神奈川県製造業の補助金・助成金 全体マップ
室谷さん、うちの工場、もう10年選手の機械をそろそろ刷新したいんですけど、お金がかかりすぎて。神奈川県だと製造業向けの補助金・助成金ってどんなものがありますか?
いい質問ですね!神奈川ってじつは製造業が盛んな県で、横浜・川崎・相模原の工業地帯があるから、国の制度に加えて県や市独自の補助金・助成金もけっこう手厚いんですよ。
ざっくり「国の補助金」「神奈川県の補助金」「横浜市・川崎市など市区町村の補助金」の3層構造になってますね。2026年は国の制度だけでも20件以上、県と市を合わせると50件超が活用できる状態です。
それは多い!どこから手をつければいいか迷いそう……
迷ったら規模感で選ぶのが一番シンプルです。設備投資が数百万円規模なら神奈川県の補助金、1,000万円以上ならものづくり補助金か省力化投資補助金、数億円の大型投資なら大規模成長投資補助金という感じで入口が変わりますよ。
| 補助金・助成金名 | 補助上限 | 補助率 | 主体 |
|---|
| 神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金(一般枠) | 500万円(グループ枠4,000万円) | 1/2(小規模2/3) | 神奈川県 |
| 神奈川県 小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金 | 50万円 | 2/3 | 神奈川県 |
| 横浜市 中小企業新技術・新製品開発促進助成金 | 1,000万円 | 1/2(サーキュラー2/3) | 横浜市 |
| 横浜市 ものづくり魅力向上助成金 | 40万円 | 1/2 | 横浜市 |
| KIP 海外展示会出展助成金 | 100万円(欧州・北米) | - | 神奈川産業振興センター |
| ものづくり補助金(省力化枠) | 4,000万円〜1億円 | 1/2〜2/3 | 国(経産省) |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 1億円 | 1/2〜2/3 | 国(経産省) |
| 小規模事業者持続化補助金 | 200万円 | 2/3 | 国(経産省) |
| IT導入補助金 | 450万円 | 1/2〜2/3 | 国(経産省) |
| 省エネルギー投資促進支援事業 | 15億円 | 1/3〜1/2 | 国(環境省) |
| 新事業進出補助金 | 9,000万円 | 1/2 | 国(経産省) |
| 中小企業成長加速化補助金 | 5億円 | 1/2 | 国(経産省) |
| 大規模成長投資補助金 | 50億円 | 1/3 | 国(経産省) |
| 伝統的工芸品産業支援補助金 | 2,000万円 | 公募要領参照 | 国(経産省) |
| 酒類業振興支援事業費補助金 | 1,500万円 | 1/2〜2/3 | 国(国税庁) |
| 蓄電池等の持続可能性向上向け基盤整備・実証事業 | 8.6億円 | 公募要領参照 | 国(経産省) |
| スマート保安実証支援事業費補助金 | 1億円 | 定額(全額) | 国(経産省) |
| エネルギー使用合理化技術開発等事業費補助金 | 1.5億円 | 公募要領参照 | 国(経産省) |
18種類以上もあるんですね。これを全部自分で調べるのは大変……
そう、だから神奈川産業振興センター(KIP)に相談するのが最短ルートなんですよ。よろず支援拠点と一体化した無料相談窓口があって、自社の状況を話すだけでどの補助金が使えるか絞り込んでくれます。
まず神奈川県独自の制度から聞きたいんですけど、一番使いやすいのはどれですか?
汎用性が高いのは「神奈川県 中小企業生産性向上促進事業費補助金」ですね。設備導入・業務効率化・省力化まで対応していて、補助上限500万円(小規模事業者は補助率2/3)です。令和8年度から一般枠に加えてグループ化支援枠(上限4,000万円)と創業者成長支援枠(上限300万円)が新設されました。
複数の中小企業が連携してまとめて設備投資をするケースに対応した枠です。たとえば同じ工業団地に入っている会社が共同で生産ラインを刷新するようなプロジェクトが対象になります。補助金の規模感が4,000万円まで上がるので、1社では申請しにくい大型案件にも挑戦できますよ。
なるほど!令和8年度の公募期間はどうなってますか?
