静岡県エコ・脱炭素補助金の種類と補助率
室谷さん、静岡って輸送機器とか製紙の工場が多いイメージがありますけど、エコ・SDGs関係の補助金ってどのくらいあるんですか?
めちゃくちゃ多いんですよ!(笑)国の制度だけで常時50件以上はあって、静岡県の独自補助を合わせると100件を超えます。静岡は特に、自動車サプライヤーのEV化、富士市の製紙・化学工業の脱炭素、清水港の海運ゼロエミッション、お茶・農産物のSDGsと、業種ごとに刺さる補助金が揃ってるんですよね。
そんなに!ざっくり分類するとどういう軸になるんですか?
大きく5つの柱があります。①製造プロセスの転換(SHIFT事業・GX投資)、②建築物のZEB化・省CO2改修、③再生可能エネルギー導入(県独自の再エネ補助含む)、④物流・海運のゼロエミッション化、⑤ESGファイナンス(グリーンボンド・ブルーボンド)の発行支援ですね。静岡の主力産業と全部ぴったり対応してるんです。
そうです。まず自社が「製造プロセスを変える」「設備を更新する」「建物を省エネ改修する」「融資コストを下げる」のどのフェーズにいるかを整理するのが第一歩ですね。
まず製造業向けの大きい補助金から教えてもらえますか?
一番規模が大きいのがSHIFT事業ですね。正式名称は「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業」といって、工場や事業場の省CO2型設備更新に補助率1/3、上限5億円という大型の補助金です。富士市の製紙工場や浜松市の自動車部品メーカーが使っている実績があります。
設備投資の規模感に合わせた補助金なんですよ。SHIFT事業には段階があって、最初に「CO2削減計画策定支援」というコンサルタント費用の補助(最大100万円・補助率3/4)があります。これを先に使って省エネ診断を受けると、投資優先順位がはっきりして次の設備更新補助の申請がしやすくなるんですよね。詳しくは
SHIFT事業(省CO2型設備更新支援)のページをご覧ください。
あと「DX型CO2削減対策実行支援事業」というのもあって、最大200万円・補助率3/4でAIやIoTを使った省エネ対策を支援します。DX投資と脱炭素を同時に進めたい中小企業に向いてますね。詳細は
DX型CO2削減対策実行支援のページで。
ありますよ!「GXサプライチェーン構築支援事業」は
最大1,460億円の超大型補助で、次世代型太陽電池や浮体式洋上風力など、GX関連の製造設備構築を支援します。スズキ・ヤマハ発動機のサプライヤーがEV部品製造ラインに転換する場合に適合するケースがあります。詳細は
GXサプライチェーン構築支援事業のページで。
規模の大きい投資を前提にした補助金なので、中堅・大企業や業界団体が対象になってくる話ですけどね。中小企業でも連携申請で参加できるケースはあります。
脱炭素補助金 申請の流れ(静岡県版)
工場の設備だけじゃなくて、建物そのものを省エネにする補助金もあるんですか?
