北海道の研究開発補助金 種別比較チャート
北海道で研究開発に取り組んでいるんですが、補助金って国のやつと道のやつで全然違うって聞いて、どこから手をつければいいか分からなくて。
ほんとに分かります!北海道の研究開発補助金って特殊な構造があって、まず「国の大型公募に北海道でどう乗るか」が基本軸になるんですよ。道独自の大型研究開発助成金はそんなに多くない代わりに、NEDO・JST・農林水産省みたいな国の機関の補助金の「実証フィールド」として北海道が評価されやすいという特徴がありますね。
例えば水素サプライチェーンの実証実験なら、北海道の広大な土地や風力発電ポテンシャルが「なぜ北海道でやるか」の説得力を生む。農業バイオなら農研機構北海道農業研究センターや帯広畜産大学との連携実績が採択審査で評価される。こういう北海道固有の優位性を研究計画書に盛り込めるかどうかが、採択を左右するんです。
なるほど!じゃあ北海道の研究者や企業にとって、使いやすい補助金を教えてもらえますか?
大きく4つに分けると整理しやすいですよ。国のNEDO事業、知財・外国出願系、道立機関・財団の北海道独自枠、それと産学連携型の実証枠ですね。この4カテゴリをカバーしておけば、研究開発補助金の全体像は把握できます。
まず全国の制度から教えてもらえますか?北海道でも使えるやつ。
はい。まず覚えておいてほしいのはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の先導研究プログラムですね。「フロンティア育成事業」「未踏チャレンジ」「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」の3本柱があります。
NEDOの先導研究は競争率が高いですが、北海道の研究機関は農業・食品・エネルギー分野での実証フィールドとしての強みがあるので、「なぜ北海道でやるか」を説得力を持って書けると有利になります。
ポスト5G・半導体・AIの最先端研究開発枠
全国公募なので当然できますよ。ただし研究費は全額委託費としてNEDOが負担する委託形式なので、「補助率いくら」という概念ではなく、採択されたら国が費用を負担するイメージです。
基本的にそうです。ただし成果物の納品と報告義務が生じるのが一般的な補助金との大きな違い。国家プロジェクトに参画して実績を積む機会でもあるので、研究機関・大学発スタートアップ・IT系企業にとってはかなり戦略的な選択肢です。
水素・カーボンニュートラル研究の補助金
北海道って再エネ・水素の研究が多いイメージなんですけど、専門の補助金ってあるんですか?
水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業 というNEDO事業があります。
水素分野に関する国際会議の調査運営業務 のような調査系の枠もありますし、ゼロカーボン北海道の文脈でNEDOが毎年水素・エネルギー関連の公募を出していますね。
北海道が2050年カーボンニュートラルを目指して掲げている政策目標で、再生可能エネルギー由来の水素製造・洋上風力・バイオマス燃料の研究開発が政策的な追い風を受けています。北海道は日本最大の風力発電ポテンシャルを持っているし、太平洋側・日本海側・オホーツク海側で違う気象条件を使った実証ができるので、エネルギー研究の実証フィールドとして評価されやすい。
そうです!「なぜこの研究を北海道でやるか」という地域固有の理由付けが採択審査で差別化になるので、北海道の農業・森林・海洋・エネルギーリソースとの具体的な接続を必ず書いてください。
北海道で研究開発補助金を申請するステップ
研究開発ってイコール特許とかになりますよね。知財系の補助金って別にあるんですか?
