室谷さん、最近「新潟でイベントや展示会に使える補助金を知りたい」という相談が増えてきたんですよ。どういう人たちが来るんですか?
そうですね、大きく3パターンがあります。「展示会に出展したい中小企業」「自分で商談会やマルシェを企画したい事業者」「文化活動や地域コミュニティ運営の費用を抑えたいNPO・団体」——この3つですね。
幅広いんですね。「イベント・事業運営補助金」という括りで一口にまとめられないってことですか?
そうなんです。「イベント」って言葉がカバーする範囲が広すぎて、事業者向け展示会・販路開拓系と、地域文化・コミュニティ活動系では全然使える補助金が違う。今日はその違いをまずはっきりさせましょう。
じゃあ、新潟の事業者が最初に確認すべき支援機関はどこですか?
にいがた産業創造機構(NICO)と商工会議所の2つが必ずセットで出てきます。補助金の窓口としてだけでなく、申請書の作成支援までやってくれる。新潟ならではの強みがここにあります。
新潟県のイベント・展示会補助金 種類と補助額の比較図
まず一番多いであろう「展示会に出展したい中小企業」向けから教えてください。
規模を問わず使えるのが小規模事業者持続化補助金です。従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者が対象で、展示会出展費・ブース装飾費・パンフレット印刷費・輸送費——これが全部「販路開拓費」として対象経費になります。
通常枠で上限50万円、補助率2/3。75万円かかる展示会なら50万円まで出る。ものづくり・商業・サービス生産性向上特例(赤字事業者等)だと200万円まで上がりますよ。
新潟では新潟商工会議所・長岡商工会議所・三条商工会議所・新潟市の各商工会が窓口です。まずそこに「展示会の補助金を相談したい」と電話するところから始めます。締切の1〜2ヶ月前が目安です。
燕三条の金属加工・刃物メーカーが海外の展示会に出る場合は別の補助金になりますか?
そうです。海外展示会への出展や海外商標の取得には
NICOの海外展開支援が力になります。
にいがた産業創造機構の海外出願支援補助金は新潟県内に事業所がある中小企業が対象で、海外への特許・商標出願費用の1/2、最大300万円まで補助が出る制度です。
展示会で知り合いになった海外バイヤーから「このナイフ、うちで売りたい」と言われたときに商標がないと危ないですよね。
そこですよ(笑)燕三条の刃物・金属製品は海外でのコピー品リスクが高い。展示会出展と商標取得をセットで動くのが正解です。NICOと商工会議所に同時に相談するのが理想ですね。
展示会出展で使える主な経費
結構幅広いんですね。これが全部対象になるんですか?
基本はそうです。ただし「出展後に領収書を揃えて申請する後払い精算」が原則なので、資金繰りの準備は必要。展示会当日までは全額自己負担で立て替えます。
- 補助金は出展・活動後に精算申請する後払いが原則
- 展示会当日費用は一旦全額自己負担で支払う
- 補助金入金まで2〜4ヶ月かかることが多い
- 運転資金のショートを防ぐため金融機関への相談も検討を
新潟といえば日本酒。越後の酒蔵が使える補助金はありますか?
「にいがた酒の陣」や海外の日本酒フェアに出展したい酒蔵には酒類業振興支援事業費補助金が最も直接的な制度です。
令和8年度酒類業振興支援事業費補助金(第2期)は最大1,500万円(グループ申請の場合)、補助率1/2です。海外展開支援枠と新市場開拓支援枠の2本立てで、小規模事業者の新市場開拓枠は補助率が2/3に上がります。単独申請は最大1,000万円ですね。
国税庁が実施してるんですよ。日本産酒類の輸出拡大と国内新市場開拓を同時に支援する制度。「にいがた酒の陣」のPRや、欧米向け日本酒フェア出展費用も、海外販路拡大の目的があれば対象になる場合があります。事前相談が大事ですね。
小規模補助金と比べると書類の量は多いです。ただ新潟の酒造組合や商工会が申請支援をしているので、一人で抱え込まなくて大丈夫。「令和6年度第1期」も過去に実施されていて実績も豊富です。
基本的に同じです。例年2期にわたって公募するパターンが多いので、第1期を逃しても第2期のチャンスがある。早めに情報収集しておくことが大事ですね。
新潟県が能登半島地震の「被災地」として特別な支援を受けているって聞いたんですけど。
そうなんです。令和6年能登半島地震の被災地として、新潟県が石川・富山・福井とともに4県の特別対象になっている補助金があります。
被災地向け共同・協業販路開拓支援補助金です。上限5,000万円、補助率は定額または2/3。地域振興等機関(商工会・商工会議所・協同組合等)が主体となって、10社以上の事業者が共同で展示会・商談会を開催・運営する事業が対象になります。
5,000万円! でも10社以上が条件なんですね。
そうです。一社単独では使えないけど、商工会が「一緒にやりましょう」と声をかければすぐ集まる規模感ですよ。燕三条の金属加工メーカーが10社集まって、バイヤー向けの大型商談会を開く——そういうスキームに向いた補助金です。
- 商工会・商工会議所・協同組合等が取りまとめ団体になる必要がある
- 参画事業者10社以上が条件(食品加工・金属加工等の産地なら集めやすい)
- 展示会・商談会の開催・運営だけでなくマーケティング調査や拠点運営も対象
- 能登4県は「被災地枠」で若干有利な審査になる可能性がある
新潟には江戸木目込(えどきめこみ)とか白根打刃物とか伝統工芸がありますよね。そういう事業者向けの補助金は?
