室谷さん、「地域社会DX推進パッケージ事業」って補助金、名前が長くて難しそうなんですが、どんな補助金なんですか?
一言で言うと、総務省が地方のデジタル化を半額支援する補助金ですね。地方公共団体や地域の企業・団体が、ローカル5GやWi-Fiなどの無線ネットワーク設備を整備しながら、地域の社会課題を解決する取組をセットでやる場合に、事業費の1/2を補助してくれるんです。
しかも、補助金額の上限が定められていないんですよ。ざっくり言うと、事業費が1,000万円以上であれば申請できますが、上限はないので大規模なプロジェクトにも対応しています。
ただ「デジタルインフラを整備するだけ」ではダメで、そのインフラを使って地域の課題を解決する取組とセットであることが条件なんです。通信インフラ整備と地域課題解決が一体でないと採択されません。
なるほど、「パッケージ」という名前の意味がわかりました。インフラとソリューションがセットってことですね。
そうそう。例えば「ローカル5Gを引いてスマート農業をやる」とか「Wi-Fiを整備して遠隔診療を実現する」といった形で、通信インフラとその活用がセットになっている必要があります。通信だけ、アプリだけはNGです。
- 補助率: 補助対象経費の1/2
- 補助上限: なし(事業費下限は1,000万円)
- 実施主体: 地方公共団体 / 地方公共団体を含むコンソーシアム
- 対象: 無線ネットワーク整備 + 地域課題解決ソリューションのセット
- 支援期間終了後、最低5年間は事業継続が必要
令和8年度二次公募 申請スケジュールフロー図
今回の公募はいつまでに申請しないといけないんですか?
令和8年度の二次公募は2026年5月29日(金)正午が締切です。一次公募はすでに終了していて、二次公募が現在進行中という状況ですね。
2026年5月29日ですか!それって今月末じゃないですか!
そうなんですよ。もし検討しているなら急いだほうがいいです。実際の選定スケジュールはこんな感じです。
| フェーズ | 時期 |
|---|
| 二次公募受付期間 | 2026年4月1日〜5月29日正午 |
| 外部有識者による評価 | 2026年6月下旬頃 |
| 採択候補団体の公表 | 2026年7月上旬頃 |
| 経理処理説明会・交付申請 | 2026年7月中旬頃 |
| 交付決定(順次) | 2026年8月中旬頃〜 |
| 補助事業の完了 | 令和9年(2027年)2月末 |
| 実績報告書の提出・確定 | 令和9年(2027年)3月頃 |
交付決定が8月中旬で、事業完了が翌年2月末なんですね。半年ちょっとしかない!
短いですよね。実質的に設計・調達・工事・稼働まで7ヶ月以内で完了させる必要があります。だから今から計画を始めないと間に合わない。採択後にゼロから仕様を決めていると絶対に遅れます。
今月末が締切なのに、もう計画を固めておかないといけないレベルということですね。
申請書類もそれなりにあります。企画提案書(様式1・パワーポイント形式)、申請者概要説明書(様式2)、体制を示す合意書や協定書などを準備する必要があります。
で、実際に申請できるのはどんな組織なんですか?民間企業だけじゃダメですか?
申請者は大きく2パターンあります。1つ目は地方公共団体(都道府県・市区町村)が単独で、または複数の地方公共団体が連携して申請するケース。2つ目は民間企業・団体が地方公共団体を含むコンソーシアムを形成して申請するケースです。
そうです。民間企業が主体の場合、必ず地方公共団体を1つ以上含むコンソーシアムの形成が要件になっています。「地域の社会課題解決」が目的の補助金なので、地域の公的な主体が絡んでいることが前提なんです。
なるほど。企業が主役でも、自治体を巻き込まないといけないと。
ただ、企業から提案して自治体と組む形でも採択実績があります。むしろ企業側が技術を持っていて、自治体側が地域課題を持っている「補完関係」のコンソーシアムが審査で高評価を得やすいですね。
| 申請者タイプ | 要件 |
|---|
| 地方公共団体(単独) | 代表団体が補助金受領・事業管理の責任を持つ |
| 複数の地方公共団体 | 代表1団体が窓口、連携申請可 |
| 民間企業・団体 | 地方公共団体を1つ以上含むコンソーシアム形成が必須 |
ちなみに「農業協同組合」や「NPO法人」でも申請できますか?
