室谷さん、今日は「クーリングシェルターの普及に向けた高効率空調導入支援事業」という補助金を教えてほしいんですけど、まず「クーリングシェルター」って何なんですか?
クーリングシェルターは、気候変動適応法(平成30年法律第50号)第21条に基づき、市町村長が指定する「指定暑熱避難施設」のことです。猛暑日や熱中症特別警戒アラートが発表された際に、一般市民が無料で立ち寄って涼をとれる公共的な拠点のことですね。
そうです。2025年10月時点で全国1,182市区町村がクーリングシェルターを指定しています。これまでは公民館とか図書館といった公共施設が中心だったんですが、今は民間の商業施設や医療施設にも広げようという動きが加速していて、その後押しをするのがこの補助金です。
なるほど、夏の熱中症対策のインフラなんですね。で、具体的にどんな補助金なんですか?
補助上限額1,000万円・補助率3分の1で、既存の建築物に高効率空調等を導入する費用を補助してくれます。環境省の令和7年度補正予算として、一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA)が執行機関として運用しています。公募期間は2026年3月31日から5月12日です。
1,000万円!それなりの金額ですね。熱中症対策と省CO2の両方を狙うって、一石二鳥じゃないですか。
まさにそこが独自性なんです。高効率空調を入れることで十分な冷房能力を確保しながら、同時に消費電力を抑えてCO2を削減する。気候変動への「適応」と「緩和」を同時に実現できる制度設計になっています。
クーリングシェルター空調補助金と省CO2改修補助金の比較表
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(クーリングシェルターの普及に向けた高効率空調導入支援事業) |
| 補助上限額 | 1,000万円 |
| 補助率 | 3分の1 |
| 公募期間 | 2026年3月31日〜2026年5月12日(17時必着) |
| 事業完了期限 | 2027年2月19日 |
| 交付決定時期 | 2026年6月下旬以降 |
| 対象地域 | 全国 |
| 執行機関 | 一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA) |
| 問い合わせ | center@siz-kankyou.or.jp |
| 公式サイト | SERA公式ページ |
事業完了が2027年2月19日って、思ったより早い締め切りですね。
そうなんです。この補助金は単年度完了が必須なので、採択後に交付決定(6月下旬以降)を受けてから着工して、2027年2月19日までにすべての工事と支払いを終わらせる必要があります。スケジュール管理が非常に重要です。工程が遅れると補助金を受け取れなくなるので、採択されたら余裕を持った計画を組んでください。
申請締め切りが5月12日で、工事完了が翌2月なんですね。では次に、どんな建物が対象になるか教えてもらえますか?
対象となる建物の用途はかなり多いですよ。事務所、ホテル・旅館、病院・老人ホーム・福祉ホーム(建築確認申請の建築物用途が非住宅のもの)、物品販売業を営む店舗(条件あり)、学校・大学、飲食店・百貨店などです。
結構いろんな建物が使えるんですね。テナントはどうですか?
テナント部分は対象外です。あと、住宅・工場・倉庫・観覧場・卸売市場・火葬場・キャバレー・パチンコ屋・競馬場・競輪場なども対象外です。一点注意が必要なのが、公募開始日(2026年3月31日)までにクーリングシェルター指定実績のある自治体に所在する延床面積1万平方メートル以上の物品販売店舗は今回の対象外となっています。大型ショッピングモールはご注意ください。
申請できる主体は多様で、日本国内で事業を営む民間企業、個人事業主、独立行政法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人、地方公共団体などです。リース事業者やESCO事業者が施設所有者と共同で申請することも可能です。
地方公共団体も申請できるんですね。公民館とか図書館を改修する場合も対象になるということですか?
