室谷さん、静岡県内の製造業とかベンチャーが使える研究開発系の助成金って、どんなものがあるんですか?
静岡県の中でも特に注目してほしいのが「事業化推進助成(一般型)」ですね。(公財)静岡県産業振興財団が毎年募集している助成制度で、1年度あたり最大1,500万円、2年継続だと合計2,250万円まで受けられるんです!
そうなんですよ。しかも助成率が1/2なので、対象経費の半分を助成してもらえる。研究開発にかかる人件費・試作費・委託費を半額以下に抑えられるわけです。
8つの成長産業分野が対象になってます。次世代自動車、新エネルギー、医療・福祉機器、ロボット、航空宇宙、光、環境技術、そしてCNF(セルロースナノファイバー)です!
静岡県が全国的な拠点として力を入れている素材です。植物由来のナノ材料で軽量・高強度・生分解性を持つ次世代素材ですね。静岡ならではの分野と言えますよ。
事業化推進助成(一般型)基本スペック
まず基本的な数字を教えてください。いくら、どれくらいの期間で受けられるんですか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成額(上限) | 1年度あたり最大1,500万円(2年継続の場合合計2,250万円) |
| 助成率 | 対象経費の1/2以内 |
| 助成期間 | 交付決定日から令和9年(2027年)2月10日まで(最長1年度) |
| 申請期限 | 2026年5月8日(金)正午 |
| 事前相談締切 | 2026年4月23日(木) |
| 対象地域 | 静岡県内に事業所を有すること |
| 実施機関 | (公財)静岡県産業振興財団 研究開発支援チーム |
申請期限が2026年5月8日正午っていうのは結構タイトですね!
そうなんです!しかも事前相談の締切が2026年4月23日で、申請より2週間も早い。事前相談を経てから書類を整えるとなると、実質的には今すぐ動き出す必要があります。
2年継続申請っていうのはどういう仕組みなんですか?
本助成は1年度ごとの申請が基本ですが、2年計画として継続申請が可能なんです。1年目の最大助成額は750万円、2年目は最大1,500万円で、合計2,250万円という設計になってます。1年目で試作・基礎検証、2年目で量産対応・販路開拓、という段階的な研究開発計画が描けるわけです。ざっくり言うと「2年かけて製品化まで持っていく」企業向けの使い方ですね。
なるほど、段階的に使えるのはいいですね。では次は対象分野と申請要件を詳しく教えてください。
8つの対象分野について、それぞれどんな企業が対象なんか、具体的に教えてもらえますか?
| 対象分野 | 具体的な対象技術・企業 |
|---|
| 次世代自動車 | EV・HV・FCV・自動運転・CASE関連技術の開発企業 |
| 新エネルギー | 太陽光・水素・燃料電池・蓄電池関連の開発企業 |
| 医療・福祉機器 | 医療機器・介護・リハビリ関連機器の開発企業 |
| ロボット | 産業用・協働・サービスロボットの開発企業 |
| 航空宇宙 | 航空機部品・宇宙関連機器・ドローン開発企業 |
| 光 | フォトニクス・レーザー・光通信関連の開発企業 |
| 環境技術 | 省エネ・廃棄物処理・カーボンニュートラル関連企業 |
| CNF | CNF複合材料・CNF応用製品の開発企業 |
次世代自動車分野は中堅企業も対象って聞いたんですが?
そうです!これが他分野と違う大きなポイントで、次世代自動車分野のみ中堅企業・みなし大企業も申請対象になってます。他の7分野は中小企業基本法に規定する中小企業者・小規模企業者に限定されています。
大企業が一定割合以上出資している中小企業のことです。形式上は中小企業でも、みなし大企業に該当すると一般の補助金は使えないことが多いんですが、次世代自動車分野に限ってはこの制度が使えます。EV・HV関連の開発を進める規模の大きい企業にも扉が開いてるってわけです。
ちなみに「静岡県内に事業所がある」って、本社でないといけないんですか?