あります!これが意外と見落とされがちで、INPIT(工業所有権情報・研修館) とJETROが別々に外国出願補助金をやっているんですよ。
INPITの「INPIT外国出願補助金」は中小企業者・試験研究機関等が対象で、補助率1/2、上限300万円。外国特許庁への出願費用(翻訳費・現地代理人費・出願手数料)の半額を支援します。
INPIT外国出願補助金(第7年度・第2回) という形で年に複数回公募があるのも使いやすいポイントです。
そこがポイントで、権利化の途中で「外国特許庁から拒絶理由通知が来た」という局面でも、
INPIT外国出願補助金(中間手続補助) という別の枠で対応できます。こちらは上限50万円で補助率は同じく1/2。出願したけど権利化で詰まっているという状況をこの補助金でケアできる。
JETROは中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金として運営していて、補助率1/2、上限300万円。特許は最大150万円、商標・意匠は各60万円というような案件ごとの上限がある。
JETROの外国出願支援事業(令和5年度・第1回) のように年度ごとに複数回の公募が行われます。
両方とも補助率・上限は似ていますが、事務局が違う。INPITは発明推進協会経由が多く、JETROは都道府県等の中小企業支援センターを通じて申請します。北海道の場合は北海道中小企業支援センターが窓口になるのでそこに相談するのが早いです。
研究開発の成果が出たら以下の順番が効率的です。
Step1 : まず国内特許を出願する(発明の新規性を保護)
Step2 : 海外展開が見えたらINPIT/JETROの外国出願補助金を活用
Step3 : 拒絶理由通知が来たらINPIT中間手続補助金で対応
Step4 : 特許ポートフォリオが複数になったらINPIT事業再編計画支援補助金(上限650万円)も選択肢に
北海道だけで使える補助金とか助成金ってあるんですか?国のやつじゃなくて。
ありますよ!公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団) が2026年度の研究開発助成事業を公募中です。2026年5月11日が締切で、オンライン申請受付期間は2026年4月1日から5月11日まで。
北海道の研究者、企業と研究者の共同研究グループを対象として、農業・食品・バイオ・ものづくり・IT・医療ヘルスケア・グリーン分野の研究開発をカバーします。北大・帯広畜産大学・酪農学園大学など道内の大学との共同研究プロジェクトが特に採択されやすい傾向があります。
あります!ノーステック財団の「若手研究人材・ネットワーク育成補助金(タレント補助金)」は北海道内の試験研究機関(大学・民間等)に所属する40歳以下の若手研究者が対象で、地域課題の解決や新産業・スタートアップの創出につながる研究開発を支援する制度です。これは北海道独自で全国の補助金にはない枠組みなので、若手研究者はぜひ確認してほしいです。
そうですね。北海道はバイオ・ヘルスケア産業支援として、2026年10月に横浜で開催されるBio Japan 2026への道内企業共同出展支援もノーステック財団が行っています。バイオ系スタートアップや研究機関がアジア最大級のパートナリングイベントに格安で出展できるので、販路開拓と研究パートナー探しを同時にできる機会です。
北海道の大学発スタートアップって、どういう補助金が使いやすいんでしょう?
大学発スタートアップの場合、まずJSTの各プログラムとNEDOのスタートアップ向け枠を確認するところから始めるのがおすすめです。北大・帯広畜産大・酪農学園大学のような研究機関からスピンオフした場合、「技術シーズの新規性」を証明する論文・特許情報が申請書の核心になるので、その準備を先に整えておくことが重要ですね。
多いです!特にGo-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)は中小企業が大学・公設試等と連携して行う研究開発を最大3年間支援する制度で、令和8年度の北海道からは9件が採択されています(令和7年度実績)。北海道経済産業局が窓口になっていて、全国採択124件のうち北海道から9件というのは、人口比で見るとかなり高い採択率なんですよ。
やはり農業・食品・バイオ・エネルギーの研究テーマで、北海道ならではのフィールドを活かした計画書が採択されやすい構造があります。あと北大・帯広畜産大などの研究機関との連携実績が豊富なので、中小企業と大学の橋渡しがスムーズにできる土壌があるんですよね。
Go-Tech事業って補助金額はどのくらいですか?