そうです。市区町村が所有する公共施設も申請可能です。ただし最終的には、事業完了までに市町村長からクーリングシェルターの指定を受けることが絶対条件なので、まず自治体の担当部署に相談することが最優先です。
- 既存建築物の所有者または管理者であること
- クーリングシェルターとして指定を受けている、または事業完了までに指定を受ける見込みがあること
- 高効率空調設備の導入・更新を計画していること
- 補助事業期間内(2027年2月19日まで)に工事完了できること
- 交付決定前に着工していないこと
- 他の国補助金との重複受給がないこと
必須となるのは高効率空調設備の導入です。パッケージエアコン、ビル用マルチエアコン、ガスヒートポンプ式エアコン(GHP)などが対象で、一定の省エネ性能基準を満たすことが条件です。例えばルームエアコンであれば、国立研究開発法人建築研究所が示す冷房効率区分「(い)」を満たす必要があります。
空調と一緒に導入する場合に限り、全熱交換器などの高機能換気設備、分電盤、電力計などの測定機器も補助対象に含めることができます。ただし照明設備は対象外なので注意してください。
| 補助対象設備 | 具体例 |
|---|
| 高効率空調設備(必須) | パッケージエアコン、ビル用マルチエアコン、GHP |
| 空調制御システム | 人感センサー連動制御、デマンド制御 |
| 換気設備(付帯の場合) | 全熱交換器、高効率換気システム |
| 付帯工事 | 室外機設置工事、配管・ダクト工事、電気工事 |
| エネルギー管理 | 電力計、電力モニタリング装置(導入義務あり) |
| 補助対象外経費 | 理由 |
|---|
| 照明設備 | 空調以外の汎用設備 |
| 建物の取得費・賃借料 | 不動産費用 |
| 新築建築物への設備導入 | 既存建築物のみ対象 |
| 消費税・地方消費税 | 税金は対象外 |
| 交付決定前に着手した工事費 | 順序が必須 |
| 運営ランニングコスト | 設備導入費のみ |
測定機器の導入が義務付けられているんですね。何のためですか?
新規に導入した設備のエネルギー使用量を把握して、実際にCO2削減効果があったかを報告するためです。補助金を受けたら「ちゃんと省エネできました」という証明が必要なんですね。
2026年度事業から大きな変更点があって、「施設全体でCO2排出量を30%以上削減すること」が要件として追加されました。これが今回の一番の肝です。
30%削減!それって高効率空調だけで達成できるんですか?
正直、空調の更新だけで施設全体の30%削減を達成するのは難しいケースも多いです。だから制度上、補助対象外の取り組みも組み合わせて削減量を確保することが認められています。例えば照明のLED化や太陽光発電設備の導入などですね。
なるほど、空調だけじゃなくて施設全体で考えないといけないんですね。
さらに、それでも30%に届かない場合は、グリーン電力証書・非化石証書・J-クレジットの購入で不足分を補うことも認められています。ただし審査では、証書の購入よりも実際の省エネ・再エネ設備の導入による直接削減の方が高く評価されるので、できる限り設備投資で達成した方が採択率は上がります。
- CO2削減量の算定は、平時の施設利用計画・補助対象機器の台数・性能に応じた適切な使用時間等を申請書に記載すること
- 利用計画が著しく少ない場合でも、年間960時間稼働した場合に排出されるCO2排出量以上の削減措置が必要
- グリーン電力証書等を購入する場合は、原則として事業完了時までに導入設備の耐用年数に相当するCO2削減量を購入すること(例: 耐用年数6年なら6年分)
サイバーセキュリティの話も聞いたんですけど、何か関係ありますか?
