石川県 海外販路拡大・補助金比較 2026年
室谷さん、最近うちの読者から「石川県で海外に売り出したいんだけど、どんな補助金が使えるの?」という問い合わせが増えています。能登半島地震からの復興もあって、地域の中小企業が海外販路に活路を求めているようで。
そうですね。実は石川県は海外展開への支援がとても手厚い県で、ISICOという産業支援機関が一気通貫でサポートしてくれるんです。国の制度と組み合わせれば、かなり大きな規模で動けます。
公益財団法人石川県産業創出支援機構の略です。石川県の中小企業向けに補助金の運営から専門家紹介まで手がけている機関で、県内企業の海外展開相談の窓口の一つになっています。あとジェトロ金沢も「いしかわ海外展開サポート"かがやき"」というネットワークを組んでいて、複数の公的機関が連携して支援してくれます。
かがやき、いい名前ですね! 具体的にはどんな補助金が使えるんですか?
大きく分けると、「設備投資・大規模投資向け」「輸出実証・販路開拓向け」「知的財産保護向け」の3系統です。石川県独自の制度もあるので、整理してから選ぶのが大事で。
| 系統 | 代表的な補助金 | 上限額 | 補助率 |
|---|
| 設備投資・大規模投資 | 中小企業成長加速化補助金 | 5億円 | 1/2 |
| 輸出実証・販路開拓 | 輸出支援エコシステム形成事業費補助金 | 2,000万円 | 1/2 |
| 越境EC・デジタル販促 | 海外需要拡大事業(DT型/TC型) | 500万円 | 2/3 |
| 知的財産保護 | INPIT外国出願補助金 | 300万円 | 1/2 |
| 石川県独自(新商品開発) | 新商品・新サービス開発支援事業助成金 | 500万円 | 2/3 |
| 石川県独自(外国出願) | 石川県 海外展開支援補助金(海外出願) | 300万円 | 1/2 |
| 農林水産物・食品輸出 | 有機JAS認証・GAP等認証取得等支援事業 | 2,000万円 | 要確認 |
補助金の数が多いですね! どこから手をつければいいんですか?
まず「今、会社として何をやりたいか」をはっきりさせることです。設備を入れて製造能力を上げたいなら成長加速化補助金、展示会に出たい・市場調査をしたいなら輸出支援エコシステム、商標や特許を海外で取りたいならINPITや石川県の海外出願支援。目的がズレると、採択されても使えない経費が出てきます。
石川県 海外展開申請フロー
では国の補助金から教えてください。石川県の事業者がよく使う制度はどれですか?
まず規模感の大きい順に話しますね。一番大型なのが中小企業成長加速化補助金です。補助上限5億円、補助率1/2以内という国の制度で、海外展開を含む大規模投資をカバーします。事業再構築補助金の後継的な位置づけです。
5億円! それはかなりの規模ですね。どんな会社が対象なんですか?
「売上高100億円企業を目指す」という宣言(100億宣言)を公開した中小企業です。申請の前にポータルサイトで宣言を公表する必要があって、その手続きに通常2〜3週間かかります。石川県なら加賀・七尾エリアの製造業や、伝統工芸×輸出を狙う企業にも合います。詳細は
中小企業成長加速化補助金のページで確認できます。
宣言を先に出さないといけないのか。意外な落とし穴ですね。
ここを知らないで申請直前に焦る会社が多いんですよ。GビズIDの取得と合わせて、少なくとも1か月前からの準備が必要です。
jGrantsという国の補助金申請システムへのログインに使うIDです。ほぼ全ての国補助金の申請に必要で、取得に通常2〜4週間かかります。「補助金を使おう」と決めたその日に申請しておくのが鉄則。
- 取得に2〜4週間かかるため、後回しにすると公募期間に間に合わない
- 取得は無料。GビズID公式サイトから申請
- 石川県内では商工会・商工会議所でも取得サポートを行っている
なるほど。次に注目度の高い国の制度を教えてください。
令和8年度 中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金です。補助上限2,000万円、補助率1/2。海外での販路開拓や輸出に向けた実証事業全般に使えます。詳細は
輸出支援エコシステム形成事業費補助金のページで確認できます。
2,000万円規模なら中小企業でも十分使えますね! どんな経費が対象ですか?