本社でなくてOKです。「主たる事務所・事業所」という表現なので、工場や研究所が静岡県内にある場合でも対象になり得ます。ただし、事業を遂行する実質的な拠点があることが必要なので、名義だけ置くのはNGです。事前相談で確認するのが確実ですね。
本助成の申請で最もハードルが高いのが、「事業終了後1年以内に対象製品・技術の販売見込みがあること」を証明する要件です。
「見込みがある」という主観的な記述では認められません。顧客企業との覚書・LOI(意向表明書)・商談議事録・市場調査データなど、客観的根拠を複数そろえる必要があります。
「いつか売れそう」ではなく、「いつ・誰に・いくらで売る」が説明できる段階にある企業が対象の助成金です。
なるほど、基礎研究段階だとダメなんですね。では対象経費についても教えてください。
何に使えて、何に使えないのか、はっきりさせたいんですが。
対象経費から整理しましょう。大きく6カテゴリーあります。
| 経費カテゴリー | 対象となるもの |
|---|
| 機械装置・器具費 | 試作品製造用機械・設備購入費、検査計測器具、治工具・金型製作費、試験装置リース費 |
| 原材料・副資材費 | 試作品製造用原材料、試験・評価用消耗品、CNF・新エネルギー関連材料費 |
| 委託・外注費 | 試験・分析の外部委託、技術的課題解決のための外注加工、認証取得の委託費 |
| 人件費(直接) | 研究開発に直接従事する従業員の人件費(按分計算)、研究補助者の人件費 |
| 技術導入費 | 特許・技術のライセンス取得費、技術情報・データベースの利用費 |
| その他直接経費 | 展示会・学会参加費(成果発表)、専門家招聘費、規格・認証取得費 |
そうなんです、研究開発に直接従事する従業員の人件費が対象なのは助かります。ただし「按分計算」が必要で、タイムシート(勤務記録)の整備が求められますよ。代表者・役員への人件費は原則対象外です。
以下の経費は本助成の対象外となっています。注意してください。
- 不動産の取得・賃貸費(土地・建物)
- 汎用的な事務機器(パソコン・プリンター等、研究専用でないもの)
- 代表者・役員への人件費(特別な理由がない限り)
- 交際費・接待費・慶弔費
- 他の補助金・助成金と重複する経費
- 本事業と直接関係のない営業活動・販促費
他の補助金と重複はNGなんですね。ものづくり補助金と一緒に使えないんですか?
同一経費への重複受給はNGですが、異なる経費に充当する場合は組み合わせ可能です。例えば、
ものづくり補助金で設備投資をカバーしつつ、この助成で研究開発人件費・委託費をカバーする、という分担活用が考えられます。ただし、必ず財団と各補助金の実施機関に事前相談することが必要ですよ。
わかりました。次は申請の流れについて教えてください!
事業化推進助成(一般型)申請フロー
令和8年度からJグランツの電子申請になったんですね!GビズIDって取得に時間がかかりませんか?
GビズIDの取得手続きは完了まで2〜3週間かかる場合があります。申請期限(5月8日)に間に合わせるには、今すぐGビズIDの申請手続きを始める必要があります!財団のWebサイトにもJグランツの電子申請マニュアルが公開されているので、早めに確認しておきましょう。
では採択のポイント、つまり「こういう申請が通りやすい」という話を聞かせてください!
採択に向けた一番の攻略法は、「事業終了後1年以内の販売見込み」を客観的な証拠で立証することです!ほんとにここが全てと言っても過言じゃない。
-
販売見込みの具体性・信憑性: 顧客企業との覚書・LOI(意向表明書)・商談議事録・市場調査データなど客観的証拠を複数そろえること。「見込みがある」という主観的記述では不十分。
-
既存研究成果との連続性: 本助成は基礎研究ではなく「既存研究成果の事業化に向けた追加研究開発」への支援。これまでの特許出願・試作実績・研究経緯を時系列で整理し、今回の申請が必然的なステップであることを示す。
-
8分野との技術的親和性: 単に「ロボット分野」と名乗るだけでは不十分。自社技術が該当分野の課題解決にどう貢献するか、市場ニーズとの整合性を具体的に説明する。
-
経費の妥当性・実行可能性: 助成対象経費の積算根拠として、複数者からの見積書取得・市場価格との比較・使用目的の詳細説明が必要。「なぜその費用が必要か」を一つひとつ説明する。
-
事前相談の早期活用: 財団の担当者に事前相談(4月23日締切)で審査のポイントを把握し、申請書の質を高める。相談終了日間際は混雑するため、余裕を持って申し込む。
特に「販売見込みの証明」ってところが難しそうですね。どんな書類があればいいんですか?
