室谷さん、今日は東京の中小企業向けの「展示会出展助成事業」を取り上げたいんですが、これってどんな制度なんですか?
東京都中小企業振興公社が毎年やってる助成金ですね。一言でいうと、BtoB展示会に出展する都内の中小企業に対して、出展にかかる経費の最大2/3、上限150万円まで助成してくれる制度です。
えっ、2/3まで出してくれるんですか!それはかなり大きいですね!
そうなんです。例えば出展経費が225万円かかったとすると、2/3の150万円が助成されるんで、自己負担はざっくり75万円で済む計算になります。展示会ってブース装飾費や出展料で普通に100〜300万円いくことも多いので、この制度の恩恵はかなり大きいですよ。
なるほど!対象はどういう展示会なんですか?なんでもいいわけじゃないですよね?
基本的にはBtoB、つまり事業者同士の商談を主目的とした展示会が対象です。一般消費者向けのイベントやフェスタ系のBtoC展示会は対象外になります。また自社商品を実際に展示して、小間内で自社のスタッフが商談を行う出展であることが条件です。共同出展や出展代行業者経由の出展は対象外なので要注意ですね。
共同出展がダメなのは盲点ですね。あと、複数社で同じブース使う場合とかも?
そうです、同一小間内に複数企業で入るパターンは共同出展とみなされてNGです。あと、自社の役員や従業員が兼務している法人が主催する展示会や、申請者が主催・運営側にいる展示会も対象外です。出展する側であること、これが大前提ですね。
展示会出展助成事業 助成内容まとめ
具体的な金額のところをもっと詳しく教えてもらえますか?
はい。制度の骨格はシンプルで、助成率は対象経費の2/3以内(千円未満切り捨て)、上限は1社あたり150万円です。つまり、助成を最大限受けるには対象経費が合計225万円以上かかる出展でないと上限に達しない計算になります。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成上限額 | 150万円 |
| 助成率 | 対象経費の2/3以内(千円未満切捨) |
| 助成対象期間 | 交付決定日から1年1か月以内 |
| 申請受付回数 | 年間10回(令和8年4月〜令和9年1月) |
| 申請方法 | Jグランツ電子申請 |
| 実施機関 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 |
自己負担が1/3になるって、資金繰りにも優しいですよね。でも後払いって聞いたんですが、それは本当ですか?
残念ながら本当です(笑)。助成金は基本的に後払い(精算払い)なので、展示会が終わった後に実績報告書と領収書などを提出して、確定検査が済んでから振り込まれる流れです。出展時点では全額自己負担が必要なので、一時的な資金繰りを考慮した出展計画が必要ですね。
うーん、それはきついですね。でも最終的に2/3戻ってくるならかなり魅力的だ。
そうです。展示会出展を「コスト」じゃなくて「投資」と考えたとき、実質コストが1/3になるんで、出展のハードルがぐっと下がりますよね。特に初めて大型展示会に出展しようとしている企業にとっては、背中を押してくれる制度だと思います。
申請受付が年間10回あるって言ってましたけど、具体的にはどんなスケジュールになってるんですか?
これが令和8年度の最大の特徴の一つですね。毎月1回、2週間程度の受付窓口が開きます。具体的には以下の通りです。
| 回 | 申請受付期間 |
|---|
| 第1回 | 令和8年4月1日〜4月14日 |
| 第2回 | 令和8年5月1日〜5月14日 |
| 第3回 | 令和8年6月1日〜6月15日 |
| 第4回 | 令和8年7月1日〜7月14日 |
| 第5回 | 令和8年8月1日〜8月14日 |
| 第6回 | 令和8年9月1日〜9月14日 |
| 第7回 | 令和8年10月1日〜10月14日 |
| 第8回 | 令和8年11月1日〜11月16日 |
| 第9回 | 令和8年12月1日〜12月14日 |
| 第10回 | 令和9年1月1日〜1月14日 |
そうです、各回の最終日は16時締切です。あと大事なのが、予算に達した時点で受付を締め切るという点です。受付期間中でも枠が埋まったら終わりなので、出展が決まったら早めに申請することをおすすめします。
毎月チャンスがあるのはいいですよね。出展する展示会に合わせて最適なタイミングで申請できる。
まさにその通りです。業界によって主要展示会の時期はバラバラですから、自社の出展スケジュールに合わせて柔軟に申請できる設計になってるのが、この制度の強みだと思います。
どんな企業が申請できるんですか?東京の企業なら何でもOKってことはないですよね?