現地での実証試験費用、販促費、コンサルタント委託費などです。「海外で売るための活動全般」をカバーするイメージ。ただし後払い方式なので、事業完了後に経費精算して初めて補助金が振り込まれます。6か月〜1年後になることもあるので、資金繰りに要注意です。
そうなんです。採択されたら融資も視野に入れて、日本政策金融公庫や商工中金と早めに話を進めるのが賢いやり方です。「いしかわ海外展開サポート"かがやき"」には商工組合中央金庫金沢支店や日本政策金融公庫金沢支店も参加しているので、一つの窓口でつながれるのが便利です。
あります。
デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業(DT型)と、その姉妹版のTC型(トップクリエイター活用型)です。どちらも上限500万円で補助率2/3。越境ECを使ったブランディングやプロモーションに特化した補助金です。詳細は
DT型のページや
TC型のページで確認できます。
補助率2/3って高いですね! 何か特殊な条件があるんですか?
DT型は「支援パートナー」との連携が必須条件です。越境ECやデジタルマーケティングの専門業者と組んで申請する形になります。TC型はさらに進んで、海外で活躍するトップクリエイター(フォトグラファー、デザイナー、インフルエンサー等)との連携が条件。石川県の工芸品や食品を世界市場に届けるには、こういうクリエイティブな発信がカギになります。
石川県らしく、九谷焼や加賀染めを海外に発信するのに使えそうですね。
まさにそこです。伝統工芸とデジタルマーケティングを組み合わせる施策は、今海外のバイヤーからも注目されています。
農林水産物・食品の輸出を考えるなら
石川県って日本海側で海産物が豊富ですよね! そういう農林水産物の輸出向けはありますか?
あります。
農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業(有機JAS認証・GAP等認証取得等支援事業)が使えます。補助上限2,000万円で、有機JAS認証や国際的なGAP認証の取得費用を支援します。詳細は
有機JAS認証・GAP等認証取得等支援事業のページを確認してください。
認証取得費用を補助してくれるんですか。海外バイヤーへの信頼証明になりますね。
ヨーロッパや北米の高級食材マーケットでは、認証なしには棚に並べてもらえないくらい厳しくなっています。石川県の能登米や能登牛、加賀野菜、日本海の魚介類を海外で売るなら、認証取得は避けて通れない。
農林水産省の補助金は農協などの団体が申請するイメージがありますが、個々の農業者でも使えるんですか?
この制度は「事業実施主体となる団体」が補助金を受けて、そこに属する農業者が認証取得の支援を受ける間接補助方式です。農業者が直接申請するより、農協や輸出組合などを通じて活用する形が一般的です。
石川県独自の補助金も教えてください。国の制度と何が違うんですか?
国の制度は全国の事業者が競争するので採択率が厳しくなりがちです。石川県独自の制度はあくまでも県内企業向けなので、競合が限定的で採択されやすい傾向があります。そして手続きがISICOで一元化されていて、相談しやすい点も大きな違いです。
ISICOが運営する
新商品・新サービス開発支援事業助成金(海外販路拡大支援)は特に注目です。補助上限500万円、補助率2/3以内で、「地域資源を活用した商品の開発・改良、国際認証取得、海外市場での販路拡大」に使えます。2026年4月20日から6月12日まで公募中でした。詳細は
新商品・新サービス開発支援事業助成金のページで確認してください。
海外販路拡大支援という名前がついているのが石川県らしいですね。
そうなんです。実は同じISICOの助成金の中でもメニューが分かれていて、「事前調査支援(上限50万円、定額補助)」「通常の新商品開発(上限300万円)」「大学連携型(上限1,000万円)」とステージ別に使い分けできます。まず市場調査から始めたいなら50万円の事前調査から、本格的に商品化するなら500万円の海外販路拡大支援という段階的な活用が可能です。
ステップアップ式に使えるのがいいですね! 石川県は伝統産業から製造業まで幅広いですから、どんな業種が使えますか?