あります!「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」という環境省の補助金が、静岡の工場・倉庫・事務所・食品加工場にも使えるんですよ。ZEBというのはゼロエネルギービルディングの略で、一次エネルギー消費量を正味ゼロ以下にする建物のことです。
新築・既存建物ともに対象で、補助率は1/4〜2/3とZEBランクによって変わります。上限は最大3億円です。令和7年度は「新築建築物のZEB普及促進支援事業」と「既存建築物のZEB化普及促進支援事業」の2本立てで公募されていますね。詳しくは
ZEB化・省CO2補助金のページで。
そうなんです。静岡の食品加工工場の断熱改修・高効率空調・屋上太陽光設置とセットで申請する事例が増えています。また、「低炭素型建材活用新築ZEB支援事業」という補助率21〜55%・上限5億円の枠もあって、これは低炭素建材(CLTや断熱材等)を使った新築が対象です。詳細は
低炭素型建材活用ZEB支援のページで。
業務用蓄電システムの導入なら「業務産業用蓄電システム導入支援事業」という補助金もあります。補助率1/3以内・上限1,500万円で、停電リスク対策と脱炭素を兼ねた導入に使えます。詳細は
業務産業用蓄電システム導入支援のページで。
| 補助金名 | 補助率 | 上限額 | 対象 |
|---|
| ZEB普及促進支援(新築・既存) | 1/4〜2/3 | 3億円 | 工場・事務所・倉庫等 |
| LCCO2削減型先導的新築ZEB | 1/3〜3/5 | 5億円 | ZEBランク達成の新築建物 |
| 低炭素型建材活用新築ZEB | 21〜55% | 5億円 | 低炭素建材使用の新築 |
| 業務産業用蓄電システム | 1/3以内 | 1,500万円 | 蓄電システム導入 |
国の補助金だけでなく、静岡県独自の補助金もあるんですよね?
ありますよ!「地域課題解決型再生可能エネルギー導入推進事業費補助金」という静岡県の独自補助金があって、太陽光・風力・バイオマス・水力・地熱・水素関連設備の導入に補助率1/2・上限2,500万円を出します。令和8年度は2026年4月14日から5月15日まで公募が行われています。
そうなんですよ。さらに可能性調査事業(フィジビリティスタディ)には上限300万円の補助もあります。富士山麓の豊富な水資源を活かした小水力発電を検討している事業者や、農業用ハウスでのアグリフォトボルタイクス(農業と太陽光の共存)を考えている農家にも使えます。
静岡ならではの地域資源を活かした使い方ができるんですね!
静岡は富士山から駿河湾まで豊かな自然資源があるので、地域共生型の再エネがすごく向いてるんですよね。この補助金は「地域への理解・協力を得ていること」が条件なので、地域合意形成が先決ですが、条件さえ整えば幅広い再エネが対象です。
静岡県庁のエネルギー政策課が窓口です。県産業振興財団でも補助金相談ができますよ。
SDGsファイナンスって聞いたことあるんですけど、これも補助金なんですか?
そうなんですよ。グリーンボンドやブルーボンドの「発行にかかるコスト」を補助する制度です。「SDGsファイナンス支援事業補助金(グリーンボンド/グリーンローン)」は最大200万円・補助率2/10で、環境配慮型の資金調達コストを下げられます。詳細は
SDGsファイナンス支援(グリーンボンド)のページで。
そうです!「SDGsファイナンス支援事業補助金(ブルーボンド/ブルーローン)」は最大500万円・補助率7/10と手厚くなっていて、清水港や沼津港の港湾関連事業者、水産業、海洋環境保全に取り組む事業者に向いています。清水港はカーボンニュートラルポート(CNP)形成計画に組み込まれているので、ブルーボンドとCNP整備を組み合わせる動きが出てきています。詳細は
SDGsファイナンス支援(ブルーボンド)のページで。
へえ、補助金なのに発行コストを補助するって独特ですね。
設備投資そのものを補助するのとは性格が違いますよね。ただ、ESG投資家向けの資金調達を本格的に考えている中堅製造業には、発行費用を抑えられる分、長期的にコスト効率が上がるんです。静岡だと中部電力系や輸送機器のグループ企業が活用事例として出てきていますよ。
