北海道のまちづくり・地域振興補助金 全体マップ
室谷さん、北海道ってすごく広い自治体が多いじゃないですか。過疎化とか地域の活性化で悩んでいる市町村やNPOが補助金を探してると思うんですけど、まずどんな制度があるか教えてもらえますか?
そうですね、北海道のまちづくり・地域振興系の補助金って、大きく分けると「北海道独自の制度」と「国の制度で北海道でも使えるもの」の2種類があります。どちらも使えるので両方チェックしてほしいですね。
一番大きいのが「地域づくり総合交付金」です。令和7年度の予算が48億円で、道内最大規模の地域振興支援制度ですね。市町村、NPO等が使えて、交付率は2分の1以内です。
そうなんです(笑)。北海道は地域振興に本当に力を入れています。ハード系事業とソフト系事業の両方があって、ソフト系は複数市町村で構成する協議会や総合振興局長が認める団体も対象になるので、NPOでも申請できるケースがあります。
ハード系は施設や設備の整備、ソフト系はイベント開催、人材育成、調査研究みたいなものですね。例えば集落維持・活性化促進事業とか、デジタルチャレンジ推進事業もソフト系に入っています。
なるほど!国の制度で北海道でも使えるものはどんなのがあるんですか?
環境省の制度が多くて、たとえば国立公園の整備事業、脱炭素・地域活性化を同時に推進する「デコ活」推進事業、あと中小企業庁の「地域の人事部支援事業」、総務省の「AKATSUKI プロジェクト」等、幅広いですよ。
あ、地域振興って農業系の補助金とも重なったりしますか?
重なりますね。農業機械の電動化で「農業機械電動化促進事業」(差額の2/3補助)、エゾシカ対策で「北海道地域づくり総合交付金のエゾシカ緊急対策事業」みたいなものもあります。北海道ならではの課題対応制度があるのが特徴です。
結局、北海道のまちづくり系でまず押さえるべき補助金ってどれですか?
| 補助金名 | 主な対象 | 補助率/交付率 | 予算・上限 |
|---|
| 地域づくり総合交付金(北海道) | 市町村・NPO等 | 1/2以内 | 48億円(令和7年度) |
| 国立公園整備事業(環境省) | 公共団体・民間 | 1/2〜2/3 | 最大9.98億円 |
| 地域の人事部支援事業(中小企業庁) | 民間団体・連携体 | 10/10 | 最大2.9億円 |
| 洋上風力発電人材育成(資源エネルギー庁) | 民間・教育機関 | 定額 | 最大5.7億円 |
| デコ活推進事業(環境省) | 企業・NPO・自治体 | 公募要領参照 | 個別審査 |
それぞれもう少し詳しく聞いていいですか?特に中小企業とかNPOが実際に使えそうなものを。
国の制度って数が多くてどこから手を付ければいいか迷いそうですよね。北海道のまちづくりに特に関係ありそうなものを教えてもらえますか?
まず中小企業庁の「
地域の人事部支援事業」は、地域の複数企業をまとめて人材確保・育成を行う取り組みを支援するものです。
地域の人事部支援事業(令和8年度版)は補助率定額(10/10)、上限約2.9億円で全額補助なんですよ。北海道の中小企業の人材不足解消に直結できます。
全額補助ってすごいですね!どんな組織が申請するんですか?
地域の複数企業を束ねる民間団体や一般社団法人、地方公共団体と連携した事業主体ですね。複数企業が連携して「地域で人材を取り合うのではなく、一緒に確保・育成しよう」という仕組みを作る場合に使えます。
そうそう。で次に環境省系だと「
国立公園等資源整備事業費補助金」があります。北海道は知床、大雪山、阿寒摩周など国立公園がたくさんあるじゃないですか。
国立公園利用拠点滞在環境等上質化事業(令和7年度2次公募)は補助率1/2〜2/3で、多言語サイン整備、Wi-Fi環境整備、トイレ洋式化みたいなインバウンド対応が対象です。上限9億9,800万円という大型事業です。
大雪山とか知床って外国人観光客多いですよね。活用できそうですね!
まさに。2024年以降インバウンドが急速に戻っていますから、今がチャンスです。申請主体は地方公共団体や民間事業者も含まれます。
農業とか農村地域のまちづくりで使える制度もありますか?
「
農業機械電動化促進事業」が注目です。
令和7年度農業機械電動化促進事業は、電動農業機械と従来型農機の価格差の2/3が補助されます。北海道は農業が基幹産業なので、農村地域の脱炭素化・まちづくりに使えますね。
ほんとに?農業機械の話なのにまちづくりとも関係するんですか?