石川県内に本社または事業所がある中小企業・個人事業主・農業法人・農業協同組合等が対象です。地域資源の活用が要件なので、能登の食材、加賀の伝統工芸、金沢の工芸文化など石川県らしい素材を持っている会社に特に向いています。
海外特許・商標の保護支援
海外で製品を売るときに、模倣品対策も必要ですよね。知的財産の補助金はありますか?
これが石川県と国の両方で手厚い分野です。国側では
INPIT外国出願補助金が上限300万円、補助率1/2で外国への特許・商標・意匠出願を支援します。詳細は
INPIT外国出願補助金のページを確認してください。
独立行政法人工業所有権情報・研修館です。特許庁の関連機関で、中小企業の知的財産戦略を支援しています。INPIT外国出願補助金は全国の中小企業が使えます。
はい。
石川県 令和7年度 中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)がISICOが運営する制度で、補助上限300万円、補助率1/2です。特許1案件あたり150万円、実用新案・意匠・商標は各60万円が案件ごとの上限です。詳細は
石川県 海外出願支援補助金のページで確認できます。
国のINPIT補助金と石川県の補助金は重複して使えるんですか?
実はINPITの補助金とは別枠になっているので、うまく活用すれば国と県の両方から支援を受けられる可能性があります。ただし申請要件が細かいので、ISICOか弁理士に相談してから動くのが安全です。
- 日本国特許庁への出願が前提(国内出願済みが条件)
- 交付決定前に出願した費用は対象外
- 申請できる期間が短い(例: 令和7年度は5月30日〜6月23日)
- 弁理士との連携が推奨されている
できます。ただし「同じ経費に対して二重で補助を受けること」は禁止されています。同じ事業の違うフェーズや違う経費に対して使い分けるイメージです。
例えばこういうパターンが考えられます。まず石川県のISICO助成金で「海外市場調査と商品改良」を行い(上限50万〜500万円)、次に国の輸出支援エコシステム補助金で「実際の輸出実証・現地販促」を行う(上限2,000万円)。さらに知財保護が必要なら、INPIT外国出願補助金や石川県海外出願支援で「特許・商標の外国出願」を行う(上限300万円)という流れです。
段階的に組み合わせると、トータルでかなりの支援額になりますね!
そうなんです。フェーズごとに適切な補助金を選べば、1社で累計1,000万円以上の支援を受けることも現実的です。ただし各補助金の採択審査は独立しているので、全部通るとは限らない。その前提でリスクを分散しながら計画を立てることが重要です。
国の大型補助金(成長加速化補助金など)は直近30〜50%程度、ISICOの県独自制度は競合が県内企業に限定されるのでやや高い傾向があります。ただし採択率は公募ごとに変わるので、申請前に担当機関に確認するのが確実です。
- 同じ経費に二重補助は禁止(異なる経費・フェーズなら可)
- 複数補助金を並行申請する場合は、それぞれの要件を個別確認
- ISICOやジェトロ金沢への相談で最適な組み合わせを提案してもらえる
補助金申請で失敗しないための注意点を教えてください。
一番多い失敗が「交付決定前に動いてしまう」ことです。補助金はほぼ全ての制度で、採択・交付決定が出た後から始めた事業・経費しか対象になりません。見積もりを取ったり、発注したりした段階では申請できません。
えっ、採択されてから動き始めないといけないんですか?それまで待つのがきついですね。
そこなんです。「採択されたらすぐ動けるよう」事前に仕入れルートや取引先候補の目星はつけておきつつ、実際の発注・契約は交付決定後にする。この順番を守るのが絶対のルールです。
正確に言うと「支出は先、入金は後」というのが補助金の基本構造です。採択→事業実施→経費支払い→実績報告→審査→補助金振込という流れで、最短でも事業完了から3〜6か月後に入金されます。規模の大きい補助金ほど審査が丁寧で、振込まで1年近くかかるケースも。
目的(設備投資・販路開拓・知財保護など)を明確にする
中小企業成長加速化補助金を狙うなら100億宣言を公表する(2〜3週間)
ISICOまたはジェトロ金沢に相談し、最適な補助金を選定する
ステップ4のISICO相談、実際にどうやって活用するんですか?
