室谷さん、「自立支援医療(更生医療)」って聞いたことあるんですけど、なんか名前が難しくて……どんな制度なんですか?
ざっくりいうと、身体に障害がある18歳以上の人が障害を治したり軽くしたりするための手術・医療を受けるとき、医療費の自己負担を原則1割に下げてくれる制度なんです!
えっ、1割に!?ふつうの健康保険でも3割負担じゃないですか。それより全然安くなるわけですね。
そうなんです。障害者総合支援法に基づく国の制度なので、全国どこに住んでいても同じ仕組みで使えます。ただし対象になる障害の種類と医療の内容に条件があるので、そこが大事なんですよね。
「育成医療」という言葉も聞くんですが、更生医療との違いは何ですか?
年齢の違いだけなんです!18歳未満が「育成医療」、18歳以上が「更生医療」です。制度の仕組みや給付内容はほぼ同じなので、成人した後に改めて更生医療として申請することになります。
- 障害者総合支援法に基づく国の公費負担医療制度
- 18歳以上の身体障がい者が対象。障害を除去・軽減する医療の自己負担が原則1割に
- 所得に応じた月額上限額あり。低所得者はさらに軽減
申請フロー図 身体障害者手帳取得→市町相談→意見書取得→受給者証交付
対象者の条件を具体的に教えてほしいんですが、どんな人なら使えますか?
全部で4つの条件をすべて満たす必要があります。まず18歳以上であること。次に身体障害者手帳を持っていること。三つ目が医療保険(健康保険や国民健康保険など)に加入していること。そして四つ目が、障害が永続するものであること、です。
一時的なケガや病気ではなく、継続的に残る身体障害が対象ということです。ほかにも、確実な治療効果が見込める医療であることと、一定所得以上でないこと(所得制限あり)という条件も重要です!
視覚障害・聴覚障害・平衡機能障害・音声言語そしゃく機能障害・肢体不自由、それから心臓・腎臓・小腸・肝臓の機能障害、HIV免疫機能障害です。かなり幅広い障害区分がカバーされています。
- 視覚障害: 白内障手術、角膜移植術
- 肢体不自由: 関節拘縮への人工関節置換術、整形外科的手術
- 心臓機能障害: 弁置換術、ペースメーカー埋込術、心臓移植
- 腎臓機能障害: 人工透析(週3回)、腎移植
- 肝臓機能障害: 肝臓移植後の抗免疫療法
- HIV免疫機能障害: 抗HIV薬等の服用
人工透析の方って毎週のように通院しますよね。それが1割負担になるのは本当に助かりますね!
そうなんですよ。人工透析は週3回、1回4〜5時間かかる治療なので、年間の医療費がかなり大きくなります。更生医療があると毎月の上限額が設定されるので、費用が青天井にならないのが大きなポイントです!
所得区分別の月額負担上限額の表
自己負担の仕組みは少し複雑で、「原則1割負担」と「月額上限額」の2段階になっています。1割を払っても上限額に達したらそれ以上は払わなくていい、という仕組みですね。
| 所得区分 | 世帯の状況 | 月額自己負担上限額 |
|---|
| 生活保護 | 生活保護世帯 | 0円 |
| 低所得1 | 市町村民税非課税(収入80万円以下) | 2,500円 |
| 低所得2 | 市町村民税非課税(収入80万円超) | 5,000円 |
| 中間所得1 | 市町村民税3万3千円未満 | 医療保険の高額療養費で対応 |
| 中間所得2 | 市町村民税3万3千円以上23万5千円未満 | 医療保険の高額療養費で対応 |
| 一定所得以上 | 市町村民税23万5千円以上 | 原則として公費負担対象外 |
そうです。また「重度かつ継続」の認定を受けている場合は一定所得以上の方でも対象になる経過的特例があって、月額上限は2万円と定められています。この経過的特例は令和9年(2027年)3月31日まで延長されていますよ。
対象疾病の程度が重く、かつ継続的に医療が必要な状態を指します。腎臓機能障害で人工透析を受けている方なんかは該当しやすいです。申請の際に確認してみてください!
更生医療の所得区分は、必ずしも住民票上の世帯で判断するわけではなく、本人と本人の医療保険の保険者に含まれる家族などを単位として計算されます。「うちは世帯収入が多いから対象外かな」と思っていても、実際は対象になるケースがあります。市町の福祉担当課に確認してみてください。
所得の判断は市町で個別に確認が必要なんですね。わかりました。金額についてはしっかり把握できました。次は申請の手順を聞かせてください!
まず前提として、身体障害者手帳を持っていない方は手帳の取得が先です。手帳がないと更生医療の申請に進めないので、福祉担当課に確認してみてください。
手帳を持っていればお住まいの市町の福祉担当課に支給認定申請を行います。受診予定の医療機関が都道府県の指定医療機関かどうかも事前に確認が必要ですよ!