あります!「省CO2型プラスチック高度リサイクル設備導入事業」という補助金で、中小企業なら補助率1/2、大企業等は1/3で最大72億9,700万円規模の支援があります。プラスチックを高度リサイクルする設備の導入が対象です。詳細は
省CO2型プラスチック高度リサイクル設備のページで。
バリューチェーン全体を対象にした枠なので、製造業のサプライチェーンで連携して申請するイメージです。「太陽光パネルリサイクル設備導入事業」や「リチウム蓄電池リサイクル設備導入事業」も同様の補助率・上限額で用意されています。静岡県はトヨタ系・スズキ系のサプライヤーが多く、EV化で大量廃棄されるバッテリーのリサイクル需要が高まるので、今から準備しておく価値があります。詳細は
太陽光パネルリサイクル設備のページや
リチウム蓄電池リサイクルのページで。
リサイクル系もSDGsの文脈で補助金が出るんですね。
循環経済(サーキュラーエコノミー)という方向性で、国が重点投資している領域ですから。化石資源由来プラスチックを再生可能資源由来素材に転換する設備も同じ補助率で対象になっています(
該当ページ)。静岡の食品加工・製紙業界には直接関係するテーマです。
- 輸送機器・自動車サプライヤー: SHIFT事業(上限5億円)、GXサプライチェーン構築支援
- 製紙・化学工業(富士市): SHIFT事業(大規模電化・燃料転換事業B)、バイオマス関連再エネ
- 農業・食品加工: 静岡県地域共生再エネ補助(太陽光・バイオマス)、DX型CO2削減支援
- 港湾・海運(清水港・沼津港): ブルーボンド発行支援(上限500万円)、CNP関連補助
- 建物所有者(工場・事務所・倉庫): ZEB化普及促進支援(上限3〜5億円)
- 中堅・大企業の資金調達担当: グリーンボンド/トランジションボンド発行支援
実際に申請するとき、気をつけることって何がありますか?
まず「GビズIDを早めに取得する」ことですね。jGrants(補助金ポータル)で申請する国の補助金は全部GビズIDが必要で、取得に2〜3週間かかることがあります。公募開始と同時に申請しようとしてGビズIDがなくて間に合わなかった、という話をよく聞きます(笑)
SHIFT事業のような大型補助金は後払い方式なんです。補助金は事業完了後に受け取る仕組みなので、設備投資の資金を先に自社で手配しないといけない。中小企業が1億円の設備投資をSHIFT事業で申請する場合、1/3補助でも受け取るのは事後なので、完了まで1億円を立て替えることになります。
そこで省エネ診断をまず受けて、優先度の高い設備から段階的に投資するやり方が実務では基本になってきます。
よろず支援拠点しずおかでは補助金申請の前段階からの相談に無料で応じているので、まずここで相談するのが近道ですよ。
- 公募期間の確認: SHIFT事業・ZEB補助は年複数回の公募。終了直後に申請を逃すと次の公募まで待つことになる
- GビズIDの事前取得: jGrants申請に必須。取得に2〜3週間かかる。公募開始の1ヶ月前には申請を
- 省エネ診断の実施: 大型補助金の審査で「投資優先順位の根拠」として省エネ診断結果が評価される
- 後払い前提の資金計画: SHIFT事業等は完了後交付。自社での立替資金を確保してから申請へ
改めて、静岡県でエコ・SDGs補助金を使うなら、まず何から始めればいいですか?
「業種」と「やりたいこと(投資フェーズ)」を先に整理することです。製造業なら設備投資か建物改修か、港湾なら船舶か荷役機械か、農業なら再エネ導入かプラ削減か。この軸を決めてから補助金を選ぶと、ズレが少ないですよ。
補助金から逆算して事業を決めるのはよくないんですね。
そうです!あくまで「やること」が先で、補助金は費用の調達手段。「この補助金があるから事業をやる」ではなく、「この事業をやるから補助金を活用する」の順番が大切です。静岡は選択肢が多い分、逆算で考えると迷路にはまります(笑)
ありがとうございます。脱炭素・SDGs系は補助金の選択肢がたくさんあるので、まず自社の状況整理が先なんですね。
まとめると、①省エネ診断でCO2削減のボトルネックを特定、②GビズID取得、③業種・規模に合う補助金を選ぶ、この3ステップで動けば大きく外れることはないです。静岡産業振興財団やよろず支援拠点しずおかを使い倒してください。静岡県の他の補助金・助成金を地域別に探したい方は
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