6月公募は令和8年5月1日から6月30日、7月公募は7月1日から7月31日、8月公募は8月3日から8月31日の3回に分けて受付をしています。先着順じゃなくて審査制なので、慌てて出すより内容を充実させて出した方がいいですよ。
小規模事業者向けのデジタル化支援というのもありましたね。
製造業で従業員20人以下なら小規模事業者になるので、「小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金」が使えます。上限50万円で補助率2/3と手厚い。受発注システムや在庫管理ツールの導入に向いています。事前に相談機関に相談することが要件になってるので、そこだけ注意してください。
- 付加価値額を年率平均1.5%以上増加させる計画を提出すること
- 相談機関(KIP・よろず支援拠点等)による伴走支援を受けること(枠によって異なる)
市レベルの制度も充実してるって言ってましたよね。横浜市は何があるんですか?
横浜市は製造業者向けの独自補助が手厚いですよ。特に注目なのが「中小企業新技術・新製品開発促進助成金」で、最大1,000万円、補助率1/2と中々の規模です。2029年3月末までに販売開始が見込める新製品・新技術の開発費に使えます。
それは魅力的ですね!どんな研究や開発が対象になるんですか?
応用研究から開発経費まで対象です。面白いのがサーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献する開発だと補助率が2/3に上がるんです。リサイクル素材を使った製品開発とか、廃棄物を減らす製造プロセスの改善とか、環境配慮型の取り組みがあれば積極的に活用してみてください。
事前相談が必須で、令和8年度は4月15日から受付開始、申請書類の提出は6月4日までの公募がありました。問い合わせは市経済局ものづくり支援課(電話 045-671-2567)です。次の公募に向けて早めに相談窓口に予約を入れておくのがいいですよ。
ものづくり魅力向上助成金というのもあります。これはちょっと違うアプローチで、工場見学や体験イベント、人材育成セミナーの開催費用を助成してくれるんです。上限40万円・補助率1/2で、地域の製造業をもっと知ってもらうための活動を支援する制度ですね。
へえ、製造業の人材不足対策にもなりそうですね(笑)
そう!大手と違って中小製造業は「こんな仕事してます」って発信が少ないから、オープンファクトリーや小中学生向け職業体験の費用に使えるのは実用的です。
KIPの海外展示会出展助成金(神奈川県内企業限定)
神奈川産業振興センター(KIP)では、神奈川県内の製造業者が欧州・北米の国際展示会に出展する費用を最大100万円まで助成する制度を設けています。自社製品・加工品を海外に売り込みたい製造業者には見逃せない支援です。申請要件は「自社で企画・開発・製造した製品であること」「自社単独での出展であること」など。KIP公式サイトで最新情報を確認してください。
国の補助金も詳しく教えてもらえますか?規模が大きそうですけど、採択されるのが難しいイメージがあって。
確かに採択率は制度によって差があります。ものづくり補助金は直近の採択率がざっくり40〜50%くらい、省力化投資補助金は比較的新しい制度で50〜60%程度です。難しそうに見えて、事業計画書の完成度で逆転できる余地が大きいんですよ。
そうです。採択されている事業計画書の特徴は、「この設備を入れると生産性がこれだけ上がる」を数字で示していることです。現在の生産量、設備導入後の目標生産量、その差分を具体的に書けると評価が上がります。
ものづくり補助金(省力化枠)
ものづくり補助金って神奈川の製造業でもよく使われてますか?
全国でも採択件数が多い定番補助金ですよ。令和8年度は省力化(オーダーメイド)枠が主役で、AIロボットや自動化設備の導入に最大4,000万円〜1億円まで補助してくれます。製造業で設備のオーダーメイド品を入れる場合は真っ先に検討してほしい制度です。
製品・サービス高付加価値化枠というのもありましたよね?
それは通常類型で従業員数に応じて補助上限750万円〜2,500万円です。既存の製造ラインに汎用機械を追加するケースなどに向いてます。補助率は中小企業1/2、小規模事業者(製造業で20人以下)は2/3です。採択後に大幅な賃上げを実施すると補助上限がさらに引き上げられる特例もありますよ。
中小企業省力化投資補助金(一般型)
省力化投資補助金って、ものづくり補助金と何が違うんですか?
