所や大阪産業局に相談を。
大きく3つあります。GビズIDの事前取得、事業計画書の加点項目を押さえること、後払いの資金繰り対策ですね。
国の補助金はほぼ全てGビズID(gBizID)というアカウントを使った電子申請に移行しています。発行申請から受取りまで2〜3週間かかることがあるので、「補助金を使いたい」と思ったら今すぐ取得しておいてください。無料で作れます。
そう。せっかく良い事業計画を書いても、GビズIDがないと申請の土俵にも立てません。これは絶対に事前準備してほしいです。
補助金には採択基準があって、基本審査点に加えて「加点項目」と呼ばれるボーナス要素があります。例えば賃上げ宣言をすると加点される、デジタル化計画がある、地域の事業継続に貢献する、などです。
同じ内容の計画書でも、加点があるかないかで採択率が変わる?
変わります!特に倍率の高い補助金は、基本要件を満たしている応募者が多いので加点で差がつくことが多い。「賃金引上げ計画の表明」「事業承継・引継ぎを予定している」「パワーハラスメント対策の実施」など、チェックしておきたい加点項目がいくつかあるので、公募要領を必ず確認してください。
そう。あと「革新性」の書き方は大事で、「今まで自分がやってきた事業のスケールアップ」じゃなく「新しい取り組み」として書かないと採択されにくい。「競合他社と差別化できる何か」を明確に書くのが肝ですね。
補助金は後払い制度なので、申請して採択されても、事業が完了して実績報告書を提出して、審査が通って初めてお金が振り込まれます。この間が半年〜1年かかることも珍しくない。
そうなんです。だから資金繰りが厳しい状況で補助金を使うのは危険なこともある。特に個人事業主は法人ほど資金余力がないことが多いので、「補助金が振り込まれるまでの資金はどうするか」を考えておく必要があります。日本政策金融公庫のつなぎ融資を使う手もあるので、事前に資金調達の選択肢も確認しておくといいです。
補助金の支払いは事業完了後。採択決定〜入金まで半年以上かかるケースもあります。手元資金が不足する場合は日本政策金融公庫のつなぎ融資や、セーフティネット保証を検討しましょう。
GビズIDを取得する(今すぐ!発行まで2〜3週間)
商工会・商工会議所に相談して自分に合う補助金を探す
公募開始のタイミングをチェック(各補助金で異なる)
一人で申請するのは難しそうですが、相談できる窓口はありますか?
いくつかあります。まず大阪商工会議所。商工会議所の会員なら無料で補助金の申請支援を受けられます。事業計画書の書き方から書類の確認まで一緒にやってくれる。
大阪産業局の「ビジネスサポートセンターOSAKA」も便利で、中小企業経営全般の無料相談ができます。補助金に詳しい支援機関(認定支援機関)を紹介してもらえることもある。
国が認定した税理士、中小企業診断士、金融機関などの専門家です。ものづくり補助金などは「認定支援機関と一緒に申請すること」が条件になっているものもあるので、早めに探しておくといいです。一部の補助金は認定支援機関の支援料自体も補助対象になることがある。
なるほど、専門家を使うのも一つの選択肢なんですね。費用対効果はどうですか?
補助金の採択額が大きければ、コンサルタントに支払う報酬(採択額の10〜15%が相場)を払っても十分元が取れることが多いです。ただし小規模な補助金(200万円以下)は自分で申請するのと費用がほとんど変わらなくなるので、まずは商工会議所の無料相談から始めるのをおすすめします(笑)
今日教えていただいた内容をまとめると、どんなことが言えますか?
大阪の個人事業主は、全国制度4本柱(持続化補助金・ものづくり補助金・IT導入補助金・業務改善助成金)に加えて、大阪産業局の制度と各市区町村の独自制度を組み合わせることで、かなり手厚い支援を受けられます。
やっぱり「個人事業主は補助金が使えない」ってのは誤解なんですね。
完全に誤解です(笑)むしろ小規模事業者として優遇される制度が多い。大事なのは、GビズIDの事前取得、商工会議所への相談、後払いリスクへの資金準備、この3つを頭に入れておくことですね。
大阪市内と市外でもアクセスできる制度が違うんで、自分の事業所がどこにあるかを確認してから探すのが大事ですね。
そう!大阪市内なら大阪市の制度も加わってくるし、堺市・八尾市・東大阪市など各市独自の制度もある。
大阪府全体の補助金一覧はこちらからも確認できるので、まずはどんな補助金があるかを眺めてみるところから始めてもらえればと思います。
ありがとうございます。補助金って難しそうって思っていたけど、相談できる窓口がたくさんあるのを知って少し安心しました。
一人で抱え込まないことが一番大事ですよ!商工会議所も大阪産業局も無料で相談できるので、ぜひ活用してください。