基本的には「都内の中小企業者」であることが大前提です。中小企業基本法に定める中小企業者の規模要件を満たしていることが必要で、大企業が実質的に経営に参画していないことも条件になります。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|
| 製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
中小企業基本法に定める中小企業者に該当する個人事業主であれば申請できます。東京都内に主たる事業所を有していること、これが絶対条件ですね。都内に登記や事業所がない場合は対象外です。
製造業、情報通信業、卸売業、小売業、サービス業など幅広い業種が対象です。ただし、不動産業の一部など特定業種は除外されている場合もあるので、募集要項を細かく確認することをおすすめします。あと、過去に助成を受けた場合は適正に報告書を提出していることも要件です。
- 都内に事業所があること: 本店または主たる事業所が東京都内に所在
- 中小企業規模要件: 業種ごとの資本金・従業員数要件を満たすこと
- 大企業の実質支配なし: 大企業が実質的に経営参画していないこと
- BtoB展示会への出展: 事業者との商談を主目的とする展示会
- 自社商品・取扱商品の展示: 申請時点で販売中の商品を展示すること
- 自社名義での申込・支払: 助成事業者名義で主催者に手続き・商談を実施
実際にどんな経費が助成の対象になるんですか?全部OKじゃないですよね?
もちろん全部OKではないです(笑)。対象になるのは展示会出展に直接関係する経費ですね。大きくカテゴリ分けすると、出展料・小間料、ブース装飾費・施工費、広報・印刷物の制作費、展示物の輸送費、海外展示会の場合は通訳・翻訳費なども含まれます。
| 対象経費カテゴリ | 具体例 |
|---|
| 出展料 | 小間料、出展登録料、オンライン展示会の出展料 |
| ブース装飾費 | 基本装飾・施工費、看板・サイン、照明・電気工事、什器レンタル |
| 広報・印刷物 | パンフレット・チラシ制作、展示パネル・ポスター、名刺・ノベルティ |
| 輸送費 | 展示物・装飾物の搬送費、梱包費 |
| 通訳・翻訳費 | 海外展示会の通訳費、展示資料の翻訳費 |
これは結構幅広いですね!逆に対象外になるのはどんなものですか?
対象外で特に注意が必要なのが、従業員の人件費と旅費交通費です。スタッフが展示会場に行くための交通費や宿泊費、出展当日の人件費は助成対象外なんです。あと、飲食・接待費用、消費税、汎用性のある備品や機器の購入費も対象外です。
以下の経費は助成対象外です。見積時から除外して計算しましょう。
- 交通費・宿泊費: 展示会場までのスタッフ移動費
- 人件費: 出展当日の従業員人件費
- 飲食・接待費: 一切不可
- 消費税: 助成対象から除外
- 汎用備品の購入費: 展示会終了後も継続使用できる備品
- 助成対象期間外の経費: 交付決定前や期間終了後の支払い
消費税が対象外なのは盲点ですね。見積もりを出す時に税抜き金額で計算しなきゃいけない。
その通りです。経費を計算するときは必ず税抜き金額で考えてください。消費税は含めない状態で2/3を計算するので、税込みで計算すると助成額の見込みがずれてきます。
実際に申請するとなったら、どういう手順を踏めばいいんですか?
大まかな流れはこんな感じです。まずgBizIDの取得から始めて、Jグランツで電子申請という流れですね。
展示会出展助成事業 申請ステップ
gBizIDの取得が先決なんですね。これを忘れると申請期間に間に合わなくなる。
そうです。gBizIDは国(デジタル庁)が管理するシステムで、公社側ではパスワードや状況がわかりません。申請受付開始の2〜3週間前までには取得を完了させておくのが安全です。
審査ってどういう基準で通過・不通過が決まるんですか?何かポイントはありますか?
正式な審査基準は公開されていないんですが、実務的な観点からいくつか重要なポイントをお伝えできます。まず大事なのは、出展展示会とBtoBの要件の整合性です。審査側は「本当にBtoBの商談目的か」を事業計画書と出展要項を突き合わせて確認します。
まさに。BtoC色の強い展示会を選んでしまうと、審査で落とされるリスクが高まります。主催者発行の出展要項に「来場対象者」として企業・バイヤーが明記されているか、「開催目的」に商談・ビジネスマッチングが含まれているかを確認してから申請しましょう。
- BtoB要件の確認: 出展要項の「来場対象者」「開催目的」が商談・企業間取引であることを明示
- 事業計画書の具体性: 「なぜこの展示会に出展するのか」「誰にアプローチするのか」を具体的に記載
- 対象経費の適切な見積: 対象外経費(人件費・旅費・消費税)を除いた見積書を準備
- 申請書類の完備: 不備があると受付されないため、電子申請マニュアルで事前確認
- gBizIDの事前準備: 受付開始3〜4週間前には申請開始。ID取得後も審査に時間がかかる場合あり
展示会選びと事業計画書の質が審査を左右するんですね。
そうです。「この展示会に出ることで、こういうターゲット顧客にアプローチでき、こういう成果を見込んでいる」という具体的なストーリーが審査官に伝わると、通過率が上がります。売上目標や商談目標件数なども具体的な数字で書けるとベターです。
助成金を活用して出展するとして、実際に成果を出すためには何が重要なんですか?