今回の公募から、IoT設備のサイバーセキュリティ対応が強化されました。補助対象外であっても、この事業と同じ期間内に「太陽光発電設備」「蓄電池」「それらを制御するEMS」を導入する場合は、IPA(情報処理推進機構)のJC-STARで★1以上の適合ラベルを取得した製品を選ぶことが要件になりました。機器選定の際にはカタログで確認が必要です。
クーリングシェルター空調補助金の申請フロー図
1自治体への相談・クーリングシェルター指定の確認
所在地の市区町村の暑熱対策担当部署に連絡し、クーリングシェルター制度を導入しているか確認します。事業完了までにクーリングシェルターの指定を受けることが絶対要件なので、ここが最初の関門です。自治体との協議議事録を残しておくと申請書類に活用できます。
2空調設備の選定・見積り取得・CO2削減量算定
現在の空調設備の性能・老朽度を調査し、高効率空調への更新または新規導入計画を策定します。施工業者から見積りを取得し、省エネ効果(CO2削減量)を算定します。施設全体でのCO2削減30%達成計画も検討しましょう。GビズIDプライムアカウントの取得も並行して進めてください(取得に数週間かかります)。
3jGrantsで電子申請+SERAへメール送付(2026年5月12日17時必着)
公募期間内にjGrantsから申請します。jGrantsでの申請だけでなく、全申請資料(Excelファイル等)をSERAのメールアドレス(center@siz-kankyou.or.jp)宛に送付することも必要です。交付申請書・実施計画書・経費内訳書・市町村との協議議事録・仕様書・見積書などを提出します。
4審査・交付決定(2026年6月下旬以降)→着工
採択・交付決定通知を受けてから工事に着工します。交付決定前の着工は補助対象外になるため絶対に先走らないことが重要です。契約・発注→工事着工→工事完了の順で進めてください。
5工事完了・実績報告・補助金交付(2027年2月19日まで)
2027年2月19日までにすべての工事と支払いを完了させ、実績報告書を提出します。CO2削減量の実績報告、クーリングシェルターとしての指定証明も必要です。審査を経て補助金が交付されます。
jGrantsの申請だけじゃなくてメールも必要なんですね!これは盲点ですね。
そうなんです。SERAへのメール送付を忘れると審査が通らないので、ダブルで提出することを忘れないでください。件名には「【会社名】クーリングシェルター事業問い合わせ」の形式を使うように指定があります。
審査では大きく2つの観点が見られます。「クーリングシェルターとしての公共的価値」と「CO2削減効果の明確さ」です。どちらも具体的な数字と計画で示すことが重要です。
- 自治体との連携体制の具体化: 市区町村の担当部署との協議議事録や推薦状・協力覚書があると大幅に評価アップ。地域の熱中症対策計画との連携を明示する。
- CO2削減量の根拠を具体的に: 現在の空調設備と新設備の消費電力比較データ、COP(成績係数)やAPF(通年エネルギー消費効率)の改善率を数値で示す。
- クーリングシェルターの運用計画の明確化: 猛暑日の開放時間、収容想定人数、スタッフ配置、飲料水提供の有無など、実際に市民が使える施設としての計画を具体的に記載する。
- 加点項目の積極活用: 環境省推進の「デコ活」への参画・宣言、自然冷媒を用いた空調設備の導入、2050年カーボンニュートラルに向けた中間目標設定などが加点対象となる。
環境省が推進する「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の略称です。企業や団体が宣言することで審査での加点が期待できます。環境省のウェブサイトから参画できます。
じゃあ申請前に「デコ活」に参加しておくといいんですね!これは使えるポイントですね。
あと忘れてはいけないのが、高齢者施設や子育て支援施設など、社会的弱者の保護につながる施設は採択が高く評価される傾向があるという点です。地域の熱中症発生件数のデータや、施設周辺の高齢者人口などを申請書に記載すると説得力が増します。
環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金シリーズとして、同時期に4つの補助金が公募されています。比較すると以下の通りです。
なるほど、汎用的な省CO2改修をしたいなら民間建築物改修(66684)の方が補助上限が高いんですね。
そうです。ただし本事業(クーリングシェルター空調)は、民間建築物改修(66684)と同シリーズのため重複申請はできません。どちらを選ぶかは事業目的で決めてください。クーリングシェルター機能を確保しながら省CO2も達成したいなら本事業、空調以外も含めた汎用的な省CO2改修なら民間建築物改修事業です。
はい。令和6年度補正版(
補助金詳細ページ383番)が2025年度に実施されました。今回の令和7年度補正版との主な違いは「CO2削減30%要件の追加」と「大型ショッピングモールの除外規定」が新たに加わった点です。前回申請して落ちた方は、この変更点に対応できているか再確認が必要です。
典型的なケースを3つ紹介しますね。まず市立公民館。猛暑日に地域住民の避難場所として開放しているが、既存空調が老朽化して冷房能力が不足しているケースです。高効率エアコンに更新して冷房能力を向上させながら電気代も削減できます。
公民館は多くの市区町村がクーリングシェルターに指定してそうですね。
次にショッピングセンターのフードコート・共用エリア。クーリングシェルター指定を受けて夏場の来館者が増加したが、空調の電力コストが経営を圧迫しているケースです。高効率インバーターエアコンに更新してコストを抑えながら社会貢献活動のPR効果も得られます。ただし延床面積1万平方メートル未満の施設であることが条件です。
あ、さっきの1万平方メートル制限がここで出てくるんですね!大型ショッピングモールは使えないと。
正確には「公募開始日(2026年3月31日)までにクーリングシェルター指定実績がある自治体に所在する1万平方メートル以上の物品販売店舗」が対象外です。指定実績がない自治体や、面積基準を下回る店舗はOKです。3つ目は地域の図書館。築30年以上の空調システムが非効率で、猛暑日のピーク時に室温管理ができないケース。高効率ヒートポンプシステムに更新して快適な読書環境と省CO2を両立させます。
まず「クーリングシェルターの指定を受けていない施設でも申請できますか?」という質問はどうですか?