理想的なのは顧客企業との覚書やLOI(意向表明書)ですね。「この製品が完成したら購入する意思がある」という書面があると審査委員の評価が高まります。なければ商談議事録・引き合いメール・サンプル評価依頼の実績でも代替できます。大切なのは「いつ・誰に・いくらで・何個売る予定か」が具体的に書けることです。
2年計画を上手く設計することで、採択可能性は上がる可能性があります!1年目で試作・基礎検証を完了、2年目で量産試作・販路開拓、という段階的な研究開発計画を描くと、助成効果の最大化と採択可能性の向上が両立できます。ただし、2年計画でも最終的に「2年目終了後1年以内の販売見込み」が必要なので、出口を見据えた計画が不可欠ですよ。
スタートアップ加点とかプロジェクト間連携加点ってどういうものなんですか?
本助成にはいくつかの加点制度があります。スタートアップ企業に該当する場合の加点、複数の採択企業間でプロジェクト連携を行う場合の加点、そして国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と連携する場合の加点ですね。各確認書を提出することで審査で加点対象になります。
そうです!様式が財団のWebサイトから取得できます。スタートアップ加点確認書、プロジェクト間連携確認書、産総研連携加点確認書の3種類があって、該当する場合は申請時に添付します。
なるほどです。では実際にどんな企業がこの助成を活用できるか、具体例を教えてください。
実際に申請を検討している人が「うちは当てはまるかな」って思えるような事例を教えてください。
1つ目は自動車部品メーカー。例えば浜松市の従業員50名程度のメーカーがEV向け軽量部品をCFRP(炭素繊維強化プラスチック)で開発中、国内自動車メーカー2社からサンプル評価依頼を受けているというケース。次世代自動車分野なので中堅企業規模でも申請可能!2年継続申請で量産試作まで持っていく戦略が使えます。
2つ目は医療機器スタートアップ。転倒検知ロボットのプロトタイプが完成していて、薬事認証取得のための試験費用が不足しているケース。複数の介護施設から採用意向表明を受けていれば、「1年以内の販売見込み」を証明できます。委託・外注費として薬事認証取得費も対象ですよ!
CNF分野ってなかなかイメージが湧かないんですが…。
3つ目がまさにCNF分野の例。富士市の包装資材メーカーがCNF配合バイオプラスチック容器を開発中、食品スーパー2社から「認証取得次第で採用検討する」という書面を入手済み、というケース。食品安全試験委託費・試作費が対象経費になります!
マジですか!それはまさに「事業化直前フェーズ」ですね。
そうです。4つ目はドローン開発メーカー。農業用ドローンの自律飛行システムを開発中で、農協からパイロット導入の打診がある、型式認証の試験費用が課題、というケース。航空宇宙または環境技術分野として申請できます。5つ目は水素関連の部品メーカーで、大手エネルギー企業から「量産試作品提出後に正式採用審査」という条件付き内示を受けているケースですね。これは新エネルギー分野です。
どのケースも「すでに顧客がいる状態」なんですね。「まずは研究してみよう」という段階ではなくて。
正確にはそういうことです!本助成は「研究段階」ではなく「事業化直前段階」を支援するもの。既に顧客との交渉が進んでいる、サンプル評価依頼を受けている、意向表明書がある、そういった状態にある企業が対象ですよ。
ものづくり補助金とかNEDOの助成金と何が違うんですか?
ものづくり補助金と比べると、金額は少ないけど使い方が違うんですね。
そうです。ものづくり補助金は設備投資が中心ですが、事業化推進助成は
研究開発費(人件費・委託費・試作費)をカバーできる点が強みです。組み合わせて使うのが一番効果的ですよ。また、静岡県産業振興財団の制度体系では、「基礎研究」段階は
研究開発助成(一般型)、「事業化直前研究」は本制度(事業化推進助成)、という住み分けになっています。
同じ財団の制度を段階に応じて使い分けられるんですね!
そうです!研究段階は研究開発助成、事業化直前になったら事業化推進助成、というステップアップ活用が王道です。産学官連携型の研究をしているなら
研究開発助成(産学官連携型)という選択肢もある。財団全体でうまく階段状の支援になってますよ。
静岡県の他の支援策と組み合わせることもできますか?