通常枠と大型研究開発枠で違いますが、通常枠で概ね4,500万円〜1億円程度(3年間合計)、大型研究開発枠は全国5件程度と枠が少ない代わりに大型の支援が受けられます。2026年2月〜4月に公募が行われましたが、次年度も継続される見込みで北海道経済産業局に事前相談するのがおすすめです。
GビズID : 多くの補助金申請がGビズIDによる電子申請を必須にしています。取得に2〜3週間かかるので公募開始前に取得を
共同研究先の確定 : 大学・研究機関との連携が条件の補助金は、正式な連携協定書や合意書が必要なケースがあります
前払いか後払いか : 研究開発補助金は原則として「後払い」です。立替資金の準備または信用保証制度の活用を検討してください
補助金名 主な分野 補助上限 補助率 対象 NEDO先導研究プログラム/フロンティア育成 全技術分野 委託費全額 全額委託 企業・研究機関 NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ 破壊的革新技術 委託費全額 全額委託 企業・研究機関 NEDOエネルギー・環境新技術先導研究 エネルギー・環境 委託費全額 全額委託 企業・研究機関 ポスト5G事業/先端半導体 半導体・通信 委託費全額 全額委託 企業・研究機関 ポスト5G事業/製造業AI-Ready化 AI・製造業 委託費全額 全額委託 企業・研究機関 ポスト5G事業/AI学習手法 AI・情報 委託費全額 全額委託 企業・研究機関 水素サプライチェーン技術開発 水素・エネルギー 委託費全額 全額委託 研究機関・コンサル INPIT外国出願補助金 知財・特許 300万円 1/2 中小企業等 INPIT外国出願補助金(中間手続) 知財・特許 50万円 1/2 中小企業等 JETRO外国出願支援事業 知財・商標 300万円 1/2 中小企業等 JETRO外国出願支援(中間応答) 知財・特許 30万円 1/2 中小企業等 ノーステック財団研究開発助成 農業・食品・バイオ等 数十〜百万円台 1/2〜2/3 道内企業・研究者 ノーステック若手研究者補助金 全分野 数十万円 — 40歳以下の道内研究者 Go-Tech事業(中小企業等研究開発) ものづくり基盤技術 1億円超(3年合計) 2/3〜 中小企業+大学連携 NEDO先導研究VIPワークショップ 全技術分野 委託費 全額委託 研究機関・コンサル
テーマと国の重点領域を合致させる
水素・バイオ・AI・半導体・カーボンニュートラルは予算が潤沢。自社・研究室のテーマをこれらに接続できないか検討する
「なぜ北海道でやるか」を必ず明記
農業フィールド・風力発電・食品加工クラスター・道総研/北大との連携など、北海道固有の優位性を計画書に具体的に書く
小さい補助金で申請実績を作る
初めて申請する場合はノーステック財団の助成事業など比較的ハードルが低い北海道独自枠で実績を積み、次にNEDOやJSTの中大型公募に挑戦するステップアップ戦略が現実的
事前相談を積極活用する
北海道経済産業局(TEL 011-709-2311)、ノーステック財団(https://www.noastec.jp)、JSTの各事務所が事前相談を受け付けています。審査前の計画書レビューに応じてくれるケースもあり、活用しない手はない
GビズID取得を先に済ませる
電子申請に必須のGビズIDは取得に2〜3週間かかります。公募開始前に取得しておかないと、締切ぎりぎりで「GビズIDが来ない!」とパニックになる(笑)。これは本当に多いミスなので早めに
正直、採択後の事務処理は量がある(笑)。特にNEDOの委託事業は中間報告・最終報告・会計報告が必要なので、研究者だけでなく経理担当者にも事前に体制を伝えておくことをおすすめします。採択通知が来てから慌てて体制を作ろうとすると、事業開始が遅れたり、最悪交付取消になるケースもあるので。
その辺の実務知識って、申請書には書いてないですよね。
そうなんです!だから事前相談で「採択後の体制どうすればいいか」まで聞いておくといいですよ。支援機関の担当者も喜んで教えてくれます。北海道は経済産業局や道のよろず支援拠点もあって、初めての補助金申請でもサポート体制は整っています。
北海道経済産業局 地域経済部 産業技術革新課 : Go-Tech事業等の研究開発系補助金の相談窓口。公式サイト
ノーステック財団(北海道科学技術総合振興センター) : 北海道独自の研究開発助成・スタートアップ支援。公式サイト
北海道立総合研究機構(道総研) : 農業・食品・水産・林業・環境分野の研究機関。共同研究先として採択審査の評価が高まります。公式サイト
北海道よろず支援拠点 : 補助金申請の相談から事業計画の策定まで無料で支援。札幌に拠点あり
最後に、北海道で研究開発補助金を活用するための一番大事なことって何ですか?
「北海道の強みをテーマの必然性として計画書に入れること」ですね。農業・食品・エネルギー・バイオ・医療ヘルスケアの研究なら、北海道でやる理由がそのまま採択の説得力になる。逆にただ「補助金がもらいたいから申請する」という姿勢だと、どの地方でも同じ計画書になってしまって北海道ならではの強みが伝わらない。北海道フィールドの活用、道内研究機関との連携、地域課題との接続 、この3点を計画書に盛り込めれば、採択率はぐっと上がりますよ。
ありがとうございます!北海道の研究者・企業の方はぜひ参考にしてみてください。