これが大事なポイントで、申請時点では指定を受けていなくてもOKです。ただし事業完了(2027年2月19日)までに市町村長からクーリングシェルターの指定を受けることが絶対要件なので、事前に自治体との協議を進めておくことが必須です。申請時に自治体との協議記録や進捗状況を書類に含めることで、審査での評価が高まります。
「GビズIDプライムアカウントを持っていないのですが、今から取得できますか?」という質問はどうですか?
GビズIDプライムアカウントの取得には2〜3週間かかる場合があります。公募締め切りが5月12日なので、まだ取得していない場合は今すぐ申請することをお勧めします。取得が間に合わない場合はSERAに相談してみてください。
「空調以外の設備(照明やBEMS等)も補助対象になりますか?」はどうですか?
照明設備は残念ながら補助対象外です。ただし、CO2削減30%達成のための「補助対象外の取り組み」として照明LED化を組み合わせることは認められています。BEMSや電力計などのエネルギー管理設備は、空調と一緒に導入する場合に限り補助対象に含めることができます。
「採択後に工事の規模を変更できますか?」はどうですか?
交付決定後に事業内容や経費を大幅に変更する場合は、事前にSERAに相談・承認を得る必要があります。補助額の増加につながる変更は原則認められないので、申請前にしっかり計画を固めることが大切です。
この補助金を使いたい場合、今すぐ何から始めればいいですか?
締め切りが2026年5月12日なので、今から動くとちょうどいいタイミングです。まず3つのことを並行して進めてください。
1つ目は所在地の市区町村にクーリングシェルター指定についての相談を始めること。これが一番時間がかかります。2つ目はGビズIDプライムアカウントの申請。3つ目は空調設備業者に現状調査と見積りの依頼です。この3つを同時並行で進めれば、5月12日の締め切りに十分間に合います。
なるほど!特に自治体への相談が一番先ですね。事前に相談していると審査でも有利になるみたいですし。
そうです。省CO2改修を検討している施設の管理者の方は、クーリングシェルター指定と組み合わせることで補助金を活用しながら地域貢献もできる。地域のインフラになりながらコスト削減もできる、非常に社会的価値の高い制度だと思います。申請書類の準備で不明な点があれば、SERAのメールアドレス(
center@siz-kankyou.or.jp)に問い合わせることをお勧めします。
- クーリングシェルター指定についての自治体との協議を開始しているか
- GビズIDプライムアカウントを取得しているか(取得に2〜3週間かかる)
- 施設全体のCO2削減30%達成計画が立てられているか
- 交付決定前に着工していないか(着工後の経費は対象外)
- 2027年2月19日までに工事完了できる工程になっているか
- jGrantsでの申請とSERAへのメール送付の両方を行う準備ができているか
今回の補助金は全国対象なんですよね。都道府県別の補助金も調べられますか?
都道府県独自の補助金と組み合わせられることもあるんですね!それは調べる価値がありますね。