同一経費への重複はNGですが、異なる目的・経費であれば組み合わせが可能です。例えば、よろず支援拠点(静岡県)や商工会議所の窓口でも助成金の組み合わせ活用についてアドバイスを受けられます。GビズIDさえ取得しておけば、国のJグランツ経由の申請も一元管理できるので便利ですよ。
では最後に、提出書類と問い合わせ先をまとめてください!
何を用意すればいいのか、リストで確認したいんですが。
提出書類は以下の通りです!必須書類と任意書類に分けて確認してください。
| 書類名 | 備考 |
|---|
| 様式第1号 交付申請書 | 必須 |
| 様式第2号 事業計画書 | 必須・最重要書類 |
| 様式第3号 反社会的勢力でないことの表明・確約に関する同意書 | 必須 |
| 会社案内(事業紹介、会社案内等) | 必須 |
| 直近期の県税納税証明書 | 必須 |
| 直近3ケ年の決算報告書 | 必須(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書等) |
| 研究概要表 | 必須 |
| 資本等一覧表 | 必須 |
| 確認書 | 必須 |
| パートナーシップ構築宣言書の写し | 該当者のみ |
| スタートアップ加点確認書 | 該当者のみ(加点対象) |
| プロジェクト間連携確認書 | 該当者のみ(加点対象) |
| 産総研連携加点確認書 | 該当者のみ(加点対象) |
直近3ケ年分の貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書・販売費および一般管理費の明細・株主資本変動計算書が必要です。創業から3年未満の場合は財団に確認が必要ですが、スタートアップ加点の対象になる可能性があります!
GビズIDが必要って話がありましたが、今から取得できますか?
今すぐ手続きを始めるべきです!GビズIDの申請から取得まで通常2〜3週間かかります。
申請期限の2026年5月8日に間に合わせるには、本当に今日か明日には手続きを開始する必要があります。
G-Biz ID公式サイトから申請できますよ。
もちろんです!電話やメールで相談を申し込めます。ただし「相談日の3営業日前までに、交付申請書と事業計画書をメール添付で送付する」必要があります。仮作成でも構わないので、書類の素案を作ってから連絡する流れがいいですよ。
読者からよく来そうな質問をいくつかぶつけてもいいですか?
「事業終了後1年以内に販売見込みがあること」って、具体的にどういう意味ですか?
本助成の事業期間が令和9年2月10日で終わるので、そこから1年以内、つまり令和10年(2028年)2月頃までに対象製品・技術を実際に顧客向けに販売開始できる見込みがあることです。申請時点で証明が必要で、顧客企業との覚書・LOI・商談議事録・サンプル評価依頼などの客観的証拠が求められます。「将来的に売りたい」という希望的観測ではなく、具体的な顧客・販売時期・見込み数量が示せることが重要ですよ!
原則として基礎研究段階は対象外です。本助成は「既存の研究成果を事業化につなげるための追加研究開発」を支援するもので、ある程度の研究実績(特許出願・試作品製作・論文等)が前提になります。まだ基礎研究段階なら、まず
研究開発助成(一般型)や
研究開発助成(産学官連携型)を活用して、事業化が具体的に見通せる段階になってから本助成に申請するのがステップアップ戦略として有効です!
令和8年度の申請で採択されなかった場合、翌年も申請できますか?
再申請は可能です!不採択の理由や改善点は財団に問い合わせることでフィードバックを得られる場合があります。事業計画をブラッシュアップして令和9年度に再申請するという戦略もあります。ただし「事業終了後1年以内の販売見込み」を満たせる期間には限りがあるので、並行して他の支援制度も検討しておくといいですよ。
同一経費への重複受給は禁止です。ただし異なる経費に充当する場合は複数制度の活用が可能です。採択後に他の補助金・助成金を受給した場合は財団への報告義務があります。まず事前相談で整理するのがベストですね。
本助成はとにかく「申請期限まで時間がない」というのが一番重要なポイントです。2026年5月8日の締切に向けて、事前相談(4月23日締切)、GビズID取得、申請書類の準備、すべてが同時並行で進んでいます。「製品化まであと一歩」という状態で資金が課題になっている静岡県内の企業は、迷わず動き出してください。
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