できます。「企業・団体など」には農協、NPO法人、一般社団法人なども含まれます。ただし、いずれの場合も地方公共団体を含むコンソーシアムが条件です。農協が主体でも、地域の市区町村と組めば申請可能です。
では次に、どんな事業内容が対象になるかを教えてください。
補助対象経費と対象外経費の比較図
補助対象となる事業の核心は「無線ネットワーク設備の整備」と「その活用によるソリューション機器・システム」の組み合わせです。どちらか片方だけでは対象外になります。
ローカル5G基地局、Wi-Fiアクセスポイント、通信用アンテナ・ケーブル、エッジコンピューティング機器などがメインです。それから、整備したインフラを活用するためのアプリケーション開発やクラウド環境構築、データ連携基盤なども対象に含まれます。
含まれます。設備設置工事、電源工事、LAN配線工事、鉄塔・ポール設置工事なども補助対象ですね。さらに、クラウドサービス利用料は最大60ヶ月分(5年分)を一括計上できる特例があります。
えっ、5年分の利用料を一括で計上できるんですか!それは大きいですね。
事業終了後のインフラ維持費の一部を補助期間中に確保できる仕組みなんです。ただし当該年度に整備・リース・改修した部分に限られますが。
| カテゴリ | 補助対象経費の例 |
|---|
| 設備費 | ローカル5G基地局、Wi-Fiアクセスポイント、通信用アンテナ、エッジコンピューティング機器 |
| 工事費 | 設備設置工事、電源工事、LAN配線工事、鉄塔・ポール設置工事 |
| システム開発費 | 利活用アプリ開発、クラウド環境構築、データ連携基盤 |
| 設計・調査費 | 電波伝搬調査、通信エリア設計、システム要件定義 |
| 運営費 | 実証期間中のクラウド利用料(最大60ヶ月分)、通信回線利用料(事業期間内) |
- 土地の取得費・賃借料: 対象外
- 汎用PC・タブレット: 対象外(補助事業専用でない汎用品はNG)
- 人件費(自社社員の通常業務分): 対象外
- 消費税及び地方消費税: 対象外
- 交付決定前に発注・契約した経費: 絶対に対象外(採択前の発注は無効)
- 事業終了後の運営・維持管理費: 原則対象外(60ヶ月分の例外あり)
インターネット接続サービスの提供だけとか、ソリューション機器だけ、都市OSだけ、という場合は対象外と聞きましたが本当ですか?
本当です。公募要領に明記されています。あくまで「無線ネットワーク設備」と「ソリューション機器・システム」の両方が一体になった事業が対象です。例えば「地域Wi-Fiを引いたが、活用は入居者の自由」みたいな計画は通らないです。
実際にどう動けばいいですか?ゼロから始める場合のイメージを教えてもらえますか。
jGrantsで申請する場合はGビズIDが必要なんですよね?
そうです。GビズIDプライムアカウントが必要です。まだ持っていない場合は、取得に2〜3週間かかることがあるので今すぐ申請しておいたほうがいいです。
締切が5月29日だと、今から取得しても間に合うか際どいですね。
際どい。ただ、jGrants経由だけでなく、所管の総合通信局等にメールで直接提出することも可能なので、GビズIDがなくても諦めないでください。メール提出の場合は、総務省にも一報が必要です。
採択されるためには、どういう点に気をつければいいんでしょうか。
審査は7つの観点で評価されます。全部重要ですが、特に「地域課題の具体性・客観性」と「成果指標の適切性」が採択の命運を分けると思っています。
よくある失敗が「一般的な課題」しか書けないケース。「高齢化が進んでいる」「人口が減っている」というのは全国共通の課題だから、審査員に刺さらないんです。「うちの市では65歳以上の農家が全体の72%を占め、耕作放棄地が2025年比で15%増加している。これを遠隔営農指導システムで解決する」くらいの具体性が必要です。
- ア 地域課題の具体性・客観性: 定量的なデータや証拠情報がある課題設定か
- イ 事業目的の明確化と成果指標: 最終アウトカム指標が具体的・定量的か
- ウ 通信インフラの必要性・妥当性: 既存インフラでは実現できない理由が示されているか
- エ 事業の計画性・経済合理性: スケジュールが現実的、費用対効果が示されているか
- オ サイバーセキュリティ対策: サプライチェーンリスク対応を含む対策が明示されているか
- カ 実装・横展開性: 持続可能な運用計画と横展開の可能性があるか
- キ 加点項目(自治体のみ): 企業版ふるさと納税活用計画、デジ活中山間地域登録(各2点)
「サイバーセキュリティ対策」も評価されるんですか!