ものづくり補助金が「革新的な製品・サービス開発と設備投資」を対象にするのに対し、省力化投資補助金は「人手不足対策として省力化する設備投資」に特化してます。補助上限は最大1億円(従業員数によって変わる)、補助率は1/2〜2/3です。
製造業だとロボットアーム、自動搬送装置、検品自動化システム、IoTセンサーとの連携システムなどがよく採択されてます。オーダーメイドの自動化装置も対象になりますよ。神奈川の製造業は自動車部品や電子機器の生産が多いので、組立工程や検査工程の自動化に使われているケースをよく見ます。
新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)
事業再構築補助金の後継制度で、既存の製造技術を活かして新しい市場・分野に進出するための設備投資に最大9,000万円、補助率1/2で補助してくれます。たとえば自動車部品を作ってた会社が航空機部品に参入するような場合が対象のイメージです。条件は今より厳しくなってますが、大きな事業転換を狙うなら検討する価値があります。
事業計画の内容次第でなりますよ。工場が手狭で設備を入れられない場合の増改築なんかが対象になることがあります。ただ審査が厳しくなるので、設備投資メインで申請した方が採択されやすいですね。
省エネ補助金・脱炭素関連
めちゃくちゃ使えます!省エネルギー投資促進支援事業はSIIが補助対象設備として登録した機器への更新で最大15億円まで補助されます。特に「D. エネルギー需要最適化対策事業」はEMSシステムの導入で最大1億円で、製造ラインのエネルギー管理に向いています。
伝統的工芸品・特定業種向け補助金
神奈川だと鎌倉彫とか小田原漆器とか伝統工芸品の産地がありますよね。
そうですね!経済産業省の
伝統的工芸品産業支援補助金は、国が指定した伝統的工芸品の産地振興に最大2,000万円を補助してくれます。原材料確保、後継者育成、展示会出展など幅広い活動が対象です。神奈川だと鎌倉彫や箱根寄木細工、小田原漆器の事業者が活用できる制度です。
神奈川は酒蔵も多いので使えます。
酒類業振興支援事業費補助金は海外展開支援枠で最大1,500万円(グループ申請)、新市場開拓支援枠で最大500万円と補助率1/2〜2/3で支援してくれます。日本酒・ウイスキー等の海外販路開拓に積極的に使えますよ。
神奈川県の製造業者が補助金を申請するまでの流れ
実際に申請するときに、これだけは気をつけてほしいっていうポイントはありますか?
一番よく見る失敗が「補助金は後払い」という仕組みを知らないことです。設備を買って、事業が終わってから補助金が振り込まれるので、先に数百万〜数千万円の資金を用意しないといけないんです。
受け取りまで交付決定から6か月〜1年以上かかることもあります。製造業はもともと設備投資が大きいので、補助金だけを当てにしてキャッシュフローが回らなくなる事例をよく見るんですよ。銀行融資とセットで計画を立てることを強くおすすめしています。
GビズIDって言葉をよく聞きますが、これも先に準備しておく必要がありますか?
GビズIDは国の補助金申請システムへのログインIDです。取得まで2〜3週間かかることがあるので、補助金申請を考えているなら今すぐ申請しておいてください。公募期間直前に取得しようとすると間に合わないケースが出ます。
GビズIDを事前取得(取得まで2〜3週間かかることがある)
KIP(神奈川産業振興センター)やよろず支援拠点で無料相談
賃上げ計画は多くの補助金で加点対象です(笑)。あとは「経営革新計画」「事業継続力強化計画」など中小企業庁の認定を受けている企業は加点されるものが多いです。申請前にこうした認定取得を検討するのも戦略のひとつです。
- 補助対象経費の支払いを交付決定前にしてしまう(遡及適用は原則不可)
- 見積書を1社だけで取って相見積もりをしない(複数社の比較が必要な場合あり)
- 申請期限ギリギリに申請して書類不備で審査落ち
- 補助金は売上・利益として計上しないでよいと誤解(益金算入が原則)
手順は3つだけです。まず「GビズIDを取得する」。次に「KIPのよろず相談窓口に予約を入れる」。そして「自社でどんな設備投資をしたいか」を紙1枚にまとめておく。これだけで最初の相談がスムーズに進みます。
補助金の公募期間は毎年変わるし、制度自体も年度ごとに変わります。「情報を得た人が得をする」世界なので、今日の話を参考に早めに動いてほしいです。自動車産業の電動化シフトやAI・DXの波が来ている今こそ、設備投資の好機ですよ。
室谷さん、今日はたくさん教えてくれてありがとうございました!
主な相談窓口をまとめておきますね。困ったらここに電話してみてください!
| 相談窓口 | 電話番号 | 備考 |
|---|
| 神奈川産業振興センター(KIP) | 045-633-5000 | よろず支援拠点と一体、無料 |
| 神奈川県産業労働局 商業流通課 | 045-315-3755 | 県補助金の事務局 |
| 横浜市経済局 ものづくり支援課 | 045-671-2567 | 横浜市の各種助成金相談 |
| 神奈川県商工会議所連合会 | 045-633-5161 | 小規模事業者持続化補助金等 |