農村地域の持続可能性って、農業の維持と直結しているんです。農機を電動化することで農業経営が改善して、集落が維持できる。広い意味でのまちづくりですよね(笑)。
それから総務省の「
携帯電話等エリア整備事業」もあります。
令和7年度予算 携帯電話等エリア整備事業は補助率1/2〜3/4で、山間部や農村の通信環境改善に使えます。北海道の過疎地域では電波の届かないエリアがまだあるので、これで解消できます。
室谷さん、「デコ活」推進事業って最近よく聞くんですけど、まちづくりと関係ありますか?
「デコ活」って「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の略なんですけど、地域ぐるみのライフスタイル転換を支援するものなので、まちづくりと直接関係します。
「デコ活」推進事業(令和8年度)は全国の地方公共団体・NPO・企業等が対象で、地域の脱炭素活動や普及啓発事業が補助されます。
NPOや地域住民団体でも申請できる仕組みですよ。地域での再エネ導入、省エネ生活の普及啓発、地域独自のデコ活キャンペーンみたいなものが対象になります。
北海道独自の制度について、もう少し詳しく教えてもらえますか?
まず「地域づくり総合交付金」の内訳を整理しますね。令和7年度は「地域づくり推進事業」が47億円、「特定課題対策事業」が1億円で合計48億円。これが北海道の地域振興の基幹制度です。
ハード・ソフト両方使えるって言ってましたよね。ソフト系の具体例をもっと教えてください。
ソフト系の対象事業が細かく分かれていて、標準事業(地域課題解決のイベント・調査等)、集落維持・活性化促進事業、デジタルチャレンジ推進事業が主なものです。IoTやデジタルを活用した地域課題解決もデジタルチャレンジで申請できます。
総合振興局・振興局の地域政策課です。北海道は広いので、各地域の振興局に直接相談するのがベストですね。令和7年度の団体分ソフト系事業は既に募集が始まっています。詳細は各総合振興局・振興局地域政策課に確認してください。
- 窓口: 北海道 総合政策部地域創生局地域政策課
- 電話: 011-206-6404
- 対応内容: 地域づくり総合交付金の申請相談、担当振興局の案内
- 補足: 北海道は広いため、最初にこちらへ問い合わせると担当振興局を紹介してもらえます
令和7年度のソフト系事業は今から申請できるんですか?
令和7年度の団体分ソフト系事業は既に募集が始まっています。ただし各総合振興局・振興局によって締切が異なるので、担当振興局へ早めに相談することをおすすめします。
北海道ってエゾシカ問題もありますよね。あれも地域課題の一つですか?
まさに。エゾシカは農作物被害が深刻で、「エゾシカ緊急対策事業」として地域づくり総合交付金の標準事業の一つになっています。農業被害対策という文脈でまちづくりの一環として取り組む市町村が申請できます。
そうなんです。全国制度にはない北海道ならではの課題対応メニューが入っているのが特徴ですね。
北海道って風力発電のポテンシャルが高いって聞くんですが、補助金もありますか?
大きいのが資源エネルギー庁の「洋上風力発電人材育成事業費補助金」シリーズです。
令和8年度事務局公募は上限約5.7億円の定額補助で、事業開発・エンジニア・専門作業員の3分野の人材育成が対象です。
石狩湾のプロジェクトが進んでいますし、道北・道東の沿岸にも洋上風力のポテンシャルエリアがあります。この補助金で人材を育てれば、地元でその産業を担える人を確保できるわけです。
正にそれが「地域共生」の肝なんです。再エネ産業が地元に根付くことで、雇用も生まれてまちが持続できる。「地域と共に生きる再エネ」という発想ですね。
ほんとに?そういう視点でまちづくりと再エネが繋がるんですね!
あと環境省の「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」、
令和8年度版は太陽光・風力・バイオマス等の再生可能エネルギー設備導入コストを補助して、地域との共生を条件にしています。地域コミュニティへの貢献・住民理解が評価されるので、地域振興と一体で取り組む事業者が有利です。
地域と一緒に進める再エネ事業が評価されるんですね。
「自分たちの土地で作った電気を自分たちの地域で使う」という地産地消エネルギーのモデルが、北海道の広大な土地と豊富な自然資源と組み合わさると面白いことができます。
| 制度名 | 補助率 | 上限額 | 対象 | 主な補助内容 |
|---|
| 地域づくり総合交付金(北海道) | 1/2以内 | 予算48億円 | 市町村・NPO等 | 地域活性化・課題解決事業 |
| 国立公園上質化事業 | 1/2〜2/3 | 約10億円 | 公共団体・民間 | インバウンド対応、施設整備 |
| 地域の人事部支援事業 | 10/10 | 約2.9億円 | 民間団体・連携体 | 地域人材確保・育成 |
| 洋上風力人材育成事業 | 定額 | 約5.7億円 | 民間・教育機関 | 洋上風力産業人材育成 |
| 農業機械電動化促進事業 | 価格差の2/3 | 7,200万円 | 農業者・団体 | 電動農機導入支援 |
| 携帯電話等エリア整備事業 | 1/2〜3/4 | 個別審査 | 通信事業者・自治体 | 過疎地の通信環境整備 |
| 地球温暖化防止活動促進事業 | 5/10 | 約1,000万円 | NPO・団体 | 地域温暖化対策・普及啓発 |
| デコ活推進事業 | 公募要領参照 | 個別 | 企業・NPO・自治体 | 脱炭素ライフスタイル推進 |
大きな制度ばかり紹介してもらいましたが、NPOや小さな地域団体向けの制度もありますか?