被害を受けた生産設備の整備や、原材料確保のための費用が中心です。補助率は3/4以内、上限1,000万円です。「イベント・事業運営」という括りで言うと、設備が復旧して展示会や工房見学イベントを再開するための基盤整備に使えます。
基本的な仕組みは同じで、年度ごとに公募されています。令和8年度版が現在受付中なので、該当する方は急いでください。伝統工芸品振興に関する法律に基づいて指定された工芸品の製造に携わる事業者が対象です。
補助金というとどうしてもビジネス寄りのイメージがありますが、地域のお祭りや文化活動に使える支援もあるんですか?
あります。新潟県独自の新潟県文化活動推進事業補助金があって、市町村・文化活動団体等が行う自主的な文化活動への補助が出ます。
3つの事業があります。「県民文化活動推進事業(通常枠)」——地方公共団体や文化団体等が実施する文化事業で、県民の文化への関心を高める取組。「県民文化活動推進事業(次世代育成枠)」——40歳未満の若手やこどもたちの育成を図る地域文化の保存・継承活動。「国民文化祭参加事業」——全国規模の催しに参加する県内文化団体の旅費補助です。
観光文化スポーツ部の文化課が担当です。新潟県庁行政庁舎16階にあります。電話番号は公式サイトで確認してください(告知の経費が全て対象ではなく、申請前に詳細確認が必要です)。
にいがたNPO情報ネットが各種助成金情報を集約しています。多文化共生・子育て・健康福祉・環境保全・地域づくり支援など幅広いカテゴリがあります。現在受付中の助成金(2026年5月時点)には新潟県多文化共生社会推進事業費補助金なども掲載されています。
ビジネス系と文化・地域系の支援機関が全く違うんですね。
そこが分かりにくいところです。ビジネス→商工会議所・NICO、文化・地域活動→県庁文化課・NPO情報ネット、この2本の軸で最初に相談先を決めると迷わないです。
学会や国際会議を新潟で開催したい場合の補助金はありますか?
新潟県のコンベンション開催費補助金制度があります。国際的・全国的な大会、会議、産業見本市等の主催者が対象で、通常700万円が上限、国外参加者が200人を超える場合は最大850万円まで上乗せされます。
ただし令和8年度はすでに予算上限に達して受付終了しています。来年度に向けて早めに観光文化スポーツ部の観光企画課(TEL: 025-280-5125)に問い合わせを入れておくことをお勧めします。
「コンベンション」というと、どんな規模のイベントが対象になるんですか?