最近は重要な評価項目になっています。特に5Gの基地局を整備する場合は、「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」に基づく開発供給計画認定を受けた事業者の機器を使うことが原則として求められます。調達する機器のサプライチェーンリスクを把握していないと、そもそも審査対象外になる可能性もあります。
加点項目に「企業版ふるさと納税の活用」がありますが、これはどう使えばいいんですか?
自治体が補助事業の地方負担分(残りの1/2)を企業版ふるさと納税で賄う計画を立てると2点加点されます。地域の企業に寄附してもらって自己負担を軽減しながら地域全体で推進するという文脈が評価されるんです。同様に「デジ活中山間地域」に登録している地域も2点加点があります。
なるほど。採択後の話として、事業終了後5年間も報告義務があるんですよね?
そうです。補助事業完了の翌年度から5年間、事業の収益状況や成果達成状況を報告する義務があります。「相当の収益が生じた」と認められた場合は補助金の一部返還を求められることもあります。だから、事業計画に「5年後の持続的な運営モデル」を明確に盛り込むことが重要なんです。
似たような補助金もあると思うんですが、どう使い分ければいいんですか?
同一の補助対象経費への二重補助はNGです。ただ、都道府県独自の補助金を自己負担分に充てることは明示的に認められています。例えば、国の本補助金で1/2を補い、都道府県の補助金でさらに1/4を賄うといった棲み分けが可能です。
できません。民間企業が主体の場合、地方公共団体を1つ以上含むコンソーシアムの形成が必須です。自治体との連携が前提です。
「通信インフラの整備だけでも申請できますか?」はどうですか?
これもNGです。公募要領に明記されていて、「インターネット接続サービスの提供を主たる目的とするもの」「ソリューション機器のみの整備」は補助対象外とされています。必ず地域課題解決に向けた活用とセットにしないといけません。
原則NGです。事業費の下限は1,000万円とされています。ただし審査の結果次第では相談できる余地もゼロではないので、事前に事務局に確認することをお勧めします。
同一経費への二重補助はNGです。ただし経費を明確に区分できれば、他省庁の補助金との組み合わせは検討できます。個別ケースは事前相談を推奨します。都道府県の独自補助金は自己負担分に充当できます。
ありがとうございます。最後に問い合わせ先を教えてください。
総務省 情報流通行政局 地域通信振興課 デジタル経済推進室(補助事業担当)
電話: 03 5253 5758(直通)
メール: ict-town@ml.soumu.go.jp(件名は「【問合せ】補助事業(●●県▲▲市)」形式)
担当: 猿田課長補佐・野尻主査・鎌田官
そうです。全国に総合通信局が8か所あって、それぞれの管轄地域の案件を担当しています。メールで提出した後、電話で「提出しました」と一報を入れる必要があります。jGrantsで申請する場合も同様に電話で一報が必要です。
なるほど、手続きが二段階になっているんですね。忘れないようにしなければ。
締切の5月29日正午まで時間がない案件なので、今すぐ行動に移してください!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | 地域社会DX推進パッケージ事業(補助事業) |
| 所管省庁 | 総務省 情報流通行政局 地域通信振興課 |
| 補助率 | 補助対象経費の1/2 |
| 補助上限額 | なし(事業費下限: 1,000万円) |
| 公募期間(二次) | 2026年4月1日〜2026年5月29日正午 |
| 採択公表予定 | 2026年7月上旬頃 |
| 事業完了期限 | 令和9年(2027年)2月末 |
| 対象地域 | 全国 |
| 申請先 | 所管の総合通信局等 or jGrants(要GビズIDプライム) |
| 公式ページ | 総務省 地域社会DX推進パッケージ事業 |
| jGrantsページ | Jグランツ 補助金詳細 |
地域のDXを本気で進めたい自治体や企業にとっては、補助上限なしで通信インフラ整備から活用まで支援してもらえる、かなり大きな補助金なんですね。
まさにそうです。2026年5月29日正午の締切まで時間がありません。コンソーシアムの体制構築と計画策定を今すぐ始めてください!
ありがとうございました。全国の補助金情報は都道府県別にも調べられるんですよね?