ISICOはウェブサイトから相談申し込みができます。石川県内企業なら無料で専門家に相談でき、どの補助金が適しているか、申請書の書き方まで伴走してくれます。ジェトロ金沢も「いしかわ海外展開サポート"かがやき"」のネットワークで同様のサポートをしていて、海外の市場情報や現地コンタクト探しにも強いです。
無料で専門家に相談できるのは大きいですね。石川県内にいなくても相談できますか?
基本的には石川県内に事業所を持つ企業が対象です。県外に本社があっても石川県内に事業所があれば相談できる場合があるので、まずISICOに問い合わせてみることをお勧めします。
石川県には伝統工芸や製造業が多いですよね。どんな産業が海外に向いていますか?
石川県の強みはいくつかあって、九谷焼・輪島塗・加賀友禅などの伝統工芸、金沢の食文化・加賀料理、そして精密機械・工作機械の製造業が主要産業です。この3つはそれぞれ海外での需要が高まっています。
ニューヨークやパリの富裕層向けマーケットで日本の伝統工芸への需要が伸びています。DT型・TC型の補助金が特に合うケースで、海外のトップクリエイターと組んで世界観を発信することで、単なる「民芸品」ではなく「現代アート」として認知させることができる。
一方、能登半島地震からの復興企業も海外展開を狙っていますよね。支援の特例などはありますか?
能登半島地震の被災企業向けには、一部の補助金で審査における加点や、申請要件の柔軟化が設けられているケースがあります。具体的な内容は各補助金の公募要領に記載されているので、「被災地域事業者特例」があるかどうかを確認することをお勧めします。
能登の企業が海外に販路を拓けると、地域全体の復興にもつながりますよね。
まさに。国内市場だけに頼ると、人口減少の影響をダイレクトに受けます。石川県の事業者が海外に一つでも販路を開けば、リスク分散にもなるし、地域への経済効果も大きい。今の補助金環境は、その背中を押すのに十分な充実度だと思います。
| 補助金名 | 上限額 | 補助率 | 主な対象 | 窓口 |
|---|
| 中小企業成長加速化補助金 | 5億円 | 1/2 | 大規模投資 | 中小機構 |
| 輸出支援エコシステム形成事業費補助金 | 2,000万円 | 1/2 | 輸出実証 | 経産省 |
| 海外需要拡大事業 DT型 | 500万円 | 2/3 | 越境EC | 経産省 |
| 海外需要拡大事業 TC型 | 500万円 | 2/3 | クリエイター連携 | 経産省 |
| INPIT外国出願補助金 | 300万円 | 1/2 | 海外知財 | INPIT |
| 有機JAS・GAP認証取得支援 | 2,000万円 | 要確認 | 農林水産物輸出 | 農水省 |
| 石川県 新商品開発助成金(海外販路拡大) | 500万円 | 2/3 | 商品開発+販路拡大 | ISICO |
| 石川県 海外出願支援補助金 | 300万円 | 1/2 | 海外知財 | ISICO |
これだけあっても、適切に選ばないと申請書類の準備だけで半年かかることもあります。一番のアドバイスは「まずISICOかジェトロ金沢に相談する」こと。プロが無料でナビゲートしてくれるので、単独で調べるより確実で早い。石川県の事業者さんにとって、海外展開の最初の一歩はそこから始まります。
石川県の事業者はサポート体制が充実しているということがよくわかりました。ありがとうございました!
- ISICO(石川県産業創出支援機構): isico.or.jp 補助金の申請相談・専門家紹介
- ジェトロ金沢: 海外市場調査・バイヤーマッチング・貿易実務
- 「いしかわ海外展開サポート"かがやき"」: 複数機関による一体的支援ネットワーク