展示会出展を「出展して終わり」にしないことですね。事前準備→当日対応→事後フォローの三段構えが成果の鍵です。まず事前準備として、自社のターゲットが多く集まる展示会を選ぶこと、ブースコンセプトと展示内容を事前に固めること、そして既存顧客や見込み客への事前案内を行うことです。
展示会に出展することをメールやDMで既存顧客や見込み客に知らせるんです。「○月○日、○○展示会のブースNo.◯◯にいます。ぜひ寄ってください」と。これをやるだけで商談件数がかなり変わります。新規の飛び込みだけじゃなく、既存の顧客との関係深化にも使えるんです。
当日の鉄則は、来場者の名刺情報とヒアリング内容を必ず記録することです。名刺交換だけで終わらせず、「どんな課題を持っているか」「何に興味を持ってブースに来たか」をその場でメモするか、スタッフで手分けして聞くことで、事後フォローの質が劇的に上がります。
事後フォローが一番大事と言っても過言じゃないです。展示会から3日以内にお礼メールを送り、ヒアリング内容に基づいたパーソナライズされた提案をすることで成約率が上がります。助成金で浮いたコストをCRMツールやフォローアップ体制の整備に投資するのが、費用対効果を最大化するコツですね。
他にも展示会や販路開拓関連の補助金ってありますか?比べてみたいんですが。
なるほど、海外展開を見据えた企業には海外商標対策支援助成事業も使えそうですね。
補助金を組み合わせる場合は、それぞれの制度で使途を分けるということですね。
そうです。「東京都の展示会出展助成で国内展示会をカバー」「海外展開助成で海外商標・意匠を守る」という形でセットで使えば、販路拡大戦略全体をコスト効率よく進められます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度展示会出展助成事業 |
| 実施機関 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 助成課 |
| 助成上限額 | 150万円 |
| 助成率 | 対象経費の2/3以内 |
| 対象地域 | 東京都(都内に本店または主たる事業所を有する中小企業者) |
| 申請受付 | 令和8年4月〜令和9年1月、全10回 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請 |
| 問い合わせ | TEL 03-3251-7895(平日10時〜12時・13時〜16時) |
| 公式ページ | 東京都中小企業振興公社 展示会出展助成事業 |
公益財団法人東京都中小企業振興公社 助成課「展示会出展助成事業」担当
TEL 03-3251-7895(平日10時〜12時、13時〜16時)
所在地 東京都千代田区神田練塀町3-3 大東ビル2階
わかりました。これを聞いた中小企業の経営者さんには、まずgBizIDを取ることから始めてほしいですね。
その通りです!gBizIDの取得は無料ですし、Jグランツを使った補助金・助成金申請全般に使えます。展示会出展の予定がなくてもgBizIDを持っておくと、他の補助金申請でも役立ちます。展示会に出展する予定のある都内中小企業は、申請受付開始の3〜4週間前にはgBizIDを申請しておくと安心です。
最後に、よくある質問をQ&A形式で教えてもらえますか?
中小企業基本法に定める中小企業者に該当する個人事業主なら申請できます。東京都内に主たる事業所を有していることが条件です。開業届や確定申告書で事業実態を証明できる書類を準備しておきましょう。
募集要項の詳細な規定によりますが、年間10回の申請受付があっても1社あたりの申請回数に制限がある場合があります。複数の展示会への出展を考えている場合は、事前に公社に確認してください。
オンラインのみで開催される展示会でも、リアルタイムで商談できるシステム(チャット機能等)があり、出展可能期間内に会期の定めがある場合は対象となります。ただし、販売・契約を可能とするシステムが実装されているEC的な仕組みがある場合は対象外なので注意が必要です。
展示会への出展完了後、実績報告書と証拠書類を提出し、確定検査を経て振り込まれます。つまり出展が完了して数か月後になることが多いです。出展前に全額自己負担する資金計画が必要です。
書類不備があると受け付けてもらえないので、公社ウェブサイトの電子申請マニュアルを事前によく読むことです。特に指定様式の申請概要書は公社サイトからダウンロードする必要があります。Jグランツの申請フォームから直接ダウンロードできないので、先に入手しておきましょう。
東京都の展示会出展を検討している方は、都内の他の補助金もチェックしてみてください。
東京都の補助金・助成金一覧では、販路拡大・海外展開向けの制度をまとめて確認できます。
そうですね。
千代田区の補助金一覧と合わせて見ると、公社の助成金と組み合わせられる制度が見つかることもあります。ぜひ活用してみてください!