1身体障害者手帳の交付を受ける(未取得の場合は先に申請)
2受診したい医療機関が指定医療機関かどうか確認する
3指定医療機関の医師から「意見書(診断書)」を取得する
4お住まいの市町の福祉担当課に支給認定申請書を提出する
7指定医療機関を受診の際に受給者証を提示して1割負担で受診
基本的な書類は次の4種類です。支給認定申請書、指定医療機関の医師が作成した意見書、医療保険の加入関係を示す書類(保険証のコピーなど)、世帯の所得状況が確認できる書類です。市町によって追加書類が必要な場合もあるので、事前に窓口に確認することをおすすめします。
| 書類 | 内容 |
|---|
| 支給認定申請書 | 市町窓口でもらえる |
| 意見書(診断書) | 指定医療機関の医師が作成 |
| 医療保険関係書類 | 保険証のコピーなど |
| 所得確認書類 | 課税証明書など |
申請してから受給者証が来るまで時間がかかりますか?
市町によって審査期間が異なりますが、数週間から1か月程度かかることが多いです。治療を予定している場合は早めに相談に行くのが鉄則です!申請中に必要な治療が発生した場合は窓口でその旨を相談してみてください。
受給者証には有効期限があって、通常は1年間です。有効期限が近づいたら更新申請が必要になります。更新を忘れると1割負担の適用が切れてしまうので注意が必要です!
マジですか!それは忘れちゃいけないですね。更新の手続きはどうするんですか?
更新も新規申請と同様に市町の福祉担当課で行います。有効期限の2〜3か月前から手続きできる市町が多いので、有効期限を手帳などに控えておくのがベストです。
転居した場合は速やかに転居先の市町で手続きが必要です。都道府県が変わる場合は指定医療機関も変わる可能性があるので、引越し前後に確認しておきましょう。
更生医療が使えるのは都道府県が指定した「指定医療機関」のみです。指定外の医療機関で受診した場合は1割負担が適用されず、通常の窓口負担になります。受診前に必ず確認してください。佐賀県の場合は県の公式ページで指定医療機関の一覧が公開されています。
自立支援医療制度を使った給付金詐欺の手口が報告されています。行政機関が電話やSMSで「更生医療費を振り込む」と連絡してくることはありません。ATMや金融機関の窓口でお金を振り込む手続きは一切不要です。「給付金を受け取るために費用が必要」という話は100%詐欺です。不審な連絡があった場合は最寄りの警察署か消費者センターに相談してください。
「更生医療」っていう名前、なんか昔っぽいですよね。
確かに(笑)!制度の正式名称が障害者総合支援法の用語をそのまま使っているので、少し硬い感じがしますよね。実態は「身体障害を持つ方の医療費を公費で支援する制度」です。名前に惑わされず、積極的に利用してほしい制度です。
精神障害の場合は「自立支援医療(精神通院医療)」という別の区分になります。仕組みは似ていますが、対象となる医療の内容が精神科通院などになります。更生医療は身体障害専用の区分なんです。
では精神通院と更生医療は別々に申請することもできるんですか?
できます!身体障害と精神障害の両方がある場合は、それぞれ別の区分で申請できます。医療機関も窓口も別々になりますが、それぞれ1割負担の恩恵を受けられますよ。
食事療養費・生活療養費は公費負担の対象外です。差額ベッド代も対象外になります。給付の対象は医療費(診療費・調剤費など)の部分だけなので、この点は注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 自立支援医療(更生医療) |
| 対象者 | 18歳以上の身体障害者手帳所持者で医療保険加入者 |
| 給付内容 | 医療費自己負担を原則1割に軽減 |
| 月額上限 | 所得区分により0円〜(一定所得以上は対象外) |
| 申請窓口 | お住まいの市町の福祉担当課 |
| 有効期限 | 1年間(更新可能) |
| 公式情報 | 佐賀県健康福祉本部障害福祉課 |
- 身体障害者手帳を持っているか確認する
- 医療保険(健康保険・国民健康保険等)に加入しているか確認する
- 受診したい医療機関が指定医療機関かどうか調べる
- 市町福祉担当課の窓口時間を確認する
- 意見書(診断書)取得のために受診先の医師に相談する
- 制度全般: 佐賀県健康福祉本部障害福祉課(佐賀県庁内)
- 申請・相談窓口: お住まいの市町の福祉担当課
更生医療以外に、身体障害がある方が使える制度はほかにもありますか?
結構あります!特別障害者手当や障害児福祉手当、心身障害者医療費助成(マル障)などが代表的ですね。更生医療と組み合わせて使えるものも多いので、福祉担当課で一度まとめて確認するのが一番効率的ですよ!
自立支援医療(精神通院医療)もありますし、育成医療(18歳未満向け)もあります。それぞれ似た仕組みですが、対象者と対象医療が違うのでご自身の状況に合ったものを確認してみてください。