基本的に「全国規模以上の大会・会議・産業見本市」が対象です。ブロックコンベンション(関東甲信越だけとか)、国や地方公共団体が主催・共催するもの、政治・宗教的な目的を持つものは対象外です。医学会や工学会の全国大会、業界の産業見本市などが典型的な活用例です。
環境やSDGsをテーマにしたイベントには別の補助金があると聞いたことがあるんですが。
はい、「デコ活」推進事業です。
令和8年度「デコ活」推進事業は環境省が実施する補助金で、脱炭素に関する国民の行動変容を促す取組を支援します。企業・自治体・NPOが連携して啓発キャンペーンやイベントを行う場合が対象になります。
全国が対象です。「脱炭素型の暮らし方」を広めるイベントや、地域ぐるみの脱炭素ライフスタイル実践プログラムなどが対象。マッチングファンド方式で、事業者側も一定の自己資金を拠出する必要があります。
新潟でEVの試乗会や省エネ住宅の体験イベントをやる場合も使えそうですね。
そういうイメージです(笑)新潟は雪国だからEVの実用性を検証するイベントは社会的意義も高い。申請する際は「なぜそのイベントで脱炭素が進むか」のストーリーを丁寧に書くことが採択のポイントです。
新潟市や長岡市以外の市でも独自の補助金はあるんですか?
展示会出展や商談会への参加費用も対象になる場合があります。上越市商工会議所が申請窓口です。「稼ぐ力強化事業」「メイド・イン上越推進事業」の加算要件を満たすと補助率や上限が上がることもあります。事前相談で確認してください。
長岡市はものづくり系に手厚い支援があります。新潟市は商店街活性化の補助金(「つながる商店街支援事業」など)があって、商店街主催のマルシェやイベントに使えるケースがあります。各市の商工部門に問い合わせるのが確実です。
新潟県 イベント・展示会補助金 申請フロー
展示会に出ようと決めた場合、最初の一歩は何ですか?
まずGビズIDを取得することです。取得に2〜3週間かかるので、補助金の活用を少しでも考えたら今すぐ申請してください。これがないと電子申請できない補助金がほとんどです。
商工会議所またはNICOに電話して「展示会出展の補助金を相談したい」と予約を入れる。そのとき「出展予定の展示会名・開催時期・金額の目安」を伝えると、スムーズに進みます。
採択通知の日付より前に支払った経費は補助対象外になります。これが最も多い「もったいない失敗」です。「展示会の日程が先に決まってて補助金申請が間に合わなかった」というのは実際によくある話なので、タイムラインを早めに確認することが大事です。
同じ費用に複数の補助金を申請することはできますか?
できません。同一経費への重複申請は禁止です。ただし、「A補助金で展示会出展費を申請、B補助金で商標取得費を申請」のように、使途が異なれば複数の補助金を使い分けることは問題ありません。
- 採択前の費用は補助対象外: 採択通知の日付以降に支払った経費のみ対象
- 同一経費の重複申請は禁止: A補助金で申請した費用はB補助金に申請できない
- GビズIDは展示会決定前に取得: 取得まで2〜3週間かかるため早めに準備
まとめると、新潟でイベント・事業運営の補助金を調べるときの相談先はどこになりますか?
目的別に整理しましょう。展示会出展・販路開拓なら商工会議所かNICO、海外展開なら絶対NICOに相談、酒類系は国税庁の制度を新潟酒造組合経由で確認、伝統工芸品は経済産業省の制度を地域の伝産組合に確認、文化活動・NPOは県庁文化課かにいがたNPO情報ネット——この5ルートです。
新潟市・長岡市・上越市の3拠点があります。最寄りの拠点に行くのが一番早いですね。ただ事前予約が必要なので、ウェブサイトか電話で相談の予約を取るところから始めてください。
補助金の公募情報を追いかけるのが大変なんですが、どうやって情報収集すればいいですか?
3つのメーリングリストに登録しておくことをお勧めします。NICOのメールマガジン、地元商工会議所の会員向けメール、経済産業省の補助金情報メール(J-Nets)——これで主要な情報はカバーできます。
最後に、今日話した中で「これだけは覚えておいて」というポイントを一つ教えてもらえますか?
GビズIDの早期取得と、商工会議所への事前相談——この2つだけです。補助金は種類が多くて複雑に見えますが、プロに相談すれば整理してくれる。自分で全部調べようとしないで、まず「相談する」ことが最速の近道です(笑)
- 小規模事業者持続化補助金: 新潟商工会議所・長岡商工会議所・三条商工会議所・各市商工会
- 海外展開・海外出願支援: にいがた産業創造機構(NICO)新潟市・長岡市・上越市の3拠点
- コンベンション開催費補助金: 新潟県観光文化スポーツ部 観光企画課 TEL 025-280-5125
- 文化活動補助金: 新潟県観光文化スポーツ部 文化課(新潟県庁16階)
- NPO向け助成金情報: にいがたNPO情報ネット(www.nponiigata.jp)