もちろん!「地球温暖化防止活動促進事業」は環境省の補助金で、NPOや地域住民団体が気候変動対策の取り組みを行う場合に使えます。
令和7年度版は補助率5/10(半額補助)、上限約1,000万円です。
1,000万円って中規模のNPOでも活用できる金額ですね。
北海道は冬の暖房需要が高いので、省エネ・再エネ普及啓発のイベントやセミナーを地域で開く団体が使いやすいです。「地域の気候変動対策センター」的な活動も対象になります。
小規模事業者持続化補助金のコミュニティ版みたいなのもありましたよね?
「ビジネスコミュニティ型補助金」がありますね。
商工会議所地区版と
商工会地区版があって、上限50万円・定額補助です。小規模事業者が商工会議所・商工会を通じてコミュニティ形成に取り組む場合に使えます。
小規模事業者にとっては50万円でも大きい(笑)。商店街の活性化イベントとか、地域の事業者同士のネットワーク形成に使えます。
そう、まちづくりって結局「人と人、事業者と事業者のつながり」ですから。
まとめてもらえますか?どれがどんな団体向けか分かりやすく。
| 制度名 | 対象団体 | 上限額 | 補助率 |
|---|
| 地球温暖化防止活動促進事業 | 環境・脱炭素系NPO・地域団体 | 約1,000万円 | 5/10 |
| ビジネスコミュニティ型補助金 | 小規模事業者 | 50万円 | 定額 |
| デコ活推進事業 | 企業・NPO・自治体 | 個別審査 | 公募要領参照 |
北海道まちづくり補助金 申請の流れ
実際に申請するにあたって、まず6つのステップを押さえておくと流れが分かりやすいですよ。次に資金繰りのリスクも確認しておきましょう。
- 多くの補助金は事業実施後の後払い(精算払い)
- 事前に運転資金を確保しておく必要あり
- 受取まで6か月以上かかるケースもある
- 金融機関の「補助金つなぎ融資」を活用することも検討を
補助金申請ってどうやって始めればいいですか?初めて申請するNPOや市町村担当者の方に向けて教えてください。
まず「GビズID」を取得することが最優先です。国の補助金はJグランツ(電子申請システム)経由で申請するものが多くて、GビズIDがないと申請できません。
法人・個人事業主の場合、書面申請だと2〜3週間かかります。e-Govを経由したデジタル申請だともう少し早いです。公募開始後に動き始めると間に合わないことが多いので、公募が始まる前に取っておくのが鉄則ですね。
そう。あと北海道独自制度の「地域づくり総合交付金」は、各総合振興局・振興局に直接申請する形なので、事前に担当者と顔合わせしておくと採択率が上がります。
影響します。担当者に「こういう課題があって、こういう取り組みをしたい」と早めに相談することで、事業計画の方向性を修正できます。採択された案件って、大抵事前相談してるんですよね。
補助金って多くの場合、事業を実施した後に経費を報告して受け取る後払いなんです。なので実施前に立替資金を用意する必要があります。
そこで「北洋銀行」「北海道銀行」などの地域金融機関に「補助金採択を前提にしたつなぎ融資の相談をする」という手があります。採択通知を持参すれば融資してもらいやすいですよ。
採択後に動くんじゃなくて、採択と融資を並行して進めるんですね。さすがに申請経験ある方だとそういう裏技を知ってるんですね(笑)。
「裏技」というか実務の常識ですね(笑)。北海道でまちづくりに取り組む団体は、ぜひ地域金融機関とも早めに関係を作っておくのをお勧めします。
今日いろいろ教えてもらって、北海道のまちづくり・地域振興系の補助金って国と道の両方から手厚くサポートされているんだなと感じました。
そうなんですよ。北海道は人口密度が低くて過疎化の課題が大きい分、国・道の支援も厚いと思います。「課題の大きさが支援の大きさ」という側面があります。
最後に、これから補助金を使ってまちづくりに取り組もうとしている北海道の方へ、一言アドバイスをお願いします!
まずは「地域づくり総合交付金」から始めるのがおすすめです。北海道独自の制度で、地元の振興局と相談しながら進めやすい。並行して国の制度も調べて、テーマ(環境・人材・観光等)ごとに組み合わせる戦略が長期的には有効です。1つの事業で複数の補助金を組み合わせることも可能なので、専門家(中小企業診断士や認定支援機関)に相談しながら進めてみてください。
ありがとうございました!北海道のまちづくりを頑張っている方々に届けば嬉しいですね。